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早期経営改善計画策定支援事業の申請ガイド|補助金対象と計画策定の要点

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資金繰りに不安を抱え、専門家の支援を得て経営改善を図りたいものの、費用負担がネックとなっている中小企業経営者の方は少なくないでしょう。国の早期経営改善計画策定支援事業は、そのような課題を抱える企業が、少ない自己負担で専門家とともに経営計画を策定し、経営の健全化を目指すための制度です。本記事では、この制度の目的や対象者、具体的なメリットから申請手続きの流れまで、全体像を網羅的に解説します。

早期経営改善計画策定支援事業とは

事業の目的と支援のねらい

早期経営改善計画策定支援事業(通称:プレ405事業)は、資金繰りや採算管理に課題を抱える中小企業が、深刻な経営不振に陥る前に専門家の支援を受け、経営改善の基礎を固めることを目的としています。

経営環境の変化により売上減少や借入金増加に直面する企業にとって、早期の対策は倒産リスクを低減させる上で極めて重要です。経営が悪化してからでは打つ手が限られますが、早い段階で自社の経営を客観的に見直すことで、健全な事業継続への道筋を描くことができます。

本事業では、専門家とともに具体的な計画を策定し、経営者が経験や勘に頼った経営から脱却することを目指します。そのねらいは以下の通りです。

本事業が目指す経営体制への移行
  • 商流や収益構造の可視化:自社のビジネスモデルを正確に把握する。
  • 資金繰り計画の策定:将来の資金ショートを防ぎ、計画的な資金管理を行う。
  • アクションプランの具体化:課題解決に向けた具体的な行動計画を立てる。
  • 数値に基づく経営管理体制の構築:客観的なデータに基づいた意思決定を可能にする。

この事業は、企業が自律的な経営改善能力を身につけ、金融機関や取引先からの信頼を維持・向上させるための予防的な措置として機能します。

制度利用の対象となる事業者

本制度は、資金繰りや採算の管理に基本的な課題があり、専門家の支援を受けながら経営改善計画を策定し、実行する意思を持つ中小企業・小規模事業者を対象としています。

現時点では返済猶予(リスケジュール)などの金融支援を必要としないものの、将来の資金繰りに不安を感じている企業が主な対象となります。本格的な事業再生に着手する前の、いわば「早期診断・早期治療」の段階にある企業を支援する制度です。

対象事業者と対象外の例
  • 対象となる主な事業者:会社法上の会社(株式会社、合同会社など)、個人事業主、一定の要件を満たす医療法人など。
  • 対象外となる主な事業者:社会福祉法人、特定非営利活動法人(NPO法人)、一般社団法人、農事組合法人など。

また、創業から1年未満で決算を一度も終えていない事業者や、過去に同種の経営改善支援事業を利用した事業者は、原則として対象外となります。自社の財務状況を客観的に把握し、改善サイクルを回す意欲のある事業者が、積極的に活用を検討すべき制度です。

類似制度「405事業」との違い

本事業と類似する「経営改善計画策定支援事業(通称:405事業)」は、対象企業の経営状況の深刻度、金融支援の必要性、補助金の規模において明確な違いがあります。

405事業は、借入金返済が困難になるなど財務上の問題を抱え、金融機関の支援(返済猶予など)が不可欠な企業を対象とした、より本格的な事業再生支援です。自社の状況に応じて、適切な制度を選択することが重要です。

比較項目 早期経営改善計画策定支援事業 経営改善計画策定支援事業(405事業)
想定する企業 資金繰りに懸念があるが、金融支援は不要な企業 金融支援(返済猶予など)が不可欠な企業
金融支援の要否 原則不要 必須
補助上限額 合計最大35万円(計画策定・伴走支援・保証解除費用) 通常枠:最大300万円、中小版GL枠:最大700万円
計画の内容 資金繰り管理、採算管理など基本的な内容 抜本的な事業再生計画(DD等に基づく)
モニタリング期間 原則1年間 原則3年間
早期経営改善計画と405事業の主な違い

