手続

任意整理が失敗しても再和解でやり直せる?条件や専門家選びを法務視点で解説

catfish_admin

一度行った任意整理の返済計画が頓挫し、「もう打つ手がない」と不安を感じていませんか。予期せぬ収入減などで返済が難しくなることは誰にでも起こり得ますが、放置は危険です。このような状況でも、再び債権者と交渉し返済計画を立て直す「再和解」という選択肢があります。この記事では、任意整理のやり直しである再和解が可能な条件、具体的な手続き、そして注意点について分かりやすく解説します。

目次

任意整理のやり直し「再和解」とは

再和解の基本的な仕組み

再和解とは、任意整理で一度合意した返済計画が、その後の事情変更で守れなくなった場合に、再度債権者と交渉して返済計画を組み直す手続きです。一度目の任意整理後に予期せぬ事態が発生し、返済が困難になることがあります。

再和解が必要になる状況の例
  • 病気や怪我による医療費の増大や休職
  • 失業、転職、会社の業績悪化による収入の減少
  • 家族構成の変化に伴う予期せぬ支出の増加

このような状況で返済を滞納したまま放置すると、残額の一括請求を受けるリスクがあります。再和解は、自己破産などの法的な整理手続きを回避し、返済を継続していくための救済措置として機能します。

通常の任意整理との相違点

再和解は、初回の任意整理と比較して交渉の難易度が高く、和解条件も厳しくなる傾向があります。一度返済の約束を破っているため、債権者からの信用が低下していることが主な理由です。

項目 通常の任意整理 再和解
交渉の難易度 比較的スムーズに進むことが多い 難航しやすく、交渉を拒否されることもある
債権者の信用 初めての交渉のため、比較的柔軟 一度約束を破っており、信用が著しく低い
遅延損害金 免除されることが多い 滞納期間中の遅延損害金も返済対象となるのが一般的
返済期間 3年~5年(36回~60回)での分割払いが基本 延長が認められにくく、初回和解の完済予定日までの短期返済を求められる傾向がある
通常の任意整理と再和解の比較

このように、再和解は単に支払いを楽にする手続きではなく、一度失った信用を補うために、より厳しい条件を受け入れる覚悟が必要な手続きです。

専門家の辞任と再和解の関係

任意整理を依頼していた専門家(弁護士・司法書士)に辞任された場合でも、別の専門家に依頼し直せば再和解を進めることは可能です。専門家の辞任は、主に依頼者による費用滞納や連絡不通など、信頼関係が損なわれた場合に起こります。辞任されると、債権者からの直接の督促が再開されてしまいますが、債務整理の権利がなくなるわけではありません。

諦めずに新たな専門家を探し、辞任に至った経緯を正直に話して再依頼すれば、再び受任通知を発送して督促を止め、新たな代理人として再和解交渉を開始できます。専門家に辞任されたからといって諦める必要はありません。

再和解が認められる条件

安定した返済能力の見込みがある

再和解を成立させるには、今後、安定して返済を続けられる能力があることを客観的に示す必要があります。債権者は「今度こそ確実に返済してもらえるのか」を厳しく審査するため、継続的な収入の見込みがなければ交渉に応じません。

例えば、病気から回復して復職の目処が立った、あるいは転職によって安定収入が確保できたといった状況を、給与明細などの資料と共に具体的に説明することが重要です。実行可能な返済計画を提示できることが、再和解の必須条件です。

返済に対する誠実な意思を示せる

返済に対する誠実な意思を行動で示すことが不可欠です。一度約束を破られている債権者は、債務者に強い不信感を抱いています。そのため、言葉だけでなく、信頼を回復するための行動が求められます。

滞納後すぐに専門家に相談したり、債権者に事情を説明したりする姿勢は誠実と評価されやすいです。逆に、長期間連絡を絶った後の申し出は、不誠実とみなされ交渉が難航します。返済が遅れた理由を正直に伝え、問題から逃げずに向き合う姿勢が鍵となります。

債権者との信頼関係が残っている

初回の和解後、ある程度の期間、真面目に返済を続けてきた実績があると、債権者との信頼関係が完全に失われておらず、再和解に応じてもらいやすくなります。長期間の返済実績は「やむを得ない事情があったのだろう」と債権者に理解してもらうための重要な要素です。

