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訴訟された側の弁護士費用は誰が払う?相場と費用負担の基本を解説

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企業が民事訴訟の被告となった際、弁護士費用の相場や負担者が誰になるかは重要な関心事です。弁護士費用には着手金や報酬金など複数の項目があり、「訴訟費用」とは明確に区別されるため、その違いを理解しておく必要があります。本記事では、被告側で発生する弁護士費用の内訳、費用負担の原則、そして費用を抑えるための具体的な方法について解説します。

被告側でかかる弁護士費用

弁護士費用の主な内訳

弁護士に支払う費用は、着手金と報酬金が中心ですが、その他にも状況に応じて発生する費用があります。それぞれの費用が持つ意味合いや発生するタイミングは異なるため、事前に理解しておくことが重要です。

弁護士費用の主な項目
  • 着手金: 事件の依頼時に支払う初期費用です。結果にかかわらず返還されないのが原則です。
  • 報酬金: 事件が解決した際に、得られた成果に応じて支払う成功報酬です。敗訴した場合は発生しません。
  • 法律相談料: 正式な依頼の前に、弁護士に法的な見解やアドバイスを求める際に支払う費用です。
  • 手数料: 契約書作成や内容証明郵便の送付など、特定の事務手続きに対して発生する費用です。
  • 日当: 弁護士が裁判所への出廷や出張などで事務所を離れて業務を行う場合に発生する費用です。
  • 実費: 裁判所に納める収入印紙代、郵便切手代、交通費、記録の謄写費用など、手続きに実際にかかる経費です。

種類別の費用相場と算定基準

弁護士費用は現在自由化されていますが、多くの事務所では旧日本弁護士連合会報酬等基準に準じた料金体系を採用しています。費用は、事件によって得られる経済的な利益の額を基準に算定されるのが一般的です。被告側の場合、相手方からの請求額が「経済的利益」とみなされ、着手金の算定基準となります。一方、報酬金は、相手の請求をどれだけ減額できたかが基準となります。

経済的利益の額 着手金の目安 報酬金の目安
300万円以下 8% 16%
300万円超 3,000万円以下 5% + 9万円 10% + 18万円
3,000万円超 3億円以下 3% + 69万円 6% + 138万円
弁護士費用の算定基準(旧日弁連報酬基準に基づく例)

多くの事務所では、着手金に10万円程度の最低金額が設定されています。また、裁判が第一審で終わらず控訴審などに進む場合は、審級ごとに別途着手金と報酬金が発生します。判決後に財産の差し押さえ(強制執行)を行う場合も、別料金となるのが一般的です。

「訴訟費用」との明確な違い

「弁護士費用」と「訴訟費用」は、法律上明確に区別される全く別のものです。訴訟費用は、裁判で敗訴した側が負担するのが原則ですが、弁護士費用は各自が負担します。したがって、裁判で勝訴しても、原則として相手方に自分の弁護士費用を請求することはできません。

比較項目 訴訟費用 弁護士費用
根拠 法律(民事訴訟費用等に関する法律)で定められている 依頼者と弁護士との間の委任契約
主な内訳 収入印紙代、郵便切手代、証人の日当・交通費など 着手金、報酬金、法律相談料、日当など
負担の原則 敗訴者負担が原則 各自負担が原則
「訴訟費用」と「弁護士費用」の比較

裁判後、「訴訟費用額確定処分」という手続きをとれば、敗訴した相手方に訴訟費用を請求できますが、そこに含まれるのは印紙代などの法定費用のみです。

弁護士費用の会計処理と税務上の取り扱い

事業に関連するトラブル解決のために支払った弁護士費用は、会社の経費として会計処理が可能です。税務上、事業遂行に必要な支出は損金として認められます。

会計・税務上のポイント
  • 勘定科目: 「支払手数料」や「支払報酬料」などを用いて処理するのが一般的です。
  • 顧問料: 毎月定額で支払う顧問料は、「支払顧問料」として処理します。
  • 源泉徴収: 依頼先が個人事務所の弁護士の場合、報酬から所得税を源泉徴収して国に納付する義務があります。弁護士法人の場合は源泉徴収は不要です。

弁護士費用の負担ルール

原則は当事者が各自で負担する

日本の民事訴訟では、弁護士費用は勝敗にかかわらず各当事者がそれぞれ負担するのが大原則です。これを「弁護士費用各自負担の原則」と呼びます。たとえ不当な訴訟を起こされた側であっても、応訴するためにかかった弁護士費用は自己負担となります。

この原則が採用されている背景には、いくつかの理由があります。

弁護士費用が各自負担である理由
  • 弁護士に依頼するか、本人で訴訟を行うかは当事者の自由な選択に委ねられているため。
  • 敗訴した場合に相手の弁護士費用まで負担させると、経済的リスクが過大になるため。
  • 高額な負担リスクが、資金力のない個人や中小企業の裁判を受ける権利を萎縮させる恐れがあるため。

