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会社法の監査役欠席は問題?|取締役会決議への影響と実務手順

経営リスクナビ編集部

監査役の取締役会欠席をめぐって、「欠席してよいのか」「決議の効力に影響しないのか」「どの場面は出席させるべきか」「欠席時の手続・議事録をどう整えるか」を、定款・取締役会規程の見直し前提で実務整理したい場面は少なくありません。欠席や招集漏れの扱いを曖昧にしたままだと、会社法第383条に基づく出席・意見陳述の義務との関係で、監査の実効性や説明可能性(監査報告の裏付け)に不利が残り得ます。特別取締役制度の有無、オンライン出席の扱い、欠席時の代替手当てと記録化まで含めて社内ルールを整えることで、決議の形式面とガバナンス面のリスクを切り分けて判断しやすくなります。以下では、取締役会と監査役の関係整理から欠席時の手続設計までの判断材料として要点を示します。

目次

取締役会と監査役の位置づけ

株式会社の機関設計を先に整理する

取締役会に関する論点(監査役が欠席してよいか、欠席時の決議リスク等)を整理する前提として、まず自社がどの機関設計(ガバナンスの型)を採っているかを確定させる必要があります。機関設計によって、監査の主体が「監査役(独任制)」なのか「委員会(組織的監査)」なのかが変わり、取締役会への関与の仕方も変わるためです。

参照情報が示すとおり、上場会社の機関設計には大きく3タイプがあります。もともとは監査役会設置会社が中心でしたが、平成14年の商法改正で指名委員会等設置会社が、平成26年の会社法改正で監査等委員会設置会社が認められ、各社が選択できる枠組みになっています。実際に、監査等委員会設置会社へ移行する会社が増えてきており、平成29年6月総会終了時点で822社(三菱UFJ信託銀行調べ)、指名委員会等設置会社は同年8月1日時点で73社(日本取締役協会調べ)とされています。

機関設計の例 構成
例1 株主総会+取締役会+監査役
例2 株主総会+取締役会+会計参与
例3 株主総会+取締役会+監査役会
例4 株主総会+取締役会+監査役+会計監査人
例5 株主総会+取締役会+監査役会+会計監査人
取締役会を設置する会社で見られる機関設計(例)

実務では、まず定款・登記事項証明書(登記)・取締役会規程から、少なくとも次の点を突合して「自社がどの型か」を確定させます。

機関設計の確認で先に押さえる観点
  • 取締役会設置会社か(取締役会の設置は登記事項です)
  • 監査役設置会社か、監査役会設置会社か
  • 監査等委員会設置会社または指名委員会等設置会社か(これらは監査役を置けない設計です)
  • 会計参与を置いているか(監査役非設置の選択肢と絡みます)
  • 会計監査人設置義務の有無(大会社では会計監査人が義務付けられます)

取締役会と監査役の役割分担を押さえる

取締役会は、重要な業務執行の意思決定と取締役の職務執行の監督を担う中枢機関です。他方で監査役は、取締役会の「構成員(メンバー)」ではなく、議決権もありませんが、取締役の職務執行を監査する会社機関です。両者は上下関係ではなく、業務執行(経営)と監査(チェック)を分離して牽制を効かせる関係にあります。

参照情報の整理に従うと、監査の主体は機関設計で変わります。

監査の主体(誰が監査権限を行使するか)
  • 監査役会設置会社では監査の主体は個々の監査役であり、監査役は各自が会社の機関(独任制)として判断し権限行使します
  • 指名委員会等設置会社・監査等委員会設置会社では監査の主体は委員会であり、原則として個々の監査委員・監査等委員が単独で権限行使する建付けではありません

この違いは、「取締役会に欠席が出たときのガバナンス上の見え方」に直結します。監査役(独任制)の場合、特定の監査役が継続欠席すると、監査機能が個人単位で空洞化しやすい一方、委員会型では内部統制システムを通じた組織的監査の設計が前提になります。

監査役の設置義務と例外

取締役会設置会社の監査役設置義務

取締役会を設置する会社では、原則として監査役(またはこれに代替する監査機関)が必要になります。取締役会に重要な意思決定が集約される以上、取締役相互の監督に加えて、独立した監査機能を制度として組み込む趣旨です。

