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個人再生で借金はいくら減る?2つの基準でわかる減額の仕組みと計算方法

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多額の借金返済に追われ、「個人再生で債務がどれくらい減るのか」具体的な情報を探している方も多いのではないでしょうか。個人再生は債務を大幅に減額できる可能性がありますが、その減額幅は「最低弁済額」と「清算価値」という2つの重要な基準によって決まります。この仕組みを正しく理解しないと、想定より返済額が多くなる可能性もあるため注意が必要です。この記事では、個人再生における債務減額の2つの基準、具体的な計算方法、そしてシミュレーション例を詳しく解説します。

目次

個人再生の債務減額の仕組み

基準1:最低弁済額とは

個人再生において、法律上最低限返済しなければならない金額を最低弁済額といいます。個人再生は、自己破産のように債務の全額が免除されるのではなく、減額された債務を原則3年間(特別な事情がある場合は最長5年間)で分割返済する手続きです。この返済すべき金額の下限を定めているのが最低弁済基準です。

最低弁済額は、住宅ローンを除く債務総額に応じて、法律で段階的に定められています。この基準を下回る返済計画は裁判所に認可されません。

住宅ローンを除く債務総額 最低弁済額
100万円未満 債務総額の全額
100万円以上500万円未満 100万円
500万円以上1500万円未満 債務総額の5分の1
1500万円以上3000万円以下 300万円
3000万円超5000万円以下 債務総額の10分の1
債務総額に応じた最低弁済額

基準2:清算価値保障原則とは

清算価値保障原則とは、個人再生において債権者の利益を守るための重要なルールです。「もし債務者が自己破産した場合に債権者へ配当されるであろう金額」と同等以上の金額を、個人再生でも必ず返済しなければならないという基準です。

個人再生では財産を処分せずに手続きを進められますが、高額な財産を維持したまま債務だけが大幅に減額されると、債権者にとって著しく不公平になります。この不公平を是正し、債権者に最低限の回収を保障するのがこの原則の目的です。

清算価値とは、債務者が所有する財産をすべて現金化したと仮定した場合の評価額合計です。もし、この清算価値が前述の最低弁済額を上回る場合は、清算価値の金額が返済すべき最低額となります。そのため、保有財産が多いと債務の減額幅は小さくなります。

清算価値に含まれる主な財産
  • 99万円を超える現金
  • 一定額以上の預貯金
  • 不動産や自動車
  • 生命保険の解約返戻金
  • 退職金見込額の一部(通常は8分の1または4分の1)

2基準から決まる実際の返済額

個人再生における実際の返済総額は、「最低弁済額」と「清算価値」を比較し、より高額な方の金額に決定されます。このルールは、債務者の状況に応じた公平な弁済額を定め、債権者保護とのバランスを図るためのものです。

返済総額の決定ルール
  • ケース1:最低弁済額 > 清算価値 → 返済総額は「最低弁済額」
  • ケース2:清算価値 > 最低弁済額 → 返済総額は「清算価値」

例えば、債務総額から計算した最低弁済額が100万円でも、所有財産の清算価値が200万円であれば、返済総額は200万円となります。逆に、財産がほとんどなく清算価値が30万円の場合、返済総額は最低弁済額である100万円となります。

なお、「給与所得者等再生」という手続きを選択した場合は、これら2つの基準に加えて「可処分所得の2年分」という第3の基準も比較対象となり、3つのうち最も高い金額が返済総額となります。

