富士通の脆弱性診断サービス|内容・特徴・料金体系を解説
自社の情報システムに潜むセキュリティリスクへの対策は、事業継続における重要な経営課題です。多様化・巧妙化するサイバー攻撃に対し、専門家による客観的な評価の必要性を感じている担当者の方も多いのではないでしょうか。富士通の脆弱性診断サービスは、そうした課題を解決するために有効な選択肢の一つです。この記事では、富士通が提供する脆弱性診断サービスの全体像について、サービスの種類、診断内容、他社にはない強み、そして導入事例までを網羅的に解説します。
富士通の脆弱性診断サービスとは?解決できる課題
情報システムの潜在的なリスクを専門家が可視化
富士通の脆弱性診断サービスは、企業が運用する情報システムやアプリケーションに潜むセキュリティ上の弱点(脆弱性)を、高度な知見を持つ専門家が網羅的に調査し可視化するものです。クラウドやオンプレミスを問わず、現代の複雑なシステム環境には設定不備やソフトウェアの欠陥といった脆弱性が常に存在する可能性があります。これらを放置すると、悪意ある第三者による攻撃を招き、深刻な事態に発展しかねません。
本サービスでは、最新の攻撃手法を熟知した専門家が、診断ツールによる自動検査と手動診断を組み合わせて調査します。機械的なスキャンだけでは発見が難しい脆弱性も、攻撃者の視点で徹底的に洗い出します。
- 不正アクセスによる機密情報や個人情報の漏洩
- ランサムウェアなどによるシステムの停止や業務中断
- Webサイトの改ざんによるブランドイメージの毀損
- サプライチェーン攻撃の踏み台化による取引先への被害拡大
- 上記に起因する顧客からの信頼失墜や経済的損失
診断後は、検出された脆弱性がビジネスに与える影響を具体的に評価し、優先順位を付けた対策方針を提言します。これにより、企業は自社のセキュリティレベルを正確に把握し、計画的かつ効率的にリスク対応を進めることが可能になります。
DX推進やサプライチェーン全体のセキュリティ課題に対応
デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進により、多くの企業でクラウドサービスの利用や外部ネットワークとの連携が加速しています。しかし、これは同時に攻撃対象領域(アタックサーフェス)の拡大を意味し、自社だけでなく取引先を含めたサプライチェーン全体を標的とする攻撃のリスクを高めています。セキュリティ対策が手薄な関連会社を経由して本社へ侵入する「サプライチェーン攻撃」は、一社の問題がビジネスエコシステム全体に甚大な被害を及ぼす可能性があります。
富士通は、自社システムだけでなく、パートナー企業や海外拠点を含めた広範囲なリスク評価を支援します。外部から観測可能な情報をもとにリスクを定量評価するサービスなどを通じて、サプライチェーン上の弱点を特定し、全体のセキュリティ水準向上に貢献します。
また、DXは工場の生産設備などを制御するOT(Operational Technology)と、事務系システムであるITとの連携も促進しています。これまで閉鎖的だった工場ネットワークがインターネットに接続されることで、生産ラインの停止といった物理的な損害に直結する新たな脅威が生まれています。富士通の診断サービスは、こうしたOT領域特有のプロトコルや資産構成にも対応し、スマートファクトリー化に伴うリスク管理を可能にします。
診断対象で選ぶサービスラインナップ
Webアプリケーション脆弱性診断
企業が公開するWebサイトやWebアプリケーション、およびそれらを支える基盤の脆弱性を調査するサービスです。今日のサイバー攻撃は、独自開発されたアプリケーションの不備を狙うものが多く、専門的な診断が不可欠です。富士通では「Webアタックテスト」として、Webサーバで動作するアプリケーションのセキュリティ上の欠陥を詳細に分析します。
診断では、網羅的なツールスキャンと、専門家が攻撃者の視点で擬似攻撃を試みる手動診断を組み合わせます。特に、複雑な機能や決済処理を持つサイトでは、ツールだけでは検知しにくいビジネスロジック上の欠陥を発見するために手動診断が極めて重要です。
- SQLインジェクション:データベースの不正操作
- クロスサイト・スクリプティング(XSS):悪意あるスクリプトの埋め込み
- クロスサイト・リクエスト・フォージェリ(CSRF):利用者に意図しない操作を実行させる
- セッション管理の不備:なりすましやセッションハイジャック
- 認証・認可制御の不備:権限昇格や他者情報の不正閲覧
さらに、プログラムのソースコードを直接解析する「ソースコード診断」を併用することで、開発の早い段階で脆弱性を修正する「シフトレフト」を実現し、リリース後のリスクを最小限に抑えます。診断後には、脆弱性の危険度や具体的な修正方法をまとめた報告書を提供し、迅速な対応を支援します。
