公営企業キャッシュフロー計算書|様式・区分と作成時の確認箇所
地方公営企業会計のキャッシュ・フロー計算書は、決算で求められる一方、区分や様式、公営企業特有の論点(建設財源や企業債の扱い)まで含めて整理できず、作成・チェックが属人的になりがちです。整理が曖昧なままだと、損益(P/L)の黒字・赤字だけで資金繰りを判断してしまい、固定資産投資や企業債元金償還による資金流出の説明が後追いになって、議会・住民説明や内部の意思決定が難しくなります。別記第15号様式を軸に、どの資料をどう突合すれば制度に沿って点検できるかを押さえると、決算CFの作成手順と読み取りの観点を揃えられます。実務で最初に押さえるべきは制度上の位置づけです。財務諸表・予算との関係から見ていきます。
公営企業会計での位置づけ
キャッシュ・フロー計算書の目的
キャッシュ・フロー計算書は、発生主義(損益の計上)で作られる損益計算書(P/L)と、実際の資金の増減(現金の出入り)の差を埋め、一定期間における資金の流れを活動区分別に説明するための財務書類です。参照すべき基本枠組みは、キャッシュ・フロー計算書が「営業活動・投資活動・財務活動」の区分ごとに資金の流れを示すという考え方です。
地方公営企業(水道・下水道・病院・交通など)では、損益計算書で黒字でも、固定資産投資(更新・新設)や企業債の元金償還(損益では費用にならない資金流出)により、手元資金が細る局面が起こり得ます。損益の黒字・赤字だけでは、資金繰り能力(支払余力)を説明しきれないため、キャッシュ・フロー計算書で補完します。
また、損益計算書には、現金の動きを伴わない項目が含まれます。例えば、損益計算書の費用には減価償却費や貸倒引当金繰入額が現れ、収益には固定資産売却益や貸倒引当金戻入額などが現れ得ますが、これらは利益を増減させても当期の現金収支と一致しない場合があります。キャッシュ・フロー計算書は、こうした非資金項目を調整し、資金の動きを説明可能な形に並べ替えます。
- 業務活動によるキャッシュ・フローは中心的な事業が資金をどれだけ生み出したかを示します。
- 投資活動によるキャッシュ・フローは固定資産の取得等に伴う資金の投下と回収を示します。
- 財務活動によるキャッシュ・フローは資金調達方法と借入等の返済方法(借入・返済の動き)を示します。
地方公営企業法と発生主義の関係
地方公営企業会計が発生主義・複式簿記を基礎に置くのは、現金の出納だけでなく、期間損益とストック(資産・負債)を適正に把握し、料金や投資判断、資金調達・償還計画に説明責任を持たせるためです。
現金主義のままでは、資産の劣化(施設の老朽化)や将来の負担を、決算書類の構造として十分に表しにくくなります。発生主義では、収益と費用を対応させて損益計算書に計上し、貸借対照表で未収・未払等の期末残高も示すため、キャッシュ・フロー計算書により「損益→資金」への橋渡しが可能になります。
例えば、大規模な建設改良支出は、支出した年に一括で費用化せず、固定資産として計上し、耐用期間にわたり減価償却費として費用配分します。この結果、損益計算書上の費用(減価償却費)と当期の資金支出(建設改良支出)が一致しない構造が生まれます。ここにキャッシュ・フロー計算書の制度的な役割(発生主義決算の補完)が生じます。
財務諸表とのつながり
損益計算書と貸借対照表から読む
キャッシュ・フロー計算書は、損益計算書(P/L)が示す経営成績と、貸借対照表(B/S)が示す財政状態の期首・期末の変化をつなぎ、「どの活動が資金を増減させたか」を説明する書類です。損益計算書の利益は業績の要約ですが、資金の増加額そのものではありません。
損益計算書には、営業利益、経常利益、税金等調整前当期純利益、当期純利益といった段階利益が示され、営業外費用として支払利息、特別利益として固定資産売却益、特別損失として固定資産売却損が計上され得ます。一方、貸借対照表では、未収・未払や借入等の期末残高が把握できますが、期首から期末への増減が「業務・投資・財務のどれで生じたか」は、B/S単体では追えません。
- 当期純利益が黒字でも未収の増加が大きいと業務活動の資金回収が追いついていない可能性があります。
- 固定資産の増加(投資)と、企業債等の増加(資金調達)が対応しているかを突合します。
- 固定資産売却益は利益を押し上げますが、資金流入は投資活動の売却収入として別建てに現れます。
予算とキャッシュ・フローの違い
公営企業における「予算」は、収益的収支・資本的収支の枠組みで統制(事前統制)に用いられるのに対し、決算のキャッシュ・フロー計算書は、一定期間の資金の増減を営業活動・投資活動・財務活動という活動区分で整理し、実績を事後的に説明するための書類です。
