債権届出書記載例|項目別の書き方と期限・添付書類を確認
債権届出書(破産債権届出書)が裁判所や破産管財人から届いたものの、どこに何を書けばよいか判断に迷い、社内の売掛金・貸付金・立替金を漏れなく集約したい局面は少なくありません。特に、認否や異議が出た場合には「一般調査期間の末日または調査期日から1か月以内」といった期限対応も絡むため、記載の誤りや資料不足を放置すると、配当の機会や後工程での主張立証に不利が生じ得ます。書式上の各欄に何をどの粒度で記載し、どの資料で裏づけるかを押さえることで、自社の債権内容を実務的に通る形で整理できるようになります。以下では、債権届出書を作成する際の判断材料として記載例と注意点を示します。
債権届出書の役割
債権届出書とは何か
破産債権届出書(裁判所から送付される「債権調査票」等の書式を含みます)は、破産者(例:債務者氏名として「○○商事株式会社」と記載された法人等)に対して有する債権について、どの種類の債権を、いくら、どんな原因で有しているかを、破産手続の中で正式に申し出るための書面です。裁判所は、破産申立書に添付される「債権者一覧表」等を基に手続を進めますが、一覧表の記載は申立時点の情報であり、漏れや金額誤りが起こり得るため、債権者側からの届出で内容を確定していきます。
実務上、届出書(債権調査票)には、債権の有無に加え、債権の種類として「貸付金・立替金・売掛金・保証その他」などの選択肢が印字されていることが多く、まずどれに該当するかを明確にします。そのうえで、契約書、請求書、納品書、入金履歴などの根拠資料を添付し、破産管財人が破産者の帳簿等と突合できる形で示します。
この届出が破産管財人の調査・認否を経て「破産債権」として整理され、配当がある場合には配当手続の前提になります。したがって、債権届出書は、破産手続に参加し、自社債権の位置づけ(配当対象となるか等)を確定させるための中核書面です。
届出しない場合の不利益
債権届出をしない場合、少なくともその届出を前提とする手続上の取り扱い(認否・調査・配当の対象)から外れ、結果として配当を受ける機会を失うリスクが高まります。破産手続は、破産者の財産を換価して配当することを目的として進行するため、届出がない債権は破産管財人の調査対象になりにくく、債権者側の関与も限定されます。
また、債権者集会や債権調査(書面・期日)等の場面で、届出済み債権の範囲を前提に議論や整理が進むため、未届出のままだと、重要な連絡・確認の対象から外れたり、他の債権者の届出内容(例:種類や金額、相殺主張等)について検討・対応する実務上の機会を失い得ます。
特に、裁判所提出用の書式では「債務者に対する債権 有/無(完済年月日を記入)」のように有無の確認自体が求められることがあり、届出しないことは「有」を主張する前提を放棄したのと同様の不利益につながります。回収可能性が少しでもある以上、裁判所が定めた届出期間内に、まずは最低限の根拠資料を添えて期限内提出する運用が安全です。
破産債権届出書の提出前確認
届出から認否までの流れ
破産債権の届出から認否・確定までの流れは、破産手続開始決定後、裁判所が定めたスケジュールに沿って進みます。破産申立書には「債務の状況(別紙債権者一覧表記載のとおり)」として、例えば「一般破産債権総額 ○億○○○○万○○○○円(債権者○○人)」のように総額・人数が記載されることがありますが、これはあくまで申立時点の整理です。ここから、各債権者の届出により、個別債権の存否・金額・性質が精査されます。
- 裁判所から債権届出(債権調査票等)の案内が届いたら事件番号・債務者名(例:○○商事株式会社)を確認します。
- 債権者側で債権の種類(売掛金・貸付金・立替金・保証その他等)と金額・原因を整理し、根拠資料の写しを用意して期限内に提出します。
- 破産管財人が、提出資料と破産者側の帳簿・契約書類等を突合し、債権の存否・金額について認否(認める/争う等)を整理します。
