経営

デロイト トーマツの内部監査サービスとは?アシュアランスからアドバイザリーまで内容を解説

catfish_admin

企業の持続的な成長とガバナンス強化を実現するためには、実効性の高い内部監査体制の構築が不可欠です。事業環境が複雑化する現代において、内部監査部門のさらなる高度化や、専門知識を持つ外部パートナーの活用を検討されている経営層やご担当者様も多いのではないでしょうか。この記事では、大手監査法人であるデロイト トーマツ グループが提供する内部監査サービスについて、その全体像から具体的な支援内容、他社にはない強みまでを網羅的に解説します。自社の課題解決に繋がるヒントとして、ぜひご一読ください。

目次

デロイト トーマツが提供する内部監査サービスの全体像

企業の持続的成長を支える内部監査の目的とトーマツの支援領域

デロイト トーマツ グループは、企業のガバナンス強化やリスク管理の高度化を支援するため、多角的な内部監査サービスを提供しています。内部監査は、組織の目標達成を阻害する要因を識別・評価し、その影響を最小限に抑えるための重要な機能です。経営陣や取締役会に対し、独立した立場から客観的な保証(アシュアランス)を提供し、組織運営の改善に向けた具体的な助言(アドバイザリー)を行うことで、企業の持続的な成長を支えます。

当社の支援は、単なる法令遵守の確認に留まりません。リスクアプローチに基づいた年度監査計画の策定から、個別の業務プロセスの効率性検証、経営課題に直結するテーマ監査まで、広範な領域をカバーします。複雑化する事業環境において、組織の不祥事を未然に防ぎ、透明性の高い経営体制を構築するための基盤作りをサポートします。

保証を提供する「アシュアランス」と助言を行う「アドバイザリー」

内部監査サービスは、組織の活動を客観的に評価する「アシュアランス業務」と、改善に向けて具体的な助言を行う「アドバイザリー業務」の二つに大別されます。トーマツは、これらを組み合わせた次世代の内部監査モデルを提唱し、企業の意思決定を強力に支援します。

項目 アシュアランス業務(保証業務) アドバイザリー業務(助言業務)
目的 ガバナンス、リスク管理、内部統制の有効性を客観的に評価し、信頼性を保証する 専門的知見に基づき、組織のプロセス改善やリスク対応に関する具体的な助言を行う
主な活動 証拠の検証、基準との比較評価、評価結果の報告 新システム導入時のリスク評価、プロセス設計支援、ガバナンス体制の高度化支援
役割 独立した評価者として、ステークホルダーに適正性の確証を提供する 経営責任を負わない立場で、組織改善を促進するパートナーとして機能する
アシュアランス業務とアドバイザリー業務の比較

主要サービス①:アシュアランス業務(保証業務)の具体的な内容

財務報告に係る内部統制(J-SOX)の評価

上場企業には、金融商品取引法に基づき、財務報告の信頼性を確保するための内部統制報告制度(J-SOX)への対応が義務付けられています。デロイト トーマツは、経営者の視点に立ち、効率的かつ実効性の高い評価業務を支援します。

評価プロセスでは、まず全社的な内部統制を評価し、次に重要な業務プロセスを特定してその有効性を検証します。その際、一般的に「三点セット」と呼ばれる文書を用いて業務を可視化します。

J-SOX対応における「三点セット」
  • 業務記述書: 業務の具体的な手順や担当者を文章で明確化する。
  • フローチャート: 取引や情報の流れを図で可視化する。
  • リスクコントロールマトリクス(RCM): 業務上のリスクと、それに対応する統制活動(コントロール)を一覧化する。

当社はこれらの文書化支援から、運用テストの実施、発見された不備に対する是正措置の助言までを一貫して行い、適切な内部統制報告書の作成をサポートします。

特定のテーマ・業務プロセスを対象とした業務監査

業務監査は、財務報告以外の広範な業務活動を対象とし、その適法性や合理性を検証するものです。デロイト トーマツは、特定のテーマに絞った監査を提案し、経営上の重要課題に対するアシュアランスを提供します。例えば、購買プロセスにおける不正取引の防止策や、販売プロセスにおける与信管理の有効性などを検証します。

業務監査は、以下の基本的な流れで実施されます。

業務監査の基本的な実施フロー
  1. 予備調査: 対象領域のリスクを洗い出し、監査の重点項目を特定する。
  2. 監査手続書の作成: 具体的な監査手続きや検証方法をまとめた計画書を作成する。
  3. 往査(実地調査): 現場で関係者へのヒアリングや証憑の確認を行い、業務の実態を把握する。
  4. 評価・分析: 業務が社内規程やマニュアルに準拠しているかを評価し、不備の根本原因を分析する。
  5. 報告・提言: 監査結果を報告し、業務の非効率性を解消するための具体的な改善策を提示する。

