人事労務

労働審判を申し立てられたら?企業側が準備すべき書類と手続きの流れを解説

catfish_admin

従業員から労働審判を申し立てられ、裁判所から届いた呼出状を前に、短期間で何を準備すべきかお困りではないでしょうか。労働審判は迅速に手続きが進むため、特に答弁書や証拠書類といった提出書類の準備は、初動対応の中でも極めて重要となります。この記事では、労働審判の手続きの流れを追いながら、企業側(使用者側)が準備・提出すべき書類の種類、書き方のポイント、そして対応上の注意点までを網羅的に解説します。

目次

労働審判とは?通常の裁判(訴訟)との主な違い

労働審判は、解雇や未払い賃金など、個々の労働者と企業の間のトラブルを、迅速、公正、かつ実情に即して解決するために設けられた法的手続きです。裁判官と労働問題の専門家が間に入ることで、話し合いによる円満な解決を目指します。

比較項目 労働審判 通常訴訟
審理期間 原則3か月以内(平均約90日) 1年以上かかることも多い
期日の回数 原則3回以内 制限なし(長期化しやすい)
公開性 非公開が原則 公開が原則
担当者 裁判官1名、労働審判員2名 裁判官のみ
解決方法 調停(話し合い)が中心 判決(白黒つける)が中心
柔軟性 解決金の調整など柔軟な解決が可能 法的判断に基づく画一的な解決になりやすい
労働審判と通常訴訟の主な違い

迅速な解決を目指す手続き

労働審判の最大のメリットは、その迅速性にあります。通常の民事訴訟では判決まで1年以上かかることも珍しくありませんが、労働審判は原則3回以内の期日で審理を終えることが法律で定められています。申立てから終了までの平均審理期間は約90日と、非常にスピーディーです。これは、第1回期日までに労使双方が主張と証拠をすべて提出するという運用が徹底されているためです。紛争が長期化すると労働者の生活は困窮し、企業の負担も増大します。労働審判は、紛争の長期化による消耗を防ぎ、早期の再出発を可能にするための有効な制度です。

専門家(労働審判員)が関与する

労働審判は、裁判官1名と労働審判員2名で構成される「労働審判委員会」が審理を担当します。労働審判員は、労働関係の専門的な知識と経験を持つ民間人から任命され、通常は労働者側の視点を持つ者と使用者側の視点を持つ者が1名ずつ選ばれます。これにより、法律論だけでなく、現場の実情や労使慣行を踏まえた、多角的な視点での審理が実現します。

専門家が関与するメリット
  • 労使双方の立場を理解した、公平でバランスの取れた判断が期待できる。
  • 業界特有の慣行や複雑な賃金体系など、専門的な事柄にも精通している。
  • 法律的な勝ち負けだけでなく、実情に即した妥当な解決案が提示されやすい。

原則非公開で行われる

通常の裁判が公開の法廷で行われるのに対し、労働審判は原則非公開で進められます。これは、当事者のプライバシーを保護し、オープンな話し合いを促進するためです。非公開であることにより、労使双方は外部の目を気にすることなく、本音で話し合い、譲歩案を検討しやすくなります。企業にとっては、社内の情報や紛争内容が外部に漏れるリスクを抑え、ブランドイメージを守ることにも繋がります。

調停による柔軟な解決が中心

労働審判は、判決で白黒をつけることよりも、調停(話し合い)による円満な解決を最優先します。労働審判委員会は、双方の主張を聞いた上で、実情に合った調停案を提示し、合意形成を促します。判決では「解雇は有効か無効か」といった二者択一の判断になりがちですが、調停であれば、解決金の支払いや退職条件の調整など、当事者のニーズに応じた柔軟な内容で合意することが可能です。実際に、労働審判事件の多くが調停成立によって解決しています。成立した調停は、確定判決と同じ法的効力を持ち、合意内容が守られない場合は強制執行も可能です。

労働審判の手続きの流れと書類提出のタイミング

ステップ1:申立てから第1回期日の指定・呼出状の受領

労働審判は、労働者が地方裁判所に「労働審判手続申立書」を提出することで開始されます。申立書が受理されると、裁判所は担当の労働審判委員会を組織し、原則として申立てから40日以内に第1回期日を指定します。企業側には、裁判所から「呼出状」と「申立書副本」が郵送されます。呼出状には期日の日時と場所、そして答弁書の提出期限が記載されており、この期限は非常に短期間であるため、受領後すぐに準備に着手する必要があります。