- 裁判所における債権調査(書面・期日)で、管財人の認否や他債権者の異議の有無を踏まえて、届出債権が確定していきます。
実務上は、管財人が「照合しやすい資料構成」になっているかが認否に影響します。届出書の記載と資料の金額・日付・相手方名が一致しているかを、提出前に必ず突合してください。
通知が届かない・債権者一覧に載っていないときに最初に確認する相手と資料
通知が届かない、または破産者側の債権者一覧に自社が載っていない疑いがある場合は、まず管轄の裁判所で事件の基本情報(破産者名・事件番号)を確認し、次に破産管財人(管財人事務所)の連絡先を把握するのが実務の起点です。破産申立書の当事者目録には、破産管財人として弁護士名・住所地、連絡先(電話・FAX)等が記載されている体裁が一般的で、裁判所照会により管財人を特定できます。
- 基本契約書(売買基本契約・業務委託契約・金銭消費貸借契約など)
- 取引の発生を示す請求書・納品書・検収書(受領書)
- 未回収残高が分かる売掛台帳・元帳の該当ページ
- 入出金の事実が分かる通帳コピーや振込控
- 相手方名義の揺れ(屋号・旧商号・旧姓等)が分かる資料(注文書・名刺・登記情報の写し等)
書式上「債務者氏名 ○○商事株式会社(屋号又は旧姓)」のように括弧書きがあることもあり、相手方の名義が取引当時と異なるときは、同一性が伝わる資料を添えると管財人の照会負担が下がります。期限が迫る場合でも、まずは手元資料で届出し、追加資料は管財人の指示に従って追完する運用が現実的です。
社内で複数部署の売掛金や貸付金を集約するときの届出漏れの起きやすいパターン
社内で複数部署が同一の破産者と取引している場合、届出の集約段階で漏れが起きやすいです。特に、裁判所書式の債権調査票では債権の種類が「売掛金・貸付金・立替金・保証その他」といった類型で整理されるため、部署ごとに管理している債権が別類型として埋もれます。
- 営業部門の売掛金は把握しているが、管理部門の立替金(交通費・外注費等)を拾えていない。
- 取引先に対する一時的な貸付金が、経理ではなく現場・役員サイドで管理されており、一覧に上がらない。
- 請求書未発行の売上(検収待ち、締日前の出来高など)を「債権ではない」と誤認して除外する。
- 取引先の名義が「屋号・旧商号」で社内システムに残っており、「債務者氏名」と一致せず検索に引っかからない。
- 保証取引があるのに「保証その他」の分類での届出検討がされていない。
実務対応としては、部門横断で「相手先コード」「入出金口座」「取引先名の揺れ(屋号・旧商号)」の3点で洗い替えを行い、債権の種類ごとに証拠資料の所在も含めて棚卸しすると、漏れを減らせます。
債権届出書の基本記載例
事件番号と債権者欄の書き方
事件番号・債権者欄は、どの破産事件の、誰の届出かを特定するための最重要部分です。特に、裁判所提出用の書式には「債権者番号」が付されていることがあり、管財人・裁判所側はこの番号で管理する運用が多いです。
- 事件番号は、裁判所から届いた書面に印字されている表記(年度・符号・番号)をそのまま転記します。
- 債務者氏名(商号)は、書式例のように「○○商事株式会社」等、裁判所書面と同一表記で記入します。
- 書式に「屋号又は旧姓」欄がある場合、取引時の名義と現在の名義が異なるときに補足として活用します。
- 債権者欄(法人)は、当事者目録の体裁に合わせて「株式会社△△△/代表者 代表取締役/所在地(送達場所を含む)」のように、登記事項と整合する形で記載します。
- 代理人弁護士がいる場合は、当事者目録の例のように「債権者代理人弁護士」「電話・FAX」「事務所所在地」を届出書の指定欄に記載します。
押印の種類は書式指定・裁判所運用に従いますが、少なくとも「誰が提出責任を負うのか」が明確になるよう、法人の場合は代表者の肩書・氏名を省略せずに記載するのが安全です。
