事業運営

インフラセキュリティ診断の要点は?種類・進め方・選び方

経営リスクナビ編集部

インフラセキュリティ診断(インフラ向け脆弱性診断)は、ネットワークやサーバ、クラウドの設定・運用がサイバー攻撃に対して十分かを、経営判断や稟議に耐える形で確認したい場面で検討が必要になります。対応を先送りすると、既知脆弱性の未適用や外部接続点(VPN等)の統制不備が侵入の足がかりになり、情報漏えい・改ざん・ランサムウェア被害に直結しやすく、説明責任やレピュテーション面の不利益も増えます。たとえばPCI DSSでは少なくとも3ヶ月に1回以上の外部ネットワークスキャンが要件とされるなど、頻度設計や第三者性の要否が論点になりがちです。以下では、実施要否・範囲・進め方・委託選定の判断材料として診断の要点を示します。

目次

インフラセキュリティ診断とは

脆弱性診断としての位置付け

インフラセキュリティ診断(インフラ向け脆弱性診断)は、ネットワーク、OS、ミドルウェアなどシステム基盤(プラットフォーム)の弱点を洗い出し、悪用可能性と影響を評価して、是正(パッチ適用・設定変更・運用改善)につなげる取り組みです。Webアプリケーション診断が「アプリの設計・実装上の欠陥」を主に対象とするのに対し、インフラ診断は「OSやミドルウェアのバージョン」「ネットワーク機器の設定」「アカウント運用」など、稼働土台の設定不備や既知脆弱性に重点を置きます。

また、診断の実施・評価を担う人材としては、ネットワーク、OS、ミドルウェア、アプリケーションがセキュアに構築・運用されているかを検査し、結果を評価する脆弱性診断士のように、インフラ面とアプリ面の双方の知識を前提とする役割が想定されます(担当を分ける体制も可能です)。

診断が求められる脅威とリスク

インフラ層の弱点を放置すると、攻撃者が侵入の足がかりを得やすくなり、情報漏えい・改ざん・ランサムウェアによる暗号化など、経営インパクトの大きい被害に直結します。攻撃の入口は「公開サーバ」だけではなく、VPNなどの外部接続点、ネットワーク機器設定、認証情報(ID・パスワード)の窃取・悪用など多岐にわたります。

参照資料で整理されている「スキャン」は、攻撃者が弱点探索や侵入未遂を行う行為を含み、具体例としてプログラムのバージョン確認、サービス稼働状況の確認、ssh/ftp/telnet等へのブルートフォース(総当たり)攻撃の未遂、マルウェア感染の試みの未遂まで含まれます。このため、診断で外部からどう見えるかを把握し、不要な露出を減らすことは、侵入前段階の抑止に直結します。

また、過去に公表・修正されている脆弱性であっても、未だに悪用され続ける現実があります。例えば、2017年3月にMicrosoft社がセキュリティ更新プログラム「MS17-010」で公表した脆弱性情報は、その後も悪用が継続している旨が指摘されており、「更新プログラムが適用されない環境」が攻撃者に狙われやすいことを示します。診断は、こうした「分かっているのに残っている弱点」を可視化するための実務手段でもあります。

インフラ診断の対象と種類

診断対象はどこまで含めるか

診断対象は、インターネット境界(外部公開領域)から社内ネットワーク、サーバ群、クラウド設定、運用用端末まで、攻撃経路になり得る範囲を前提に定義します。攻撃者は侵入後に横展開(別セグメントへの移動)や出口通信(C2サーバ等)を確立しようとするため、機器単体ではなく「経路」と「権限」を含めた把握が重要です。

対象範囲を決めるときに漏れやすい観点
  • 外部公開サーバ(Web/メール等)のOS・ミドルウェアのバージョンと設定
  • ルーター、ファイアウォール、VPN機器などネットワーク機器の設定変更有無(不審変更は侵入・横展開の痕跡になり得ます)
  • 管理者が把握していない外部から内部に接続可能な経路(VPN等)の有無
  • ログ取得の有無と保存状況(侵害時に影響範囲特定ができる前提になります)
  • クラウドサービス(グループウェア等)の設定変更(メール転送等の不正設定は漏えいにつながります)