ただし実務上は、「取締役会設置=必ず監査役設置」と短絡せず、どの型の会社かで整理します。指名委員会等設置会社と監査等委員会設置会社は、監査を担う委員会が制度上設けられているため、監査役を置かない(置けない)設計です。特に、指名委員会等設置会社では監査役を置けない旨が会社法で明記されています(会社法第327条)。

また、参照情報のとおり、大会社では会計監査人の設置が義務付けられ、債権者保護の観点から会計処理の適正を外部監査(会計監査)でチェックする枠組みになります。大会社で上場会社の場合は「株主総会+取締役会+監査役会+会計監査人(上の表の例5)」の形が多い、という整理が示されています。

監査役を置かない機関設計の例外

取締役会を設置していても、監査役を置かない(置けない)選択肢があります。重要なのは「監査機能が別の制度で担保される」場合に限り、監査役が外れる(または制度上排除される)点です。

監査役を置かない(置けない)代表的な整理
  • 指名委員会等設置会社は監査委員会があるため監査役を置けません(会社法第327条)
  • 監査等委員会設置会社は監査等委員会が監査を担うため監査役を置けません(制度設計として監査役と併置しません)
  • 取締役会+会計参与という設計(表の例2)のように、監査役以外の機関で一定の牽制を図る発想があります

自社が「監査役設置会社の前提」で規程を作っているつもりでも、実際には委員会設計へ移行していた、または移行準備中というケースでは、取締役会への関与(出席・意見陳述・議事録対応)のルール設計がずれます。定款・登記・規程をセットで点検する必要があります。

監査等委員と監査役の違いを分ける

監査等委員と監査役は、どちらも監査機能を担いますが、制度上の立ち位置が異なります。参照情報のとおり、監査役会設置会社では監査役が独任制で各自が主体的に監査権限を行使する想定です。一方、監査等委員会設置会社では監査の主体は委員会であり、委員会として内部統制システムを通じた組織的監査を行う想定です。

この違いは、次の実務論点に影響します。

実務への影響が大きい相違点(参照情報の整理)
  • 社外者の占める比率(独立性の設計思想が異なります)
  • 常勤者の有無(常勤監査役の設計と、委員会型の運用設計は異なります)
  • 調査権等を行使する者の選定(委員会が主体となり、委員会で選定された者が行使する建付けになります)

「監査役が取締役会を欠席してよいか」という論点は、監査役(独任制)を前提にすると、欠席がそのまま監査活動の空白として評価されやすくなります。自社が委員会型であれば、欠席・出席の評価軸も含め、委員会としての監査設計(誰がどう出席し、どう記録するか)へ読み替えて整理する必要があります。

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監査役の権限と取締役会での職務

出席義務と意見陳述義務の内容

監査役(業務監査権限を持つ監査役)は、取締役会に出席し、必要があるときは意見を述べる義務を負います(会社法第383条)。参照情報でも、取締役会は会社経営の中枢であり審議事項は重要事項が中心であるため、会社法が取締役会監査に重点を置き、この義務を「重要度の高い義務」と位置付けている点が示されています。

実務で誤解が起きやすいのは、「出席は権利だから、欠席してもよい」という整理です。会社法上は、監査役には出席の権利に加えて、監査の実効性確保のための出席義務・意見陳述義務が課されています。したがって、欠席をゼロにすること自体が目的ではなく、欠席する場合にも監査の空白を生まない手当て(資料精査、質問事項の事前提出、議事録確認等)をセットで設計する必要があります。

また、参照情報にある重要な例外として、監査役が2人以上いる会社で、特別取締役制度(会社法第373条)を採用している場合、監査役の互選により「特別取締役による取締役会(常務会など)に出席する監査役」を定められます(会社法第383条ただし書)。もっとも、この場合でも、出席担当に定められていない監査役が、必要と判断して出席することまで妨げられるわけではない、という整理が参照情報で明確にされています。