ネットワーク・サーバ脆弱性診断
システムの基盤となるOS、ミドルウェア、ネットワーク機器の脆弱性を調査し、不正侵入の可能性を評価するサービスです。富士通では「アタックテストサービスエクスプレス」として提供しています。サーバの設定不備や不要なサービスの稼働は、攻撃者が内部へ侵入し、被害を拡大させる足がかりとなるため、定期的な点検が不可欠です。
診断では、ポートスキャンによる稼働サービスの特定や、既知の脆弱性データベースとの照合などを行います。これにより、パッチ適用の遅れや不適切な設定といった問題点を明らかにします。
お客様の目的や予算に応じて、柔軟なプラン選択が可能です。
| プラン名 | 主な診断手法 | 特徴 |
|---|---|---|
| ベーシックプラン | 自動診断ツール | 費用を抑え、既知の脆弱性を効率的に洗い出す定期的なチェックに最適 |
| スタンダードプラン | 自動診断ツール+専門家による手動精査 | ツール結果を専門家が分析し、誤検知を除外してリスクを正確に評価 |
| アドバンストプラン | 上記に加え、ペネトレーションテスト | 検出された脆弱性を利用して実際に侵入を試み、現実的な脅威を実証 |
これらの診断により、外部からの攻撃耐性だけでなく、万が一侵入された際の被害拡大リスクも具体的に把握できます。
スマートフォンアプリケーション脆弱性診断
AndroidやiOS上で動作するアプリ本体と、アプリが通信するサーバ側の両面から脆弱性を調査するサービスです。スマートフォンアプリは利用者の端末にインストールされるため、プログラムを解析される「リバースエンジニアリング」により、内部ロジックや機密情報が漏洩するリスクがあります。
富士通では、静的解析と動的解析を組み合わせて、アプリ特有のセキュリティ問題を可視化します。
- 静的解析:アプリの実行ファイルやソースコードを解析し、パスワード等の機密情報のハードコーディングや不適切な権限設定などを確認します。
- 動的解析:アプリを実際に動作させ、サーバとの通信内容を傍受・改ざんすることで、サーバ証明書の検証不備や通信の暗号化不足などを調査します。
診断結果は、実際の攻撃シナリオに基づいたリスク評価と共に報告され、開発者が修正を行うための具体的な指針が提供されます。アプリのリリース前や大規模アップデート時に本診断を実施することで、利用者の信頼を確保し、ブランドイメージを守ることにつながります。
IoT・制御システム(OT)向け診断
工場の生産ラインや社会インフラを支えるOT(Operational Technology)環境に特化したセキュリティ診断です。OTシステムは、可用性が最優先される、独自の通信プロトコルや特殊な機器で構成されるなどの特性があり、一般的な診断手法を適用すると稼働に影響を及ぼす危険があります。
富士通は、これらの特性を十分に考慮し、稼働中の設備に影響を与えない非破壊的な手法で、OT資産の把握とリスク分析を実施します。
- ネットワークに接続されている全てのデバイスや通信状態の把握
- レガシーOSなど、サポートが終了したシステムの特定
- 外部媒体の持ち込みルールなど、物理的・運用的な対策状況の確認
- 経済産業省の「工場システムにおけるサイバー・フィジカル・セキュリティ対策ガイドライン」等への準拠状況
診断結果は、現在の対策状況のスコア化に加えて、工場のDXを安全に進めるためのネットワーク将来像や、段階的な対策ロードマップの策定支援にもつながります。物理的な被害に直結しうるOTシステムへの攻撃に対し、本診断は事業継続計画の重要な要素です。
富士通の脆弱性診断が選ばれる3つの強み
特徴1:高度な専門知識を持つセキュリティ専門家による高精度な診断
富士通の最大の強みは、サイバーセキュリティの第一線で活躍する経験豊富な専門家が高精度な診断を実施する点です。診断技術者は、国家資格である「情報処理安全確保支援士」をはじめ、国際的に評価の高い専門資格を多数保有しています。
- OSCP (Offensive Security Certified Professional):実践的なペネトレーションテスト技術を証明する国際資格
- CISSP (Certified Information Systems Security Professional):情報セキュリティに関する包括的な知識とスキルを証明する国際資格
専門家は、最新の攻撃トレンドを熟知しており、ツールだけでは検知できないビジネスロジックの不備や、複数の脆弱性を組み合わせた高度な攻撃シナリオを見抜くことができます。20年以上にわたり、金融機関や官公庁を含む2,000社以上のお客様を支援してきた豊富な実績とノウハウが、診断の品質を支えています。