例えば、5年(60回)払いのうち4年間(48回)を遅れずに支払っていた場合と、一度も支払わずに滞納した場合とでは、債権者の心証は全く異なります。これまでの返済実績が、再和解の成否を左右する大きな要因となります。

交渉材料として有効な家計改善の具体策

再和解の交渉において、収支状況を改善するための具体的な行動計画を示すことは、返済能力と誠実さの両方を証明する強力な交渉材料となります。

家計改善の具体策の例
  • スマートフォンの料金プランを格安SIMに見直す
  • 不要な保険やサブスクリプションサービスを解約する
  • 嗜好品や外食の回数を減らすなど、固定費・変動費を削減する
  • 副業やアルバイトを始めて収入源を増やす

これらの改善策を収支表に反映させ、専門家を通じて提示することで、債権者の納得を得やすくなります。

再和解が困難になるケース

収入が途絶え返済の見通しが立たない

失業や重い病気などで収入が完全に途絶え、将来にわたって返済の目処が全く立たない場合、再和解は極めて困難です。任意整理や再和解は、将来の収入を原資として返済を続けることが大前提の手続きです。返済能力そのものがない状態では、債権者も実現不可能な和解には応じません。

このような場合は、再和解ではなく、借金の支払義務自体を免除してもらう自己破産などの法的手続きへの移行を検討する必要があります。

滞納期間が長く一括請求を受けている

初回の和解後、長期間返済を滞納し、すでに債権者から残金の一括請求(期限の利益の喪失)を受けていたり、訴訟を起こされたりしている場合、再和解の交渉は非常に難しくなります。

債権者が裁判所の手続きに移行している段階では、すでに強制的な債権回収(給与差し押さえなど)へと方針を固めています。そのため、今さら分割払いの交渉に応じるメリットがなく、交渉のテーブルに着くことすら拒否される可能性が高くなります。

債権者が交渉に応じない方針である

債務者の事情とは無関係に、債権者側が社内方針として「再和解には一切応じない」と定めているケースがあります。特に一部の金融機関や債権回収会社では、一度和解を反故にした相手とは再交渉しないという厳格なルールを設けていることがあります。

このような場合、専門家がどれだけ丁寧に交渉しても、担当者の裁量では方針を覆せません。相手の方針が壁となるため、特定の債権者が相手の場合は、再和解以外の解決策を検討する必要があります。

再和解の具体的な手続きと流れ

専門家への相談と再依頼

再和解の手続きは、まず債務整理の経験が豊富な専門家(弁護士・司法書士)に相談し、正式に依頼することから始まります。専門家が代理人となることで、法的な観点から冷静な交渉が可能となり、債権者も話し合いに応じやすくなります。

相談時には、債務の状況、収入や支出、滞納に至った経緯などを正直に伝え、再和解が可能かどうかを診断してもらいます。方針が固まれば、委任契約を締結します。

債権者への受任通知と交渉開始

専門家との委任契約後、直ちに各債権者へ受任通知が発送されます。この通知が債権者に届くと、貸金業法に基づき、債務者本人への直接の督促や請求が一時的に停止します。

督促が止まっている間に、専門家は債権者から正確な債務額(滞納による遅延損害金を含む)を確認し、依頼者の収支状況に基づいた具体的な和解案を作成して、交渉を開始します。

新たな和解契約の締結と返済再開

債権者との交渉がまとまると、新しい返済条件を盛り込んだ和解契約書を取り交わし、その内容に基づいて返済を再開します。和解書には、確定した債務総額、毎月の返済額、支払日などが明記され、口約束ではない法的な合意となります。

この新たな契約は、借金問題を解決するための最後のチャンスです。契約内容を厳守し、二度と滞納することのないよう、計画的に返済を続けていく必要があります。

再和解の注意点とデメリット

初回より和解条件が厳しくなる傾向

再和解では、一度目の任意整理よりも和解条件が厳しくなるのが一般的です。債権者からの信用が低下しているため、譲歩を得にくくなります。

再和解で厳しくなる条件の例
  • 遅延損害金: 滞納期間中に発生した遅延損害金も請求される傾向がある。
  • 将来利息: 初回ではカットされた将来利息が、再和解ではカットされない場合がある。
  • 返済期間: 長期分割が認められにくく、結果的に毎月の返済額が初回より増えることがある。

