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セーフティネット保証4号・5号の違いとは?対象要件や手続きの流れを解説

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円安や原材料高、取引先の倒産など、厳しい経営環境のなかで資金繰りに悩む中小企業経営者の方は少なくありません。そのような状況で頼りになるのが、公的な融資制度であるセーフティネット保証です。特に、利用者の多い4号と5号は似ているようで、対象者や要件、保証内容が大きく異なります。この記事では、セーフティネット保証4号と5号の具体的な違いを比較し、自社がどちらの対象となるかを見極めるためのポイントを分かりやすく解説します。

目次

セーフティネット保証制度とは?その目的と仕組み

経営の安定を目的とした公的な信用保証制度

セーフティネット保証制度は、中小企業信用保険法に基づき、経営に支障が生じている中小企業者の資金調達を円滑にするための公的な支援策です。個々の企業の努力だけでは対応が難しい事態に直面した際に、信用保証協会が通常の保証枠とは別枠で保証を行い、金融機関からの融資を受けやすくします。

制度が対象とする経営安定の支障事由の例
  • 取引先の倒産や事業活動の制限
  • 突発的な自然災害
  • 金融機関の経営合理化に伴う金融取引の調整
  • 全国的な不況による業況の悪化

この別枠保証は、倒産防止や事業継続を目的とした経営安定関連保証として機能します。公的機関が保証を補完するため、民間金融機関から単独での借入が困難な状況でも、資金調達の道を開くことができます。

信用保証協会が融資を保証する仕組み

この制度は、中小企業者・金融機関・信用保証協会の三者が連携して成り立っています。事業者が金融機関に融資を申し込む際、信用保証協会が公的な保証人となることで金融機関の貸倒れリスクを軽減します。

万が一、事業者が借入金を返済できなくなった場合、信用保証協会が事業者に代わって金融機関へ返済を行う「代位弁済」が実行されます。その後、事業者は信用保証協会に対して返済義務を負うことになります。利用する事業者は所定の保証料を支払う必要がありますが、これにより担保や第三者の保証人に過度に依存しない資金調達が可能となります。現在、多くの保証では金融機関と保証協会がリスクを分担する「責任共有制度」が導入されています。

【比較】セーフティネット保証4号と5号の主な違い

根拠となる状況の違い(突発的災害か、全国的な業況悪化か)

セーフティネット保証4号と5号の最も大きな違いは、制度が発動する根拠となる状況です。4号は特定の地域が突発的な災害に見舞われた場合に適用され、5号は全国的な経済状況の悪化により特定の業種が不振に陥った場合に適用されます。

セーフティネット保証4号 セーフティネット保証5号
根拠事由 突発的な自然災害など 全国的な業況の悪化
対象範囲 国が指定する地域の中小企業者 国が指定する業種に属する中小企業者
特徴 地理的・局所的な要因に基づく 産業・経済全体の動向に基づく
4号と5号の根拠となる状況の違い

このように、4号は「地域」に、5号は「業種」に着目した制度であるという根本的な違いがあります。

対象となる中小企業者の範囲

両制度とも、対象となるのは「中小企業者」として定められた法人および個人事業主です。中小企業者とは、資本金の額または常時使用する従業員数のいずれかが、業種ごとに定められた基準を満たす者を指します。

主たる業種 資本金の額 または 常時使用する従業員数
製造業、建設業、運輸業など 3億円以下 または 300人以下
卸売業 1億円以下 または 100人以下
サービス業 5,000万円以下 または 100人以下
小売業 5,000万円以下 または 50人以下
中小企業者の定義(主な業種)

この基本条件に加え、4号では「国が指定する地域に事業所を有し、1年以上事業を継続していること」、5号では「国が指定する業種に属し、売上高の減少等の要件を満たしていること」がそれぞれ求められます。