ツール診断と手動診断の違い

インフラ診断は大別すると、(1)自動ツールによる網羅スキャンと、(2)専門技術者による手動検証の組み合わせで設計します。ツール診断は既知脆弱性の棚卸しや露出確認に強く、広範囲を効率的に見られます。一方で、誤検知の精査、設定文脈(例:例外通信の必要性、運用上の制約)を踏まえた判断、複数要素が絡む欠陥の評価は、手動での裏取りが必要になります。

参照資料でも、侵入後に「どのIPアドレスが稼働しているか」を一覧化し、正規のIPスキャニングツール(例:Advanced IP Scanner)等で効率化する流れが示されています。診断でも同様に、資産の存在確認→開放ポートやサービス把握→脆弱性の当たり付け、という段階をツールで進めつつ、重要系は手動で確度を上げるのが実務的です。

クラウド・VPN・踏み台端末まで含めるべき会社の線引きはどこか

線引きは「扱う情報の重要性(機密性・完全性・可用性)」と「外部接続点の有無」で決めます。特にVPNなど外部から内部へ接続できる経路は、攻撃者が従業員と同じ正規の方法でアクセスしてくる入口になり得るため、脆弱性だけでなく認証方式(多要素認証)や接続元制限まで含めて診断対象に含めます。

また、参照資料では「システム管理者が把握していない外部接続経路(VPNなど)が存在しないか確認し、存在していた場合はログから攻撃者利用の痕跡を確認する」こと、そして痕跡の有無にかかわらず把握していない経路は即時遮断が望ましいことが示されています。したがって、

対象に含める判断が特に重要な領域
  • VPN等の入口(接続元IP、業務時間外接続、海外など意図しない接続元の有無をログで確認できること)
  • クラウドサービス設定(例:メール転送など不正な設定変更が情報漏えいにつながるため操作ログ確認を前提にすること)
  • 踏み台端末・管理用端末(端末証明書等で接続を制限する設計の有無)

端末側の接続制限としては、MACアドレスフィルタやRADIUS認証等、端末証明書等を用いた認証基盤で「社内に接続できる端末」を制限する考え方も提示されています。

広告

インフラセキュリティ診断の診断項目

ネットワークスキャンのチェック項目

ネットワークスキャンは、外部から見た攻撃面(アタックサーフェス)を把握する基本工程です。参照資料が定義する「スキャン」には、存在確認、バージョンや稼働サービスの確認、侵入未遂、マルウェア感染未遂、ssh/ftp/telnet等へのブルートフォース未遂まで含まれるため、診断側も「攻撃者がやること」を前提に観測点を揃えます。

ネットワークスキャンで最低限押さえる観点
  • 生存確認(対象IPが稼働しているか)
  • ポートスキャン(開放ポートと不要ポートの洗い出し)
  • サービス特定(稼働サービス名やバージョンの把握)
  • 認証系サービスへの総当たり耐性(アカウントロック等の運用・設定の有無)

ネットワーク設定とサーバ設定の診断項目

設定診断は、機器単体の脆弱性有無だけでなく、攻撃者が目的達成のために行う「設定変更」や「横展開」を抑止できるかを点検する観点が重要です。参照資料では、攻撃者がネットワーク機器の設定を変更する目的として、C2サーバへの通信確立、異なるネットワークセグメントへの侵入、多要素認証の回避や認証情報を利用しないVPN接続の確立が挙げられています。