予算とキャッシュ・フローが一致しないのは、予算が現金収支と完全一致する構造ではないためです。損益計算書(予算・決算)には、現金支出を伴わない減価償却費等が含まれ得る一方、資本的支出側には、損益上は費用にならない企業債元金償還のような資金支出が含まれます。このため、予算執行だけを追うと、資金の逼迫(現金不足)を見落とすことがあります。
- 減価償却費など非資金費用が損益(収益的)に含まれていること。
- 企業債元金償還など非費用性の支出が資本的収支に含まれていること。
- 未収・未払の期末残高の増減により、損益と現金のタイミングがずれること。
予定キャッシュ・フロー計算書と決算CFがずれるとき、最初に照合すべき3つの資料
予定キャッシュ・フロー計算書と決算のキャッシュ・フロー計算書がずれる場合、まず「予算・資産・負債(起債等)」の三方向から、ズレの発生源を切り分けます。実務では、決算報告書、固定資産明細書、企業債明細書を優先して照合する進め方が合理的です。
ズレの主因は、建設改良の進捗(投資の時期)、未収金・未払金等の未決済残高(回収・支払の時期)、企業債の受入・償還時期(財務の時期)に集約されます。
- 決算報告書で収益的収支・資本的収支の予算額と決算額、不用額、繰越の有無を確認します。
- 固定資産明細書で当期取得・除却、建設仮勘定の増減や本勘定への振替(完成振替)の状況を確認します。
- 企業債明細書で起債(受入)の時期と金額、元金償還額の実績を確認します。
この順序で見れば、ズレが「事業の遅延(投資の後ろ倒し)」なのか「未決済のタイミング差」なのか「起債条件の変更」なのかを、比較的早く特定できます。
様式と区分を読む
別記第15号の様式と記載項目
地方公営企業のキャッシュ・フロー計算書は、地方公営企業法施行規則の別記第15号様式に基づく形式で整理するのが基本です。様式上、資金の増減を「業務活動・投資活動・財務活動」の三区分で表示し、期首と期末の資金残高につながる形で作成・点検します。
作成方法としては、損益計算書と貸借対照表の数値から作りやすい間接法が実務上よく用いられます。間接法は、損益計算書の利益(当年度純利益)を起点に、非資金損益項目と運転資金項目(未収・未払等)の増減を調整して、業務活動によるキャッシュ・フローを導きます。
- 非資金費用として減価償却費や引当金繰入額を利益に加算して調整します。
- 非資金収益として長期前受金戻入額や引当金戻入益等を利益から減算して調整します。
- 運転資金の調整として未収金・未払金等の増減を反映します。
- 投資活動として固定資産取得支出や補助金等の建設財源収入を表示します。
- 財務活動として企業債の起債収入・元金償還支出や他会計出資金等を表示します。
一般企業会計との違いを整理
公営企業のキャッシュ・フロー計算書は、一般企業と同じく三区分(営業活動・投資活動・財務活動)で整理しますが、建設財源(補助金・繰入・出資)や企業債の位置づけが、公共インフラ経営に即した表示になりやすい点が重要です。
一般企業向けの理解をそのまま当てはめると、補助金や繰入金を業務活動の収入と誤解するなど、区分の読み違いが起こり得ます。
| 観点 | 一般企業での理解(典型) | 公営企業での実務上の読み取り方(注意点) |
|---|---|---|
| 支払利息 | 営業活動または財務活動に区分され得ます。 | 損益計算書上は営業外費用(支払利息)として現れ、C/Fでは業務活動の調整・表示の並びに注意が必要です。 |
| 建設財源の補助金等 | 補助金は営業外収益等として理解されがちです。 | 建設改良の財源としての補助金等は投資活動の収入に置く整理が生じます。 |
| 借入・返済 | 借入は財務、返済も財務で整理します。 | 企業債の起債(受入)と元金償還は財務活動に集約して読みます。 |
現金・預金と現金同等物をどこまで含めるか――基金・定期預金・指定金融機関口座の判断線
キャッシュ・フロー計算書でいう「資金(現金及び現金同等物)」は、手許現金や要求払預金に加え、換金が容易で価格変動リスクが僅少な短期投資を含める考え方です。一方で、現金同等物の範囲は実務上「経営者の判断に委ねられる」側面があり、監査手続上も認識基準の妥当性と継続性(毎期同じ基準で扱うこと)が重要な検討点とされます(CF実務指針2(2)の考え方)。
定期預金は、一般に「取得日から満期日(償還日)までが3か月以内」のものが現金同等物として扱われ得ます。ここでの注意点は、決算日から3か月ではなく、取得日から3か月で判定する点です。また、日常の資金管理で当座借越枠を現金同等物に近い形で用いている場合、負の現金同等物を構成し得る一方(CF実務指針3の考え方)、性質上は資金調達と判断される場合に財務活動で扱うなど、表示区分の検討が必要になります。