認定要件となる売上高等の減少率

認定を受けるための数値基準にも明確な違いがあります。4号はより急激かつ大幅な売上減少を、5号は比較的緩やかな売上減少を対象としています。

セーフティネット保証4号 セーフティネット保証5号
基本要件 最近1か月の売上高等が前年同月比で20%以上減少 最近3か月の売上高等が前年同期比で5%以上減少
将来見込み 加えて、その後2か月を含む3か月間の売上高等が20%以上減少見込みであること (特になし)
その他 (特になし) 原油価格高騰や利益率悪化を理由とする認定ルートもある
4号と5号の主な認定要件(売上高減少率)

保証内容(保証割合)の違い

保証内容、特に信用保証協会が負う責任の割合(保証割合)が異なります。4号は緊急性が高いため、手厚い保証内容となっています。

セーフティネット保証4号 セーフティネット保証5号
保証割合 100%保証(全額保証) 原則80%保証
責任共有制度 対象外 対象(金融機関が20%のリスクを負担)
保証限度額 一般保証とは別枠(最大2億8,000万円) 4号と共通の別枠(最大2億8,000万円)
4号と5号の保証内容の違い

保証限度額は、4号と5号で共通の別枠として設定されている点に注意が必要です。

自社がどちらの対象かを見極める実務上のポイント

自社がどちらの制度を利用できるか判断するには、順を追って確認することが重要です。まずは最新の指定状況を中小企業庁のウェブサイト等で確認することから始めましょう。

自社が対象となる制度の見極め手順
  1. 自社の所在地が、4号の指定地域に含まれているかを確認します。
  2. 売上高の減少率が20%以上あるかを確認し、4号の要件を満たすか検討します。
  3. 4号に該当しない場合、自社の主たる業種が5号の指定業種リストに含まれるかを確認します。
  4. 売上高の減少率が5%以上あるなど、5号の認定要件を満たすかを確認します。

4号は100%保証であるため金融機関の審査が比較的通りやすい傾向にありますが、5号は金融機関もリスクを負うため、より丁寧な事業計画の説明が求められることがあります。

セーフティネット保証4号(突発的災害)の対象と認定要件

4号の対象となる中小企業者

セーフティネット保証4号は、国が指定する突発的災害等により経営の安定に支障が生じている中小企業者を対象とします。具体的な要件は以下の通りです。

4号の対象となる中小企業者の主な要件
  • 国が指定した地域内に、事業実態のある事業所を有していること。
  • 指定地域において、原則として1年以上継続して事業を行っていること。

ただし、創業して間もない事業者(業歴3か月以上1年1か月未満など)については、前年実績との比較が困難なため、認定基準の緩和措置が設けられています。

4号の認定要件と売上高等の比較方法

4号の認定を受けるには、災害等の影響による売上高の減少を客観的な数値で示す必要があります。

4号の認定要件(数値基準)
  • 災害発生後などの最近1か月の売上高等が、前年同月比で20%以上減少していること。
  • 上記1か月に加え、その後2か月間を含む合計3か月間の売上高等が、前年同期比で20%以上減少することが見込まれること。

創業者向けの緩和措置では、最近1か月の売上高を直近3か月の平均売上高等と比較する方法などが用いられます。申請時には、売上台帳や試算表などの客観的な資料が必要です。

国が指定する地域に事業所があることが条件

4号の適用を受ける大前提は、国(経済産業大臣)が指定する地域に事業所があることです。指定地域や期間は、災害の状況に応じて随時公表・更新されます。

申請者は、登記上の本店所在地や確定申告書に記載された事業所所在地が、指定地域に含まれているかを確認する必要があります。認定申請は、事業所の所在地を管轄する市区町村の商工担当窓口に対して行います。

セーフティネット保証5号(業況悪化業種)の対象と認定要件

5号の対象となる中小企業者

セーフティネット保証5号は、全国的に業況が悪化している特定の業種に属し、経営の安定に支障が生じている中小企業者を対象とします。対象となるには、まず自社の事業が経済産業大臣の指定する業種に含まれていることが必須です。

対象者は、指定業種のみを営む事業者のほか、複数の事業を営む兼業者も含まれます。兼業者の場合は、主たる事業が指定業種であるか、あるいは指定業種の不振が企業全体に大きな影響を与えているかなど、いくつかの認定パターンがあります。4号と同様に、創業者向けの認定基準緩和措置も設けられています。

