「おうちダイレクト」はなぜ終了?後継サービスとの違いや評判の真相を解説
かつて不動産売却で注目された「おうちダイレクト」ですが、個人向けサービスは既に終了しています。サービスが終了した背景や、その後の選択肢を知らないままでは、最適な売却活動を進めることは困難です。この記事では、おうちダイレクトのサービス終了の経緯から、後継サービスである「おうちクラベル」の概要、そして両者の違いまでを分かりやすく解説します。
「おうちダイレクト」のサービス終了
サービス終了の公式発表と時期
「おうちダイレクト」の個人向けサービスの一部である、マンション所有者が自ら不動産を売り出す「セルフ売却機能」は、2022年6月30日をもって終了しました。この決定は、運営会社であるSREホールディングス株式会社とヤフー株式会社から、2022年3月2日に共同運営の終了として公式に発表されたものです。
サービス終了に向けては、利用者の混乱を最小限に抑えるための段階的な措置が取られました。具体的なスケジュールは以下の通りです。
- 共同運営終了の公式発表 (2022年3月2日)
- マンション推定価格シミュレーターの利用停止 (2022年4月21日)
- セルフ売却の新規利用登録終了 (2022年5月19日)
- セルフ売却機能のサービス終了 (2022年6月30日)
一方で、不動産会社向けに提供されていたデジタルマーケティング支援などの法人向けサービスは終了せず、SREホールディングスが単独で提供を継続しています。このサービスは「SREマーケティングクラウド」へとブランド名を変更し、現在も不動産事業者の業務効率化を支援しており、事業の軸足が法人領域へと移ったことがうかがえます。
終了理由:ヤフーとの提携見直し
おうちダイレクトのサービスが終了した最大の理由は、SREホールディングスとヤフーの間の業務提携が見直されたためです。両社は2015年7月、日本の不動産流通市場の活性化を目指して提携し、ヤフーの集客力とSREホールディングスの不動産テクノロジーを融合させたプラットフォームを共同運営してきました。
しかし、事業環境の変化に伴い、両社が注力すべき領域に違いが生じました。特に、不動産業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)が加速する中で、SREホールディングスが提供する法人向けのクラウドサービスへの需要が急速に高まったことが背景にあります。
- 事業環境の変化に伴う両社の注力領域の相違
- 法人向けクラウドサービス(SaaS)への需要急増
- SREホールディングスが経営資源を法人向け事業に集中させる戦略判断
この提携見直しに伴い、ヤフーの親会社が保有していたSREホールディングスの株式も売却され、資本関係は整理されました。ただし、両社は新たに広告商品を紹介する業務提携を結び直しており、良好な関係を維持しながら、それぞれの得意分野で事業を拡大する方針です。
事業戦略の転換:法人向けクラウドサービスへの注力
SREホールディングスは、おうちダイレクトの個人向け事業から、法人向けクラウドサービス事業へと事業の主軸を大きく転換しました。これは、不動産会社向けのソフトウェア提供を、中長期的な成長の柱として明確に位置づけた戦略的な判断です。
共同運営から単独運営に切り替えたことで、以下のようなメリットが生まれました。
- 経営における意思決定の迅速化
- 不動産実務の知見を活かした技術提供者としての強みの強化
- 顧客企業への提供価値向上による不動産業界全体のDX推進への貢献
これにより、同社は自社の強みをさらに磨き上げ、不動産業界全体のデジタル化に一層貢献していく戦略を描いています。
おうちダイレクトのサービス概要
どのようなサービスだったか
おうちダイレクトは、マンションの所有者(売主)と購入検討者(買主)を直接結びつける、画期的な不動産売買プラットフォームでした。不動産仲介会社を介さずに、売主が自由に価格を設定して物件情報を掲載できる「セルフ売却」が最大の特徴でした。
このサービスが提供していた主な機能は以下の通りです。
- セルフ売却: 不動産会社を介さず売主が直接物件情報を掲載・価格設定
- 売主の仲介手数料無料: 売主側のコストを大幅に削減する料金体系
- 買いたいリクエスト機能: 購入希望者が市場に出る前の物件にアプローチ可能