具体例で見る減額シミュレーション

個人再生での債務減額幅は、債務総額と所有財産の状況によって大きく変動します。ここでは、住宅ローンを除く債務総額が600万円のケースでシミュレーションします。

この場合、債務総額に基づく最低弁済額は、600万円の5分の1である120万円です。この120万円と、各ケースの清算価値を比較して返済額が決まります。

返済額シミュレーションの具体例
  • ケース1:財産が少ない場合
  • 所有財産:預貯金50万円のみ → 清算価値は50万円
  • 比較:最低弁済額120万円 > 清算価値50万円
  • 最終返済額:120万円(480万円の減額)
  • ケース2:財産が多い場合
  • 所有財産:預貯金100万円、生命保険解約返戻金100万円、自動車100万円 → 清算価値は合計300万円
  • 比較:清算価値300万円 > 最低弁済額120万円
  • 最終返済額:300万円(300万円の減額)
  • ケース3:不動産を所有している場合
  • 所有財産:不動産(査定額3,000万円、住宅ローン残高2,500万円)、預貯金50万円
  • 清算価値:不動産価値(3,000万-2,500万=500万)+ 預貯金50万円 = 合計550万円
  • 比較:清算価値550万円 > 最低弁済額120万円
  • 最終返済額:550万円(50万円の減額)

清算価値に含まれる意外な財産と評価の注意点

清算価値の算出にあたっては、一見すると財産と認識しづらいものや、評価が難しいものも含まれるため注意が必要です。特に、退職金や保険の解約返戻金は見落としがちですが、これらも評価の対象となります。

財産の評価を誤ると、申立て時に想定していた以上の返済額を求められる可能性があるため、専門家による正確な資産調査が不可欠です。

清算価値の評価で注意すべき財産
  • 退職金:現時点で自己都合退職した場合の支給見込額の8分の1または4分の1が計上されます。
  • 保険の解約返戻金:生命保険や学資保険などを現時点で解約した場合の返戻金見込額が対象です。
  • 各種債権:他人に貸しているお金(貸付金)や未回収の売掛金なども財産とみなされます。

2種類の手続きと最適な選択

小規模個人再生の概要と特徴

小規模個人再生は、個人再生手続きの基本的な類型です。主に個人事業主や、継続的な収入が見込める会社員などが利用対象となります。個人再生全体の約9割を占める、最も一般的な手続きです。

この手続きの最大の特徴は、再生計画を認可するにあたり、債権者の書面決議が必要となる点です。ただし、実務上は多くの金融機関が反対しない傾向にあるため、否決されるケースは限定的です。返済額は「最低弁済額」と「清算価値」のみを比較して決まるため、返済総額を低く抑えやすいメリットがあります。

小規模個人再生の主な特徴
  • 利用要件:住宅ローンを除く債務総額が5,000万円以下で、継続的な収入見込みがあること。
  • 債権者の同意:必要。債権者数の半数以上、または債権総額の2分の1以上が反対すると不認可となる。
  • 返済額の基準:「最低弁済額」と「清算価値」のうち、高い方の金額。
  • メリット:後述の給与所得者等再生に比べ、返済額が低くなる傾向がある。

給与所得者等再生の概要と特徴

給与所得者等再生は、小規模個人再生の特則と位置づけられる手続きで、主に給与収入の変動が少ない会社員などが対象です。最大の特徴は、再生計画の認可に債権者の同意が不要である点です。

裁判所が債権者の意見を聞くだけで、法的な要件を満たしていれば再生計画が認可されます。そのため、特定の債権者が強硬に反対することが予想される場合に有効な手段となります。一方で、返済額の決定基準に「可処分所得の2年分」という要件が加わり、結果として小規模個人再生よりも返済総額が高額になる傾向があります。

給与所得者等再生の主な特徴
  • 利用要件:小規模個人再生の要件に加え、収入が給与等で定期的かつ変動幅が小さいこと。
  • 債権者の同意:不要。裁判所が要件を満たすと判断すれば認可される。
  • 返済額の基準:「最低弁済額」「清算価値」「可処分所得の2年分」のうち、最も高い金額。
  • メリット:債権者の反対によって手続きが失敗するリスクを回避できる。

どちらの手続きを選ぶべきかの判断基準

どちらの手続きを選択すべきかは、債権者の動向と返済額のシミュレーション結果によって決まります。基本的には、返済額が少なくなる小規模個人再生を第一に検討し、債権者の反対リスクが高い場合にのみ給与所得者等再生を検討するのが実務上のセオリーです。