特徴2:最新の脅威情報とグローバルな知見を反映した診断項目
サイバー攻撃の手法は日々進化しており、診断内容も常に最新の脅威に対応している必要があります。富士通は、自社の研究機関である「サイバーセキュリティラボ」などが収集する脅威情報や、世界的な動向をリアルタイムで診断項目に反映させています。
特に、世界的に実績のあるQualys社の脆弱性マネジメント基盤を活用している点が大きな特徴です。Qualys社の診断情報は毎日更新されており、世界最高水準の検知技術を日本のビジネス環境に合わせて提供します。
さらに、攻撃者の視点で外部公開資産を継続的に監視するASM(Attack Surface Management)の考え方を導入し、公開情報分析(OSINT)も活用します。これにより、ダークウェブでの情報漏洩やサプライチェーン上のリスクなど、従来の診断ではカバーしきれなかった外部の脅威にも対応します。
特徴3:診断から対策支援まで一貫したサポート体制
富士通のサービスは、脆弱性の発見・報告だけで終わりません。システムインテグレーターとしての豊富な経験を活かし、診断から対策、そして継続的な運用改善までを一貫してサポートします。
- 脆弱性の具体的な修正方法(設定変更、コード修正案など)の提案
- 対策が正しく実施されたかを確認する「再診断」の提供
- 脆弱性管理プロセスの定着化やセキュア開発体制の構築支援
- PCI DSSや各種ガイドラインなど、業界特有の規制への準拠支援
- インシデント対応体制(CSIRT)の構築や強化に関するコンサルティング
技術的な「点」の診断を、組織全体のセキュリティ強化という「線」や「面」の対策へとつなげる包括的なサポート力が、多くのお客様に選ばれる理由です。
導入事例から見る課題解決の効果
【事例】大手製造業:サプライチェーン全体のセキュリティレベル向上
国内外に数百社のサプライヤーを持つある大手製造業では、自社のセキュリティ対策は進める一方、サプライチェーン全体の状況を把握できていないことが経営課題でした。取引先の脆弱性を突いた攻撃による生産停止リスクへの対策が急務となっていました。
そこで富士通は、公開情報からセキュリティリスクを評価するサービスを導入。サプライヤー各社のシステムに直接アクセスすることなく、短期間でサプライチェーン全体のリスクを可視化しました。評価の結果、特にリスクの高い拠点が明確になり、同社は具体的な是正勧告と富士通による対策支援を実施。これにより、ビジネスエコシステム全体のセキュリティレベルが向上し、サイバー攻撃による操業停止リスクを大幅に低減できました。
【事例】金融機関:新規サービス開発における脆弱性の早期発見と対策
ある大手金融機関では、新規モバイルバンキングサービスの開発において、高度な安全性と開発スピードの両立が課題でした。リリース後に脆弱性が発見されれば、顧客の資産と企業の信頼に致命的な影響を与えかねません。
富士通は、開発の設計段階から関与し、リリース直前にWebアプリケーションとスマートフォンアプリの脆弱性診断を実施。専門家による手動診断の結果、ツールでは発見困難なロジック上の深刻な不備を早期に発見しました。即座に具体的な修正コード案を提示し、開発チームと連携して短期間で修正と再診断を完了。これにより、同機関は予定通り、極めて安全性の高いサービスを開始することができ、不正送金などの事故を未然に防ぎました。
診断結果を自社のセキュリティ強化に活かすポイント
脆弱性診断の効果を最大化するには、結果を組織の改善活動に繋げることが重要です。
- リスクの優先順位付け:検出された全ての脆弱性への即時対応は困難です。ビジネスへの影響度と攻撃の実現可能性から、対応の優先順位を明確にします。
- 根本原因の分析:発見された脆弱性は、開発プロセスや運用体制の不備が原因であることも少なくありません。根本原因を特定し、再発防止策を講じます。
- 継続的なプロセス改善:診断を一度きりのイベントで終わらせず、結果を開発・運用ルールにフィードバックし、組織全体のセキュリティレベルを継続的に向上させます。
サービス提供のプロセスと流れ
- ステップ1:ヒアリングと診断対象・範囲の確定
お客様のシステム環境やビジネス要件をヒアリングし、診断の背景や目的を共有します。Webサイトの画面数やサーバのIPアドレス数などを基に、診断対象の範囲を明確に定義します。
- ステップ2:専門家による脆弱性診断の実施
- ステップ3:診断結果の報告とリスク分析
- ステップ4:具体的な対策の提案と改善支援
合意したスケジュールに基づき、専門家が診断を開始します。ツールによる網羅的なスキャンと、攻撃者の視点に立った手動診断を組み合わせて、潜在的なリスクを徹底的に洗い出します。