IT全般統制(ITGC)や情報セキュリティに関するシステム監査

事業活動におけるITシステムへの依存度が高まる中、ITに関する内部統制の重要性は高まっています。デロイト トーマツは、IT全般統制(ITGC)や情報セキュリティに関するシステム監査を通じて、企業のデジタル基盤の信頼性を検証します。

IT全般統制とは、個々の業務処理システムが正しく機能するための基盤となる管理体制を指します。システム監査では、これらの管理体制が適切に運用されているかを確認します。

IT全般統制(ITGC)の主な評価対象
  • システムの開発・保守: システム変更が適切な承認やテストを経て行われているか。
  • システムの運用管理: 定常業務や障害対応が手順通りに実施されているか。
  • アクセス管理: 特権IDの管理や利用者へのアクセス権付与が適切に行われているか。
  • 外部委託先の管理: 委託先の管理体制が自社の基準を満たしているか。

これらの監査を通じて、データ改ざんや不正アクセスといったリスクを低減し、情報システムの安全性、可用性、完全性が確保されていることを保証します。

主要サービス②:アドバイザリー業務(助言業務)の具体的な内容

内部監査部門の立ち上げ・態勢構築・高度化支援

新規上場を目指す企業や、事業拡大に伴いガバナンス強化が急務となっている企業に対し、内部監査部門の立ち上げから高度化までを全面的に支援します。組織の成熟度に応じて、実効性の高い内部監査態勢の構築をサポートします。

内部監査部門の立ち上げ支援
  • 内部監査規程や組織図(社長直轄など)の設計
  • 内部監査マニュアルの整備
  • 監査人の選定・育成計画の策定
既存部門の高度化支援
  • グローバル内部監査基準への準拠性向上
  • リスク評価手法の刷新とリスクベース監査への転換
  • データ分析など監査ツールの導入支援

内部監査の品質評価(QAR)と改善策の提言

内部監査部門は、その活動の品質を担保するため、定期的な外部評価を受けることが推奨されています(IIA基準では5年に1回以上)。デロイト トーマツは、品質評価(QAR)サービスを通じて、内部監査部門の有効性を客観的に診断し、改善を支援します。

評価にあたっては、単に規程や手続きを遵守しているかだけでなく、多角的な視点から分析を行います。

内部監査品質評価(QAR)における主な評価観点
  • 基準への準拠性: 内部監査規程や専門職的実施の国際フレームワークを遵守しているか。
  • 手続の妥当性: 監査計画、実施、報告の各プロセスが適切に運用されているか。
  • ステークホルダーの期待: 経営層や監査役会の期待に応え、信頼を得られているか。
  • 組織価値への貢献: 監査活動が組織のガバナンスやリスク管理の向上に貢献しているか。

診断結果に基づき、現状とあるべき姿とのギャップを明らかにし、部門が「信頼されるアドバイザー」へと進化するための具体的なロードマップを提言します。

リスク評価に基づく年間監査計画の策定支援

限られた監査リソースを有効活用するには、リスクの高い領域に監査資源を集中させるリスクベースのアプローチが不可欠です。デロイト トーマツは、企業の事業特性や外部環境の変化を踏まえたリスクアセスメントと、それに基づく年間監査計画の策定を支援します。

リスクベース監査計画の策定プロセス
  1. リスクの識別・評価: 各部門や業務プロセスに潜むリスクを洗い出し、発生可能性と影響度から重要性を評価する。
  2. リスクマップの作成: 評価結果を可視化し、優先的に対応すべきリスク領域を特定する。
  3. 年間監査計画の策定: リスクの高い領域を重点対象とした具体的な監査テーマとスケジュールを策定する。
  4. 計画の見直し: 事業環境の変化に対応できるよう、計画を定期的に見直すプロセスを構築する。

態勢構築を円滑に進めるための経営層・関連部署との合意形成

内部監査態勢の構築や高度化を成功させるには、経営層のコミットメントと被監査部門の協力が不可欠です。デロイト トーマツは、円滑な合意形成を促すためのファシリテーションを支援します。

監査の目的が「欠点の摘発」ではなく「組織全体の改善」にあることを明確に伝え、監査部門と被監査部門が共通の目標を持つための対話の場を設けます。重大な指摘事項については、根本原因を現場と共有し、実現可能な改善策を共に模索する協調的なアプローチを重視します。また、経営層に対しては、内部監査の成果が企業価値向上にどう貢献するかを可視化して報告し、トップダウンでの支援を取り付けます。

デロイト トーマツの内部監査における強みと特徴

業種・業務に精通した専門家によるチーム体制

当社の最大の強みは、監査の専門家(公認内部監査人、公認会計士など)に加えて、各業界の商慣習や固有のリスクに精通したインダストリースペシャリストがチームを組む点です。金融、製造、流通、公共セクターなど、企業の業種に合わせた最適なチームを編成することで、表層的ではない、ビジネスの実態に即した深度のある監査を実現します。

