NTTを名乗るセキュリティ診断の訪問は本物?手口と正しい対処法を解説
NTTを名乗る人物からセキュリティ診断に関する突然の訪問や電話を受け、対応に困惑していませんか。その訪問は、NTTグループの公式サービスから代理店による営業、さらには無関係な事業者による悪質な勧誘まですべての可能性が考えられます。この記事では、訪問者の正体を見極めるポイントと、不審な勧誘を受けた際の具体的な対処法を解説します。
NTTを名乗るセキュリティ診断の訪問とは?考えられる3つの可能性
NTTを名乗るセキュリティ診断の訪問には、主に3つの可能性が考えられます。それぞれの目的や背景が全く異なるため、訪問者の種別を正しく見極めることが重要です。
NTT東日本・西日本による公式サービスの案内
NTT東日本・西日本が提供する公式サービスは、有償であり、顧客からの事前申込に基づいて行われるのが原則です。専門家が訪問してICT環境の調査や診断を行うもので、突然訪問して診断を強要することはありません。正規の担当者は身分証明書を携帯しており、明確な料金体系に基づいてサービスを提供します。
正規代理店・販売パートナーによる営業活動
NTTと正式に業務提携している正規代理店や販売パートナーによる営業活動です。これらはNTTとは別の法人であり、NTTのサービスを提案するために訪問します。NTTのロゴが入った名刺や資料を使用しますが、契約主体は代理店自身となります。中には熱心な営業を行う担当者もいますが、基本的にはNTTとの契約に基づく正規の活動です。
NTTとは無関係の事業者による悪質な勧誘・詐欺
NTTの関連会社であるかのように装い、セキュリティ診断などを口実に高額な商品やリース契約を迫る悪質な事業者です。NTTとは一切関係がなく、点検商法やかたり商法などの手口を用いるため、最も注意が必要です。曖昧な説明でオフィスに入り込もうとする場合は、詐欺的な勧誘を疑うべきです。
| 訪問者の種別 | 主な目的 | 訪問の事前連絡 | 費用感 |
|---|---|---|---|
| NTT公式 | ICT環境の診断(申込に基づく) | 原則あり | 有償 |
| 正規代理店 | NTT関連サービスの営業・契約 | ない場合が多い | サービスによる |
| 悪質事業者 | 高額な商品販売・リース契約 | なし(突然訪問) | 無料診断を入口に高額請求 |
NTTが公式に提供している主なセキュリティ関連サービス
中小企業向けICT環境診断サービス「おまかせICT診断」(NTT東日本)
NTT東日本が提供する、中堅・中小企業向けの有償診断サービスです。専門家がオフィスを訪問し、ICT環境の潜在的なリスクを客観的に可視化します。診断結果は対策案を含めたレポートとして提供され、自社のセキュリティ強化に役立てることができます。
- セキュリティリスク診断:PCのOSやウイルス対策ソフトの状況、UTM設置状況などを調査
- LANパフォーマンス診断:Wi-Fi電波強度やネットワーク機器の性能などを調査
Webサイトの脆弱性診断サービス(NTT西日本など)
NTT西日本などが提供するサービスで、公開されているWebサイトに疑似的な攻撃を行い、セキュリティ上の脆弱性の有無を調査します。これにより、Webサイトの改ざんや情報漏えいといったサイバー攻撃のリスクを未然に防ぎます。
- Webアプリケーション診断:SQLインジェクションなどの脆弱性を網羅的に検査
- プラットフォーム診断:サーバーやネットワーク機器の設定不備を確認
- Web改ざん検知:Webサイトの改ざんを定期的に監視し、異常を検知して通知
要注意!悪質な勧誘で使われる典型的なセールストーク
「無料で診断します」と費用がかからない点を強調する
「無料で診断します」は、点検商法の典型的な入り口です。無料という言葉で警戒心を解き、オフィスに入り込んだ後で「危険な状態だ」と虚偽の事実で不安を煽り、高額な機器やサービスの契約を迫るのが目的です。安易に「無料」という言葉を信用しないようにしましょう。
「法律で義務化された」「対策が必須」と虚偽の説明で不安を煽る
「法律で義務化された」という説明は、虚偽である可能性が極めて高いです。これは公的機関の権威を悪用するかたり商法の一種です。特定のセキュリティ機器の導入を義務付ける法律は通常存在しないため、その場で判断せず、必ず事実確認を行ってください。
「この地域の担当」「回線の切り替えに伴い」などと訪問理由をこじつける
「地域の担当になりました」や「回線の切り替え工事で来ました」などと、もっともらしい理由をつけて訪問する手口です。特に固定電話のIP網移行などに便乗した便乗商法には注意が必要です。NTTが事前の書面通知なしに、担当者交代の挨拶や機器交換で突然訪問することは基本的にありません。
「無料診断」の後に高額な機器リース契約を勧められたら要注意