- 指定金融機関口座の普通預金・当座預金は支払手段として直ちに使えるため資金に含めて整理します。
- 取得日から満期日まで3か月を超える定期預金は現金同等物に含めず投資活動の預入・払戻として整理します。
- 基金等で使途が拘束される預金形態の資金は「自由に使える資金」と区別し投資活動の積立・取崩として整理する考え方が実務上の判断線になります。
- 現金同等物の範囲は毎期の継続性(同一基準)を前提にし、口座は「存在する全ての預貯金口座」を対象に最新まで記帳して確認します。
区分別の勘定科目整理
業務活動の収入・支出の見分け方
業務活動によるキャッシュ・フローは、日常のサービス提供・運営に伴う資金の流入出を示し、本業で資金を生み出せているかを判断する中核区分です。間接法では、損益計算書の利益を起点に、非資金項目と運転資金(未収・未払等)の増減を調整して作ります。
損益計算書には、販売費及び一般管理費として給料・賞与・減価償却費・貸倒引当金繰入額等が現れ、営業外費用として支払利息が現れる構造がありますが、これらのうち非資金項目はキャッシュ・フロー計算書で調整が必要です。
- 起点は損益計算書の当期純利益(当年度純利益)とし非資金項目を調整します。
- 減価償却費や貸倒引当金繰入額など現金支出を伴わない費用は加算調整します。
- 固定資産売却益や貸倒引当金戻入額など現金流入と直結しない利益要因は減算調整します。
- 売掛金・買掛金に相当する未収・未払の増減は運転資金調整として反映します。
投資活動の固定資産と建設仮勘定
投資活動によるキャッシュ・フローは、将来のサービス提供能力を左右する固定資産の取得・処分等に伴う資金の動きを示します。公営企業では、固定資産の規模が大きく、建設改良の進捗に応じて建設仮勘定(未成工事支出金に相当する考え方)を経由する取引も多いため、投資活動の整理が資金管理の要点になります。
支出は固定資産取得支出として整理し、工事進行中であっても支払があれば投資活動の資金流出として計上します。収入は固定資産売却収入や、建設改良の財源としての補助金等の収入を対応させて表示し、投資に対してどの財源が充当されたかが読める形にします。
- 建設仮勘定への支出は完成前でも「支払の事実」に基づき投資活動の支出として整理します。
- 固定資産売却は損益計算書に売却益・売却損として現れる一方で資金の動きは投資活動の売却収入として別に現れます。
- 補助金等の収入を投資活動に置くことで設備投資と財源の対応関係を読みやすくします。
財務活動の企業債と補助金の扱い
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入等の資金調達と返済(償還)を示します。公営企業では建設改良の財源として企業債の比重が大きくなりやすいため、投資活動と切り分けて資金調達の実態を明確にします。
企業債の受入(発行・借入)は財務活動の収入、企業債の元金償還は財務活動の支出として表示します。ここで、国庫補助金等は返済義務のない建設財源であり、借入である企業債とは性質が異なるため、補助金等を財務活動に混在させず、投資活動の収入として整理して読み違いを防ぎます。
- 企業債の受入は財務活動の収入として整理します。
- 企業債の元金償還は財務活動の支出として整理します。
- 支払利息は損益計算書では営業外費用(支払利息)に現れ、C/Fでは業務活動側の表示・調整として扱われ得ます。
- 補助金等は返済義務がないため企業債と峻別し投資活動の収入として扱う整理が生じます。
作成手順と非資金調整
仕訳から財務諸表へつなぐ流れ
キャッシュ・フロー計算書は、日々の仕訳データを起点に、元帳等の会計帳簿で集計したうえで、損益計算書・貸借対照表の確定値と整合するように作成します。管理会計情報の発生源として「元帳などの会計帳簿」が挙げられており、C/F作成でも同様に帳簿からのトレーサビリティ(追跡可能性)が重要です。
- 仕訳→総勘定元帳等の帳簿により期中取引を集計し、期末残高の基礎を固めます。
- 決算整理(減価償却費や引当金など)を反映して損益計算書・貸借対照表を確定します。
- 損益計算書の当期純利益(当年度純利益)を起点に、非資金項目とB/S項目の増減(未収・未払等)を調整して業務活動CFを算定します。
- 固定資産取得・売却等を投資活動に、企業債の受入・償還等を財務活動に整理し、三区分の増減が資金残高の増減に一致するか突合します。
減価償却費と引当金の調整方法
間接法のキャッシュ・フロー計算書では、損益計算書の利益に含まれる非資金項目を調整し、実際の資金増減に近づけます。にあるとおり、間接法は「税引前当期純利益をベースに、減価償却費など非資金損益項目や、売掛金・買掛金などの資産・負債の増減額等を調整する方法」です。