- 直接コミュニケーション: システム上で売主と購入検討者が直接質疑応答
- 専門家による実務支援: 契約手続きなどはSRE不動産がサポート
マッチング後の内見調整や契約実務といった専門的な手続きは、不動産の専門家であるSRE不動産が支援する体制が整えられており、売主の仲介手数料が無料になる料金体系も大きな魅力でした。
運営会社と提供していた価値
おうちダイレクトは、情報通信大手のヤフー株式会社と、ソニーグループの不動産事業を担っていたソニー不動産株式会社(後のSREホールディングス)が共同で運営していました。このサービスが提供した最大の価値は、取引の透明性を高め、利用者の主体的な意思決定を支援した点にあります。
AI技術と膨大なデータを活用することで、以下のような価値を生み出しました。
- 情報の透明性向上: AI価格推定エンジンによる客観的な価格データの提供
- 主体的な売却活動の支援: 不動産会社の言い値に依存しない価格設定が可能
- 市場需要の可視化: 「買いたいリクエスト」の数や条件を公開
- 安全な取引環境の提供: 消費者間の情報格差を解消し、納得感の高い取引を実現
深層学習技術を用いた高精度の不動産価格推定エンジンは、客観的なデータに基づいた価格設定を可能にし、消費者が納得感を持って取引できる、開かれた市場環境の提供を目指していました。
関連検索から見る過去の評判
「怪しい」という評判が出た背景
インターネット上で「怪しい」という評判が見られた背景には、業界の常識を覆す新しい仕組みに対する消費者の不安や誤解がありました。主な理由は以下の通りです。
- 革新的な料金体系への誤解: 「売主の仲介手数料無料」が、隠れた費用があるのではという警戒心を生んだ。
- AI査定の精度への疑問: AIが個別要因(室内の状態など)を反映できず、実勢価格と乖離することがあった。
- 「囲い込み」への懸念: 仲介実務をSRE不動産が担う仕組みが、両手仲介を狙ったものと誤解された。
実際には買主側から手数料を受け取る合法的な仕組みでしたが、その構造が広く理解されるまでには時間を要しました。また、AI査定額が必ずしも実際の売却価格と一致しない点も、不信感につながる一因となりました。
「失敗」談から見るサービス課題
おうちダイレクトの利用体験談から、セルフ売却というモデルが抱える構造的な課題も浮き彫りになりました。不動産会社に一任する一般的な売却方法とは異なり、利用者には特有の負担や制約がありました。
- 売主の負担: 写真撮影、紹介文作成、内見対応など、売主自身が行う作業が多かった。
- 販売チャネルの限定: 物件情報が特定の媒体にしか掲載されず、広く告知できなかった。
- 売却期間の長期化: 買主が見つかるまでに時間がかかり、早期現金化のニーズに対応しにくかった。
- 対応範囲の制限: サービス提供エリアや対象物件種別が限定されていた。
これらの課題から、時間や手間をかけられない売主や、特定の期日までに売却したいと考える売主のニーズには、必ずしも適合しないケースがありました。
既存不動産業界との構造的な対立
おうちダイレクトの事業モデルは、既存の不動産業界の収益構造と根本的に異なるため、業界との間に強い摩擦を生みました。売主と買主を直接結びつけ、売主の仲介手数料を無料にする手法は、従来の仲介事業者にとって深刻な脅威と受け止められました。
この対立は、2015年に不動産流通経営協会(FRK)などの主要な業界団体が、ヤフー不動産への物件情報の提供を停止するという強硬な対抗措置に発展しました。これは、新しいテクノロジーと旧来の商慣習との間に生じた、構造的な対立を象徴する出来事でした。
後継サービス「おうちクラベル」とは
運営会社とサービスの全体像
「おうちクラベル」は、おうちダイレクトの後継として誕生した不動産売却の一括査定プラットフォームです。運営は、東証プライム市場上場のSREホールディングス株式会社が担っています。個人が直接取引するセルフ売却から、プロである不動産会社へ効率的に売却を依頼するための支援サービスへと転換しました。
- サービス形態: 不動産売却の一括査定プラットフォーム
- 運営会社: SREホールディングス株式会社(東証プライム上場)
- 主な機能: 複数社への一括査定依頼と、AIによる即時価格査定
- 対象不動産: マンション、一戸建て、土地、投資用物件など幅広く対応
- 対応エリア: 全国47都道府県
