法務

給料未払い差し押さえ|会社が取る対応と手続の期限

経営リスクナビ編集部

給料未払いが続くと、従業員からの差し押さえ(強制執行)を含む法的手続が現実のリスクになります。支払いの遅れを放置すると、預貯金や売掛金など資金繰りに直結する財産が押さえられ、取引・給与支払が連鎖的に滞るおそれがあります。特に未払賃金には当分の間3年の消滅時効が整理されており、「どこまで・いつまで」が争点化しやすい点も見逃せません。以下では、差し押さえに至るルートと会社側の初動対応の判断材料として、法的枠組みと実務上の備えを示します。

目次

給料未払いと差し押さえ

未払賃金が差し押さえに進む法的枠組み

未払賃金があるのに支払いが行われない場合、労働者は会社に対して差押え(強制執行)に進める可能性があります。実務上のルートは大きく分けて、(A)判決・和解調書等の債務名義を取って強制執行する方法と、(B)賃金債権に付随する先取特権を根拠に担保権実行として差し押さえる方法です。

差押えに至る代表的なルート
  • 労働審判や訴訟で債務名義(判決・和解調書等)を取得してから強制執行(民事執行)を申し立てる方法
  • 賃金債権が民法上の一般先取特権に当たることを根拠に、担保権実行として差押えを申し立てる方法(民法306条2号(民法第306条))

先取特権ルートでは、申立書面上、被担保債権として「債権者と債務者間の雇用契約に基づく未払賃金で、民法306条2号に基づく一般先取特権」といった整理がされます。さらに、差押えの対象を将来発生分まで含める設計もあり、差押債権目録の記載例では、「本命令送達日以降支払期の到来する給料」を頭書金額に満つるまで差し押さえる形が示されています。また、既発生の未払給料も含めて差し押さえる場合は、その旨を明記する必要がある点は、会社側として「一部だけ払ったから大丈夫」と考えにくい実務上の注意点です。

未払賃金の範囲と退職金の扱い

差押え(強制執行・担保権実行)の対象となり得る「未払賃金」には、基本給だけでなく、諸手当や割増賃金など労務の対償として支払われる金銭が広く含まれます。会社側が特に誤解しやすいのは、差押えや精算の場面では「手取り」ではなく、法定控除前の額面で未払額を把握すべき点です。

未払賃金として問題化しやすい金銭(例)
  • 基本給および諸手当
  • 割増賃金(時間外・休日等)
  • 休業手当
  • 年次有給休暇中の賃金

退職金については、社内規程(就業規則・退職金規程等)により支給義務が制度化されているかが実務上の分水嶺になります。差押えの場面では、差押債権目録の記載例として「給料・賞与で弁済しないうちに退職したときは、退職金から税控除後残額の4分の1を、給料等と合算して頭書金額に満つるまで」といった形で、退職金が差押え対象として組み込まれる例が示されています。

賃金支払義務と会社側リスク

労基法24条の支払原則と違反時の罰則

賃金は、通貨払い・直接払い・全額払い・毎月1回以上・一定期日払いという原則に従って支払う必要があります(賃金支払の原則として整理されます)。この枠組みの中心となるのが労働基準法24条(労働基準法第24条)であり、資金繰りが厳しいこと自体は、法令上の支払義務を軽減する理由にはなりません。

また、懲戒処分としての減給についても無制限ではなく、就業規則等の根拠規定が必要であり、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金総額の10分の1を超えてはならないという上限があります(労働基準法91条(労働基準法第91条))。資金不足を理由に、実質的に減給や天引きをして未払を「調整」する運用は、未払賃金化しやすい典型です。

監督署の介入手続と是正勧告への対応

未払賃金や労務管理上の法令違反が疑われると、労働基準監督署の調査につながり、是正勧告書が交付される場合があります。法令違反が認められない場合でも、行政から指導票が出されることがあるため、「是正勧告が来ない=問題がない」とは言い切れません。

是正勧告書や指導票を受けた場合、企業側は是正内容を記載した是正報告書を提出して対応します。提出先は労働基準監督署長等であり、期限管理と、事実に即した記載が重要です。