本事業を通じて早期に経営管理体制を整えることは、将来的に405事業のような大規模な支援が必要となる事態を回避するための有効な手段といえます。

制度利用を検討する際の留意点

本事業を有効に活用するためには、経営者自身の強い当事者意識が不可欠です。専門家に計画策定を丸投げしてしまうと、実態に合わない計画となり、実行段階で形骸化するリスクがあります。

経営改善の主体はあくまで企業自身であり、専門家は客観的な助言を提供する伴走者です。したがって、経営者は自社の課題から目をそらさず、たとえ痛みを伴う改革であっても実行する覚悟を持つ必要があります。本制度は、経営者自身が自社の財務や業務の課題と真摯に向き合うためのきっかけとなるツールと位置づけるべきです。

本事業を利用する4つのメリット

専門家の支援を費用を抑えて受けられる

本事業の最大のメリットは、税理士や中小企業診断士といった経営の専門家(認定経営革新等支援機関)の支援を、費用負担を大幅に抑えて受けられる点です。

計画策定費用および伴走支援費用の3分の2が国から補助されます。通常、専門家に経営改善計画の策定を依頼すると数十万円の費用がかかりますが、本事業を利用すれば、自己負担額を数万円から十数万円程度に抑えることが可能です。資金的に余裕のない企業でも、質の高い専門的アドバイスを経営に取り入れることができます。これにより、社内の経営管理スキルや財務リテラシーの向上も期待できます。

自社の経営課題が客観的に可視化される

専門家の第三者的な視点が入ることで、自社の経営課題や事業構造が客観的なデータとして可視化されます。経営者の経験や勘だけに頼った経営から脱却し、事実に基づいた的確な意思決定を行うための土台ができます。

計画策定の過程で、主に以下の点が明確になります。

計画策定で可視化される経営情報
  • 事業全体の構造:ビジネスモデル俯瞰図を作成し、商流や利益の源泉、コスト要因を視覚的に整理する。
  • 資金繰りの実態:資金実績表を分析し、キャッシュフロー悪化の根本原因を特定する。
  • 課題の優先順位:社内では見過ごされがちだった非効率な業務や不採算取引を洗い出す。

課題が明確になることで、限られた経営資源をどこに集中すべきかが明らかになり、経営判断の精度が飛躍的に高まります。

金融機関からの信頼性が向上する

本事業を利用して経営改善計画を策定し、その進捗を定期的に金融機関へ報告することは、金融機関からの信頼性向上に直結します。

金融機関は、融資審査において財務状況だけでなく、経営者の改善意欲や経営の透明性を重視します。専門家の支援のもとで客観的な計画を策定し、その実行状況を定期報告する姿勢は、金融機関に大きな安心感を与えます。情報の非対称性が解消されることで、良好な関係が構築され、業績が一時的に悪化した場合でも、融資の継続や追加融資などの支援を得やすくなります。本事業の活用は、自社の経営管理能力の高さをアピールする絶好の機会となります。

資金繰りの見通しが立てやすくなる

本事業では、将来の資金繰りを予測する「資金繰り表」を作成します。これにより、いつ資金が不足するかの見通しが立てやすくなり、資金ショートのリスクを未然に防ぐことができます。

会計上の利益が黒字でも、手元の現金が不足すれば「黒字倒産」に至る可能性があります。資金繰り表を作成することで、月ごとの入出金を予測し、資金が最も少なくなる時期を事前に把握できます。この予測に基づき、あらかじめ金融機関に融資を相談したり、支払いサイトの交渉を行ったりと、計画的な資金手当てが可能になります。目先の資金繰りに追われる日々から脱却し、経営者が本業の改善や将来の成長戦略に集中できる環境を整えることができます。

補助金の対象経費・補助率・上限額

計画策定支援にかかる費用

早期経営改善計画の策定を専門家に依頼する費用が補助の対象となります。補助率は対象経費の3分の2で、補助金の上限額は15万円です。

例えば、計画策定費用が総額22万5,000円の場合、その3分の2にあたる15万円が補助され、企業の自己負担は7万5,000円となります。費用総額が22万5,000円を超えた場合でも補助額は15万円が上限となり、超過分は自己負担となります。この補助金は、原則として支援を行った認定支援機関に直接支払われます。