招集請求権や調査権限の範囲

監査役の中核は「出席して見ている」ことだけではなく、必要に応じて調査し、是正のために動ける点にあります。参照情報でも、監査役(監査役等)には取締役の職務執行の監査と監査報告の作成が明記されており(監査役の職務として会社法第381条、監査等委員会の職務として会社法第399条の2、監査委員会の職務として会社法第404条)、監査を「記録に残す」責務が制度として組み込まれています。

また、計算書類・事業報告の作成と監査の流れも条文上の枠があり、会社は計算書類および事業報告を作成し(会社法第435条)、計算書類は会計監査人と監査役等の監査、事業報告は監査役等の監査を受け(会社法第436条)、定時株主総会の招集通知とともに計算書類・事業報告・監査報告・会計監査報告を株主に提供する(会社法第437条)という流れが示されています。取締役会の欠席論点も、この「監査報告に耐える監査プロセス」を維持できているか、という観点から評価されます。

さらに、監査の実務は「いつ、何を、どこまで調べ、取締役会や株主にどう示すか」という記録管理と不可分です。参照情報では、事業報告等に関する監査報告の記載事項として、例えば次のような事項が会社法施行規則で具体化されている点が挙げられています(会社法施行規則129条、130条、130条の2、131条)。

事業報告等に関する監査報告で記載が求められる事項(例)
  • 監査役等の監査の方法およびその内容
  • 事業報告および附属明細書が法令または定款に従い会社の状況を正しく示しているかの意見
  • 取締役の職務遂行に関し不正の行為または法令・定款違反の重大な事実があるときはその事実
  • 監査のため必要な調査ができなかったときはその旨および理由
  • 内部統制システムの整備に関する決定および運用状況が相当でないと認めるときはその旨および理由
  • 監査報告を作成した日

欠席が多い監査役は、この「方法・内容」「必要な調査ができなかった場合の理由」などの説明可能性が崩れやすく、結果として監査品質と説明責任の両面でリスクになります。

会計限定監査役の会社で、どの議題まで出席優先度を上げるかを分ける

定款等で監査役の監査範囲を会計に限定する(会計限定監査役)場合、業務監査権限を前提とする「取締役会への常時出席義務」の議論は、そのままでは当てはまりません。一方で、会計監査を適切に遂行し、監査報告の裏付けを確保するためには、取締役会の議題によっては出席優先度を実務的に引き上げる必要があります。

参照情報でも、会社は計算書類を作成し(会社法第435条)、計算書類は会計監査人と監査役等の監査を受け(会社法第436条)、株主に監査報告等を提供する(会社法第437条)という枠組みが示されています。会計限定であっても、計算書類・会計方針・監査対応に関する取締役会審議は、監査役の職務に直結します。

会計限定でも出席優先度を上げる実務場面(例)
  • 計算書類・附属明細書の承認や確定に関する審議(監査報告の前提になります)
  • 会計監査人に関する事項(選解任、不再任方針、監査対応の方針など)
  • 内部統制システムの整備・運用状況が議題になる場面(監査報告の記載事項とも関連します)

監査役欠席と決議への影響

監査役欠席でも決議は直ちに無効か

監査役が欠席したこと自体のみを理由に、取締役会決議が直ちに無効となるわけではありません。監査役は取締役会の議決権者ではなく、定足数・可決要件の計算対象は取締役である、という構造は変わらないためです。

ただし、監査役(業務監査権限を持つ監査役)には取締役会への出席義務・意見陳述義務が課されているため(会社法第383条)、欠席が常態化すると「監査の実効性」が損なわれ、結果として不正・違法な意思決定の見逃し、監査報告の説明困難、社内統制上の不備といったリスクが現実化しやすくなります。決議の形式的効力と、ガバナンス上の適法性・相当性評価は切り分けて整理する必要があります。

継続欠席が責任と監督体制に及ぼす影響

監査役が正当な理由なく取締役会欠席を繰り返すと、監査役の任務懈怠(職務を尽くしていないこと)として、責任追及リスクが高まります。監査役の出席・意見陳述が重要度の高い義務であること(会社法第383条)は参照情報でも強調されており、取締役会が形骸化していない現状では、取締役の職務執行を効率よく監視・検証できる主要な場が取締役会である、という位置付けになります。