ステップ2:答弁書・証拠書類の準備と提出

企業側は、指定された期限(通常は第1回期日の1週間前程度)までに「答弁書」を裁判所に提出する義務があります。答弁書には、申立書に書かれた内容に対する認否(認めるか、否認するか)と、企業側の法的な主張を具体的に記載します。労働審判は短期決戦のため、この最初の答弁書で主張のすべてを出し尽くす必要があります。主張を裏付ける証拠書類(雇用契約書、就業規則、タイムカード、メールなど)も、この時点で全て揃えて提出するのが原則です。

ステップ3:第1回期日での審理と調停の試み

第1回期日は、労働審判において最も重要な事実上の天王山です。通常1〜2時間程度で、当事者双方から直接事情を聴き(審尋)、争点を整理します。委員会は、提出された書面と当日の審尋内容から、その場で一定の心証(事件の見通し)を形成します。その後、多くの場合、委員会から具体的な調停案が提示され、合意に向けた話し合いが行われます。この第1回期日だけで調停が成立し、手続きが終了するケースも少なくありません。

ステップ4:第2回・第3回期日と審判(または調停成立)

第1回期日で調停が成立しない場合、第2回、第3回の期日が設定されます。これらの期日では、主に第1回期日で示された委員会の心証を基に、解決金の金額や和解条項など、より具体的な条件交渉が進められます。3回以内の期日を経ても調停による合意に至らない場合、委員会は審理を終結し、「労働審判」を言い渡します。これは、委員会が下す最終判断であり、判決とは異なる性質を持つものの、迅速な解決を目的とした法的判断です。

ステップ5:異議申立てと訴訟への移行

労働審判の結果に不服がある当事者は、審判書を受け取った日から2週間以内に「異議申立て」ができます。適法な異議申立てが行われると、労働審判はその効力を失い、事件は自動的に通常訴訟へ移行します。この場合、労働審判の申立て時に訴訟が提起されたものとみなされ、第一審として改めて審理が始まります。もし、2週間以内に双方から異議申立てがなければ、労働審判は確定し、「裁判上の和解」と同一の効力を持ちます。

労働審判で企業側(使用者側)が提出すべき書類一覧

答弁書

答弁書は、労働者の申立てに対し、企業の反論を正式に表明する最重要書類です。申立書に記載された事実関係を一つひとつ検討し、「認める」「否認する」「知らない(不知)」を明確にします。単に反論するだけでなく、企業が認識している事実経過や、解雇や懲戒処分などが適法であったことの法的根拠を、論理的に記載する必要があります。労働審判では後から主張を追加する機会はほとんどないため、最初の答弁書で全ての主張を網羅することが極めて重要です。

証拠説明書

証拠説明書は、提出する各証拠書類が「どのような内容で」「何を証明するためのものか(立証趣旨)」を一覧表にまとめた目録です。この書類があることで、労働審判委員会は膨大な証拠の中から重要なポイントを効率的に把握できます。企業側にとっても、主張と証拠の関係を整理し、立証計画を明確にする上で役立ちます。証拠の重要性を的確に伝えるため、立証趣旨を分かりやすく記載することが求められます。

証拠書類(雇用契約書、就業規則、勤怠記録など)

証拠書類は、企業の主張が客観的な事実であることを裏付けるための物的な資料です。記憶よりも記録が重視されるため、その重要性は計り知れません。

主な証拠書類の例
  • 労働条件に関する書類: 雇用契約書、労働条件通知書
  • 社内規程: 就業規則、賃金規程、退職金規程
  • 勤怠・給与に関する書類: タイムカード、出勤簿、業務日報、賃金台帳
  • 人事評価に関する書類: 人事考課シート、面談記録
  • 問題行動に関する書類: 始末書、顛末書、警告書、指導記録
  • コミュニケーション記録: 業務上のメール、チャット履歴、録音データ
  • その他: 関係者の陳述書、診断書

委任状(弁護士に依頼する場合)