伴走支援(モニタリング)にかかる費用

計画策定後の進捗状況を確認する「伴走支援(モニタリング)」の費用も補助対象です。補助率は計画策定支援と同じく対象経費の3分の2です。

補助上限額は、計画策定から1年後の決算期に行うモニタリングで5万円、企業の希望により期中に行うモニタリングで5万円と、それぞれ設定されています。両方を実施した場合、最大で合計10万円の補助を受けられます。モニタリングは、計画倒れを防ぎ、経営改善を確実に実行するために重要なプロセスです。また、経営者保証の解除に向けた交渉費用についても、別途上限10万円(補助率2/3)の補助制度が用意されています。

申請からモニタリングまでの流れ

ステップ1:認定支援機関への相談

本事業の利用は、国が認定した専門家である「認定経営革新等支援機関(認定支援機関)」への相談から始まります。企業単独での申請はできず、認定支援機関との連名で手続きを進める必要があります。

顧問税理士や取引金融機関が認定支援機関であるかを確認するか、中小企業庁の検索システムで自社に合った専門家を探します。専門家との面談で決算書などを示しながら現状を伝え、支援内容や費用について合意した上で、業務委託契約を締結します。

ステップ2:利用申請と計画策定

専門家との契約後、中小企業活性化協議会へ利用を申請し、承認を受けてから計画策定に着手します。

まず、メインバンクなどの金融機関に本事業の利用を伝え、「事前相談書」を発行してもらいます。その後、認定支援機関と連名で利用申請書や見積書などの必要書類を協議会へ提出します。申請が受理されると、専門家による本格的なヒアリングや分析が始まり、ビジネスモデル俯瞰図、資金繰り計画、アクションプランなどを盛り込んだ経営改善計画を策定していきます。

ステップ3:計画提出と費用支払い

策定した早期経営改善計画は、メインバンクなどの金融機関に提出します。その際、金融機関から計画書を受け取った証明として「受取書」を発行してもらいます。

計画提出後、企業は専門家へ自己負担分の費用を支払います。その後、専門家と連名で協議会に対し、計画書の写しや金融機関の受取書などを添えて「支払申請書」を提出します。書類審査を経て、補助金が認定支援機関に支払われます。

ステップ4:モニタリングと補助金申請

計画策定後、1年間にわたり専門家による定期的なモニタリングを受けます。計画の進捗状況を確認し、必要に応じて計画の見直しを行います。

計画策定から1年経過後の最初の決算期に、専門家がモニタリング結果を「伴走支援報告書」としてまとめ、金融機関にも報告します。その後、ステップ3と同様に、協議会へ伴走支援費用の支払申請を行い、審査を経て補助金が支払われます。

申請に必要な書類と計画の要点

利用申請に必要となる主な書類

本事業の利用申請には、企業の適格性や支援の妥当性を審査するため、複数の書類が必要です。専門家と連携し、不備のないように準備を進めることが重要です。

主な申請書類一覧
  • 早期経営改善計画策定支援事業利用申請書
  • 業務別見積明細書
  • 履歴事項全部証明書(法人の場合)または開業届・確定申告書の写し(個人事業主の場合)
  • 直近3期分の確定申告書一式の写し
  • 認定経営革新等支援機関の認定通知書の写し
  • 金融機関が発行する事前相談書

経営改善計画に盛り込むべき必須項目

早期経営改善計画書には、企業の現状と改善策を客観的に示すため、以下の項目を盛り込む必要があります。これらは相互に関連しており、全体として整合性のとれた計画を作成することが求められます。