まずは両方の手続きを利用した場合の返済額を算出し、どれほどの差額が生じるかを確認します。その上で、債権者の構成や方針を分析し、最適な手続きを慎重に判断する必要があります。

項目 小規模個人再生 給与所得者等再生
返済額 低くなる傾向 高くなる傾向
債権者の同意 必要(書面決議) 不要(意見聴取のみ)
主な選択場面 返済負担を最小限にしたい場合 強硬な債権者がいるなど、否決リスクが高い場合
利用上の注意 大口債権者や多数の債権者の反対で不認可となるリスクがある 収入の安定性や過去の利用歴に関する厳しい要件がある
小規模個人再生と給与所得者等再生の選択基準

個人再生の主なメリット

自宅や車など財産を維持できる

個人再生の最大のメリットは、住宅や自動車などの重要な財産を手放すことなく、債務を整理できる点です。これにより、生活基盤を維持したまま経済的な再生を図ることが可能になります。

自己破産では一定価値以上の財産は処分されますが、個人再生では清算価値保障原則を満たせば財産を維持できます。特に「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」を利用すれば、住宅ローンはそのまま返済を続け、他の債務だけを大幅に減額できるため、マイホームに住み続けることが可能です。

ローンを完済した自動車も手元に残すことができます。このように、現在の生活環境を大きく変えることなく返済負担だけを軽減できるため、家族への影響を最小限に抑えたい方に適しています。

借金の理由は問われない

個人再生では、借金の理由が浪費やギャンブルであっても手続きを利用できるという大きなメリットがあります。

自己破産には「免責不許可事由」という規定があり、ギャンブルや過度な浪費が原因の借金は、原則として免除が認められません。しかし、個人再生にはこの免責不許可事由に相当する規定が存在しないため、借金を作った原因を理由に手続きが不認可となることはありません。

返済計画を完遂できる継続的な収入があり、法律で定められた要件さえ満たせば、どのような事情で抱えた借金であっても減額の対象となります。自己破産が難しい事情を抱える方にとって、個人再生は有力な救済手段です。

職業や資格に制限がない

個人再生の手続き中は、職業や資格に関する制限が一切ありません。これにより、現在の仕事を継続したまま手続きを進めることが可能です。

自己破産の場合、手続き期間中に弁護士、司法書士、警備員、生命保険募集人など、特定の職業に就くことが法律で制限されます。これにより、一時的に業務ができなくなったり、最悪の場合は職を失ったりするリスクがあります。

一方、個人再生にはこのような職業制限がないため、対象となる職業に就いている方でも、勤務先に知られることなく働き続けることができます。収入源を断れる心配がないため、安心して債務整理に専念し、再生計画に基づく返済を行っていくことが可能です。

債権者からの督促が停止する

弁護士や司法書士などの専門家に個人再生を依頼すると、厳しい取り立てから解放されるという精神的なメリットがあります。専門家が債権者に対して「受任通知」を発送した時点で、債権者からの直接の督促は法的に停止します。

受任通知は依頼後速やかに発送されるため、借金の返済に追われるプレッシャーから解放され、平穏な日常を迅速に取り戻すことができます。督促が止まるだけでなく、返済も一時的にストップするため、その期間を利用して専門家への費用を準備したり、生活再建に向けた計画に集中したりする余裕が生まれます。

知っておくべきデメリット

信用情報機関に登録される

個人再生を利用する最大のデメリットは、信用情報機関に事故情報が登録される、いわゆる「ブラックリストに載る」ことです。これにより、一定期間は新たな借り入れやクレジットカードの利用ができなくなります。

登録期間は信用情報機関によって異なりますが、おおむね5年から7年程度です。この期間中は、住宅ローンや自動車ローンなどの各種ローンを組むことや、新たにクレジットカードを作成することは極めて困難になります。現在利用中のカードも強制的に解約されます。長期間にわたり信用取引が制限されるため、現金中心の生活設計が必要になることを理解しておく必要があります。