さらに、是正勧告書等は行政対応で終わらないことがあります。たとえば労災や安全配慮義務が争点となる民事訴訟では、被災労働者側が文書送付嘱託を申し立て、監督署長から是正勧告書等が裁判所へ送付され、証拠として用いられる場合があります(文書送付嘱託申立(民事訴訟法第226条))。未払賃金の局面でも、監督署対応の履歴が後日の紛争で参照され得る前提で、説明・記録を整える必要があります。

一部不払い・控除ミス・固定残業代不足のどこから未払賃金化するか

給与計算に不足があれば、その不足分は原則として未払賃金になります。特に実務で問題化しやすいのは、社内ルールや合意が不十分なままの控除・減額と、固定残業代(定額残業制)の運用不備です。

未払賃金化しやすい典型パターン
  • 就業規則等の根拠がないままの減給・控除(懲戒減給は上限規制もあるため運用に注意が必要)
  • 固定残業代を導入していても、想定時間を超えた時間外労働の差額精算をしない運用
  • 給与規程の計算ルールと異なる日割計算・締め日運用(解雇日が締め日でない場合など)

固定残業代については、判例上、一定のルールを定めて運用すれば適法とされ得る一方で、制度設計(基本給部分と時間外対価部分の区別可能性、対価性、差額精算など)を欠くと、未払割増賃金が累積しやすくなります。未払が発生した場合、会社側の内部計算ではなく、賃金台帳・タイムカード等の客観資料に基づいて精査される点を前提に、早期に算定ロジックを点検することが重要です。

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未払賃金の額と時効

消滅時効の期間と経過措置

未払賃金の請求には消滅時効があります。労働基準法の改正により賃金請求権の時効は原則5年とされつつ、経過措置により当分の間は3年と整理されます。起算点は、原則として各賃金の支払期日の翌日であり、月次給与は月ごとに別個に時効が進行します。

一方で、退職金については賃金とは別枠で時効が5年と整理され、支給日の翌日から進行します。会社側としては「いつの分が、どの期日を基準に、時効が完成するか」を、賃金の種類ごと・月ごとに棚卸しする必要があります。

遅延損害金と付加金の負担

未払賃金には、元本だけでなく遅延損害金等が付随し得ます。参照されることが多い整理として、在職中の遅延損害金は民法上の法定利率が問題となり、退職後は賃金の支払の確保等に関する法律に基づく高い利率(年14.6%)が問題となります。

また、割増賃金等の請求が訴訟に至った場合、裁判所が付加金の支払を命じ得る枠組みがあり、請求総額が膨らむ要因になります。会社側は「元本を払えば終わり」ではなく、遅延損害金や付随金の発生を前提に、早期解決の経済合理性を検討する必要があります。

月次締め後の訂正払いで済むケースと、訴訟上の請求額が膨らむケースの分かれ目

計算ミスや控除ミスが発覚した場合でも、会社側が早期に誤りを認め、根拠資料に基づいて不足額を特定し、速やかに訂正払いを行えば、訴訟に進まず解決できることがあります。反対に、説明を拒んだり、根拠の薄い反論で支払いを引き延ばしたりすると、労働者側が労働審判・訴訟に移行し、遅延損害金や付加金も含めた請求構造になりやすいです。

特に倒産局面では、未払賃金の額の把握方法そのものが争点になります。法人破産申立ての実務整理では、就業規則・給与規程の定めに従い、賃金台帳やタイムカード等を確認して計算し、未払給料の額は法定控除前の額面額で計算するとされています。締め日でない日に解雇する場合の日割計算も、給与規程の定め(分母となる日数)を確認し、特段の定めがない場合は「締め日の翌日から翌締め日までの日数」を分母とする整理が示されています。

差し押さえまでの訴訟と手続

訴訟・労働審判から判決までの流れ

強制執行(差押え)に進む典型は、労働審判や民事訴訟を経て、判決・和解調書等の債務名義を取得する流れです。労働審判は迅速解決を志向する手続で、会社側は送達後短期間で答弁や証拠提出を求められるため、初動の遅れがそのまま不利につながりやすいです。