計画書の必須構成項目
  • ビジネスモデル俯瞰図:商流・物流・資金の流れを可視化し、事業の全体像を把握する。
  • 資金実績表・資金計画表:過去の資金繰りを分析し、それに基づき将来の資金繰りを予測する。
  • アクションプラン:経営課題に対する具体的な改善策を「誰が・何を・いつまでに」行うか明確にする。
  • 損益計画:アクションプランを実行した場合の収益改善効果を数値で具体的に示す。

計画の実効性を高めるための社内体制のポイント

どれほど優れた計画を策定しても、実行されなければ意味がありません。計画の実効性を高めるためには、経営トップの強いコミットメントのもと、全社的に取り組む体制を構築することが不可欠です。

実効性を高める社内体制のポイント
  • 経営トップの主導:経営者自らが改善の先頭に立ち、強い意志を社内外に示す。
  • 責任者の明確化:アクションプランの各項目に担当責任者を割り当て、役割と権限を明確にする。
  • 進捗管理の仕組み化:定期的な進捗確認会議を設け、計画と実績の差異を分析し、対策を講じる。
  • 全従業員との意識共有:会社の現状と計画の目標を従業員に説明し、協力を得る。

よくある質問

認定支援機関はどのように探せばよいですか?

認定支援機関を探す主な方法は3つあります。自社の状況や相談したい内容に合わせて、最適な専門家を選ぶことが重要です。

認定支援機関の探し方
  • 中小企業庁の検索システムを利用する:地域や専門分野で絞り込み、支援機関を検索できます。
  • 取引のある金融機関に相談する:融資を受けている銀行や信用金庫に紹介を依頼します。
  • 顧問税理士・公認会計士に確認する:日頃から自社の状況を把握している顧問税理士などが認定を受けている場合があります。

申請に金融機関の事前同意は必要ですか?

融資の約束などの「事前同意」は不要です。ただし、利用申請の前に金融機関へ本事業を利用する旨を伝え、「事前相談書」を発行してもらう必要があります。

これは、計画策定に取り組む事実を金融機関と共有するための手続きです。金融支援を確約するものではないため、金融機関側も比較的スムーズに応じてくれます。この事前相談を通じて、金融機関との良好なコミュニケーションを図ることが、後の円滑な支援につながります。

補助金はいつ、どのように支払われますか?

補助金は、企業に直接支払われるわけではありません。計画策定や伴走支援が完了し、中小企業活性化協議会での審査を経た後、原則として支援を担当した認定支援機関の口座へ直接振り込まれます

企業は、専門家との契約に基づき、費用の総額から補助金額を差し引いた自己負担分を支払うか、一旦全額を支払った後に専門家から補助金相当額の返金を受けるのが一般的です。支払い方法については、契約時に専門家とよく確認しておくことが大切です。

計画未達の場合ペナルティはありますか?

計画に掲げた売上や利益の目標が未達に終わっても、補助金の返還といったペナルティは原則としてありません

本事業の目的は、目標達成そのものよりも、計画(Plan)、実行(Do)、検証(Check)、改善(Action)というPDCAサイクルを経営に定着させることにあります。計画未達の場合は、その原因を専門家とともに分析し、次の対策を立てて実行していくプロセスが重要です。ただし、虚偽の申請や報告義務の懈怠など、不正が認められた場合は補助金の返還対象となる可能性があります。

まとめ:早期経営改善計画策定支援事業で経営の土台を固める

この記事では、早期経営改善計画策定支援事業の概要、メリット、手続きの流れについて解説しました。本事業は、深刻な経営不振に陥る前の企業が、費用の大部分を国の補助で賄いながら専門家と共に経営の基礎を固める、予防的な支援制度です。専門家の客観的な視点で経営課題を可視化し、金融機関からの信頼を向上させ、資金繰りの見通しを立てられる点が大きなメリットです。利用を検討される場合は、まず顧問税理士や取引金融機関、中小企業庁の検索システムなどを通じて、自社に合った認定支援機関に相談することから始めましょう。重要なのは、計画策定の主体はあくまで企業自身であると認識し、経営者が当事者意識を持って取り組むことです。個別の判断については、必ず専門家にご相談ください。

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