法務

訴訟費用額確定処分と強制執行|申立てから回収までの期限と手順

経営リスクナビ編集部

訴訟費用額確定処分は、判決等で「訴訟費用は被告の負担とする」といった結論を得たのに相手方が任意に支払わず、費用の金額を確定させて回収可能な状態に進めたい場面で実務上の入口になります。ここを放置すると、領収書や予納郵券などの証憑が散逸したり、担当交代で計算の再構成が難しくなったりして、回収可能性と社内工数の見通しが崩れやすくなります。第一審裁判所の裁判所書記官への申立てから、確定後に民事執行法22条4号の2の債務名義として強制執行を検討するまで、どこまで自力対応できるかを判断できるようになります。以下では、社内での判断材料として申立て要件・必要資料・手順を示します。

目次

訴訟費用額確定処分の全体像

判決確定後の回収フローを押さえる

判決・和解調書等で「訴訟費用は被告の負担とする」など負担の結論が出ていても、そこに具体的金額までは書かれていないのが通常です。そのため、相手方が任意に支払わない場合、金額を確定させて強制執行へつなげるには、裁判所書記官による訴訟費用額確定処分(民事訴訟法71条〜73条(民事訴訟法第71条))が実務上の入口になります。書記官の処分は、確定すると債務名義になります(民事執行法22条4号の2)。

判決確定後に「費用を回収できる状態」にするまでの流れ
  1. 判決(または和解調書等)で訴訟費用の負担が定められていることを確認します(例:「2 訴訟費用は被告の負担とする」)。
  2. 本案裁判が確定していることを確認し、必要に応じて確定証明書等の取得を進めます。
  3. 第一審裁判所の裁判所書記官に、訴訟費用額確定処分の申立てを行います(根拠:民事訴訟法71条〜73条(民事訴訟法第71条))。
  4. 書記官の審査・相手方への照会(計算書写しの送付・回答機会付与)を経て、訴訟費用額確定決定が出ます。
  5. 決定が相手方に送達された後、期限内に不服申立てがなければ確定し、民事執行法22条4号の2の債務名義として強制執行に進めます。
  6. さらに執行段階では、執行文付与や送達証明の取得など、執行申立てに必要な書類を整えます。

どの裁判が申立ての前提になるか

訴訟費用額確定処分は、「費用を誰が負担するか(割合を含む)」が裁判・調書で確定していることが前提です。書記官は、負担の根拠が確定して初めて、費目ごとの金額認定(領収書・記録との突合)に進めるためです(民事訴訟法71条〜73条(民事訴訟法第71条))。

前提になり得る典型例
  • 判決主文で「訴訟費用は被告の負担とする」等と明示され、その判決が確定している場合。
  • 裁判上の和解で費用負担(全部または割合)が明確に定められた和解調書がある場合(「各自負担」の場合は対象外)。
  • 取下げ後などに、訴訟費用負担を定める決定が出て確定している場合。

逆に、控訴中などで未確定の場合は、費用負担が確定していないため、申立ては進めにくくなります。社内では、判決・調書の文言(例:「2 訴訟費用は被告の負担とする」)と、確定状況(上訴の有無、確定証明書の取得可否)をセットで点検してから着手するのが安全です。

訴訟費用の範囲を見極める

訴訟費用と弁護士費用を分ける

訴訟費用額確定処分で確定されるのは、訴訟費用(法令で定められた範囲)であり、当事者が弁護士と結んだ委任契約に基づく着手金・報酬金といった弁護士費用は、原則としてここに入りません。書記官は、民事訴訟法71条〜73条(民事訴訟法第71条)に基づき、訴訟手続の進行に必要だった費目を、提出資料と基準に照らして算定します。

一方、強制執行に進んだ後の執行費用は別の整理が必要です。参照実務では、強制執行の費用について「必要なものは債務者の負担となり、当該執行手続において債務名義を要しないで同時に取り立てることができる」とされています(民事執行法42条1項・2項(民事執行法第42条))。訴訟費用(確定処分で確定する範囲)と、執行費用(執行手続内で回収を図る範囲)を混同すると、社内の回収見込・採算計算が崩れます。

訴訟費用に含まれる主な費目

訴訟費用額確定処分で認められるのは、書記官が記録・領収書等で確認でき、かつ基準に適合する費目に限られます。実務では「何となく掛かった費用」ではなく、疎明(根拠資料)で裏づけられるものだけが積み上がります。