また、監督署対応の記録が別紛争で証拠化され得るのと同様に、裁判手続では文書の提出ルートが整備されています。たとえば文書送付嘱託(民事訴訟法第226条)により、当事者が直接保有していない文書が手続内で取り寄せられることもあるため、賃金台帳・就業規則・給与規程・勤怠資料といった基礎資料は、紛争化を前提に保全しておくべきです。

判決後の強制執行と差押え対象財産

債務名義を得た労働者は、執行裁判所を通じて強制執行を申し立て、会社財産を差し押さえます。対象は、不動産・動産・債権(預貯金、売掛金等)に大別されますが、実務上は、換価が容易な預貯金や、第三債務者(取引先等)への送達で効果が出やすい売掛金等の債権が狙われやすいです。

費用面でも、強制執行は「無料」ではありません。参照される実例では、差押命令正本の送達費用として9,597円、資格証明書交付手数料として2,400円、本申立書作成及び提出費用として1,000円、不動産登記事項証明書交付手数料として600円といった執行費用の内訳が示されています。差押えは債権者側にも手続コストがある一方、会社側にとっては資金決済や信用に与える影響が大きいため、「費用がかかるから相手はやらないだろう」と見込むのは危険です。

会社預金・売掛金・賃料債権のうち、先に押さえられやすい財産と実務上の備え

差押え対象として優先されやすいのは、即時に回収効果が出る財産です。預貯金は送達時点の残高がロックされ、売掛金等の債権は第三債務者への送達によって回収ルートが遮断されるため、資金繰りへの影響が直撃します。

一方で、窮境時の預金管理には別の実務論点もあります。金融機関が債権者でもある場合、金融機関が有する債権と預金債権の相殺が問題となり得るため、相殺リスクのない口座への移動や、代理人の預り金口座での保管が検討される場面があります。また、窮境が金融機関に把握されている場合、インターネットバンキングを止められたり、窓口で引出理由や使途を問われ、場合によっては引出しを拒まれたりすることがあるとされています。法的根拠なく引出しを拒まれる場合は損害賠償の問題になり得るとの指摘もありますが、この点に固執して資金繰り対応や法的整理の判断を遅らせるのは得策ではない、という実務的な注意点があります。

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先取特権と倒産時の制度

賃金債権の先取特権でできること

賃金債権には一般先取特権が認められ、一定の要件の下で担保権実行として差押えを申し立てるルートがあります(民法306条2号(民法第306条))。この場合、通常の強制執行で問題になる「債務名義の取得」より前に、担保権としての優先弁済の枠組みを使って手続が進むことがあります。

実務上は、差押債権目録で、差押え対象を「本命令送達日以降支払期の到来する給料」とし、基本給と諸手当(通勤手当を除く)から所得税・住民税・社会保険料を控除した残額の4分の1を差し押さえる、といった記載例が示されています。また、控除後残額が月額44万円を超える場合は「残額から33万円を控除した金額」を基準にするという記載もあり、差押えが給与支払実務(控除・支給)と密接に連動することが分かります。

倒産時の優先関係と立替払制度

倒産局面では、未払賃金の回収は「会社から取る」だけではなく、制度利用の判断が重要になります。未払賃金立替払制度は、「賃金の支払の確保等に関する法律」に基づく制度で、倒産により賃金が支払われないまま退職した労働者に対して、独立行政法人労働者健康安全機構が未払賃金の一部を立替払します。

未払賃金立替払制度の主要ポイント
  • 実施機関は全国の労働基準監督署および独立行政法人労働者健康安全機構と整理されています
  • 要件は「1年以上事業活動を行っていた使用者が倒産」などで、法律上の倒産(破産・特別清算・民事再生・会社更生)に加え、中小企業の事実上の倒産も対象になり得ます
  • 対象賃金は退職日の6か月前から立替払請求日の前日までに支払期日が到来している定期賃金と退職手当で、未払総額が2万円未満の場合は対象外です
  • 立替払いされる金額は未払賃金の8割で、退職時年齢に応じて上限があります(30歳未満88万円、30歳以上45歳未満176万円、45歳以上296万円)
  • 権利行使期間は破産手続開始決定等の日または監督署長の認定日の翌日から2年以内です