また、欠席が続く場合、監査報告の「監査の方法およびその内容」(会社法施行規則129条等)を実質的に説明できない、あるいは「必要な調査ができなかったとき」の理由記載に追い込まれるなど、監査役自身の説明責任が重くなります。監査役個人の問題に見えても、対外的には会社の監督体制が機能不全と評価され得るため、取締役会事務局と監査役側で、欠席時の代替手当てと記録化まで含めて運用を定めておく必要があります。

欠席そのものより招集漏れが危ない場面を、決議有効性と運営不備で切り分ける

欠席と「招集漏れ(招集通知を送っていない)」は、決議への影響とコンプライアンス上の重みが異なります。欠席は本人都合で起こり得ますが、招集漏れは会社側の手続不備であり、監査機能を制度的に空洞化させる行為になり得るためです。

参照情報が示すとおり、監査役は取締役会への出席が義務であり(会社法第383条)、必要に応じて意見を述べるべき立場にあります。したがって、会社側は「監査役に意見陳述の機会を与える手続」を確保していることを、後から説明できる状態にしておく必要があります。

欠席と招集漏れを切り分ける実務整理
  • 欠席(招集通知は適法に到達し本人が欠席)では、通常は決議の成立自体は直ちに崩れません
  • 招集漏れ(監査役に通知せず開催)では、監査役の意見陳述機会を制度的に奪った運営不備として争点化しやすくなります
  • 特別取締役制度を採る会社では、互選で出席担当を定めても(会社法第383条ただし書)、招集通知の対象整理と記録管理が重要になります
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監査役が欠席するときの手続

欠席前の通知と会社側の対応手順

監査役が欠席する場合は、「欠席の連絡」だけで終わらせず、監査の空白を埋める手当てと記録をセットで運用します。監査役の取締役会出席が義務であること(会社法第383条)を踏まえると、欠席時ほど、監査役側・会社側の双方に「監査を尽くした」と説明できる手続が求められます。

欠席時に最低限そろえる実務手順(監査役側・事務局側)
  1. 監査役は欠席理由と欠席する議題範囲を事務局に事前連絡します
  2. 事務局は通常どおり招集通知・議案・参考資料を欠席予定の監査役にも送付し送付記録を残します
  3. 監査役は資料を精査し質問事項や懸念点があれば書面またはメールで事前提出します
  4. 事務局は提出意見を当日の審議に反映し必要に応じて議事録に意見の要旨を残します
  5. 終了後に事務局は議事録案と決議内容を速やかに共有し監査役は確認結果(追加質問や指摘)を返送します

監査役会設置会社では、監査役会議事録は本店に10年間備え置く義務があり、出席した監査役全員の署名または記名押印が必要です(会社法第393条、会社法施行規則109条)。取締役会議事録とは別論点ですが、欠席が続く会社では「記録の整合性」が崩れやすいため、取締役会・監査役会それぞれの議事録管理ルールを分けて点検することが有効です。

オンライン取締役会と書面決議の注意点

オンラインによる出席は、実務上は有力な代替策ですが、法的に「出席」と評価されるためには、情報伝達の双方向性と即時性が確保されていることが前提になります。参照情報では、会社法施行規則72条3項1号が、株主総会議事録の記載事項として「当該場所に存しない取締役等が出席した場合における当該出席の方法」を定め、オンライン等で役員が出席する場面を前提としている点が示されています。取締役会でも同様に、実態として審議に参加できていたかが重要になります。

オンライン開催で議事録・運営に残すべき要点
  • オンライン出席者が誰か(監査役を含む)と出席方法(テレビ会議・Web会議等)
  • 音声・映像が継続して双方向に通じていたか(途絶があれば時間帯と対応を記録)
  • 途絶があった議題では要点の再説明や採決のやり直し等を行ったか

また、取締役会を開催せずに書面等で合意する書面決議(いわゆるみなし決議)を採る場合、監査役の異議の有無を含め、要件充足の確認と記録化が重要になります。監査役の立場からは、取締役会出席義務(会社法第383条)との関係でも、書面決議の濫用により監査の実効性が落ちないように運用基準を持つことが必要です。

