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取締役会の社外取締役人数|会社法と市場区分別の必要水準を確認

経営リスクナビ編集部

社外取締役の必要人数をめぐっては、会社法上の最低ラインと、上場規程・コーポレートガバナンス・コード上の要請水準が混在しやすく、自社の機関設計や市場区分によって結論が変わります。整理を誤ると、監査等委員会や各委員会の「過半数」要件を満たさない、あるいは定時株主総会での説明・投資家対応が後追いになるなど、実務上の不利益につながり得ます。自社が「最低2名」なのか、比率として「3分の1」を先に満たすべきなのかを、条文根拠と市場実務を切り分けて判断できる状態にしておくことが重要です。以下では、人数要件の判断材料として会社法と市場ルールの整理を示します。

目次

社外取締役の定義と位置づけ

会社法上の社外取締役の要件

社外取締役は、会社法でいう「会社関係者ではない者」が取締役会の監督機能を担うための制度として定義されています(会社法第2条)。ポイントは、業務執行からの独立(社外性要件)であり、業務執行取締役・執行役・使用人等との人的関係がある場合は原則として該当しません。

参照関係の整理としては、社外取締役は「取締役等」であって「従業員」ではないという建付けであり、実務では候補者が会社の指揮命令系統に入っていないか(雇用関係・指揮命令関係の有無)をまず確認します。

また、社外性の判断は取引関係の有無そのものではなく、会社の業務執行者から独立した立場にあるかを軸に設計されています。したがって、候補者の過去の役職歴・兼職歴・グループ会社との関係・親族関係を、選任前にチェックシート等で形式面から固めることが、取締役会設置会社の選任実務では出発点になります。

独立社外取締役との違い

会社法上の「社外取締役」と、上場実務でいう「独立社外取締役(独立役員)」は、根拠規範と評価軸が異なります。

二つの概念の切り分け
  • 会社法上の社外取締役:会社関係者(業務執行者等)に当たらないことを中心に形式要件で判断する(会社法第2条)。
  • 独立社外取締役:金融商品取引所の独立性基準を踏まえ、一般株主との利益相反のおそれがないかを実質面で判断し、会社として独立性判断基準を策定・開示することが求められる(コーポレートガバナンス・コードの考え方)。

特に、会社法の定義は「取引先関係」だけでは直ちに社外性を否定しない整理になっている一方で、取引所の独立性基準は、取引の重要性・依存関係を踏まえて独立性を否定する方向に働き得る点が実務上の分岐になります。

顧問・主要取引先・寄付先の関係がある候補者はどこで独立性判断が分かれるか

取引関係者が社外取締役候補になること自体は、会社法の「社外取締役」定義との関係では直ちに排除されない一方、選任議案の開示や、上場会社の独立性判断では重要論点になります。

まず会社法側では、候補者が特定関係事業者(親会社・兄弟会社等や主要な取引先を含む概念)との関係を有する場合について、株主総会参考書類での記載が問題になります。具体的には、候補者が特定関係事業者の業務執行者である場合、過去10年以内に業務執行者であった場合、配偶者・親族等である場合などについて開示対象とする整理がされています(会社法施行規則2条3項19号、会社法施行規則74条4項)。

他方、東証の独立性基準では、「主要な取引先」該当性が独立役員可否を左右しやすく、主要な取引先とは、売上高等が上場会社の売上高等の相当部分を占める相手、または事業活動に欠くことのできない商品・役務を提供している相手など、上場会社の意思決定に親子会社・関連会社と同程度の影響を与え得る取引関係がある相手をいう、とされています。

このため実務上は、「会社法上の社外性(形式)」と「取引所の独立性(実質)」を分けて整理したうえで、候補者の取引関係・顧問関係・寄付関係について、社内基準で判断し、説明可能な形に文書化しておくことが重要です。

会社法で人数義務が生じる会社

取締役会設置会社での義務有無

取締役会を設置していること(会社法第362条)だけで、直ちに社外取締役の選任義務が発生するわけではありません。会社法上の義務付けは、会社の属性(公開/非公開、大会社該当性)と機関設計によって分かれます。