債権額合計の出し方
債権額合計は、元本だけでなく、利息・遅延損害金等がある場合に内訳を分けて整理すると、管財人の照合が進みやすくなります。参照書式には「債権残高(回答日現在)」として、1 残元金/2 利息/3 遅延損害金/4 合計の区分が示されている例があり、届出側もこの粒度で整えるのが実務向きです。
| 区分 | 届出で書く内容 | 根拠資料の例 |
|---|---|---|
| 残元金 | 未払の本体金額(売掛金の未入金、貸付元本の残額等) | 請求書、売掛台帳、返済予定表、残高証明等 |
| 利息 | 約定利息がある場合の既発生分 | 契約書、利息計算表 |
| 遅延損害金 | 遅延損害金がある場合の既発生分 | 契約条項、遅延損害金計算表 |
| 合計 | 上記の合算額 | 上記資料の突合結果 |
また、外貨建て債権がある場合、書式例には「○米ドル…年3%の割合による損害金…為替相場をもって円貨に換算した額」といった形で、利率(年3%)・対象期間・換算方法まで書き分ける例があります。外貨建てのときは、どの為替相場・どの時点で円換算したかを、届出書の原因欄や備考欄で説明できるよう資料(レート根拠)もセットで整理してください。
法人名義で届け出るときの代表者・支店長・代理人の線引き
法人名義で届出をする場合、誰が「届出者」として手続行為をするかを明確にします。裁判所書面の当事者目録の記載例でも、債権者は「株式会社○○/代表者 代表取締役」と整理され、代理人が付く場合は「債権者代理人弁護士」として別枠で表示されます。
- 原則は法人の代表者(例:代表取締役)名義で届出し、会社としての意思表示であることを明確にします。
- 支店長・営業所長が実務を担う場合でも、届出書の名義は代表者とし、社内の決裁・委任関係(社内稟議等)を整合させます。
- 弁護士に依頼する場合は、当事者目録の例のように「債権者代理人弁護士」として連絡先(電話・FAX・所在地)を明記し、委任状など指定書類を添付します。
相手方(破産者)側も、申立書面で「申立代理人弁護士(担当)印」「送達場所(事務所)TEL・FAX」といった形で代理人情報を明示します。こちら側の届出も同様に、管財人が照会・連絡できる情報(担当窓口、送達先)を届出書の指定欄に合わせて記載すると、後工程(認否照会、追加資料依頼)が滞りにくくなります。
債権内容の記載例
売掛金と貸付金の記載例
売掛金・貸付金は、どちらも金銭債権ですが、発生原因・資料の出し方が異なるため、届出書では「債権の種類」の選択(売掛金/貸付金)と、原因欄での特定が重要です。
- 売掛金:令和○年○月分 商品売買代金(請求書No.○○、納品日令和○年○月○日、未払分)
- 貸付金:令和○年○月○日付 金銭消費貸借契約に基づく貸付(弁済期令和○年○月○日、残元金○円)
金額欄は、参照書式の区分(残元金/利息/遅延損害金/合計)に合わせて記載すると、管財人の認否作業が進みやすいです。利息・遅延損害金がある場合は、契約条項(利率、起算日)と計算表を添付し、届出書の備考欄等で「何日から何日まで」「年何%」のように計算根拠が追える形にします。
手形金とその他債権の記載例
手形金などは、破産者の帳簿との照合だけでなく、手形そのものの特定が不可欠です。提出資料としては、手形の写し(表面だけでなく裏書のある裏面も)をそろえ、届出書側では手形を一意に識別できる情報を並べます。
- 手形金:手形金額○円、振出日令和○年○月○日、支払期日令和○年○月○日、振出人(破産者)△△株式会社
- 立替金:令和○年○月○日立替(立替内容:○○費、精算合意日令和○年○月○日)
- 請負代金:工事請負契約(契約日令和○年○月○日)、出来高・完了日(検収日)を特定し未払分○円
- 保証その他:保証契約の相手方・保証対象債務・発生日(代位弁済日等)を特定し、保証に基づく求償権として整理