再和解は、過去の滞納に対するペナルティとして、金銭的な負担が増えることを覚悟しなければならない手続きです。

信用情報への影響がさらに長期化する

再和解を行うと、信用情報機関に登録されている事故情報(いわゆるブラックリスト)の登録期間がさらに長引くというデメリットがあります。任意整理の事故情報は、通常、完済から約5年で抹消されます。しかし、再和解をすると、その新たな和解に基づく完済時期が起算点となるため、信用情報が回復するまでの期間が当初の予定より大幅に延びてしまいます。この期間は、新たなローン契約やクレジットカードの作成などが困難になります。

交渉が不成立に終わる可能性もある

再和解は、あくまで当事者間の任意の話し合いであるため、交渉が不成立に終わるリスクが常に伴います。債権者には再和解に応じる法的な義務はありません。「交渉に応じても再び滞納される」と判断されれば、交渉は決裂します。

交渉が不成立となった場合、債権者は一括請求や訴訟、給与差し押さえといった法的措置に移行します。その際は、速やかに自己破産や個人再生といった別の債務整理手続きへと方針を転換する必要があります。

再和解を成功させる専門家の選び方

再和解の実績が豊富か確認する

再和解の交渉は初回よりも格段に難易度が高いため、再和解案件の解決実績が豊富な専門家を選ぶことが極めて重要です。債権者ごとの対応方針や交渉のノウハウがなければ、厳しい交渉をまとめることは困難です。

法律事務所のウェブサイトなどで「再和解」「辞任後の再依頼」といったキーワードでの解決事例が掲載されているかを確認し、交渉力の高い専門家を見極めましょう。

辞任後の再依頼に理解があるか見極める

前の専門家に辞任されたという事情がある場合、その経緯に偏見を持たず、親身に相談に乗ってくれる専門家を選ぶべきです。初回相談の際に辞任の理由を正直に話し、頭ごなしに否定せず、今後の対策を一緒に考えてくれる姿勢があるかを見極めましょう。

過去の失敗を責めるのではなく、再出発に向けて建設的な提案をしてくれる専門家であれば、安心して手続きを任せることができます。

費用体系が明確で分割払いに応じるか

再和解を検討する方は経済的に困窮しているため、費用体系が明確で、無理のない分割払いに対応してくれる事務所を選ぶことが必須です。相談時に費用の総額や内訳が明記された見積書を提示してもらいましょう。

着手金の支払いを待ってくれたり、報酬を柔軟に分割払いできたりする事務所であれば、手元にまとまった資金がなくても速やかに手続きを開始できます。

前任者との費用精算や資料引継ぎのサポート

前の事務所との間で未精算の費用がある場合や、交渉資料の引き継ぎが必要な場合があります。こうした事務的な引き継ぎ作業をサポートしてくれる専門家を選ぶと、手続きがスムーズに進みます。

依頼者の代わりに必要な連絡をとってくれたり、資料の取り寄せ方をアドバイスしてくれたりするなど、煩雑な作業の負担を軽減してくれるサポート体制があるかどうかも確認すると良いでしょう。

再和解が難しい場合の他の選択肢

借金を大幅減額する「個人再生」

再和解の条件では返済が困難な場合、裁判所を通じて借金の元本自体を大幅に減額する「個人再生」が有効な選択肢です。個人再生は、借金総額を法律に基づき概ね5分の1から10分の1程度に圧縮し、それを原則3年で分割返済する手続きです。

住宅ローン特則を利用すれば、持ち家を手放さずに他の借金を整理できる大きなメリットがあります。安定収入はあるものの、借金額が大きすぎて再和解では解決できない場合に適しています。

支払義務を免除される「自己破産」

収入が途絶えたり、著しく減少したりして、減額された借金すら支払う能力がない場合は、裁判所に申し立てて借金の支払義務を原則すべて免除してもらう「自己破産」を選択すべきです。