人数義務の発生パターン(会社法の最低ライン)
  • 公開会社かつ大会社である監査役会設置会社で、金融商品取引法上の有価証券報告書提出義務がある場合:社外取締役を置くことが義務付けられます(会社法第327条の2)。
  • 監査等委員会設置会社:監査等委員会の過半数を社外取締役とする必要があり、委員会が3名以上である以上、最低2名の社外取締役が必要になる(会社法第331条)。
  • 指名委員会等設置会社:指名・監査・報酬の各委員会はそれぞれ3名以上で、その過半数を社外取締役とする必要があり、結果として社外取締役は最低2名が必要になる(会社法第400条)。

ここでいう「最低2名」は、いずれも委員会が3名以上かつ過半数社外という会社法の構造から導かれる実務上の下限であり、単に「推奨水準」ではありません。

令和元年改正の対象と施行経緯

社外取締役に関する制度は段階的に強化されており、参照情報の範囲でも、平成27年5月1日施行の改正会社法で、一定の会社に対して「置かない場合の説明責任」が明確化されています。具体的には、公開会社かつ大会社である監査役設置会社のうち、金融商品取引法上の有価証券報告書提出義務のある株式会社が、事業年度末日に社外取締役を置いていない場合、取締役は定時株主総会において社外取締役を置くことが相当でない理由を説明しなければならないとされました(会社法第327条の2)。

この説明義務は、投資家・株主に対し「社外の監督の不在」を可視化する仕組みであり、会社法が最低限の枠組みを与えつつ、市場規律(取引所ルールや議決権行使基準)と組み合わさって、社外取締役の選任を実質的に促してきた経緯として押さえるのが実務的です。

『公開会社かつ大会社で監査役会設置会社』に当たるかを定款・機関設計・貸借対照表で確認する手順

該当性の確認は、法務(定款・機関設計)と経理(大会社該当性の判断)が連動するため、手順を固定化しておくと事故を防げます。

義務対象性の社内確認フロー
  1. 定款・発行株式の内容を確認し、株式の全部に譲渡制限が付いていない(公開会社)かを判定します。
  2. 直近の貸借対照表等から大会社該当性を検討し、資本金5億円以上または負債総額200億円以上のいずれかに該当するかを確認します。
  3. 登記事項・定款の機関設計条項を確認し、監査役会設置会社か、監査等委員会設置会社か、指名委員会等設置会社かを特定します。
  4. 公開会社・大会社・機関設計の組合せにより、会社法第327条の2の説明義務や、委員会過半数要件(会社法第331条、会社法第400条)の適用有無を整理します。

なお、貸借対照表の表示・区分は会社計算規則72条〜86条が枠組みを定めているため(会社計算規則)、決算書類の整合性が崩れている場合は、そもそもの判定プロセスが不安定になります。

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上場企業の社外取締役人数

会社法と取引所ルールの違い

上場企業では、会社法の最低ラインと、取引所ルール(上場規程・コーポレートガバナンス・コード)を切り分けて運用する必要があります。

区分 位置づけ 人数の考え方(参照情報の範囲)
会社法 法的義務(条文に基づく最低ライン) 一定の会社(公開大会社の監査役会設置会社で有報提出会社)で、社外取締役の設置義務がある(会社法第327条の2)。
取引所ルール・コード 市場規律(コンプライ・オア・エクスプレイン) 上場会社は独立社外取締役を2名以上選任することが求められ、しない場合は理由説明が要請される(平成27年の取引所側の整理)。
会社法と市場ルールの「人数」整理

実務的には、会社法上の「社外性」だけ満たしても、取引所の独立性基準(主要取引先等の観点)で独立役員に該当しないケースがあり、株主総会での反対助言や対話上の問題に発展し得ます。したがって、会社法(形式)→独立性(実質)の順にチェックする二段階運用が安全です。

プライム等の人数と比率の水準

市場区分変更に伴い、2023年2月総会以降に適用される基準として、プライム市場では取締役会の独立性(独立役員比率)について、会社の支配関係の有無で水準が分岐する整理が示されています。

市場区分・支配関係別の独立性比率(参照情報ベース)
  • プライム市場上場の被支配会社でない会社:独立役員の割合3分の1かつ独立社外取締役最低2名。
  • プライム市場上場の被支配会社:独立役員の割合は過半数。
  • プライム市場上場以外の被支配会社:機関設計にかかわらず独立役員の割合は3分の1以上。