ネットワーク機器(ルーター/Firewall/VPN等)の設定診断
  • ルールの最小化(不要な入口・出口通信が許可されていないこと)
  • 変更管理(設定変更日時・操作主体が追跡できること、バックアップから復元できること)
  • 不審変更時の復旧手順(バックアップ復元、難しい場合の初期化を含む判断基準)
  • VPNの不審アカウント追加や設定変更の有無(ファームウェア脆弱性悪用の可能性を踏まえ、バージョン確認と更新可否を点検)
サーバ/OS/ミドルウェアの設定診断
  • 不要アカウントや初期設定の放置の有無(管理者権限の最小化を含む)
  • パッチ適用状況(未適用が継続しやすい領域を重点確認)
  • 重要サービスの認証強化(多要素認証の適用可否、認証情報の保護)

TLS設定・管理者認証・バックアップ経路で見落としやすい診断漏れ

重大事故につながりやすいのにスコープから漏れやすいのが、(1)暗号化通信、(2)管理者権限、(3)バックアップ経路です。

暗号化通信は、参照資料で「SSL化(https)」の重要性が示されており、暗号化されていない通信は盗聴・改ざんリスクを残します。診断では「TLS/SSLを使っているか」だけでなく、プロトコルや暗号スイートの選定、証明書運用まで含めて実態を点検します。

管理者権限については、侵入後に攻撃者がドメイン管理者権限の奪取を狙う点が明記されています。特に、サービスやバッチ処理を管理者権限で常時実行している、管理者権限でのログオンが多い、といった状態は認証情報の窃取リスクを高め得るため、診断項目として扱う必要があります。

管理者アカウント保護で点検すべき運用(例)
  • 管理者アカウント利用時は専用コンピューターを用いる
  • 強固なパスワード(大文字小文字の英数字と記号を含む10字以上の推測困難な文字列)を設定する
  • ログオンに多要素認証を設定する
  • 管理者権限の利用(サービス/バッチ実行を含む)を最小限に留める
  • 定期的なドメイン管理者アカウントの棚卸と利用状況の確認を行う

バックアップは「取っているか」だけでは不十分で、世代管理や復元手順の確立、そして本番ネットワークと常時接続された状態になっていないか(同時暗号化されないか)を含めて評価します。参照資料でも、特に重要情報を保管するサーバではバックアップデータの取得、世代管理、復元までの手順が確立できていることが項目化されています。

インフラ診断の比較と基準

ペネトレーションテストとの使い分け

インフラ脆弱性診断は「広く洗い出して直す」ための活動で、ペネトレーションテスト(侵入テスト)は「攻撃者の視点で侵入可能性を確かめ、対策の有効性を検証する」活動です。参照資料でも、ペネトレーションテストは専門家が疑似攻撃を仕掛け、現状の対策の有効性をチェックできる一方、業務影響を考慮した調整や事前準備が必要で、依頼からテスト完了まで数カ月かかるのが一般的であり、即時実施できるものではない点が示されています。

そのため、まずインフラ診断で既知脆弱性と設定不備を減らし、次の段階として重要システムにペネトレーションテストを適用して、運用・監視・権限管理まで含めた実効性を確認する、という組み合わせが現実的です。

重要インフラとPCI-DSSの関連

外部基準への適合という観点では、PCI DSSが代表例です。PCI DSSでは、少なくとも3ヶ月に1回以上、認定スキャニングベンダーによる外部ネットワークスキャンが要件として定められている点が、実務上の重要な目安になります。また、重大な変更時や年に1回以上の内部ネットワークスキャン、ペネトレーションテスト等も求められます。

重要インフラ相当のシステム運用では、NISTのCyber Security Frameworkが示す「特定・防御・検知・対応・復旧」の5機能のように、技術対策だけでなく運用プロセス全体で品質を担保する設計が参照されます。参照資料では、各機能がカテゴリー・サブカテゴリーに細分化され、参考情報に従って構築することで一定以上の品質を確保できる可能性が高い旨、また参考情報としてNISTや情報処理推進機構(IPA)が提供する文献が挙げられています。