申立て前提で社内保管しておきたい典型資料(例)
  • 収入印紙の購入記録(訴状・控訴状等に貼付したものを含む)。
  • 予納郵券の納付記録と、事件終了後の使用実績が分かる資料。
  • 期日出頭のための交通費・宿泊費の精算資料。
  • 証人・鑑定人に関する日当旅費の支払・裁判所手続記録。
  • 送達証明書等、裁判所が交付した証明書類の交付手数料の領収・納付記録(例:送達証明申請に関して150円・168円の記載例)。

なお、執行段階に入ると、別枠で「資格証明書交付手数料2,400円」「不動産登記事項証明書交付手数料600円」等のように、対外機関で発生する実費が出やすくなります。どの局面の費用か(訴訟費用か、執行費用か)を区分して記録すると、後の回収実務が崩れにくくなります。

二審・上告審まで争った案件で、どの審級の費用をどこまで計上するかを切り分ける

上訴審まで行った事件では、最終的に確定した裁判の主文で示された費用負担に従い、どの審級分を相手方に負担させるかを確定処分の計算に落とし込みます。申立先は、原則として第一審裁判所の裁判所書記官です(民事訴訟法71条〜73条(民事訴訟法第71条))。

全審級集計で漏れやすい観点
  • 第一審・控訴審それぞれの収入印紙(提起時・控訴提起時)を区分して合算しているか。
  • 各審級の予納郵券の納付と使用実績を、事件番号ごとに追える形で整理できているか。
  • 書面作成費・出頭費等について、実支出ではなく基準計算が必要な項目を混ぜていないか。
  • 判決主文の文言(例:「2 訴訟費用は被告の負担とする」)が、どの審級までを含む指定かを読み違えていないか。
広告

訴訟費用額確定処分の申立て

民事訴訟法上の根拠と書記官の役割

訴訟費用額確定処分は、民事訴訟法71条〜73条(民事訴訟法第71条)に基づき、第一審裁判所の裁判所書記官が行う処分です。判決等で「費用負担(誰が負担するか)」が確定した後、具体的な費目の確認・算定(領収書、記録との照合)という事務処理色の強い部分を、書記官が担う設計になっています。

さらに、訴訟費用のほか、裁判上の和解の費用、非訟事件・家事事件の手続費用についても、負担額を定める書記官の処分が債務名義となり得る整理がされています(民事執行法22条4号の2、民事訴訟法71条〜73条(民事訴訟法第71条))。

書記官手続の実務的な進み方(典型)
  1. 申立人が費用計算書と疎明資料を提出します。
  2. 書記官が形式・内容を点検し、必要があれば補正を求めます。
  3. 相手方へ計算書写しが送られ、認否・反論や相手方の計算書提出の機会が与えられます。
  4. 双方資料と基準を突合し、認容額を算定して訴訟費用額確定決定が出ます。

申立ての時期と時効リスクを整理する

確定処分の申立て自体に一律の申立期間が明記される場面は多くありませんが、放置すると、社内での証憑散逸・担当交代による再構成不能という実務リスクが先に顕在化します。加えて、権利管理としては、確定判決等に基づく請求権の時効管理が重要です。

参照実務では、消滅時効の「起算点がいつか」が争点になり得ることが指摘されており、ケースによって整理が必要になります(特に不法行為・不当利得が絡む場面など)。そのため企業実務では、抽象的に「後でやる」ではなく、判決確定後できるだけ早期に、(1)費用証憑の確定、(2)申立書類の整備、(3)相手方資力の確認を並行して進め、回収方針(任意回収で止めるか、執行まで行くか)を決めるのが安全です。

申立書と訴訟費用額の計算書を整える

申立書・計算書は、書記官が「記録と照らして計算できる形」に落とし込むことがポイントです。特に企業内製の場合、計算の根拠資料が部署ごとに散らばりやすいため、提出前に突合・欠落確認を行う運用が不可欠です。

申立書に最低限そろえる記載(実務の骨格)
  • 当事者(会社名・所在地等)と、代理人を立てる場合は代理人表示。
  • 対象事件(第一審事件番号等)と、費用負担が定められた裁判・調書の特定。
  • 確定処分を求める趣旨(誰に、いくらの負担を求めるかは計算書で具体化)。
計算書・疎明の作り方で躓きやすい点
  • 送達証明申請等の交付手数料は、150円・168円のように単価が分かれることがあるため、申請内容と一致させて区分します。
  • 執行文付与に関しては「1通につき300円」などの記載例があるため、通数と申請対象(判決・和解調書等)を一致させます。
  • 資格証明書や登記事項証明書は、手数料が全国的に整理されており(例:登記事項証明書は原則600円、オンライン請求で送付は500円)、取得方法と金額の対応が説明できるようにします。