書面決議で監査役が異議を述べるか迷うときの判断基準と残し方

書面決議で監査役が迷いやすいのは、「反対したいわけではないが、審議が足りない」という局面です。監査役の役割は結論への賛否だけでなく、意思決定プロセスの適法性・相当性を監視し、必要に応じて意見を述べることにあります(会社法第383条)。

参照情報では、監査役会の決議に反対した監査役は、議事録に異議をとどめておく必要性があること、議事録に記載がないと賛成と推定され不利益を受け得ることが示されています(会社法第393条第4項)。取締役会の書面決議でも同様に、異議の有無・理由が後から追えるよう、記録の残し方が重要です。

異議を述べるかの判断と記録化のしかた
  1. 法令・定款違反の疑いがある場合は異議を述べて開催(対面またはオンライン)を求めます
  2. 前提資料が不足し質疑が尽くせない場合は異議を述べて追加資料提示と審議機会を求めます
  3. 監査報告の裏付けが取れない(監査の方法・内容を説明できない)場合は異議を述べます
  4. 異議は口頭ではなく書面またはメールで「理由」と「求める対応」を1通で特定します
  5. 会社側には保存場所(取締役会事務局の文書管理)と保存期間の取扱いを明確にさせます

取締役会の出席状況を見直す

出席率の把握と定款・規程の点検

監査役の欠席が問題化する会社では、個別の欠席理由の是非だけでなく、制度として「出席できる設計」になっているか(スケジュール、招集、資料提供、オンライン活用、特別取締役制度の有無等)を点検することが有効です。

参照情報のとおり、監査役の取締役会出席は義務であり(会社法第383条)、特別取締役制度(会社法第373条)を採用する会社では、監査役が2人以上いるときに互選で出席監査役を定められる(会社法第383条ただし書)という運用上の選択肢があります。自社の規程がこの制度設計と整合しているかを確認します。

出席状況と規程点検を連動させる観点
  • 招集通知と資料送付の期限・方法・送付記録(招集漏れ防止の観点)
  • オンライン出席の要件(双方向性・即時性)と議事録の記載ルール
  • 特別取締役制度採用の有無と、互選で定める「出席監査役」の定め方(会社法第383条ただし書)
  • 監査役会議事録の備置・署名押印等の管理(10年備置:会社法第393条、規則109条)

不正兆候がある場面の運用を定める

不正兆候がある局面では、監査役にとって取締役会は「情報が集まる場」であると同時に、「止めるための手続」を動かす場になります。参照情報でも、取締役会は経営の中枢であり、監査役にとって職務執行状況を効率よく監視・検証できる場であると位置付けられています。そのため、不正兆候時には、通常時以上に監査役の出席・発言(会社法第383条)の重要性が上がります。

また、差止請求に関する参照情報として、監査役設置会社等で株主が差止請求をする場合の要件(会社法第360条第3項)が整理されています。ここでは、取締役が目的外行為その他法令・定款違反行為をしている(またはしようとしている)こと、その行為により回復できない損害が生じるおそれがあること等が要件となり、一定の株式保有期間(6か月前から引き続き保有、定款で短縮可能)にも触れられています。不正兆候局面では、こうした外部からの手続(株主の権利行使)も視野に入り得るため、取締役会運営の適法性・記録化をより厳格にする必要があります。

年間で欠席が続く監査役をどう扱うか、再任判断と後任選任の社内論点を整理する

欠席が続く監査役への対応は、個人の勤務状況の問題ではなく、会社の監査体制(機関としての実効性)をどう担保するかの問題です。監査役会設置会社では、監査役は独任制で各自が権限を行使する想定であり、特定の監査役の欠席が監査の空白につながりやすい(参照情報)ため、再任判断では「欠席の頻度」だけでなく「監査として必要な調査・検証ができていたか」を合わせて評価する必要があります。

参照情報にあるとおり、取締役会への出席は重要度の高い義務(会社法第383条)であり、監査報告には監査の方法・内容、重大な法令・定款違反事実、調査不能事項の理由など、具体の記載事項が求められます(会社法施行規則129条等)。欠席が続くと、監査報告の説明可能性が落ちるため、再任可否の検討材料として合理的です。

後任選任に関しては、監査役会議事録の備置(10年)と署名押印等の厳格な運用(会社法第393条、規則109条)も含め、監査役会の機能が実務で回っているかを点検し、候補者に求める稼働・独立性・監査経験(会計監査人対応を含む)を具体化して社内論点として整理します。

よくある質問

監査役が全ての取締役会を欠席している場合、直ちに違法ですか?