個人情報取扱い・決済・委託先接続の有無で診断深度を変える判断基準

診断深度は「守るべき資産」と「止められない業務」を基準に決めます。参照資料でも、対応基準の設計にあたり、情報セキュリティの3要素であるC(機密性)・I(完全性)・A(可用性)に照らし、「どの程度重要な情報資産が危険にさらされるか」「完全性が損なわれるか」「どの程度の時間システム停止が可能か」を検討して重要度を決めるべきとされています。

診断を深くすべき条件(判断軸)
  • 個人情報や機密情報を大量に保有し、漏えい時の影響が大きい
  • 決済等の不正利用が直接的な損害につながる
  • 外部委託先の接続(VPN、踏み台端末等)があり、責任境界と出口・入口の統制が重要
  • 可用性要求が高く、停止できないため事前に緩和策や切り戻しを用意する必要がある
広告

インフラセキュリティ診断の進め方

実施フローと社内準備の要点

診断を安全に進めるには、スコープ・影響・連絡系統を事前に確定し、監視や運用と矛盾しないように調整します。特に「スキャン」は攻撃者の活動にも含まれるため、SOC/監視部門や運用担当が誤検知・遮断・エスカレーションを起こさないよう、事前周知が重要です。

実施フロー(発注側の準備を含む)
  1. 診断スコープ確定(外部公開、VPN等の入口、重要サーバ、クラウド設定、ログ取得対象を明確化)
  2. 対象資産の棚卸(稼働IP・機器・クラウドリソース・管理者アカウントを一覧化)
  3. スケジュール設計(業務影響を踏まえ、停止可否と検証方法を決める)
  4. 事前周知(監視部門へスキャン元や実施時間帯を共有し、誤検知時の取り扱いを決める)
  5. 診断実施(ツールスキャン+重要箇所の手動検証、必要に応じてログ確認)
  6. 結果評価と是正(暫定緩和策→恒久対策→再確認の順で進める)
  7. 変更管理へ反映(設定変更の記録、バックアップ、復旧手順の整備を含める)

実施タイミングと頻度の考え方

実施タイミングは「変更イベント」と「定期サイクル」を組み合わせます。変更イベント(新規公開、OS/ミドルウェア更新、ネットワーク構成変更、クラウド移行など)では、設定不備が入り込みやすいため優先度が上がります。

また、参照資料のとおり、脆弱性が公開されるとパッチが提供され、適用時に再起動が必要な場合があるため、重要システムでは「何日以内に停止してパッチを適用するか」などの具体的対応基準をあらかじめ設計することが求められます。診断は、その基準どおりに更新・設定是正が回っているか(未適用が残っていないか)を検証する機会にもなります。

情シス・運用・法務・経営で実施前にそろえる資料と承認の進め方

稟議・承認では「技術的に必要」だけでなく、事故時の法務・レピュテーションリスク、復旧難易度、運用負荷まで含めた説明が必要です。参照資料でも、内部監査部門は経営目標の達成に役立つ改善機能を持つ部門であり、日本内部監査協会「内部監査基準」(2014年6月改訂)を参照しつつ、経営者が善管注意義務・忠実義務を果たす上で内部監査機能の重要性が述べられています。インフラ診断は、その「改善サイクル」を技術面で具体化する材料になり得ます。

事前に揃える資料(部門別)
  • 情シス/運用:ネットワーク構成図、資産台帳(稼働IP一覧)、アカウント一覧、ログ取得方針、切り戻し・緊急停止手順
  • セキュリティ:監視ルールへの影響、出口対策(Firewall/Proxyでの不正通信先遮断等)の現状、インシデント時の確認項目
  • 法務/購買:診断行為の合意、責任境界、再診断や報告会等の追加作業の扱い、委託先接続がある場合の条項整備
  • 経営:C/I/Aの観点での重要度、停止許容時間、パッチ適用に伴う再起動・停止の計画、対策未実施時の事業影響