- 減価償却費は費用計上されますが当期の現金支出を伴わないため利益に加算して調整します。
- 貸倒引当金繰入額は費用計上されますが当期の現金支出を伴わないため利益に加算して調整します。
- 貸倒引当金戻入額は利益を押し上げ得ますが当期の現金流入を伴わない場合があるため利益から減算して調整します。
- 固定資産売却益は損益上の利益であり売却代金の入金(投資活動)とは別物のため利益から減算して調整します。
この調整を丁寧に行うことで、損益(当期純利益)が資金の裏付けを伴っているのか、運転資金の増減や非資金項目で見かけ上の利益になっていないかを点検できます。
決算締切まで二月しかないとき、経理・資産担当・出納が月内にそろえる資料と確認順
決算締切までの期間が短い場合は、部門別に「資金残高」「固定資産」「未決済(未収・未払)を含む損益・負債」の確定を前倒しで進め、相互の突合を早期に回すことが重要です。特に、現金同等物の範囲は判断要素があるため、監査手続上のポイントとされる「認識基準の適切性」と「継続性」を満たす説明資料を早めに整えます。
- 出納は存在する全ての預貯金口座について最新まで記帳し、口座残高と帳簿残高の一致を確認します。
- 出納は現金同等物の範囲(取得日から満期日まで3か月以内の定期預金等)を基準化し、前期からの継続性を確認します。
- 資産担当は固定資産の当期増減(取得・除却)と建設仮勘定の動きを確定し、減価償却費の計上根拠を整えます。
- 経理は損益計算書の営業外費用(支払利息)や特別損益(固定資産売却益・売却損、引当金戻入等)を含む決算整理を反映し、B/Sの未収・未払増減を確定します。
- 三部門で三区分(業務・投資・財務)の合計増減が資金残高増減に一致することを突合し、説明用のズレ要因メモを整えます。
公営企業の分析と説明
資金繰りと投資余力の見方
資金繰りと投資余力は、業務活動キャッシュ・フローが安定して資金を生み、その資金で投資活動の支出や財務活動の元金償還をどの程度カバーできているかで評価します。キャッシュ・フロー計算書が「営業活動・投資活動・財務活動」別に資金の流れを示すのは、まさにこのカバー関係(稼ぐ・投資する・返す)を読み解くためです。
また、財務活動のキャッシュ・フローは、が示すとおり「資金不足時の資金調達方法と、借りたお金の返済方法」を表します。業務活動が安定的にプラスで、借入金の返済(償還)が進んでいれば、財務活動のキャッシュ・フローはマイナスになりやすい(返済超過)という読み方が基本になります。
- 借入金(企業債等)の返済の困難性が高まっている兆候がないかを確認します。
- 借入金の返済条項の不履行または履行困難につながる条件変更が発生していないかを確認します。
- 新たな資金調達の困難性が高まっていないか(起債・借入の見通し)を確認します。
議会説明と住民説明での着眼点
議会・住民への説明では、損益計算書の段階利益(営業利益、経常利益、当期純利益など)だけを示しても、資金の動きが理解されにくいことがあります。キャッシュ・フロー計算書の三区分で「本業で資金を生む→施設に投資する→借入を返す」という順序に沿って説明すると、直感的に伝わりやすくなります。
- 業務活動CFで本業が生んだ資金(料金収入等が源泉)を示します。
- 投資活動CFで固定資産(管路・処理場等)の取得支出と、その財源(補助金等)の受入を対で示します。
- 財務活動CFで企業債の受入と元金償還を示し、将来負担の増減(借入残高の方向性)を説明します。
- 損益に現れる減価償却費は現金支出ではないことを補足し、損益黒字でも資金不足になり得る理由を説明します。
料金改定を検討する局面で、業務CF黒字でも安心できないケースの見分け方
業務活動キャッシュ・フローが黒字でも、投資活動の支出(更新投資)や財務活動の元金償還の規模に対して不足していれば、料金改定を含む収支構造の見直しが必要になります。間接法では、減価償却費など非資金費用を加算して業務活動CFを算出するため、資産更新が先送りされている局面では、業務活動CFが黒字に見えやすい点に注意が必要です。
- 減価償却費の加算により業務CFが押し上げられているが投資活動の支出が十分に実行できていない状況です。
- 固定資産の売却益など損益上の一時的要因が当期純利益を押し上げており本業の資金創出力を過大評価している状況です。
- 財務活動で借入(企業債受入)が増え続け元金償還が追いつかず資金調達依存が強まっている状況です。
よくある質問
公営企業のキャッシュフロー計算書は一般企業と比べてどこが異なりますか?