裁判所への提出実務を進める

予納郵券と必要書類の実費を見積もる

確定処分の申立てでは、社内で先に立替える実費が発生します。特に「収入印紙は一律1,000円」といった説明が流通しがちですが、参照実務では、印紙額の算定が裁判所運用で異なり得ることが明示されています(例:経済的利益を算出不能として訴額160万円扱いにし、1件当たり6,500円とする取扱い等)。そのため、申立先の裁判所で必要額を事前確認し、社内稟議・立替精算の根拠にできる形で残すことが重要です。

また、執行準備の局面では、個別申請の実費が積み上がります。参照実務の記載例では、送達証明申請に150円・168円、執行文付与に1通につき300円といった単価が示され、さらに「債務者1名の場合」の通知費用として84円の記載もあります。どれが確定処分の申立て段階で必要で、どれが執行段階で必要かを切り分け、案件ごとに見積枠を作ると失敗しにくくなります。

提出から相手方照会までの流れを追う

訴訟費用額確定処分は、原則として書面審査で進みます。提出後に起きることを手順として把握しておくと、社内の進捗管理(いつ相手方が動くか、いつ補正が来るか)を組み立てやすくなります。

提出後〜相手方照会〜決定までの実務フロー
  1. 書記官が申立書・計算書の形式と疎明資料の整合性を確認します。
  2. 相手方へ、計算書写し等を添えて催告が送達されます(回答機会の付与)。
  3. 相手方が期限内に回答しない場合、申立人側資料を主として認定が進みます。
  4. 反論・相手方計算書が出た場合、書記官が双方資料を突合して認容額を算定します。
  5. 訴訟費用額確定決定が発給され、送達・確定(不服申立てがなければ)へ進みます。

社内申立てか代理人申立てかを決める基準と、法務・経理・現場で先に集める資料

内製か外部委託かは、(1)計算の複雑さ、(2)疎明資料の集約難度、(3)相手方の反論可能性、(4)回収局面が執行まで及ぶか、で決めるのが実務的です。特に執行まで視野に入れると、証明書類の取得や執行申立ての実費・作業が増えます。

部署別に先に集めると滞留が減る資料
  • 法務:判決書正本・和解調書、事件番号、訴訟費用負担の文言(例:「2 訴訟費用は被告の負担とする」)、確定関係資料。
  • 経理:収入印紙の購入・使用記録、予納郵券納付記録、旅費交通費精算、証明書交付手数料(例:150円・168円、1通300円等)の支払記録。
  • 現場:期日出頭日、出張行程、証人対応等の実績メモ。

加えて、相手方が法人の場合、執行や送達の場面で資格証明書等が必要になり、参照実務では資格証明書交付手数料2,400円の記載例があります。どの段階で必要になるかを見越して、取得の要否・費用を早めに織り込むと、申立て後に止まりにくくなります。

広告

訴訟費用額確定処分後の強制執行

処分の効力と債務名義性を確認する

訴訟費用額確定処分(書記官の処分)は、確定すると債務名義となります(民事執行法22条4号の2)。この点は、訴訟費用だけでなく、裁判上の和解の費用、非訟事件・家事事件の手続費用についても同様に整理されています(民事訴訟法71条〜73条(民事訴訟法第71条)など)。

確定後は、任意の支払いがなければ、預金・売掛金等への差押えを検討します。ここで重要なのは、訴訟費用の債務名義(確定決定)と、強制執行で同時回収を図れる執行費用を混同しないことです。執行費用は「必要なものは債務者の負担」で、執行手続の中で債務名義なしに同時回収を図れる整理がされています(民事執行法42条1項・2項(民事執行法第42条))。

執行文と送達証明書を取得する

強制執行へ進むには、確定決定そのものに加え、執行文・送達関係の公的証明をそろえるのが通常です。参照実務には、執行準備としての単価例が整理されています。

執行準備で出やすい実費(参照実務の単価例)
  • 判決等の送達証明申請:150円・168円。
  • 執行文付与:1通につき300円。
  • 債務者への通知費用(債務者1名の場合の記載例):84円。