官報に氏名・住所が掲載される

個人再生の手続きを行うと、国の広報誌である官報に氏名や住所が掲載されます。これにより、第三者に債務整理の事実を知られるリスクがゼロではありません。

個人再生では、手続きの過程で合計3回、官報に情報が掲載されます。ただし、官報を日常的に確認しているのは金融機関など一部の専門家がほとんどであり、一般の人が目にする機会はまずありません。そのため、官報が原因で周囲に知られる可能性は極めて低いといえます。しかし、インターネット上で官報情報を検索できるサービスも存在するため、リスクが完全にないわけではない点は留意が必要です。

保証人・連帯保証人への影響

個人再生は、保証人や連帯保証人に対して深刻な影響を及ぼします。債務者本人が個人再生を申し立てると、債権者は保証人に対して借金全額の一括返済を請求します。

個人再生による債務の減額は、あくまで申立人本人にのみ適用され、保証人の返済義務はなくなりません。債務者本人の借金が5分の1に減額されても、保証人は元の借金全額から既返済分を差し引いた残額の支払いを求められます。保証人が一括で支払えない場合、保証人自身も債務整理を検討せざるを得なくなる可能性があります。

すべての債権者を平等に扱う原則上、保証人がいる債務だけを手続きから除外することはできません。そのため、手続きを始める前に必ず保証人に事情を説明し、謝罪と対応の協議を行うことが不可欠です。

一部減額されない債務がある

個人再生では多くの債務が減額対象となりますが、一部の債務は「非免責債権」と呼ばれ、一切減額されず全額を支払う必要があります。

再生計画に基づく減額後の債務とは別に、これらの非免責債権についても並行して全額を支払っていく必要があります。税金などの滞納額が多い場合、再生計画の履行が困難になる可能性があるため、事前に役所と分割納付の相談をしておくことが重要です。

減額されない非免責債権の例
  • 所得税、住民税、固定資産税などの税金(租税公課)
  • 国民年金、健康保険料などの社会保険料
  • 悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
  • 離婚に伴う養育費や婚姻費用など

個人再生を利用するための条件

将来の継続的な収入見込み

個人再生を利用するための最も重要な条件は、「将来にわたって継続的または反復して収入を得る見込みがあること」です。これは、減額された債務を3年から5年かけて分割返済していく手続きであるため、その返済能力が求められるからです。

会社員や公務員だけでなく、パート、アルバイト、個人事業主であっても、安定した収入があり、返済計画を遂行できると裁判所に認められれば、この要件を満たすことができます。逆に、無職で収入がない場合や、生活保護費のみで生活している場合は、返済原資がないと判断され、個人再生を利用することはできません。

住宅ローンを除く債務総額の上限

個人再生を利用するには、債務の総額に上限が定められています。具体的には、住宅ローンを除く債務総額が5,000万円以下でなければなりません。

この債務総額には、消費者金融からの借入、クレジットカードの利用残高、銀行カードローン、個人間の借金など、すべての無担保債務が含まれます。「住宅資金特別条項」を利用する場合、その住宅ローンの残高はこの5,000万円の計算から除外されます。債務総額が5,000万円を少しでも超える場合は、個人再生ではなく、通常の民事再生や自己破産を検討する必要があります。

過去の利用歴による制限の有無

過去の債務整理歴によっては、個人再生の利用が制限される場合があります。特に「給与所得者等再生」を選択する場合には、厳しい制限が課されます。

給与所得者等再生を利用するためには、過去7年以内に以下の決定を受けていないことが条件です。

給与所得者等再生が利用できない過去の履歴
  • 給与所得者等再生の認可決定
  • 自己破産の免責許可決定
  • ハードシップ免責の許可決定

これは、債権者の同意が不要という強力な手続きの乱用を防ぐための規定です。一方、「小規模個人再生」には、このような過去の利用歴による法的な制限期間は設けられていません。

裁判所が「返済継続可能」と判断する具体的なポイント

裁判所が再生計画を認可するにあたり、申立人が将来にわたって返済を継続できるかを厳しく審査します。その判断においては、特に家計状況の健全性と「履行テスト」の実績が重視されます。