業務監査権限を持つ監査役が、正当な理由なく取締役会を全て欠席している運用は、会社法が求める監査役の職務(取締役会への出席と必要な意見陳述)に反するリスクが高く、少なくともガバナンス上は重大な不備と評価されます。会社法上、監査役は取締役会に出席し、必要に応じて意見を述べなければならないとされています(会社法第383条)。

また、監査報告には監査の方法・内容、法令・定款違反の重大事実、調査不能事項の理由等を記載することが求められており(会社法施行規則129条等)、全欠席が常態化すると、監査報告の裏付けが説明困難になり得ます。やむを得ない事情がある場合でも、欠席時の資料精査、質問の事前提出、議事録確認など、監査プロセスを補完する手当てと記録化が不可欠です。

監査役が1名のみでも、欠席した取締役会の決議は有効ですか?

監査役が1名のみの会社で、その監査役が欠席したとしても、それだけで取締役会決議が直ちに無効になるとは整理されません。監査役は取締役会の議決権者ではないため、決議の成立要件(定足数・可決要件)は取締役で判断されるのが基本だからです。

ただし、監査役には取締役会への出席義務が課されており(会社法第383条)、会社側が監査役に招集通知・資料提供を行い意見陳述の機会を確保していたか(手続の適正)と、その記録が残っているか(後日の説明可能性)は別問題として重要です。欠席と招集漏れは必ず切り分けて運用・記録化してください。

監査役は体調不良や出張時に代理人出席できますか?

監査役の職務は会社機関としての判断・監査であり、個別具体の監査判断を代理人に丸ごと委ねる運用は適合しません。実務上も、代理出席では監査役が取締役会で監視・意見陳述をしたことにはならず、監査の実効性確保の観点から適切ではありません。

監査役が欠席する場合は、会社法上の出席・意見陳述義務(会社法第383条)との関係で、少なくとも資料の事前精査、質問・意見の書面提出、議事録確認などで監査プロセスを補完し、後から監査の方法・内容を説明できるようにしておくことが重要です。

オンライン取締役会で接続不良があると出席といえますか?

オンラインによる「出席」と評価されるためには、審議に必要な情報伝達の双方向性・即時性が確保されていることが前提になります。参照情報でも、会社法施行規則72条3項1号が、会場にいない役員が出席した場合の「出席の方法」を議事録記載事項として定めており、オンライン等での出席が制度上想定されている一方、出席の実態(参加できていたか)が重要になることが読み取れます。

接続不良で審議内容を把握できない時間が生じた場合、その時間帯の議題については実質的に不在と評価されるリスクがあるため、進行を止めて復旧後に要点を再説明する、採決をやり直す等の対応を取り、議事録に「不通の時間帯・対応内容・審議再開の経緯」を残す運用が重要です。

監査役の取締役会欠席への対応で次にすべきこと

監査役の取締役会欠席は、決議の形式的な有効性とは別に、会社法第383条に基づく出席・意見陳述の義務を前提とした監査の実効性や説明可能性(監査報告の裏付け)として評価されます。まずは自社の機関設計(監査役型か委員会型か)と、欠席と招集漏れを切り分ける運営実務を確認し、欠席時でも資料送付・意見提出・議事録反映まで一連の代替手当てが回る設計かを点検してください。オンライン出席や書面決議を使う場合も、双方向性・即時性や異議の記録化など、後から追える形で残せているかが判断軸になります。次のアクションとして、定款・登記・取締役会規程・議事録運用をセットで棚卸しし、取締役会事務局と監査役側で欠席時手順と記録ルールをすり合わせることが現実的です。個別案件で出席要否や異議の扱いに迷うときは、法務担当と連携しつつ、必要に応じて専門家に相談して整理してください。



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