また、東京証券取引所が2024年7月24日に公表した「東証上場会社における独立社外取締役の選任状況及び指名委員会・報酬委員会の設置状況(2024年7月12日時点)」では、独立社外取締役を3分の1以上選任している比率が、プライム市場上場会社で98.1%(前年比3.1ポイント増)、JPX日経400で98.2%(前年比1.5ポイント増)とされています。これは、実務水準として「3分の1以上」が相当程度に定着していることを示す材料になります。

2名確保で足りる会社と3分の1以上を先に満たすべき会社の見分け方

見分け方は、(1)市場区分、(2)被支配会社か否か、(3)独立役員「比率」要件の適用有無、の順で整理すると実務で迷いにくくなります。

独立社外取締役の人数目標の決め方(実務整理)
  1. 市場区分がプライムかどうかを確認し、プライムなら「3分の1+最低2名」または「過半数」のいずれが適用されるか(被支配会社か否か)を先に確定します。
  2. プライム以外でも被支配会社に当たる場合は、機関設計にかかわらず独立役員3分の1以上を前提に設計します。
  3. 取引所ルール上「2名以上」を最低ラインとして充足するだけで足りるかは、上記の比率要件に引っかからないことを確認した後に判断します。

比率要件が適用される会社で「2名」は形式的に満たしても不足となり得るため、人数を先に決めるのではなく、比率要件→最低人数の順で逆算するのが安全です。

取締役会の構成と実務対応

取締役会全体で人数を決める視点

取締役会の人数設計は、会社法が定める下限(取締役会設置会社は取締役3名以上(会社法第331条))を前提に、監督と機動性のバランスで決めます。社外取締役を増やすほど監督・助言機能は強化され得ますが、取締役会の機動性が損なわれるとの批判があり得る点は、制度趣旨と実務双方で意識しておく必要があります。

また、機関設計によって最低必要な社外取締役数が変わります。監査等委員会設置会社や指名委員会等設置会社では、委員会が3名以上で過半数が社外取締役である必要があるため、取締役会全体の人数設計に先立って、社外取締役を最低2名確保する必要が生じます(会社法第331条、会社法第400条)。

選任手続と株主総会・開示対応

社外取締役は株主総会で選任されて初めて就任できるため、法的要件の充足に加え、否決リスクを踏まえた説明設計が必要です。近年は、スチュアードシップ・コード等を背景に機関投資家の議決権行使が厳格化し、社外役員選任議案が反対票の集まりやすい領域とされています。

会社法側の開示実務では、候補者が特定関係事業者(主要取引先を含む)と関係を有する場合など、株主総会参考書類での記載論点が生じます(会社法施行規則74条4項)。また、選任後も社外取締役の取締役会への出席状況・発言状況を事業報告に記載すべき整理があり(会社法施行規則124条1項4号)、形式要件を満たすだけでなく、実際の監督機能が発揮されていることを説明できる状態が重要です。

候補者打診から株主総会招集通知まで、法務・総務・IRがいつ何を用意するか

候補者に取引関係がある場合でも会社法上直ちに社外性が否定されない一方、開示と独立性説明が重くなるため、部門横断で先回りの準備が必要です。

部門 主に用意するもの 参照情報に基づく実務上の着眼
法務 社外性要件の適合確認、特定関係事業者該当性の整理、独立性説明の骨子 特定関係事業者(施行規則2条3項19号)に該当する場合や、過去10年以内の業務執行者等は参考書類での記載対象(施行規則74条4項)。
総務 指名等の社内プロセス運営、招集通知(参考書類)原稿取りまとめ 候補者の経歴・兼職・関係性を、株主が判断できる粒度で記載する(施行規則74条4項)。
IR 投資家対話、反対助言論点の先回り整理 反対理由として「独立性に欠ける」「出席率が低い」「就任年数が長い」等が挙がりやすいとの整理を踏まえ、説明方針を準備する。
部門別に用意するもの(開示・独立性論点中心)

特に上場会社では、独立役員として届け出ている事実自体が説明材料になり得るため、候補者側の同意取得や、取引所への届出・ガバナンス報告書整合まで含めて工程を組むことが実務上の安全策です。

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非上場企業の設置と適正人数

中小企業で設置が任意となる考え方

非上場企業では、会社法上の義務として社外取締役の人数要件が直ちに問題になる場面は限定的です。一方で、取締役会を設置する場合、取締役は3名以上必要であるため(会社法第331条)、その枠内で社外取締役を入れるかどうかを設計します。