返済継続可能と判断されるポイント
  • 健全な家計収支:提出された家計収支表から、収入に対して支出が過大でなく、毎月の返済予定額を十分に上回る余剰金が安定して確保できること。
  • 履行テストの完遂:申立て後、裁判所の指示に従い、数ヶ月間にわたって毎月の返済予定額を実際に積み立てる「履行テスト」を遅延なく行うこと。

この履行テストを一度でも怠ると、返済能力や意思がないとみなされ、再生計画が不認可となる可能性が極めて高くなります。

手続きの流れと期間・費用

専門家への相談から申立てまでの流れ

個人再生の手続きは、専門家への相談から始まり、裁判所への申立てまでに約3ヶ月から半年程度の準備期間を要します。この期間では、正確な債務調査と膨大な資料収集が中心となります。

申立てまでの準備フロー
  1. 専門家への相談・依頼:弁護士や司法書士に相談し、個人再生手続きを正式に依頼します。
  2. 受任通知の発送と督促停止:専門家が各債権者に受任通知を送り、債務者への直接の督促と返済がストップします。
  3. 債務額の確定:専門家が取引履歴を取り寄せ、利息制限法に基づき正確な債務総額を算出します。
  4. 必要書類の収集:収入証明、預金通帳の写し、財産に関する証明書など、申立てに必要な多数の書類を収集します。
  5. 家計収支表の作成:直近数ヶ月の家計状況を記録し、返済能力があることを示します。
  6. 申立書の作成・提出:すべての書類を揃え、申立書を作成して管轄の地方裁判所に提出します。

申立てから再生計画認可までの流れ

裁判所への申立て後、再生計画が認可されるまでには、法律で定められた厳格な手続きを踏みます。この期間は、裁判所や個人再生委員による審査が中心となります。

申立てから認可までの手続きフロー
  1. 個人再生手続の開始決定:裁判所が申立書類を審査し、問題がなければ手続きの開始を決定します。この際、個人再生委員が選任されることがあります。
  2. 債権の届出・確定:各債権者が裁判所に債権額を届け出て、異議がなければ最終的な債権額が確定します。
  3. 再生計画案の作成・提出:確定した債権額に基づき、具体的な返済計画(再生計画案)を作成し、裁判所に提出します。
  4. 書面決議または意見聴取:小規模個人再生では債権者による書面決議が、給与所得者等再生では意見聴取が行われます。
  5. 再生計画の認可決定:裁判所が計画案の適法性や履行可能性を最終審査し、問題がなければ認可を決定します。
  6. 認可決定の確定:認可決定が官報に公告され、2週間後に法的に確定し、手続きが完了します。

手続き全体にかかる期間の目安

個人再生は、専門家への相談から最終的な認可決定が確定するまで、全体で半年から1年程度の長期間を要するのが一般的です。

申立て準備に3〜6ヶ月、申立てから開始決定までに約1ヶ月、債権確定までに1〜2ヶ月、再生計画案の提出から認可決定までに2〜3ヶ月、そして認可決定の確定までに約1ヶ月と、各段階で時間がかかります。この期間中には履行テストも並行して行われるため、手続きを意図的に早めることは困難です。他の債務整理手続きに比べて関係者が多く、プロセスが複雑であるため、長期的な視点で臨む必要があります。

費用の内訳(裁判所・専門家報酬)

個人再生には、裁判所に納める費用と専門家に支払う報酬の2種類があり、総額で50万円から80万円程度が相場となります。費用の支払いは、専門家への依頼後に返済がストップした期間を利用して、分割で積み立てていくのが一般的です。

個人再生にかかる費用の内訳
  • 裁判所費用
  • 申立手数料(収入印紙):約1万円
  • 郵便切手代:数千円
  • 官報公告費(予納金):約1万数千円
  • 個人再生委員への報酬(予納金):約15万円~25万円(選任される場合)
  • 専門家(弁護士等)への報酬
  • 着手金・報酬金:合計で約30万円~50万円
  • 住宅ローン特則を利用する場合の追加報酬:約10万円