基本の三区分(営業活動・投資活動・財務活動)は共通ですが、公営企業は建設改良(インフラ整備)とその財源(補助金・繰入・出資・企業債)を分かりやすく示す必要があるため、補助金等と企業債を峻別して読むことが重要です。
- 企業債の受入と元金償還は財務活動で整理します。
- 建設財源としての補助金等の収入は投資活動で整理する読み方が生じます。
- 支払利息は損益計算書では営業外費用(支払利息)として現れ、C/Fでは業務活動側の表示・調整として扱われ得ます。
地方公営企業会計では直接法と間接法のどちらが一般的ですか?
実務では間接法が選ばれやすいです。にあるとおり、間接法は「税引前当期純利益をベースに、減価償却費など非資金損益項目や、売掛金・買掛金などの資産・負債の増減額等を調整して表示する方法」であり、損益計算書・貸借対照表の決算データから作成できます。
- 利益(税引前当期純利益または当期純利益)を起点にします。
- 減価償却費など非資金費用を加算します。
- 固定資産売却益など非資金収益・利益要因を減算します。
- 未収・未払等の増減を調整します。
企業債の発行と償還はどの区分に表示しますか?
企業債の受入(発行・借入)による収入と、元金償還による支出は、いずれも財務活動によるキャッシュ・フローに表示します。が示すとおり、財務活動は「資金調達方法と借りたお金の返済方法」を表す区分であり、借入と返済の動きをここに集約して読みます。
また、利息は損益計算書では営業外費用(支払利息)として現れるため、元金償還(財務)と利息(損益・業務側の表示)を混同しない点が実務上の注意点です。
予算書の金額と合わない場合はどこから確認しますか?
まず決算報告書で予算執行と繰越等を確認し、次に固定資産明細書で投資(取得・建設仮勘定)を確認し、最後に未決済勘定(未収・未払等)の増減でタイミング差を確認します。現金同等物の範囲を見直す必要がある場合は、存在する全ての預貯金口座を対象に最新まで記帳して確認し、取得日から満期日まで3か月以内かどうか等の基準で現金同等物の判定も合わせて点検します。
- 決算報告書で収益的収支・資本的収支の予算額と決算額、不用額、繰越を確認します。
- 固定資産明細書で固定資産取得支出、建設仮勘定の増減、完成振替等を確認します。
- 貸借対照表の未収・未払等の増減で現金の流出入時期との差を確認します。
- 預貯金口座の最新記帳と現金同等物の範囲(取得日から3か月以内等)を確認します。
まとめ:キャッシュ・フロー計算書への対応で次にすべきこと
キャッシュ・フロー計算書は、損益計算書(P/L)と貸借対照表(B/S)を「業務活動・投資活動・財務活動」の三区分でつなぎ、損益と資金のズレを説明する決算書類です。実務では、地方公営企業法施行規則の別記第15号様式を前提に、間接法で非資金項目(減価償却費等)と未収・未払の増減を調整し、固定資産取得や企業債の受入・元金償還を所定の区分に正しく置くことが判断の軸になります。現金同等物の範囲は取得日から満期日まで3か月以内かどうか等の基準と継続性がポイントになるため、口座の最新記帳を含めて説明可能な根拠を揃えます。予定CFと決算CFが合わないときは、決算報告書・固定資産明細書・企業債明細書の順で突合し、ズレの発生源を切り分けると整理が進みます。個別の区分判断や表示の可否は取引の実態に依存するため、監査や会計実務の関与者とも相談しながら、期中から基準と資料の整備を進める運用が重要です。