検出された脆弱性がビジネスに与える実害を評価・分析します。技術的な詳細だけでなく、経営層にも理解しやすいよう、リスクの優先順位を明確にした報告書を作成し、報告会で丁寧に解説します。
発見された脆弱性に対し、設定変更やコード修正案など、現場の担当者がすぐに対応できるレベルの具体的な改善策を提案します。対策後の再診断や、再発防止に向けた体制構築の支援も行います。
料金体系と問い合わせ方法
診断対象や規模に応じた個別見積もりの基本方針
富士通の脆弱性診断サービスは、お客様のシステム構成や診断範囲に応じて料金を算出する個別見積もりを基本としています。Webアプリケーションの画面数やサーバのIPアドレス数、診断の深度(ツールのみ、手動診断を含む等)といった要素を基に、最適なプランと適正な価格を提示します。
定期的なチェックから新規サービスのリリース前診断まで、お客様の予算とセキュリティ要件に応じた柔軟なプランニングが可能です。投資対効果を最大化できるよう、守るべき資産の重要度に基づいた最適な提案を行います。
Webフォームからの問い合わせと見積もり取得の流れ
サービスに関するご相談や見積もりのご依頼は、公式サイトの専用フォームまたはお電話にて承ります。
- 問い合わせ:公式サイトのWebフォームに、診断の種類や対象システムの概要などを入力し、送信します。
- 担当者からの連絡:数営業日以内に担当者から連絡があり、ヒアリングの日程を調整します。
- ヒアリングと提案:お客様の課題を詳しくお伺いし、診断範囲や手法を盛り込んだ提案書と見積書を提示します。
- 発注・準備:提案内容にご納得いただけましたら正式に発注いただき、診断実施に向けた準備を開始します。
診断の依頼前に整理しておくべき情報
お問い合わせの前に以下の情報を整理いただくと、その後のプロセスがスムーズに進みます。
- 診断対象のURL一覧、IPアドレス一覧、およびその用途
- ファイアウォールなど、既存セキュリティ機器の構成情報
- 診断を希望される時期や報告書の提出期限などのスケジュール要件
- 診断対象システムに関する資料(構成図、画面遷移図など)
脆弱性診断と合わせて検討したい関連サービス
脆弱性管理サービス(Qualys Cloud Platform活用)
脆弱性診断が特定時点での「点」のチェックであるのに対し、脆弱性管理サービスは、多様なIT資産の脆弱性を継続的に監視・管理する「線」の対策です。富士通は、世界最高水準の検知技術を持つQualys社のプラットフォームを活用し、日々発見される新たな脆弱性(ゼロデイ脆弱性)にも迅速に対応できる環境を提供します。
検出された脆弱性はダッシュボードで一元的に可視化され、深刻度に応じて対応の優先順位を自動で判断できます。これにより、情報システム部門は膨大な資産の中から今すぐ対処すべきリスクを効率的に特定し、対策漏れを防ぎます。日常的な運用プロセスに脆弱性管理を組み込むことで、組織のセキュリティ体制を恒常的に高いレベルで維持できます。
セキュリティコンサルティングサービス
技術的な脆弱性対策だけでなく、組織全体のセキュリティガバナンスやリスクマネジメント体制の強化を支援するサービスです。診断結果を経営課題として捉え、実効性のあるセキュリティ戦略の策定から実行までをサポートします。
- 経営戦略と連動した情報セキュリティポリシーの策定・見直し
- リスクアセスメントと管理体制(フレームワーク)の構築
- 金融業界のFISC安全対策基準や工場向けのセキュリティガイドラインなど、各種規制への準拠支援
- インシデント対応体制(CSIRT)の構築・運用支援や演習の実施
- 全従業員を対象としたセキュリティ意識向上トレーニングの企画・実行
脆弱性診断で見つかった課題を起点に、組織の文化や制度へと対策を広げ、持続可能で強固なセキュリティ基盤を構築します。
まとめ:自社の状況に合わせた最適な診断で、セキュリティリスクを可視化
本記事では、富士通が提供する脆弱性診断サービスの全体像を解説しました。WebアプリケーションからIoT/OTシステムまで幅広い対象に対応し、高度な専門知識を持つ技術者が高精度な診断を実施する点が大きな特徴です。単に脆弱性を発見するだけでなく、最新の脅威情報を反映した診断項目と、対策支援まで一貫したサポート体制により、企業のセキュリティレベルを本質的に向上させます。
脆弱性診断の導入を検討する際は、まず自社が抱えるセキュリティ課題がどの領域(Web、ネットワーク、サプライチェーンなど)にあるのかを明確にすることが第一歩です。その上で、本記事で紹介したサービスラインナップや導入事例を参考に、自社の状況に最適な診断プランを検討することが重要です。具体的な相談や見積もりについては、公式サイトから問い合わせることで、専門家による詳細な提案を受けることができます。