診断サービスの選び方

認定・実績・体制の見極め方

外部委託では、ツールを回すだけの納品ではなく、誤検知精査・環境文脈の反映・改善提案まで含めた体制かが重要です。参照資料の「脆弱性診断士」像でも、ネットワーク/OS/アプリ/DBの脆弱性知識、パケット解析能力、一般的攻撃手法の理解、ペネトレーションテストやツール知識に加え、自組織のセキュリティアーキテクチャ理解や脅威情報の知識が挙げられており、診断品質は担当者の能力に依存します。

任用前提スキル 追加情報スキル
OS、ネットワーク、アプリ、データベースの脆弱性に対する知識 自組織のセキュリティアーキテクチャに関する知識
パケットレベルの解析ができる能力 新興の情報セキュリティ技術に関する知識
ペネトレーションテストやツールに関する知識 脅威情報に関する知識
一般的な攻撃手法に関する知識 防衛と脆弱性評価ツールを活用できる能力
脆弱性診断担当に求められるスキル(例)

レポート品質と優先順位付けの見方

レポートは「検出一覧」ではなく、修正計画に落とせることが重要です。参照資料が示す脆弱性ハンドリングの考え方(情報収集→技術調査→影響範囲特定→対処方法確定、場合により緩和策)に沿って、レポートにも次の要素があるかを確認します。

実務で使えるレポートの最低要件
  • 影響範囲(どの資産・どの通信経路・どのアカウントに効くか)が特定されている
  • 恒久対策(パッチ適用・設定変更)と緩和策(入口遮断・接続元制限等)が区別されている
  • 変更に伴う停止・再起動の要否が意識され、運用計画に落とし込める記述がある
  • ネットワーク機器の不審設定変更やクラウド設定変更など「侵害時に問題化しやすい論点」も確認対象に入っている

価格帯とサービスグレードの考え方

費用は、対象範囲(外部公開、内部、クラウド、VPN、踏み台端末)、重要度(C/I/A)、手動検証の深さ、報告会や再診断の有無で変わります。参照資料で示されているとおり、ペネトレーションテストは調整や事前準備を含め完了まで数カ月かかるのが一般的で、診断工数が大きくなりやすい点を前提に、目的に応じて「まず脆弱性診断で底上げ→必要部分のみ侵入テスト」とする設計も費用対効果が高いことがあります。

金額は環境差が大きく、参照資料に根拠となる価格情報がないため、本記事では数値目安は示しません。見積比較では、同じ「診断」という名称でも、(1)ツールスキャン中心か、(2)誤検知精査や手動検証を含むか、(3)再診断・報告会・是正支援まで含むか、を分解して比較することが重要です。

見積書で追加費用になりやすい範囲外作業と確認項目

追加費用は「範囲外の作業」が発生したときに起きます。スコープの曖昧さは、追加課金だけでなく、診断漏れ(重要ポイント未診断)にもつながります。

追加費用になりやすい論点(事前確認)
  • 再診断が基本料金に含まれるか(脆弱性対応後の再スキャン・再検証)
  • 侵入テスト相当の検証が含まれるか(疑似攻撃は調整・期間が必要になりやすい)
  • 報告会の有無(運用・開発への説明、質疑対応、是正計画の作成支援)
  • 診断対象の増加(稼働IPの追加判明、把握していないVPN経路の発見など)
  • ログ確認や設定復旧支援まで依頼するか(不審な設定変更があった場合のバックアップ復元・初期化判断を含む)

よくある質問

インフラセキュリティ診断は自社だけでできますか?