社外取締役の制度趣旨は、会社関係者ではない者が取締役会の意思決定に参加し、必要に応じて代表取締役や他の取締役を監督する点にあります。所有と経営が近い会社ほど、意思決定の牽制・透明性を補う手段として社外取締役を活用する意義が出やすく、将来の資本政策(外部株主受入れ、上場準備等)を見据える場合は、早い段階で「社外性」「独立性」の整理手法に慣れておくことが実務的です。

規模・リスク・コストの見極め方

中小企業が社外取締役を導入するかは、コストだけでなく、規制対応・重要投資・不祥事予防などのリスク要因を踏まえて判断します。社外取締役は従業員ではなく取締役等であるため、雇用契約的な運用ではなく、取締役としての責任を前提に委嘱・情報提供・議案設計を行う必要があります。

また、買収防衛策発動に関する第三者委員会(特別委員会)の実務では、委員の独立性が重要視され、独立社外取締役・独立社外監査役を主たる構成員としつつ、公認会計士・大学教授・弁護士など外部委員との組合せで3名程度で構成されるパターンが多いとされています。非上場企業であっても、M&Aや支配権争い等の局面を想定するなら、社外取締役の導入は「平時の助言」だけでなく、有事の手続的公正の担保という観点でも検討対象になります。

人数不足のリスクと是正

法令違反と上場実務上のリスク

社外取締役の不足は、「会社法上の義務違反」と「市場規律上の評価低下」を分けて把握する必要があります。

会社法上は、一定の会社において社外取締役を置くことが義務付けられています(会社法第327条の2)。この説明義務を軽視すると、株主の判断材料を欠く状態となり、役員選任議案そのものへの反対増加にもつながり得ます。

市場実務では、社外役員選任議案が反対票を集めやすい背景が整理されており、反対理由としては「独立性に欠ける」「取締役会・監査役会への出席率が低い」「就任年数が長期」などが挙げられています。したがって、人数不足の局面では、単に補充するだけでなく、独立性・出席体制・任期設計を含めた説明可能性を同時に整えることが重要です。

欠員時の補充と是正の進め方

欠員が生じた場合、会社法は「後任が就任するまでの権利義務の継続」という枠組みを置いています(会社法第346条)。もっとも、社外取締役に期待される監督機能を空洞化させない観点からは、権利義務取締役に依存し続けるのは応急措置にとどまります。

欠員発生時の実務ステップ(最低限)
  1. 辞任日・任期満了日と、会社法第346条による権利義務の継続の有無を確認します。
  2. 欠員により、委員会過半数要件(監査等委員会・指名委員会等)や、上場会社の独立役員比率に影響が出るかを即時に試算します。
  3. 次回定時株主総会まで待てない場合は臨時株主総会での補充選任を検討し、必要な開示・対話方針を同時に準備します。

事前の予防策として、補欠の社外取締役候補をどう確保しておくか(候補者プール、独立性の事前確認、開示原稿の雛形化)まで含めて整備しておくと、欠員時の実務負荷が大きく下がります。

辞任・要件喪失・独立性否定の3類型で異なる初動対応と開示の分かれ目

同じ「社外取締役に穴があく」事象でも、(1)辞任、(2)会社法上の社外性要件を満たさなくなる、(3)取引所基準で独立性が否定される、では初動が変わります。

類型 会社法上の地位 主な初動の考え方
辞任 原則として辞任だが後任就任まで権利義務が継続する余地(会社法第346条) 欠員による機関要件・独立役員比率への影響を確認し、補充選任の工程を確定します。
社外性要件の喪失 社外取締役としての要件を欠くことになり、社外取締役の体制として不適合になり得る(会社法第2条) 機関設計(委員会過半数等)との関係で直ちに是正が必要かを判断し、選任議案・開示を組み替えます。
独立性の否定(取引所基準) 会社法上の社外取締役には該当しても、独立役員としては不適合になり得る 東証の「主要な取引先」該当性などを再判定し、独立性基準・開示の見直しと投資家説明を優先します。
3類型の分岐(法的効果と実務対応)

特に取引関係は、会社法上は直ちに社外性を否定しない設計である一方、株主総会参考書類での記載対象(特定関係事業者、過去5年以内等)になり得る点(会社法施行規則74条4項)と、取引所の独立性基準で不適合になり得る点を、混同せずに処理することが実務上の事故防止になります。

よくある質問

独立社外取締役は社外取締役とどう違うのですか?