この原則があるため、訴訟を検討する際は、弁護士費用を支払ってでも得られる利益があるかを慎重に判断する必要があります。なお、和解で事件を解決する際も、お互いに弁護士費用は請求しないという条項(清算条項)を入れるのが一般的です。

【例外】相手方に請求できるケース

原則として各自負担ですが、例外的に弁護士費用の一部を相手方に請求できるケースも存在します。ただし、請求が認められる場合でも、実際に支払った全額ではなく、裁判所が「損害との因果関係が認められる相当な金額」と判断した範囲に限られます。実務上は、認容された損害賠償額の10%程度が目安とされています。

弁護士費用を相手方に請求できる主なケース
  • 不法行為に基づく損害賠償請求: 交通事故、名誉毀損、労働災害など、契約関係がない当事者間のトラブル。
  • 契約書に特約がある場合: 契約書に「本契約に関して紛争が生じた場合の弁護士費用は、相手方の負担とする」といった条項が定められている場合。

弁護士費用を抑える方法

見積もりで複数事務所を比較する

弁護士費用を適正な範囲に抑えるためには、複数の法律事務所から見積もりを取り、比較検討することが不可欠です。弁護士の料金は事務所ごとに異なるため、相見積もりを取ることで、自身の案件における費用相場を把握できます。

相見積もりのメリット
  • 適正な費用相場を客観的に把握できる。
  • 極端に高額、あるいは安すぎて品質に不安がある事務所を避けられる。
  • 弁護士との相性や説明の分かりやすさも比較できる。

多くの事務所では初回の法律相談を無料で実施しているため、これを活用して具体的な費用感を確認すると良いでしょう。

証拠資料を自社で整理し提供する

裁判で有利な結果を得るためには、客観的な証拠が極めて重要です。関連する資料を自社で事前に整理し、弁護士に提供することで、弁護士の調査や分析にかかる時間を削減でき、結果的に費用を抑えることにつながります。

自社で準備できることの例
  • 契約書、メール、議事録などの関連資料を収集し、時系列に整理する。
  • トラブル発生から現在までの経緯をまとめた簡単な報告書(メモ)を作成する。
  • 登場人物や会社の関係性をまとめた相関図を作成する。

こうした準備は、時間制報酬(タイムチャージ)の場合はもちろん、定額制の契約でも、弁護士が事件の難易度を判断しやすくなるため、着手金が低く提示される可能性があります。

早期の和解交渉を視野に入れる

訴訟が長引けば、その分だけ弁護士の日当や追加書面の作成費用などがかさみます。裁判の早い段階で和解による解決を視野に入れることは、トータルの費用を抑えるための有効な戦略です。

早期和解のメリット
  • 訴訟が長期化することによる追加費用(出廷日当など)の発生を防げる。
  • 多くの事務所では、和解で解決した場合に報酬金が減額される規定がある。
  • 費用だけでなく、経営陣や従業員の精神的・時間的コストも最小限に抑えられる。

自社の主張を100%通すことに固執せず、経済的な合理性を踏まえて現実的な解決策を探ることが重要です。

弁護士保険の適用を確認する

自社で加入している保険に、弁護士費用を補償する特約が付いていないか確認しましょう。適用できれば、費用の大半を保険金で賄える可能性があります。事業活動における法的トラブル全般をカバーする事業用の弁護士保険も存在します。

ただし、保険を利用する際には注意点もあります。

弁護士保険利用時の注意点
  • すでに発生しているトラブルは補償の対象外となるのが一般的です。
  • 保険加入後、一定の待機期間(例:3ヶ月間)が設けられている場合があります。
  • 保険金で支払われる金額には上限が設定されています。

トラブルが発生してからでは手遅れになるため、平時から自社の保険契約内容を確認しておくことが大切です。

料金体系ごとの特徴と自社に合う選び方

弁護士事務所の料金体系は様々です。案件の性質や見通しに応じて、自社にとって最も費用対効果の高い料金体系を選ぶことが、コスト管理において重要になります。

料金体系 特徴 適した案件の例
定額制(着手金・報酬金制) 最初に支払う着手金と、成果に応じた報酬金で構成される。費用の見通しが立てやすい。 請求額が明確で、争点がはっきりしている典型的な事件。
時間制報酬(タイムチャージ) 弁護士の作業時間に応じて費用が発生する。短時間で解決すれば費用を抑えられる。 交渉の行方が不透明な事案や、継続的なアドバイスが必要な案件。
顧問契約 月額固定料金で、日常的な法律相談に対応。個別案件の依頼時に費用が割引されることが多い。 法務相談が頻繁に発生する企業や、予防法務に力を入れたい企業。
主な料金体系と適した案件の例

訴訟対応を弁護士に頼む利点

法務リスクの的確な分析

訴訟対応を弁護士に依頼する最大の利点は、自社が直面している法務リスクを客観的かつ専門的な視点から正確に分析してもらえる点にあります。社内だけで判断すると、どうしても希望的観測が入り、リスクを過小評価してしまう危険があります。