弁護士に代理人として労働審判の対応を依頼する場合、企業が弁護士に手続きを委任したことを証明する委任状が必要です。委任状には、代理人として委任する権限の範囲(和解交渉や調停合意の権限など)を明記し、会社の代表者が記名・押印します。これを裁判所に提出することで、弁護士が企業の代理として正式な活動を行えるようになります。

代表者事項証明書(登記事項証明書)

代表者事項証明書は、会社の正式名称、本店所在地、代表者の氏名などを公的に証明する書類で、一般的に「会社の登記簿謄本」と呼ばれるものです。当事者である法人が実在し、代表権を持つ人物が誰であるかを裁判所が確認するために提出が求められます。通常、発行から3か月以内のものを法務局で取得して提出します。

【書類別】主要な提出書類の書き方と準備のポイント

答弁書の記載事項と作成のポイント

答弁書は、労働審判の行方を左右する極めて重要な書面です。作成にあたっては、以下の点を網羅し、論理的かつ分かりやすく記述することが求められます。

答弁書の主な記載事項
  • 請求の趣旨に対する答弁: 労働者の請求を棄却する旨の判断を求める宣言部分。
  • 請求の原因に対する認否: 労働者が主張する事実関係一つひとつに対する、認める・否認する・知らない、の明確な回答。
  • 企業側の主張: 企業の措置(解雇など)が正当である理由を、時系列に沿って具体的に記述。感情的な表現は避け、客観的な事実を積み重ねる。
  • 交渉経緯: 審判に至るまでの労働者との話し合いの経緯。企業の誠実な対応を示す。

安易に事実を認めると、後から覆すことが困難な「裁判上の自白」とみなされるため、認否は特に慎重に行う必要があります。

証拠説明書の役割と記載方法

証拠説明書は、提出する証拠の価値を委員会に的確に伝えるための「案内図」です。記載する際は、以下の項目を正確に記述します。

証拠説明書の主な記載項目
  • 証拠番号: 企業側は通常「乙第1号証」「乙第2号証」のように番号を振る。
  • 証拠の標目(名称): 「雇用契約書」「〇年〇月分タイムカード」など、内容が分かる名称。
  • 作成者・作成年月日: 書類の作成者や日付を記載。
  • 立証趣旨: 最も重要な項目。その証拠で何を証明したいのかを簡潔に説明する。「解雇理由となった服務規律違反の事実を立証するため」など。

立証趣旨を明確にすることで、委員会は証拠のどこに注目すべきかを理解しやすくなり、審理がスムーズに進みます。

主張を裏付ける証拠書類の収集と整理の仕方

証拠の有無が結論を大きく左右するため、網羅的な収集と適切な整理が不可欠です。以下の手順で進めることが効果的です。

証拠収集・整理の手順
  1. 網羅的な収集: 人事部だけでなく、現場の上司や関係部署からも関連資料をすべて集める。メールやチャット履歴などの電子データも含む。
  2. 時系列での整理: 収集した資料を日付順に並べ、事件の発生から申立てまでの流れを可視化する。
  3. 主張との紐づけ: 各証拠が、答弁書のどの主張を裏付けるものなのかを明確に対応させる。
  4. 証拠のラベリング: 各証拠に「乙第〇号証」と番号を振り、証拠説明書と一致させる。重要な箇所には付箋やマーカーで印をつける。
  5. プライバシー・秘密情報への配慮: 事件に無関係な第三者の個人情報や、企業の営業秘密が含まれる場合は、黒塗り(マスキング)などの適切な処理を施す。

労働審判における企業側の対応ポイントと注意点

答弁書の提出期限を厳守する

労働審判では答弁書の提出期限厳守が絶対です。委員会は、期日前に双方の書面を読み込み、争点や心証をある程度固めた上で期日に臨みます。期限に遅れると、企業の反論が十分に検討されないまま審理が始まり、著しく不利な状況に陥ります。また、期限を守らない姿勢は心証を悪化させる要因にもなります。万が一、やむを得ない事情で間に合わない場合でも、必ず事前に裁判所へ連絡し、まずは簡単な内容だけでも提出するなど、誠実な対応を心がけるべきです。