自己破産は、生活を完全にリセットし、経済的な再起を図るための最終手段です。一定価値以上の財産は手放すことになりますが、その後の取り立てに怯えることなく、新たな生活をスタートできます。

各手続きの選択基準とメリット・デメリット

どの手続きを選ぶべきかは、個々の収入状況や財産の有無によって異なります。専門家と相談の上、ご自身の状況に最も適した方法を選択することが重要です。

手続き 主な特徴 こんな人向け
再和解 債権者と再交渉し、返済計画を修正する 安定収入があり、返済額を少し調整すれば完済できる人
個人再生 裁判所を通じて借金元本を大幅に減額する 安定収入はあるが借金が大きく、持ち家を残したい人
自己破産 裁判所の許可を得て借金の支払義務を免除される 収入がなく返済の見込みが全く立たない人
債務整理手続きの比較(再和解が困難な場合)

よくある質問

Q. 再和解は何回まで可能ですか?

法律上の回数制限はありませんが、実務上は2回目の和解(一度目の再和解)までが現実的とされることが多いです。2度目の約束すら破った債務者に対し、債権者が3度目の交渉に応じることはまずありません。再和解は「最後のチャンス」と認識し、確実な返済計画のもとで臨む必要があります。

Q. 再和解を依頼する際の費用相場は?

再和解の費用相場は、初回の任意整理と同程度で、債権者1社あたり2万円から5万円程度が目安です。再和解は新たな契約として手続きを一からやり直すため、初回と同等の費用が発生します。多くの事務所では、費用の分割払いに応じてくれます。

Q. 一度辞任した専門家に再依頼できますか?

不可能ではありませんが、現実的には受任を断られるケースが多いです。辞任の原因が依頼者側にある場合、信頼関係が破綻しているため、再契約は難しいと判断されることがほとんどです。過去に固執せず、事情を理解してくれる新たな専門家を探す方が、迅速な解決につながります。

Q. 返済滞納後すぐに再和解すべきですか?

いいえ、すぐに再和解を検討するのは早計です。滞納が1~2ヶ月程度の短期的なものであれば、債権者に連絡して遅延分をまとめて支払うことで、元の和解を継続できる場合があります。会社の倒産など、収入減が長引くことが明らかな場合に、速やかに専門家へ相談し再和解を検討すべきです。

Q. 再和解をすると家族に知られてしまいますか?

専門家に依頼して手続きを進める限り、再和解が直接の原因で家族に知られる可能性は低いです。連絡や郵便物はすべて専門家の事務所宛てになります。ただし、滞納を放置して債権者からの督促状や電話が自宅に来るようになると、そこから知られるリスクが高まります。秘密にしたい場合は、早期に専門家へ相談することが重要です。

まとめ:任意整理の再和解を成功させ、経済的再起を図る

任意整理後の返済が困難になった場合でも、「再和解」によって返済計画を立て直せる可能性があります。しかし、再和解は初回よりも条件が厳しく、安定した返済能力と誠実な意思を客観的に示すことが成功の絶対条件です。もし収入の回復が見込めない場合や交渉が難しい場合は、個人再生や自己破産といった他の法的手続きも視野に入れる必要があります。どの方法が最適かをご自身で判断するのは困難なため、まずは再和解や辞任後の再依頼に実績のある専門家へ正直に状況を相談し、具体的なアドバイスを求めることから始めましょう。法的な手続きは個々の状況に大きく左右されるため、専門家との面談が解決への第一歩となります。

Baseconnect株式会社
サイト運営会社

本メディアは、「企業が経営リスクを正しく知り、素早く動けるように」という想いから、Baseconnect株式会社が運営しています。

当社は、日本最大級の法人データベース「Musubu」において国内1200万件超の企業情報を掲げ、企業の変化の兆しを捉える情報基盤を整備しています。

加えて、与信管理・コンプライアンスチェック・法人確認を支援する「Riskdog」では、年間20億件のリスク情報をAI処理、日々4000以上のニュース媒体を自動取得、1.8億件のデータベース等を活用し、取引先の倒産・不正等の兆候の早期把握を支援しています。

記事URLをコピーしました