弁護士によるリスク分析の具体例
  • 収集した証拠の法的な証明力の評価
  • 裁判になった場合の敗訴の可能性と、その確率
  • 敗訴した場合に支払う可能性のある損害賠償額の予測
  • 訴訟の長期化が企業イメージに与える風評被害(レピュテーションリスク)の評価

これらの分析に基づき、訴訟を継続すべきか、あるいは早期和解を目指すべきかといった経営判断の質を高めることができます。

適切な訴訟戦略の立案と実行

民事訴訟は、法律と厳格な手続きルールに則って進められます。弁護士は、専門知識と実務経験を駆使して、勝訴や有利な和解に向けた最善の戦略を立て、実行します。

弁護士による専門的な訴訟活動の例
  • 法的な主張を論理的に構成し、裁判官を説得する書面(準備書面)を作成する。
  • 相手方の主張の弱点を突き、自社に有利な事実を引き出すための証人尋問を行う。
  • 裁判官の心証などを読み取り、最も有利なタイミングと条件で和解交渉を進める。
  • 訴訟前に証拠が隠されるのを防ぐための証拠保全手続きを行う。

専門家による適切な訴訟活動は、事件の行方を大きく左右する決定的な要因となります。

交渉・手続き代理による負担軽減

弁護士が代理人となることで、相手方との交渉や裁判所への対応をすべて任せることができ、企業側の負担は大幅に軽減されます。これにより、経営陣や従業員は本来の事業に集中できます。

弁護士への依頼による負担軽減効果
  • 精神的負担の軽減: 感情的な相手方との直接交渉から解放され、法的な窓口を一本化できる。
  • 時間的・業務的負担の軽減: 平日の裁判所への出廷や、専門的な書面の作成・提出といった煩雑な手続きから解放される。

弁護士に依頼することは、単なる代理業務ではなく、企業の貴重な経営資源を守るための有効な投資と言えます。

よくある質問

Q. 敗訴時に相手の弁護士費用は払いますか?

いいえ、原則として支払う必要はありません。日本の民事訴訟では「弁護士費用各自負担の原則」が採用されており、自分の弁護士費用は自分で支払うルールです。敗訴時に支払う義務があるのは、相手方の請求額と、印紙代などの「訴訟費用」に限られます。 ただし、交通事故や労働災害といった一部の不法行為訴訟では、例外的に損害の一部として相手の弁護士費用の一部を負担するよう命じられることがあります。

Q. 弁護士費用の見積もりは有料ですか?

見積書の発行自体は無料であるのが一般的です。ただし、正確な見積もりを出すためには、事前に事案の内容をヒアリングする「法律相談」が必要となります。この法律相談については、初回無料の事務所もあれば、30分5,000円程度の相談料がかかる事務所もあります。予約時に、相談料の有無と見積もり希望の旨を伝えておくとスムーズです。

Q. 和解した場合、弁護士費用はどうなりますか?

和解で解決した場合でも、着手金は返還されず、成果に応じた報酬金が発生します。和解は弁護士の活動による成果の一つとみなされるためです。被告側の場合、相手の請求額から減額できた金額が「経済的利益」となり、これを基準に報酬金が計算されます。ただし、判決まで至らずに早期解決した場合は、事務所の規定により報酬金が減額されることがあります。

Q. 訴訟後でも弁護士保険は使えますか?

いいえ、原則として使えません。弁護士保険は、将来起こりうる未知のトラブルに備えるためのものです。すでに訴訟を起こされているなど、トラブルが具体化してから保険に加入しても、その案件は補償の対象外となります。いざという時に備え、平時から加入を検討しておく必要があります。

Q. 顧問弁護士がいる場合、費用は顧問料に含まれますか?

いいえ、訴訟対応の費用は月額の顧問料には含まれず、別途発生するのが一般的です。顧問料の範囲は、日常的な法律相談や簡単な契約書チェックなどが基本です。ただし、顧問契約を結んでいる企業に対しては、訴訟を依頼する際の着手金や報酬金を10%~30%程度割引する制度を設けている事務所が多いため、結果的に費用を抑えることができます。

まとめ:訴訟提起された際の弁護士費用の負担原則と対応のポイント

本記事では、訴訟を提起された被告側が負担する弁護士費用について解説しました。最も重要な点は、日本の民事訴訟では勝敗にかかわらず「弁護士費用各自負担」が原則であることです。そのため、敗訴したとしても相手の弁護士費用を支払う義務は原則としてありません。費用は請求額を基に算定されますが、複数事務所への相見積もり、証拠の事前整理、早期和解の検討によって抑えることが可能です。訴訟対応は専門的な判断を要するため、まずは複数の弁護士に相談し、自社の状況に合った費用体系や戦略について助言を求めることが重要です。本稿は一般的な情報であり、個別の事案に関する具体的な対応は必ず専門家である弁護士にご相談ください。

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