手続面では、破産手続開始後に破産管財人から請求に必要な書類が届き、労働者が必要事項を記入して管財人に返送する流れが示されています。また、機構の審査があるため必ず支給されるとは限らず、支給までに申請後約1〜2か月程度を要するのが通常、という説明がされています。会社側としては、倒産回避が困難な場合でも、制度の要件・期間・必要書類の流れを踏まえ、従業員説明と社内資料整備を早期に行うことが実務上のリスク低減になります。

未払差し押さえへの会社対応

差押え前の初動と支払計画の示し方

差押えの警告が出ている段階では、会社側は「払えない」だけで終わらせず、未払額の特定と説明可能な支払計画の提示が必要です。特に未払額の算定は、就業規則・給与規程に従って行い、賃金台帳・タイムカード等の基礎資料で裏付けることが重要です。

また、倒産実務で示される整理として、未払給料の額は、所得税の源泉徴収・住民税の特別徴収・社会保険料等の控除前の額面額で計算する、という考え方があります。交渉段階でも、従業員側の受け止めとして「手取りで計算されると不利」と感じやすいため、計算の基準(額面か、控除後か)を明確にして説明する必要があります。

差押え前に会社側が行うべき初動手順
  1. 請求対象期間と賃金項目(基本給・手当・割増賃金・休業手当等)を整理して論点を特定します
  2. 就業規則・給与規程・賃金台帳・タイムカード等で未払額を会社側でも再計算し、計算根拠を固定します
  3. 一括払いが困難な場合は、分割回数・支払日・各回金額を具体化し、期限の利益喪失条項等を含む合意書案を準備します
  4. 相手方(本人または代理人)に、計算根拠と支払計画を同時に提示し、放置しない姿勢を示します

資金繰り悪化時の分割払いや再生の判断

資金繰りが悪化している場合、分割合意で時間を稼ぐことはあり得ますが、履行可能性のない約束は差押えの引き金になります。分割交渉をする場合でも、賃金計算は就業規則・給与規程に従い、賃金台帳・タイムカード等を前提に説明する必要があります。

また、倒産が現実的になったときは、未払賃金立替払制度の要件(退職前6か月内の未払賃金、未払総額2万円以上、立替は8割、年齢上限88万〜296万円、権利行使は開始決定等の翌日から2年以内)を踏まえ、従業員への説明と資料整備を並行して進めることが、混乱を抑える実務対応になります。申請後の支給まで約1〜2か月程度かかるのが通常とされるため、生活資金への影響を含めた説明が必要です。

経営者・財務・人事労務・法務が差押え警告後72時間でそろえる資料と役割分担

差押え警告後の72時間は、手続に耐える資料を揃え、交渉・法的対応の土台を作る時間です。特に、差押えや倒産局面では、未払額の算定根拠として賃金台帳・タイムカード等が中核資料になります。

72時間での役割分担と収集資料(例)
  • 経営者:全体方針を決め、窓口(担当者・専門家)を一本化し、説明のトーンと情報開示範囲を統一します
  • 財務:預金残高、売掛金等の債権一覧、資金繰り表を整理し、分割履行可能性と決済影響(口座凍結時の影響)を試算します
  • 人事労務:就業規則・給与規程・賃金台帳・タイムカード等を揃え、締め日でない解雇の有無がある場合は日割計算の分母(締め日の翌日〜翌締め日の日数等)を確認します
  • 法務:請求期間の特定、時効の起算点(支払期日の翌日)と完成の有無、合意書条項(期限の利益喪失等)を点検し、手続移行時の提出資料を整えます

従業員ごとに交渉を分けると失敗しやすい場面と、説明順序を統一すべき場面

未払が複数人に及ぶ場合、個別交渉で条件がバラつくと、社内不信と集団的な紛争化を招きやすいです。特に、立替払制度の説明(対象は退職前6か月内、未払総額2万円以上、8割、年齢上限88万〜296万、申請後1〜2か月程度が通常、ただし審査がある)や、未払額の計算基準(額面で計算する整理がある、就業規則・給与規程に従う、賃金台帳・タイムカードで裏付ける)は、説明の順序と内容を統一して伝えるべき項目です。

説明順序を統一するための基本フレーム
  1. 未払が発生した原因と、現時点で確定している事実(締め日・支払日・対象期間)を共有します
  2. 未払額の算定方法(給与規程、賃金台帳・タイムカード、額面基準の扱い)を共通化して示します
  3. 会社の支払方針(当面の支払、分割案、履行可能性)を同一条件で提示します
  4. 倒産可能性がある場合は立替払制度の要件・上限・期間・支給までの時間を共通資料で説明します

よくある質問

給料を一部だけ遅れて支払っても差し押さえはありますか?