自社でスキャンツールを用いて診断を実施すること自体は可能です。参照資料でも、侵入後の資産把握の効率化として正規のIPスキャニングツール(例:Advanced IP Scanner)の利用が挙げられており、存在確認やポート・サービス把握は内製でも着手しやすい領域です。

ただし、診断結果の評価(誤検知の除外、悪用可能性の判定、C/I/Aに基づく優先順位付け)には、インフラ面とアプリ面の知識の両方が求められます。脆弱性診断の評価担当(脆弱性診断士のような役割)は、ネットワーク設計経験者やWeb開発経験者を配置する考え方もある一方、攻撃手法は進化し続けるため、模擬訓練等で実践スキルを高める必要がある点も示されています。規制・認証要件(例:PCI DSSの認定スキャニングベンダー要件)がある場合は、第三者性の観点から外部委託が必要になることがあります。

診断中にシステム停止のリスクはありますか?

リスクはあります。スキャンは一般に「システムへの影響がないもの」も含む一方、診断対象の実装や機器性能によっては、高負荷・応答遅延・サービス不安定化が起こり得ます。特に重要システムでは、参照資料が示すとおりパッチ適用で再起動が必要な場合があるため、診断そのものだけでなく、診断後の是正まで見据えて「停止できる時間」「切り戻し手順」「緊急停止の連絡系統」を事前に設計しておくことが重要です。

重大な脆弱性が見つかったら何から着手すべきですか?

まずは暫定的な緩和策で、攻撃経路を塞ぐことを優先します。その上で、恒久対策(パッチ適用・設定変更)を計画して実施し、再確認します。

参照資料が示す脆弱性ハンドリングの流れ(情報収集→技術調査→影響範囲特定→対処方法確定、必要に応じて緩和策)に沿って進めると、関係者間の合意が取りやすくなります。

重大脆弱性が出たときの実務手順(例)
  1. 影響範囲の特定(該当資産、該当ポート/サービス、該当アカウント、外部露出の有無)
  2. 緩和策の即時実施(入口遮断、接続元制限、VPN一時停止、出口通信制御など)
  3. 恒久対策の確定(パッチ適用、設定修正、アカウント棚卸と多要素認証の適用など)
  4. 運用反映(変更記録、バックアップ、復旧手順、ログ確認項目の更新)
  5. 再確認(再診断・再スキャン、ログでの不審活動有無の確認)

〈主要KW〉への対応で次にすべきこと

インフラセキュリティ診断は、外部公開領域だけでなくVPN等の外部接続点、ネットワーク機器設定、サーバ/OS/ミドルウェア、クラウド設定、ログやバックアップまでを「攻撃経路」として捉え、ツール診断と手動検証を組み合わせて弱点を是正につなげる取り組みです。判断の軸は、守るべき資産と業務停止制約をC(機密性)・I(完全性)・A(可用性)で整理し、どこまでをスコープに含め、どの粒度で検証するかを決める点にあります。外部基準が関わる場合は、少なくとも3ヶ月に1回以上の外部ネットワークスキャンといった要件を目安に、定期サイクルと変更イベントを組み合わせた計画に落とし込みます。次アクションとしては、まず資産棚卸(稼働IP、クラウドリソース、管理者アカウント)と外部接続経路(VPN等)の把握、ログ取得・保存の前提整備を行い、運用・法務・購買・経営を含む承認観点(責任境界、追加作業、停止計画)を揃えて委託要件に反映させることが現実的です。個別環境での最適解は異なるため、重大システムや委託先接続がある場合は、診断結果の評価と是正計画について専門家の助言を前提に進めることが望まれます。



Baseconnect株式会社
サイト運営会社

本メディアは、「企業が経営リスクを正しく知り、素早く動けるように」という想いから、Baseconnect株式会社が運営しています。

当社は、日本最大級の法人データベース「Musubu」において国内1200万件超の企業情報を掲げ、企業の変化の兆しを捉える情報基盤を整備しています。

加えて、与信管理・コンプライアンスチェック・法人確認を支援する「Riskdog」では、年間20億件のリスク情報をAI処理、日々4000以上のニュース媒体を自動取得、1.8億件のデータベース等を活用し、取引先の倒産・不正等の兆候の早期把握を支援しています。

記事URLをコピーしました