無料診断の最終目的が、高額なOA機器のリース契約であるケースが多発しています。リース契約は事業者間の取引とみなされるため、一度契約すると法的保護を受けにくいというリスクがあります。
- 契約期間が数年にわたり、原則として中途解約ができない
- 総支払額が機器の市場価格を大幅に上回ることが多い
- 事業者間契約のため、クーリング・オフ制度が原則適用されない
不審な訪問・電話を受けた際の具体的な対応フロー
不審な訪問や営業電話を受けた際は、冷静に、かつ毅然と対応することが重要です。以下の手順を参考に、組織的な対応を心がけてください。
まずは訪問者の会社名・氏名・連絡先を正確に確認する
相手をオフィスに入れる前に、名刺や身分証明書の提示を求め、会社名、氏名、連絡先を正確に確認します。NTTのロゴがあっても会社名が異なる場合は代理店です。情報開示を拒むようなら、その時点で対応を打ち切りましょう。
その場での即決は避け「検討します」と伝えて一旦保留する
「今日だけの特別価格です」などと契約を急がされても、その場での即決は絶対に避けてください。「社内で検討します」と伝え、提案書や見積書を受け取って相手には退去してもらいます。書面を渡すことを渋る業者は悪質である可能性が高いです。
NTTの公式窓口(116番など)に事実確認の問い合わせを行う
訪問者がNTT関係者を名乗った場合は、その内容が事実かどうかをNTTの公式窓口(局番なしの「116」など)に問い合わせて確認します。相手が提示した連絡先ではなく、必ず自分で調べた正規の窓口に連絡することが重要です。
担当者任せにしないための社内対応ルールの整備
個人の判断に任せず、組織として対応するためのルールを事前に整備しておくことが被害防止に繋がります。ルールを策定し、全従業員に周知徹底しましょう。
- アポイントのない営業担当者は原則として取り次がない
- 契約に関する判断は必ず複数名で行う
- 即日契約は絶対に行わない
- 不審な訪問や電話があった際は、日時や業者名、内容を記録し社内で共有する
万が一契約してしまった場合の相談先と対処法
契約書面受領から8日以内のクーリング・オフ制度を活用する
訪問販売などで不本意な契約をしてしまった場合、契約書面を受け取ってから8日以内であれば、クーリング・オフ制度で契約を解除できる可能性があります。ただし、事業者間の契約は原則として適用対象外となるため注意が必要です。適用できるか不明な場合でも、まずは諦めずに専門機関に相談してください。
消費生活センターや法テラスなどの専門機関に相談する
自力での解決が困難な場合は、速やかに専門機関に相談してください。事業者間トラブルであっても、勧誘方法に問題があれば契約の取り消しなどを主張できる可能性があります。
- 各自治体の消費生活センター(消費者ホットライン「188」)
- 法テラス(日本司法支援センター)
- 中小企業向けの法律相談窓口(例:弁護士会の「ひまわりほっとダイヤル」)
- 警察相談専用電話(「#9110」)
NTTのセキュリティ診断に関するよくある質問
NTTのセキュリティ対策は法律で義務付けられていますか?
いいえ、特定のセキュリティ機器やサービスの導入を法律で一律に義務付けるものはありません。個人情報保護法などで企業に安全管理措置が求められますが、その具体的な方法は各企業の判断に委ねられています。「義務化された」というトークは悪質な勧誘の典型的な手口です。
「無料診断」という言葉を信用しても大丈夫ですか?
安易に信用するのは危険です。訪問営業による「無料診断」は、高額契約に誘導する点検商法の可能性が高いと考えられます。一方で、NTT公式サイトで提供されているWeb上のセルフチェックツールなど、正規の無料サービスも存在します。訪問による無料診断の提案には、特に慎重な対応が必要です。
不審な勧誘についてNTTの公式窓口に情報提供できますか?
はい、可能です。NTT東日本・西日本の公式サイトには、不審な営業活動に関する情報提供窓口や勧誘停止の連絡先が設けられています。情報を提供することで、悪質な代理店への指導や、他の利用者への注意喚起に繋がりますので、不審な点があれば連絡してください。
まとめ:NTTを名乗るセキュリティ診断には冷静な見極めと毅然とした対応を
NTTを名乗るセキュリティ診断の訪問には、公式サービス、正規代理店、そして最も注意すべき悪質な詐欺業者の3つの可能性があります。特に「無料診断」や「法律で義務化」といった言葉を使い、不安を煽って高額なリース契約を迫る手口には警戒が必要です。不審な訪問を受けた際はその場で即決せず、必ず相手の会社名や連絡先を確認し、NTTの公式窓口へ問い合わせて事実確認を行ってください。担当者個人の判断に任せず、組織的な対応ルールを整備することが、自社を詐欺被害から守る上で極めて重要です。万が一トラブルになった場合は、消費生活センターなどの専門機関へ速やかに相談しましょう。