会社法上の社外取締役は、「会社の業務執行者から独立した立場」にあることを中心とする形式的概念として定義されています(会社法第2条)。これに対して独立社外取締役(独立役員)は、金融商品取引所の独立性基準を踏まえ、一般株主との利益相反のおそれがないかを実質面で判断する概念です。

また、会社法は取引先関係そのものを社外性の絶対的排除事由とはしていない一方、候補者が特定関係事業者(主要取引先等)の業務執行者である場合や、過去10年間に業務執行者であった場合などは、株主総会参考書類での記載対象となる整理です(会社法施行規則74条4項)。上場会社ではこの整理に加え、東証の独立性基準(主要な取引先該当性等)をクリアしているかを別途確認し、独立役員として届け出る運用になります。

取締役会の総人数は何人以上でなければならないのでしょうか?

取締役会設置会社では、取締役は3名以上必要です(会社法第331条)。一方、取締役会を設置しない会社では取締役1名でも成立します(会社法第326条)。

また、監査等委員会設置会社は監査等委員会に3名以上の取締役が必要で、その過半数は社外取締役である必要があります(会社法第331条第6項)。指名委員会等設置会社も各委員会が3名以上で過半数社外取締役が必要であるため、いずれの機関設計でも実務上は社外取締役を最低2名確保する設計が前提になりやすいです。

社外取締役が辞任して人数要件を満たさなくなった場合、いつまでに補充すべきですか?

辞任等で欠員が生じた場合でも、後任者が就任するまでは権利義務が継続する枠組みがあります(会社法第346条)。ただし、これは法的空白を避けるための制度であり、ガバナンス上は早期に補充選任へ進むことが重要です。

特に、監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社では委員会の過半数社外要件があるため(会社法第331条、会社法第400条)、欠員が出た瞬間に機関要件を割り込む可能性があり、次回定時株主総会まで待てるかどうかは、欠員後の構成で要件を満たすかを基準に判断します。

コーポレートガバナンス・コードの3分の1以上と会社法上の義務はどう整理すべきですか?

整理の軸は、会社法は「最低ライン(条文上の義務・説明義務)」、コーポレートガバナンス・コード等は「市場の要請水準(独立性・比率)」です。

会社法では、一定の会社において社外取締役を置くことが義務付けられています(会社法第327条の2)。一方で市場実務では、プライム市場等で独立役員比率3分の1(最低2名)や、被支配会社では過半数など、より高い水準が想定されます。

加えて、東証の公表資料(2024年7月24日公表、2024年7月12日時点)では、独立社外取締役を3分の1以上選任しているプライム市場上場会社が98.1%に達しており、実務水準として「3分の1以上」が強く意識されていることも踏まえ、法令上の最低ラインと市場要請を切り分けて設計することが合理的です。

社外取締役への対応で次にすべきこと

社外取締役の必要人数は、まず会社法上の「社外性」(会社法第2条)と、機関設計に応じた下限(委員会が3名以上で過半数社外となる結果としての最低2名等)を押さえたうえで、市場ルール上の独立性・比率要件(例:プライムの3分の1や被支配会社の過半数)に接続して整理するのが安全です。とくに、会社法の最低ライン(会社法第327条の2の説明義務など)を満たしていても、取引所の独立性基準では「主要な取引先」該当性等により独立役員として不適合となり、株主総会対応や投資家対話に影響が出ることがあります。次のアクションとしては、定款・登記事項で機関設計を確定し、貸借対照表等で大会社該当性(資本金5億円以上または負債総額200億円以上)を確認したうえで、候補者について特定関係事業者や過去5年以内の業務執行者等に関する開示論点(会社法施行規則74条4項)と、独立性判断の文書化を同時並行で進めることが実務的です。欠員が生じた場合は、会社法第346条の権利義務の継続に依存し過ぎず、委員会過半数要件や独立役員比率への影響を即時に試算し、補充選任・開示工程を確定させることが重要になります。最終的な判断は個社の事実関係に左右されるため、必要に応じて法務・総務・IRの連携のもと、専門家にも確認しながら進めるのが安全です。



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