これらは、申立て対象(判決・和解調書等)、通数、債務者数で変動するため、社内では「何のために」「何通必要か」を事件ファイルに紐づけて管理します。特に、執行文は「今すぐ強制執行できる」ことを形式的に示すものなので、取得のタイミングが遅れると回収機会を逃し得ます。

差押えに進む判断と回収見込みを測る

差押えは、債務名義が整っても、差し押さえる財産がなければ実益がありません。回収局面での判断は、資産調査の精度で結果が大きく変わります。

判断に使う「現実の回収見込み」チェック
  • 預金差押えの当てがあるか(取引銀行名・支店等、特定に足りる情報があるか)。
  • 売掛金差押えの当てがあるか(第三債務者となる主要取引先が把握できているか)。
  • 不動産がある場合、登記事項で権利関係を確認できるか(登記事項証明書の手数料例:600円、オンライン送付は500円)。
  • 相手方が倒産状態・著しい債務超過の場合、執行しても空振りとなる可能性が高くないか。

資産が見えない場合に、別手続で情報収集を検討する余地はありますが、費用・工数を増やす判断になるため、確定処分の金額規模との見合いで意思決定します。

回収額より執行コストが上回るのはどんな会社か、申立てで止めるか執行まで進むかの採算基準

採算判断では、「執行の実費がどこまで積み上がるか」を、できるだけ具体的に試算します。参照実務には、執行関連費用の具体例が提示されています。

項目 金額例 実務上の意味
資格証明書交付手数料 2,400円 法人債務者の代表者事項確認等で必要になり得ます。
差押命令正本送達費用 9,597円 差押命令の送達に伴う費用として計上例があります。
申立書作成及び提出費用 1,000円 書面作成・提出に関する費用として例示されています。
不動産登記事項証明書交付手数料 600円 不動産を差押対象とする前提調査で用いられます。
合計例 11,017,597円 参照実務の計上例として、内訳合算が示されています。
執行コストが積み上がる典型例(参照実務の記載例)

上のように、個別費目は少額でも、事案によっては「合計」が大きく見える形で提示されることがあります(実際にどこまで必要かは案件ごとに精査が必要です)。また、差押命令申立てに関しては、申立手数料4,000円・申立書作成及び提出費用1,000円という整理例もあり、申立件数が増えると増加します。

したがって、社内ルールとしては、(1)確定見込額、(2)見込回収率, (3)差押対象の特定可能性、(4)執行実費(上記のような手数料・証明書費用)の合計、(5)社内工数を見積り、赤字が見込まれるなら「確定処分までで止めて任意回収を促す」選択肢を事前に用意しておくのが現実的です。

利用判断と不服対応を整理する

異議申立てと即時抗告の流れを知る

訴訟費用額確定決定に不服がある場合の手当てとして、まず異議申立てを行い、さらに裁判所の判断に不服があれば即時抗告で争う流れになります(民事訴訟法の訴訟費用額確定に関する規律:71条〜73条(民事訴訟法第71条))。実務では、費目の当否(訴訟費用に当たるか)や、疎明の有無(領収書・記録で裏づけられるか)が争点になりやすいです。

不服対応で社内が押さえるべき観点
  • 相手方からの反論が来たとき、費目ごとに根拠資料(領収書・記録)を再提示できるか。
  • 執行準備の手数料(例:150円・168円、1通300円)など、単価が分かれる項目を誤って一括計上していないか。
  • 相手方が複数の場合、費用・執行費用は連帯負担ではないため、相手方ごとに請求整理が必要という点を踏まえているか。

利用頻度が低い理由と企業の判断軸

企業が本手続を使い切らない最大の理由は、「回収できるのが主に実費で、弁護士費用が入らない」ため、社内工数に見合いにくい点です。ただし、相手方が法人で、差押え可能な資産が見えている場合には、費用確定→執行の流れが現実に機能します。

また、強制執行まで見据える場合、差押申立てに関する手数料4,000円・申立書作成及び提出費用1,000円といった費目や、登記事項証明書600円(オンライン送付500円)などが積み上がり得ます。これらの「執行側コスト」を織り込まずに開始すると、勝っても社内的には赤字になりやすいです。

企業の判断軸(実務用)
  • 相手方資力が把握でき、預金・売掛金など差押対象が具体的に特定できるか。
  • 回収対象が訴訟費用(実費中心)であることを前提に、それでも執行コストに見合うか。
  • コンプライアンス上、未払いを放置しない方針(再発防止・抑止)を優先する合理性があるか。

よくある質問

訴訟費用額確定処分の申立てには手数料や収入印紙は必要ですか?