5号の認定要件と売上高等の比較方法

5号の認定要件には、事業者の状況に応じて選択できる複数のルートが用意されています。

5号の主な認定要件(3つのルート)
  • (イ) 売上高等の減少:最近3か月間の売上高等が、前年同期比で5%以上減少している。
  • (ロ) 原油価格の上昇:原油等の仕入価格は高騰しているが、製品価格への転嫁が困難で利益が減少している。
  • (ハ) 利益率の悪化:為替変動や人件費高騰などを要因として、最近3か月間の売上高営業利益率が前年同期比で20%以上減少している。

いずれのルートで申請する場合も、税理士が確認した試算表など、信頼性の高い資料に基づいた数値の証明が求められます。

国が指定する業種に属しているか確認する方法

自社が指定業種に該当するかは、正確に確認する必要があります。まずは、自社の事業内容がどの産業分類に属するかを特定することから始めます。

指定業種の確認手順
  1. 自社の事業内容に基づき、日本標準産業分類の4桁の細分類番号を特定します。
  2. 中小企業庁のウェブサイトで公表されている、最新の「セーフティネット保証5号の対象業種」リストを確認します。
  3. 自社の細分類番号がリストに含まれているかを照合します。
  4. 業種名に付随する注釈や除外条件なども含めて、詳細に確認します。
  5. 不明な点があれば、申請予定の市区町村や信用保証協会に事前に相談します。

指定業種は定期的に見直されるため、必ず最新の情報を確認することが重要です。

兼業の場合の注意点:複数事業を営む企業の売上高計算

複数の事業を営む兼業者が5号を申請する場合、売上高の計算方法が複雑になります。

兼業者の認定パターン
  • 全事業が指定業種:企業全体の売上高等で要件を満たすか判断します。
  • 主たる事業が指定業種:主たる事業と企業全体の双方で、売上高等の減少を示す必要があります。
  • 一部の事業が指定業種:指定業種の売上高等の減少額が、企業全体の経営に一定以上の影響を与えていることを証明する必要があります。

いずれの場合も、業種ごとの売上高を正確に区分した会計資料の準備が不可欠です。

セーフティネット保証の申請から融資実行までの流れ

セーフティネット保証を利用した融資は、市区町村への認定申請から始まり、金融機関、信用保証協会の審査を経て実行に至ります。

ステップ1:市区町村の担当窓口で認定申請を行う

まず、事業所の所在地を管轄する市区町村の商工担当課などの窓口で、セーフティネット保証の認定申請を行います。申請書に売上高の減少を証明する書類などを添えて提出し、要件を満たしているか審査を受けます。審査が通ると「認定書」が交付されます。この認定は、あくまで保証申込の資格を証明するものであり、融資の実行を約束するものではありません。

ステップ2:認定書を添えて金融機関に融資を申し込む

市区町村から交付された認定書を持参し、取引のある金融機関などに融資を申し込みます。この際、認定書には発行日から30日間という有効期間があるため、速やかに手続きを進める必要があります。金融機関は、認定書の内容を確認するとともに、事業の将来性や返済能力などについて独自の融資審査を行います。

ステップ3:信用保証協会による保証審査

金融機関が融資を適当と判断すると、次に信用保証協会へ保証を依頼します。信用保証協会は、金融機関とは別の視点から事業者の財務状況や信用力を審査し、保証を承諾するかどうかを最終的に決定します。保証が承諾されると「信用保証書」が金融機関に発行され、それに基づいて融資が実行されます。この際、事業者は所定の信用保証料を支払います。

申請手続きで必要となる主な書類の例

申請手続きでは、客観的な数値や事実を証明するための書類を不備なく揃えることが重要です。自治体や金融機関によって詳細は異なりますが、一般的に以下の書類が必要となります。