参照書式でも「貸付金、立替金、売掛金、保証その他」のように債権類型を並列で選ばせる設計になっているため、その他債権も「その他」で一括せず、可能な限り具体的な類型(立替金、保証、敷金返還請求等)として原因欄で説明してください。
相殺できる債権がある場合に届出書へどう反映するかの判断基準
相殺を検討する場合、届出書の記載は「債権の有無・金額」だけでなく、相殺の意思表示や、相殺後の残額の示し方が論点になります。相殺の可否は事案によりますが、届出実務としては、相殺関係を「管財人が確認できる資料」に落とし込むことが重要です。
- 自社が破産者に対して有する債権(売掛金等)と、自社が破産者に対して負う債務(買掛金等)を、相手方・原因・金額で対当整理します。
- 届出書の「相殺の有無」欄等がある場合は、相殺予定(または相殺済み)である旨を明示し、相殺の対象額と相殺後残額を分かる形で記載します。
- 相殺の意思表示を行った場合は、その通知書(写し)と、到達関係が分かる送付記録を資料として保管し、提出を求められたときに出せるようにします。
参照書式上も、届出は「債務者に対する債権 有/無」を起点に記載を進める構造になっています。相殺で結果的に残額がゼロになる場合でも、「有(相殺により残額0円)」のように経緯が分かる形で整理しておくと、後日の照会や誤解(未届出扱い等)を避けやすくなります。
別除権など個別欄の書き方
原因欄と利息の記載方法
原因欄は、破産管財人が破産者側の帳簿・契約書類と突合するための「検索キー」になります。参照資料にも、利息・遅延損害金を分けて「残元金/利息/遅延損害金/合計」と整理する例があり、原因欄と金額欄を整合させることが重要です。
- 原因欄は、契約の種類と日付を入れて特定します(例:令和○年○月○日付 金銭消費貸借契約/令和○年○月分 商品売買代金)。
- 利息・遅延損害金は、区分(利息/遅延損害金)ごとに金額を分け、計算根拠(利率・起算日・対象期間)を備考欄等で追記します。
- 外貨建ての場合は、参照例のように「年3%の割合」「対象期間」「円貨換算した額」という説明を付し、換算根拠資料を用意します。
原因欄が抽象的だと、管財人側で「どの取引のことか」が確定できず、認否で争点化しやすくなります。社内の請求書番号・契約番号・注文番号など、相手方にも紐づく識別子がある場合は積極的に入れてください。
別除権と予定不足額の考え方
別除権(抵当権・質権等の担保権)を有する場合は、担保権の実行で回収できる部分と、回収できない見込み部分(不足額)を切り分けて考えます。民事再生の文脈では「担保不足見込額が基準債権の額」と整理され、債務者と別除権者で担保価値の把握に違いがあるときは申立前に協議することが望ましいとされています。破産の届出でも、予定不足額の見積りは同様に実務上の重要論点になります。
- 別除権欄には、担保権の種類と担保目的物を特定します(登記の有無・対象物件等)。
- 不足額は「担保不足見込額」として見積り根拠(評価資料、残債、優先順位など)を整理し、届出書の金額と資料の整合を取ります。
- 担保価値の把握に見解差がある場合、債権者一覧表に記載された不足額と届出書の不足額が乖離し得るため、乖離の理由(評価時点、評価手法等)を説明できるようにします。
再生手続では、別除権協定により不足額が確定している場合、その不足額は再生債権として扱われ、別除権付債権一覧表には記載しない整理が示されています。別除権協定の有無や内容は、破産・再生いずれでも債権分類や記載の前提に影響し得るため、届出書作成時点で「協定の有無」「不足額の確定有無」を社内・代理人で共有しておくと安全です。
裁判係属と債務名義の記載
破産手続開始前から訴訟等が係属している場合や、債務名義(判決・支払督促等)を得ている場合は、届出書で明示しておくと、債権調査での立証・手続選択に影響します。参照資料にも「債務名義が判決である場合の請求債権目録」「債務名義が支払督促である場合の請求債権目録」といった類型が示されており、債務名義の種類に応じて整理する観点が重要です。