主張は客観的な証拠に基づいて行う

労働審判の場では、感情的な非難や主観的な主張はほとんど意味を持ちません。委員会を説得できるのは、客観的な証拠に裏付けられた事実だけです。「勤務態度が悪かった」という主張ではなく、「〇月〇日の〇時に無断離席したことを示す監視カメラ映像」や「再三の指導にも改善が見られなかったことを示す指導記録」といった具体的な証拠を提示することが重要です。日頃から労務管理に関する記録を書面やデータで残しておくことが、いざという時の防御策となります。

期日に出席する担当者を選定し、想定問答を準備する

第1回期日には、①事件の経緯を最もよく知る人物(例:直属の上司)と、②その場で和解などの決定ができる決裁権者(例:人事部長や役員)の双方が出席することが理想です。当日は委員会から事実関係について詳細な質問があるため、伝聞でしか知らない担当者では対応できません。また、調停案が提示された際に即断できないと、有利な解決の機会を逃す可能性があります。弁護士と協力し、想定される質問への回答を準備する「想定問答」を作成し、事前にリハーサルしておくことが極めて重要です。

感情的な対立を避け、事実関係を冷静に整理する

労働審判は、相手をやり込める場ではなく、法的な問題を整理し、合理的な解決を目指す手続きです。期日において、労働者本人を感情的に非難したり、声を荒らげたりすることは厳禁です。そのような態度は委員会の心証を著しく悪化させ、「話し合いによる解決が困難な企業」というレッテルを貼られかねません。相手の主張に誤りがある場合でも、冷静に、矛盾する証拠を提示して淡々と指摘する姿勢が求められます。

申立書受領後の初動対応:社内での事実確認と証拠保全の進め方

申立書を受け取ったら、直ちに以下の初動対応を開始する必要があります。迅速な対応が、その後の展開を大きく左右します。

申立書受領後の初動対応フロー
  1. 弁護士への相談: 速やかに労働問題に詳しい弁護士に連絡し、今後の対応方針について助言を求める。
  2. 社内での情報共有と調査チームの設置: 関係部署(人事、法務、現場責任者など)で情報を共有し、対応チームを組織する。
  3. 関係者へのヒアリング: 関係者の記憶が新しいうちに、客観的な事実関係を詳細に聞き取る。
  4. 証拠保全の徹底: 関連する書類や電子データが誤って破棄・消去されないよう、直ちに保全措置を講じる(PCのバックアップ、書類の確保など)。
  5. 労働者本人への接触禁止: 安易に本人と直接交渉しようとすると、かえって事態を悪化させるリスクがあるため、原則として弁護士に任せる。

労働審判の対応を弁護士に依頼するメリットと費用

弁護士に依頼するメリット

労働審判は専門性が高く、手続きも迅速に進むため、企業が単独で対応するのは困難です。弁護士に依頼することで、以下のような大きなメリットが得られます。

弁護士に依頼する主なメリット
  • 法的に的確な主張: 企業の主張を法的な観点から整理し、説得力のある答弁書や証拠を作成できる。
  • 手続きの負担軽減: 複雑な書類作成や裁判所とのやり取りを全て任せられ、担当者は本業に集中できる。
  • 有利な交渉展開: 期日当日に代理人として冷静かつ的確な発言を行い、調停交渉を有利に進めることが期待できる。
  • 精神的な安心感: 専門家が味方についているという安心感は、冷静な経営判断を支える。
  • 将来的なリスクの予防: 紛争解決だけでなく、今後の労務管理体制の改善に向けたアドバイスも得られる。

弁護士に依頼すべきかどうかの判断基準

基本的には、労働審判を申し立てられた場合は、速やかに弁護士に依頼することを強く推奨します。特に、以下のようなケースでは弁護士のサポートが不可欠です。

弁護士への依頼を検討すべきケース
  • 労働者側が弁護士を立てている場合。
  • 解雇や懲戒処分の有効性など、法的に複雑な争点が含まれる場合。
  • 請求されている金額(未払い賃金、慰謝料など)が高額である場合。
  • 主張の裏付けとなる客観的な証拠が乏しい場合。
  • 担当者に法的手続きの経験がなく、対応に不安がある場合。

弁護士費用の内訳と相場(着手金・報酬金)