主な必要書類の例
  • 認定申請書(市区町村所定の様式)と売上高計算書
  • 【法人の場合】履歴事項全部証明書、直近2期分の決算書および法人事業概況説明書
  • 【個人事業主の場合】確定申告書の控え(税務署収受印のあるもの)、開業届など
  • 売上高の根拠資料(月別の試算表、売上台帳、請求書控え、通帳の写しなど)
  • 【5号の場合】許認可証の写しなど、営んでいる業種を客観的に証明する資料

認定書取得後も重要、金融機関・保証協会による融資審査の視点

市区町村の認定書を取得しただけでは、融資は実行されません。その後の金融機関と信用保証協会の審査が極めて重要です。審査では、単に売上が減少したという事実だけでなく、その資金で経営を立て直し、将来的に事業を継続できるかという点が厳しく評価されます。

金融機関・保証協会の主な審査視点
  • 資金使途の妥当性と必要性
  • 無理のない返済計画が立てられているか
  • 事業の将来性や収益改善の見込み
  • 具体的な経営改善計画の有無
  • 経営者の信用情報や資産背景

公的保証があるからといって、審査が甘くなるわけではありません。事業の現状と今後の見通しについて、誠実かつ論理的に説明できる資料を準備することが不可欠です。

セーフティネット保証に関するよくある質問

Q. セーフティネット保証4号と5号は併用できますか?

はい、併用は可能です。ただし、4号と5号は同じ保証枠(無担保保証8,000万円、普通保証と合わせて最大2億8,000万円)を共有します。そのため、両制度を利用しても、合計の保証限度額が増えるわけではない点に注意が必要です。利用にあたっては、それぞれの要件を満たし、個別に市区町村の認定を受ける必要があります。

Q. 認定書を取得すれば、必ず融資を受けられますか?

いいえ、認定書の取得は融資の実行を保証するものではありません。市区町村の認定は、あくまで制度の利用要件を満たしていることの証明です。実際の融資は、その後の金融機関および信用保証協会の審査によって可否が判断されます。審査の結果、返済能力に懸念があると判断されれば、融資を受けられない場合もあります。

Q. 創業して1年未満の事業者でも対象になりますか?

はい、対象になる可能性があります。通常は前年の売上実績と比較しますが、創業後1年未満で比較対象がない事業者のために、緩和された認定基準が設けられています。例えば、業歴3か月以上1年1か月未満であれば、最近1か月の売上高を直近3か月の平均売上高と比較する、といった方法で申請できる場合があります。

Q. 個人事業主でもセーフティネット保証を利用できますか?

はい、個人事業主も利用可能です。法人と同様に、中小企業信用保険法上の要件を満たし、事業実態と売上高の減少などを証明できれば対象となります。主たる事業所の所在地を管轄する市区町村で認定申請を行い、確定申告書の控えなどを提出して事業の実在性を証明します。

Q. 市区町村から受け取った認定書の有効期間はどのくらいですか?

認定書の有効期間は、原則として発行日から30日間です。この期間内に金融機関へ融資の申し込みを完了させる必要があります。有効期間を過ぎてしまうと認定書は失効し、再度市区町村で認定申請をやり直さなければなりません。認定書を受け取ったら、速やかに金融機関での手続きを進めることが重要です。

まとめ:自社の状況に合う制度を見極め、迅速な資金調達へ

本記事では、セーフティネット保証4号と5号の違いについて、対象者、認定要件、保証内容の観点から解説しました。4号は災害等の影響を受ける「地域」の中小企業を、5号は全国的な業況悪化の影響を受ける「業種」に属する中小企業を対象としており、売上高の減少率や保証割合(100%か80%か)も異なります。自社がどちらの制度を利用できるか判断するには、まず中小企業庁のウェブサイトで最新の指定地域・指定業種を確認することが第一歩です。市区町村の認定書を取得した後も、金融機関と信用保証協会による融資審査が別途行われるため、事業の将来性や返済計画を具体的に示す準備が不可欠となります。自社の状況を客観的に把握し、適切な制度を選択して、経営の安定に向けた資金調達を実現しましょう。

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