必要になりますが、一律の金額で決め打ちしないのが安全です。参照実務では、裁判所運用により印紙額の算定方法が異なり得ることが示されており、例えば「経済的利益を算出不能として訴額160万円扱いにし、申立て1件当たり6,500円とする取扱い」があり得るとされています。

また、送達証明申請(150円・168円)や執行文付与(1通につき300円)など、後続手続で必要な実費も発生し得ます。申立先(第一審裁判所)の窓口運用を事前に確認し、社内では「申立て段階の実費」と「執行準備・執行段階の実費」を分けて予算化するのが実務的です。

訴訟費用額確定処分の期限を過ぎると回収できませんか?

申立てそのものに画一的な「申立期限」が明記される場面は多くありませんが、放置すると、証憑の散逸・担当交代による再構成困難が起き、結果として回収不能に近づきます。また、参照実務でも、消滅時効の起算点が争点になり得ることが指摘されており(不法行為・不当利得など)、案件類型によって整理が必要です。

実務対応としては、判決確定後に時間を空けず、(1)費用証憑の確定、(2)計算書作成、(3)相手方資産の当たりを付ける、を進め、必要なら確定処分・執行まで一気に移れる状態にしておくのが安全です。

訴訟費用額確定処分で弁護士費用も請求できますか?

通常の弁護士費用(委任契約に基づく着手金・報酬金等)を、訴訟費用額確定処分で「訴訟費用」として確定させることは原則できません。確定処分は民事訴訟法71条〜73条(民事訴訟法第71条)に基づき、法令上の訴訟費用を対象に書記官が算定する仕組みだからです。

一方、強制執行に進んだ場合の執行費用は別枠で、必要なものは債務者負担とされ、執行手続の中で同時回収を図れる整理がされています(民事執行法42条1項・2項(民事執行法第42条))。この「訴訟費用」と「執行費用」を混同せず、社内の回収スキームを設計することが重要です。

地方裁判所と簡易裁判所で手続に違いはありますか?

基本構造は共通で、第一審裁判所の裁判所書記官が、民事訴訟法71条〜73条(民事訴訟法第71条)に基づいて費用額を算定し、確定すれば民事執行法22条4号の2の債務名義となる点は同じです。

ただし実務上は、裁判所運用により印紙額の算定方法が異なり得る(例:訴額160万円扱いで申立て1件当たり6,500円とする取扱いがあり得る)ため、地方裁判所・簡易裁判所の別というより、申立先の裁判所の運用確認が重要になります。

訴訟費用額確定処分への対応で次にすべきこと

訴訟費用額確定処分は、費用負担の結論が確定していても金額が書かれていない局面で、第一審裁判所の裁判所書記官に申立てて金額を確定し、確定後は民事執行法22条4号の2の債務名義として回収判断につなげる手続です。実務の判断軸は、(1)訴訟費用として積み上げられる費目と疎明資料が揃うか、(2)送達証明申請150円・168円や執行文付与1通300円など後続の実費も含めて採算が合うか、(3)差押対象となる資産の当てがあるか、に置くと整理しやすいです。社内で着手するなら、判決・和解調書等の確定関係資料、印紙・郵券・旅費等の証憑、証明書取得の支払記録を部署横断で束ね、提出前の突合と欠落確認を優先します。不服対応(異議申立て・即時抗告)も想定し、費目ごとに根拠資料を再提示できる状態にしておくと、決定後の手戻りが減ります。個別案件の時効や執行可能性、費用区分(訴訟費用と執行費用)の当てはめは争点になり得るため、迷う場合は弁護士等の専門家に相談して整理するのが安全です。



Baseconnect株式会社
サイト運営会社

本メディアは、「企業が経営リスクを正しく知り、素早く動けるように」という想いから、Baseconnect株式会社が運営しています。

当社は、日本最大級の法人データベース「Musubu」において国内1200万件超の企業情報を掲げ、企業の変化の兆しを捉える情報基盤を整備しています。

加えて、与信管理・コンプライアンスチェック・法人確認を支援する「Riskdog」では、年間20億件のリスク情報をAI処理、日々4000以上のニュース媒体を自動取得、1.8億件のデータベース等を活用し、取引先の倒産・不正等の兆候の早期把握を支援しています。

記事URLをコピーしました