利用者は物件情報を一度入力するだけで、複数の不動産会社へ査定を依頼できると同時に、AIによる高精度な査定価格もその場で確認できます。これにより、客観的な相場を把握したうえで、各社の提案を比較検討し、最適なパートナーを選ぶことが可能です。
「おうちダイレクト」との主な違い
おうちクラベルは、おうちダイレクトからサービス形態を大きく変更しています。最大の違いは、売主が自ら売却活動を行うセルフ売却機能が廃止され、一括査定サイトに特化した点です。
両サービスの違いをまとめると、以下のようになります。
| 項目 | おうちダイレクト(旧) | おうちクラベル(現) |
|---|---|---|
| サービス形態 | セルフ売却プラットフォーム | 不動産一括査定サイト |
| 売却の主体 | 売主自身 | 不動産会社 |
| 査定依頼社数 | 特定の運営会社中心 | 最大15社 |
| 対応エリア | 首都圏など一部地域 | 全国47都道府県 |
| 対象物件 | 主にマンション | マンション、戸建て、土地など |
これにより、売主の手間は大幅に軽減され、より多くの不動産会社の中から、自身の物件に合った売却戦略を持つ会社を選べるようになりました。
AI査定と提携不動産会社の特徴
おうちクラベルの強みは、先進的なAI査定と、厳選された提携不動産会社の組み合わせにあります。
AI査定には、以下のような特徴があります。
- 即時性: 査定依頼後すぐに画面上でAIによる推定価格を確認できる。
- 客観性: 膨大な取引データを基に、最新の市場相場を反映した価格を算出する。
また、提携する不動産会社にも特徴があります。
- 厳格な審査: 独自の審査基準をクリアした優良企業のみが参加している。
- 競争原理: 複数社が競合することで、より良い売却条件を引き出しやすい。
- 安心感: しつこい営業などを行う悪質な業者が排除されている。
AIによる客観的なデータと、現場を知るプロの視点を組み合わせることで、利用者は多角的な情報に基づいて、納得のいく不動産売却を進めることが可能になっています。
よくある質問
Q. おうちダイレクトの終了時期と理由は?
おうちダイレクトの個人向けサービス(セルフ売却機能など)は、2022年6月30日をもって終了しました。
主な理由は以下の通りです。
- 運営会社であるSREホールディングスとヤフーの業務提携見直し
- 法人向けクラウドサービス事業へ経営資源を集中させるための戦略転換
市場環境の変化に対応し、より需要が拡大している法人向け事業へ注力するための判断でした。
Q. 後継サービスとの主な違いは?
後継サービスである「おうちクラベル」との最も大きな違いは、セルフ売却機能がなく、不動産一括査定サイトに特化している点です。
具体的な違いは以下の通りです。
- 売主自身が売却活動を行う「セルフ売却」機能が廃止された。
- 複数の不動産会社に査定を依頼する「一括査定サイト」に特化した。
- 査定依頼できる企業数が増え、対象エリアも全国に拡大された。
これにより、売主の手間を減らし、より多くの選択肢から最適な不動産会社を選べるようになっています。
Q. おうちクラベルの運営会社は?
おうちクラベルは、SREホールディングス株式会社が運営しています。同社は信頼性の高い企業です。
- ソニーグループの不動産テクノロジー企業
- 東京証券取引所プライム市場に上場
- AI技術を活用した不動産サービスに強みを持つ
- 厳格な個人情報保護・管理体制を整備
上場企業として厳格な情報管理を行っているため、利用者は安心して大切な不動産の査定や売却を相談できます。
まとめ:おうちダイレクトのサービス終了と後継サービスを理解する
「おうちダイレクト」の個人向けサービスは2022年6月に終了し、運営会社は事業の軸足を法人向けサービスへと移しました。後継サービスとして、不動産一括査定サイト「おうちクラベル」が提供されています。最大の変更点は、売主が自ら売却する「セルフ売却」から、複数の不動産会社に査定を依頼して最適なパートナーを選ぶモデルへと転換した点です。これから不動産売却を検討する方は、自身の物件価値を多角的に把握するため、「おうちクラベル」のような一括査定サービスで複数の専門家の提案を比較することが有効な手段となります。ただし、本記事の情報は一般的な解説であり、個別の売却活動は信頼できる不動産会社と相談しながら進めることが重要です。