自己破産・任意整理との比較

自己破産との違い

自己破産と個人再生は、どちらも裁判所を介した法的な債務整理ですが、財産の処分と債務の扱い方に決定的な違いがあります。自己破産は財産を失う代わりに債務をゼロにする手続き、個人再生は財産を守る代わりに減額された債務の返済を続ける手続きです。

項目 個人再生 自己破産
債務の扱い 大幅に減額され、分割で返済 原則として全額免除される
財産の処分 原則として不要(住宅も維持可能) 一定価値以上の財産は処分される
借金の理由 浪費やギャンブルでも問われない 浪費やギャンブルは免責不許可事由に該当
職業・資格制限 なし あり(手続き期間中)
利用条件 継続的な収入が必要 支払不能状態であること
個人再生と自己破産のおもな違い

任意整理との違い

任意整理と個人再生は、どちらも債務を分割返済する手続きですが、減額の仕組みや法的強制力に大きな違いがあります。任意整理は利息カットが中心であるのに対し、個人再生は元本の大幅な減額が可能です。

項目 個人再生 任意整理
裁判所の関与 あり(法的手続き) なし(私的な交渉)
減額の対象 元本と将来利息 主に将来利息
減額幅 大幅(5分の1~10分の1) 限定的(元本は減らない)
対象債務 すべての債権者を平等に扱う 整理する債権者を選択可能
デメリット 官報掲載、保証人への請求 減額効果が小さい場合がある
個人再生と任意整理のおもな違い

個人再生が適しているケースとは

自己破産や任意整理との違いを踏まえると、個人再生は特に以下のような状況の方に適した手続きといえます。安定した収入はあるものの、任意整理では解決できないほど債務が膨らみ、かつ自己破産のデメリットは避けたいというニーズに合致します。

個人再生の利用が特に適しているケース
  • 住宅ローン返済中で、マイホームをどうしても手放したくない
  • 自己破産をすると業務に支障が出る特定の職業(警備員、保険外交員など)に就いている
  • ギャンブルや浪費が原因で、自己破産の免責不許可事由に該当する可能性が高い
  • 任意整理では返済が困難なほど、借金の元本が多額になっている方
  • 自己破産は避けたいが、守りたい高価な財産(自動車など)がある

手続き後の生活への影響

信用情報の回復までにかかる期間

個人再生の手続き後、信用情報機関に登録された事故情報(いわゆるブラックリスト)が抹消され、信用が回復するまでにはおおむね5年から7年の期間を要します。

再生計画に基づく3〜5年の返済を完済した後も、すぐに新たなローンが組めるわけではない点に注意が必要です。信用情報を回復させるには、まず再生計画で定められた返済を一度も滞納することなく完遂することが絶対条件です。

各信用情報機関の登録期間の目安
  • JICC(日本信用情報機構):契約終了後5年以内
  • CIC(シー・アイ・シー):契約終了後5年間
  • KSC(全国銀行個人信用情報センター):手続き開始決定日から7年を超えない期間

ローンやカードの新規契約について

信用情報に事故情報が登録されている期間中は、新たなローン契約やクレジットカードの作成は事実上不可能です。

住宅ローン、自動車ローン、教育ローンなどの審査には通らず、現在持っているクレジットカードも利用停止・強制解約となります。この期間中は、現金払いを基本とし、必要な場合は審査不要のデビットカードプリペイドカードで代用することになります。

なお、事故情報が抹消された後でも、個人再生の対象となった金融機関やそのグループ会社には、社内情報として記録が残り続ける(いわゆる社内ブラック)可能性があります。そのため、新規契約を申し込む際は、過去に迷惑をかけていない別の金融機関を選ぶのが賢明です。

家族や勤務先への影響は限定的

個人再生をしても、その影響が家族や勤務先に及ぶことは非常に限定的です。保証人になっていない限り、家族の財産や信用情報に直接的な影響が及ぶことはありません

ただし、手続きでは家計全体の状況を報告する必要があるため、同居家族(特に配偶者)の収入証明などの提出が求められることが多く、完全に秘密にして進めることは困難です。

勤務先については、個人再生を理由に従業員を解雇することは法律で禁じられているため、職を失う心配はありません。裁判所や弁護士から会社に連絡がいくことも原則としてないため、自ら話さない限り知られる可能性は極めて低いでしょう。

個人再生に関するよくある質問

家族に知られずに手続きできますか?