- 係属事件:裁判所名、事件番号、事件名、現在の進行状況(期日未了、和解協議中等)
- 債務名義:判決、支払督促、和解調書等の種類と、日付・事件番号
- 添付資料:判決書・支払督促正本等の写し、請求債権目録(作成している場合)
なお、破産申立書の参考事項欄の記載例では「代表者の破産申立てをしたか(有・無)」「係属裁判所と事件番号」等が整理されます。相手方の代表者・関連会社との訴訟が絡む場合は、どの相手方に対するどの債権かが混線しやすいため、届出書上の債務者特定(商号・住所)と合わせて、事件情報を正確に記載してください。
証拠書類と提出後の対応
証拠書類の揃え方
証拠書類は、管財人が破産者の帳簿等と突合して認否判断をするための基礎になります。書式上、債権の種類が「売掛金・貸付金・立替金・保証その他」と分かれていることが多いので、資料もその類型ごとに束ね、届出書の記載と対応関係が一目で分かるように整えます。
- 売掛金:基本契約書、請求書、納品書、検収書(受領書)、売掛台帳(該当箇所)
- 貸付金:金銭消費貸借契約書(借用書)、送金履歴(通帳コピー等)、返済予定表、残高の推移が分かる資料
- 立替金:立替の根拠(領収書・精算書)、立替の承認が分かるメール等、相手方負担であることが分かる合意資料
- 保証その他:保証契約書、主債務の資料、代位弁済の証憑、求償の計算資料
手形金の場合は、手形そのものが中核資料です。表面情報(振出日・支払期日・金額)に加え、裏書の連続性が争点になることがあるため、裏面(裏書欄)まで含めて写しを準備し、届出書に記載した特定情報と一致する形で提出してください。
証拠不足時の対応と誤記防止
資料が不足していても、届出自体はまず行い、後から補充する運用が実務上あり得ます。重要なのは「何が不足しているか」を明示し、管財人が破産者側資料で照合できる情報(取引日、請求書番号、入金口座等)を届出書側でできるだけ埋めることです。
- 通帳の振込履歴・入金明細(資金移動の事実)
- メール・発注書・納品指示書(取引合意・履行の痕跡)
- 社内台帳(売掛台帳、元帳、精算書)の該当箇所
- 相手方名義の同一性資料(屋号・旧商号が分かる書面)
誤記防止の観点では、参照書式にある「残元金/利息/遅延損害金/合計」の区分に沿って、社内数値と届出書数値を突合し、どの資料のどの数字を転記したかが追跡できる状態にします。特に、相手方の商号表記(旧商号・屋号)や支店取引の名義揺れは誤記を誘発するため、届出書上は裁判所書面の「債務者氏名」表記に合わせ、必要に応じて括弧書き欄で補足します。
認否と異議申立ての進み方
認否と異議申立ては、届出債権が争われたときに、配当の前提となる債権額を確定させるための手続です。期限管理が最重要で、参照のとおり、否認や異議がある場合には、債権者は一般調査期間の末日または調査期日から1か月以内に「破産債権査定の申立て」を行う運用が示されています。さらに、査定決定に不服がある場合、査定決定書の送達を受けた日から1か月以内に「破産債権査定異議の訴え」へ移行します。
- 管財人の認否書等で、自社債権が「否認」または一部否認になっていないかを確認します。
- 否認や他債権者の異議がある場合、一般調査期間末日または調査期日から1か月以内に、裁判所へ破産債権査定の申立てを検討・実行します。
- 裁判所の査定決定に不服がある場合、査定決定書の送達から1か月以内に、破産債権査定異議の訴えを提起するか判断します。
この局面では、最初に提出した届出書と添付資料の整合性が、そのまま主張立証の基礎になります。否認理由(資料不足、原因不特定、金額計算不一致等)に応じて、追加資料の提出・説明書面の作成を行い、期限内に手当てすることが実務上の要諦です。
よくある質問
破産債権届出書と民事再生の債権届出書の違いはありますか?