一部の遅れや一部不払いであっても、残額がある限り未払賃金は残ります。そのため、労働者側が債務名義を取って強制執行に進む、または賃金債権の一般先取特権(民法306条2号(民法第306条))を根拠に担保権実行として差押えを検討する余地はあります。

加えて、差押債権目録の記載例では、「本命令送達日以降支払期の到来する給料」を頭書金額に満つるまで差し押さえる構成が示されており、既発生の未払給料も含めて差し押さえる場合はその旨を明記する必要があるとされています。会社側としては「一部払ったから差押えされない」とは整理しにくいため、残額の確定と支払計画の提示を急ぐ必要があります。

内容証明が届いたとき会社は何を確認すべきですか?

内容証明が届いた場合は、請求の適否を「感覚」で判断せず、客観資料に基づいて検証します。

最優先で確認するポイント
  • 就業規則・給与規程に照らした計算ルール(固定残業代、日割計算、控除の根拠など)
  • 賃金台帳・タイムカード等の基礎資料と、相手方主張の労働時間・賃金項目の差分
  • 未払額の算定基準が額面か手取りか(倒産実務では法定控除前の額面で計算する整理があります)
  • 各賃金の支払期日と、時効の起算点(支払期日の翌日)

監督署対応が絡む場合、是正勧告書・指導票・是正報告書といった行政対応文書が後日の手続で参照され得る点も踏まえ、事実関係と説明記録を整えておくべきです。

銀行口座が差し押さえられると支払はどう制限されますか?

預金差押えが入ると、送達時点の残高について、差押えの効力が及びます。実務上は、当該口座からの振込・引落しが止まり、仕入代金や他従業員の給与支払などの決済が連鎖的に詰まるリスクがあります。

また、差押え以前の段階でも、窮境が金融機関に把握されている場合、インターネットバンキングを止められたり、窓口で引出理由や使途を問われ、場合によっては引出しを拒まれたりすることがあるとされています。金融機関が債権者でもあるケースでは相殺の問題もあり得るため、資金決済の安全性を早期に点検する必要があります。

分割払いの合意で差押えを避けることはできますか?

分割払いの合意を書面で成立させ、かつ履行できている限り、相手方が直ちに差押えに進まない可能性は高まります。ただし、合意内容が不明確だったり、履行が遅れたりすると、手続移行を止める効果は期待しにくいです。

倒産可能性が現実的な場合は、分割合意の有無にかかわらず、未払賃金立替払制度の要件(未払総額2万円以上、退職前6か月内の定期賃金等、8割、年齢上限88万〜296万、開始決定等の翌日から2年以内)と、申請後の支給まで通常約1〜2か月程度かかる点を踏まえて、従業員への説明と社内の資料準備(賃金台帳・タイムカード等)を進めることが重要です。

まとめ:給料未払いへの対応で次にすべきこと

給料未払いが差し押さえに発展するルートは、債務名義を得たうえでの強制執行と、賃金債権の一般先取特権(民法第306条)を根拠とする担保権実行に大別され、いずれも会社の預貯金・売掛金等が対象になり得ます。判断の軸は、未払額を「額面」で特定できているか、支払計画が履行可能か、そして当分の間3年の消滅時効との関係で請求対象期間がどう整理されるかです。まずは就業規則・給与規程、賃金台帳・タイムカード等で未払額と根拠を固め、相手方への説明と分割案(必要なら合意書案)を同時に準備してください。倒産が現実的な場合は、未払賃金立替払制度(未払総額2万円以上、8割、権利行使期間2年以内等)の要件を踏まえ、従業員説明と資料整備を早めに進めることが実務上の混乱抑制につながります。個別事情で最適解は変わるため、紛争化や法的整理が視野に入る局面では、弁護士等の専門家に具体的に相談して進めるのが安全です。



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