個人再生の手続きを家族、特に同居の配偶者に完全に秘密にしたまま進めることは非常に困難です。

個人再生は裁判所に家計全体の収支状況を詳しく報告する必要があり、その過程で配偶者の給与明細など、家族の協力が不可欠な書類の提出を求められることがほとんどです。書類集めや、再生計画が始まった後の厳格な家計管理を考慮すると、隠し通すことには限界があります。借金問題は一人で抱え込まず、専門家に相談の上で適切なタイミングで家族に打ち明け、協力を得ることが再生を成功させるための近道です。

個人事業主が利用する際の注意点は?

個人事業主が個人再生を利用する場合、会社員とは異なる特有の注意点があります。特に、事業の継続性と収入の安定性を裁判所に認めてもらうことと、事業用資産の正確な評価が重要になります。

収入に波がある個人事業主は、過去の確定申告書や帳簿をもとに、将来にわたり返済を継続できることを客観的に示す必要があります。また、事業用の機材や在庫、車両などもすべて清算価値の評価対象となるため、これらの資産価値が高いと返済額が増加する可能性があります。さらに、仕入先への買掛金なども整理対象となるため、取引先に知られて事業継続に影響が出るリスクも考慮しなければなりません。

自動車ローン返済中の車はどうなりますか?

自動車ローンを返済中の車がどうなるかは、ローンの契約内容、特に「所有権留保」の有無によって決まります。多くの場合、ローンを完済するまで車の所有権はローン会社やディーラーに留保されています。

この所有権留保が付いている場合、個人再生を申し立てると、ローン会社は契約に基づき車を引き揚げてしまうのが一般的です。自動車ローンだけを特別扱いして返済を続けることは、債権者平等の原則に反するため認められません。

一方、銀行のマイカーローンなどで所有権がすでに本人名義になっている場合は、車が引き揚げられることはありません。ただし、その車の査定額が一定以上(一般的に20万円超)の場合、財産として清算価値に計上され、返済総額が増える要因となります。

税金や社会保険料も減額対象ですか?

いいえ、税金(所得税、住民税など)や社会保険料(年金、健康保険料など)は、個人再生の手続きを行っても一切減額されません。これらは「非免責債権」と呼ばれ、法律上、支払い義務が免除されない特別な債権です。

滞納している税金や社会保険料は、個人再生で減額された借金の返済とは別に、全額を支払う必要があります。もし滞納を放置していると、給与や預金口座を差し押さえられるリスクがあり、そうなると再生計画の遂行が不可能になってしまいます。そのため、個人再生を申し立てる前に、必ず役所の窓口で分割納付の相談をしておくことが極めて重要です。

まとめ:個人再生の債務減額は2つの基準で決まる

個人再生における返済総額は、債務総額に応じた「最低弁済額」と、所有財産の価値である「清算価値」を比較し、より高い方の金額になるのが基本です。つまり、不動産や保険などの財産が多ければ多いほど、債務の減額幅は小さくなる傾向にあります。また、給与所得者等再生を選択した場合は、さらに「可処分所得の2年分」という基準も加わり、返済額が増える可能性があります。ご自身の状況でどの程度の減額が見込めるかを知るには、まず債務と財産の現状を正確に把握することが第一歩です。しかし、財産の評価や最適な手続きの選択には専門的な判断が不可欠となります。正確な見通しを立て、手続きを円滑に進めるためにも、まずは弁護士などの専門家に相談し、具体的な状況を診断してもらうことをお勧めします。

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