民事再生は、債務者の事業を維持しつつ再建を図る「再建型」の手続で、原則として債務者が財産の管理処分権を持ったまま手続を進める点が破産と異なります。参照資料でも、破産は開始決定後に財産の管理処分権が破産管財人に帰属して管財人が手続を遂行するのに対し、民事再生は原則として債務者が管理処分権を維持すると整理されています(民事再生法第38条)。
また、民事再生では、債権者一覧表(再生債権の一覧)を基礎に、再生計画の弁済計画表へ反映していくため、別除権付債権については「担保不足見込額」を基準に整理し、別除権協定の締結により不足額が確定している場合の記載関係(別除権付債権一覧表には載せない等)が問題になります。破産の債権届出でも担保不足の整理は重要ですが、民事再生では「計画に載せて将来弁済する」設計のため、届出と計画反映がより密接です。
債権届出書が届かない場合はどうすればよいですか?
まず、管轄の裁判所へ照会し、破産者名・事件番号を確認したうえで、破産管財人(管財人事務所)の連絡先を把握してください。申立書面の当事者目録には、破産管財人(弁護士)の住所地・電話・FAX等が記載される体裁が一般的で、裁判所照会で特定できます。
次に、管財人へ連絡する際は、債権の種類が「売掛金・貸付金・立替金・保証その他」のどれに当たるか、未回収残高(残元金)と発生原因(契約日・取引月・請求書番号等)を整理し、請求書・納品書・通帳履歴など客観資料を準備して説明すると、届出手続の案内につながりやすいです。
提出は郵送と持参のどちらでもよいですか?
提出方法(郵送・持参)は、事件を担当する裁判所・管財人の案内に従って選択します。重要なのは、裁判所が定める届出期間内に、届出書が受理される状態にすることです。
参照資料の書式例では、申立書面に「○○地方裁判所支部 御中」や送達場所(事務所)・TEL/FAXが記載されるなど、書面の送達・提出先が明確に管理されています。届出書でも、宛先(裁判所提出用か、管財人提出用か)や部数・送付先が事件ごとに指定されるため、案内文・同封資料に従い、控え・発送記録(追跡番号等)を社内保管する運用が安全です。
交付要求書との違いは何ですか?
交付要求は、強制執行等の場面で配当手続に参加するために行われることがあり、破産債権届出書とは制度趣旨・提出主体が異なります。破産事件の文脈で企業が対応すべき中心書面は、裁判所からの案内に基づく「債権届出書(債権調査票)」で、ここに売掛金・貸付金・立替金・保証その他といった私法上の債権を、原因と金額内訳(残元金/利息/遅延損害金/合計)で記載し、根拠資料を添付します。
一方で、公租公課等は一般の商取引債権とは別の整理になることがあり、破産申立書の例でも「一般破産債権総額」と「優先的破産債権及び財団債権総額」を区分して記載する体裁が示されています。自社が民間債権者として提出するのは通常、破産債権届出書であり、交付要求書で代替するものではありません。
債権届出書への対応で次にすべきこと
債権届出書(破産債権届出書)は、債権の種類(売掛金・貸付金・立替金・保証その他)と、原因・金額内訳(残元金/利息/遅延損害金/合計)を、根拠資料と突合できる形で示すことが中核になります。判断の軸は、①事件・当事者の特定(事件番号、債務者名・名義揺れ、債権者の名義と送達先)と、②原因欄の特定精度(契約日・請求書番号等)、③金額の整合(計算根拠の追跡可能性)、④別除権や相殺などの論点の有無です。提出後に否認や異議が出た場合は、一般調査期間の末日または調査期日から1か月以内の査定申立て、さらに査定決定後の対応期限にも関わるため、最初の届出時点で資料構成と記載の一致を意識しておくと後工程が安定します。通知未到達や一覧漏れが疑われるときは管轄の裁判所と破産管財人の連絡先を起点に確認し、社内では部門横断で債権の棚卸しと証拠の所在整理を進めてください。個別事情によって最適な記載や主張の組み立ては変わり得るため、争点化しそうな場合は弁護士等の専門家に相談しながら進める運用が安全です。