弁護士費用は法律事務所や事案の難易度によって異なりますが、一般的には「着手金」と「報酬金」が中心となります。依頼前に必ず見積もりを確認することが重要です。

費用項目 内容 相場(目安)
相談料 依頼前の法律相談にかかる費用 30分5,000円~1万円(初回無料の場合もある)
着手金 依頼時に支払う費用。結果に関わらず返金されない。 20万円~50万円程度
報酬金 事件終了時に、成功の度合いに応じて支払う費用。 経済的利益の10%~20%程度
実費 交通費、郵便切手代、印紙代など、手続きで実際にかかった費用。 数万円程度
日当 弁護士が裁判所へ出頭する際に発生する費用。 1回あたり3万円~5万円程度
弁護士費用の内訳と相場(目安)

労働審判に関するよくある質問

答弁書の提出が期限に間に合わない場合、どうなりますか?

答弁書の提出期限は極めて重要です。間に合わない場合、企業の反論がないまま審理が進み、著しく不利な心証を委員会に与える危険があります。やむを得ない事情がある場合は、必ず事前に裁判所の書記官に連絡し、指示を仰いでください。無断で遅延することは絶対に避けるべきです。

弁護士なしで労働審判に対応することは可能ですか?

法律上は、企業自身で対応する「本人対応」も可能です。しかし、労働審判は短期間で専門的な判断が下されるため、実務上は極めて困難です。法的知識の不足から不用意な発言をして不利な状況を招いたり、適切な主張・立証ができなかったりするリスクが非常に高いため、労働問題に精通した弁護士に依頼することを強く推奨します。

審判の結果に不服がある場合、異議申立てはできますか?

はい、できます。審判書を受け取った日の翌日から2週間以内であれば、理由を問わず「異議申立て」が可能です。異議が申し立てられると労働審判は効力を失い、自動的に通常の民事訴訟へと移行します。ただし、訴訟は解決までさらに長期化し、費用も追加でかかるため、異議申立てを行うかは慎重に判断する必要があります。

労働審判の期日には必ず社長が出席しなければなりませんか?

必ずしも社長本人の出席が義務付けられているわけではありません。しかし、①事件の経緯を最も詳しく説明できる人物と、②その場で和解条件などを決定できる決裁権限を持つ人物の出席が不可欠です。中小企業などで社長が両方の役割を担っている場合は、社長の出席が望ましいでしょう。権限のない担当者のみが出席すると、審理が円滑に進まず、心証を損なう可能性があります。

申立て後に労働者と直接交渉して取り下げを求めることは可能ですか?

当事者間の話し合いで和解し、申立てを取り下げてもらうこと自体は可能です。しかし、一度法的手続きが始まった後に、企業側から直接接触することは、相手にプレッシャーを与えたと受け取られかねず、新たなトラブルの原因になるリスクがあります。交渉を行う場合は、必ず弁護士を代理人として通すか、弁護士に相談しながら慎重に進めるべきです。

まとめ:労働審判の呼出状を受け取ったら、迅速かつ的確な書類準備を

本記事では、労働審判を申し立てられた企業が準備すべき書類と、手続き上の注意点を解説しました。労働審判は原則3回以内の期日で結論が出る短期決戦であり、呼出状受領後の初動、とりわけ期限内に提出する答弁書と客観的な証拠書類の準備がその後の展開を大きく左右します。提出書類は答弁書だけでなく、主張を裏付ける雇用契約書、就業規則、勤怠記録などを網羅的に収集・整理し、証拠説明書を添えて提出することが求められます。期日では感情的な対立を避け、事実に基づき冷静に主張することが、労働審判委員会の心証を良好に保つ上で不可欠です。申立書を受け取ったら、まずは社内で事実確認と証拠保全を徹底し、速やかに労働問題に精通した弁護士へ相談することが、的確な対応と有利な解決に向けた第一歩となるでしょう。

Baseconnect株式会社
サイト運営会社

本メディアは、「企業が経営リスクを正しく知り、素早く動けるように」という想いから、Baseconnect株式会社が運営しています。当社は、企業取引や与信管理における“潜在的な経営リスクの兆候”を早期に察知・通知するサービス「Riskdog」も展開し、経営判断を支える情報インフラの提供を目指しています。

記事URLをコピーしました