グローバルネットワークを活かした最新の知見と事例の提供

世界150カ国以上に広がるデロイトのグローバルネットワークを活かし、国境を越えた最新の監査知見や先進事例を提供します。海外子会社を持つ企業に対しては、現地の法規制や文化に詳しいメンバーと連携し、グローバル規模での内部監査体制の構築を支援します。国際水準のベンチマーキング分析を通じて自社の立ち位置を客観的に評価し、グローバルガバナンスの強化を力強く後押しします。

データ分析・テクノロジー活用による監査の効率化

従来のサンプリング調査(試査)では発見が困難だった不正や例外処理を、データアナリティクス技術を用いて全件データから効率的に検出します。また、AIやプロセスマイニングといった最先端テクノロジーを活用し、監査業務の効率化と高度化を推進します。

監査の効率化・高度化に活用するテクノロジー例
  • データアナリティクス: 全取引データを分析し、異常なパターンや例外取引を自動で抽出する。
  • 生成AI: 議事録や調書などの監査文書の作成を自動化し、工数を削減する。
  • プロセスマイニング: 業務システムのログデータを解析し、実際の業務フローを可視化してボトルネックを特定する。

テクノロジーの活用により、監査人は定型業務から解放され、より高度なリスクの分析や評価に注力できます。

最新動向を踏まえた内部監査の高度化支援

DX推進に伴う新たな事業リスクへの対応

デジタルトランスフォーメーション(DX)は新たな事業機会を創出する一方、複雑なデジタルリスクをもたらします。デロイト トーマツは、AI、ビッグデータ、クラウド活用といった新しい技術に伴うリスクを適切に評価し、管理するための内部監査を支援します。変革のスピードに対応したアジャイル型監査を取り入れ、デジタル化に伴うリスクを先読みした助言を提供します。

ESG・サステナビリティに関する内部監査の導入

非財務情報の開示に対する社会的な要請が高まる中、ESG(環境・社会・ガバナンス)やサステナビリティに関する情報の信頼性確保が急務となっています。当社は、これらの情報開示プロセスに対する内部監査の導入を支援します。

ESG・サステナビリティに関する主な監査テーマ
  • データ算出プロセスの妥当性: 温室効果ガス排出量や人的資本に関するデータの収集・算出プロセスを検証する。
  • 目標設定と戦略の整合性: ESGに関する目標が経営戦略と整合しているか評価する。
  • 開示情報の一貫性: 開示内容が財務情報と矛盾していないか、またマテリアリティ評価が適切かを確認する。

これにより、グリーンウォッシュなどのレピテーションリスクを防ぎ、ステークホルダーからの信頼を確保します。

サイバーセキュリティ体制の評価と強化支援

高度化・巧妙化するサイバー攻撃は、企業の事業継続を脅かす重大なリスクです。デロイト トーマツは、独立した第三者の立場からサイバーセキュリティ体制を評価し、強化を支援します。技術的な脆弱性診断だけでなく、インシデント発生時の対応プロセスや従業員教育といった、組織・ガバナンス面からも有効性を検証します。経営課題としてサイバーリスクを捉え、ゼロトラストの原則に基づいた防御態勢の構築を支援します。

サービス導入によるメリットと支援プロセス

専門知識の補完と内部監査の客観性・信頼性の向上

デロイト トーマツのサービスを導入することで、社内リソースだけでは確保が難しい専門知識を迅速に補うことができます。また、社内の利害関係から独立した第三者の視点が入ることで、監査の客観性と信頼性が飛躍的に向上し、経営層や外部ステークホルダーへの説明責任を果たす上で強力な後ろ盾となります。

外部専門家導入による主なメリット
  • IT、サイバー、ESG、グローバル法規制など高度な専門知識の補完
  • 社内のしがらみにとらわれない客観的かつ独立した監査の実施
  • 監査結果に対する経営層や外部利害関係者からの信頼性向上

相談から支援開始までの基本的な流れ

ご相談から支援後のフォローアップまで、一貫したプロセスで企業のガバナンス向上を支援します。

支援開始までの基本的な流れ
  1. 相談・ヒアリング: 現状の課題やサービス導入の目的についてお伺いします。
  2. 予備調査・提案: 組織の現状を分析し、具体的な支援内容、期間、体制、見積もりを提案します。
  3. 契約・計画策定: 契約締結後、リスク評価に基づき詳細な監査計画を策定します。
  4. 監査の実施: 計画に基づき、現場での調査やデータ分析などを実施します。
  5. 報告・提言: 監査結果と、それに基づく具体的な改善策を経営層に報告します。
  6. フォローアップ: 提言した改善策の実施状況を確認し、定着を支援します。

アウトソーシング成功の鍵となる社内体制と連携のポイント

内部監査の外部委託を成功させるには、単なる業務の丸投げではなく、外部の専門家を自社の監査チームの一員として活用する視点が重要です。外部から得た知見やノウハウを社内に蓄積し、将来的には自社の監査能力を高める仕組み作りが求められます。

アウトソーシング成功のポイント
  • 企画・分析など監査の中核機能は自社に残し、主体性を維持する。
  • 外部専門家と社内担当者が定期的に連携し、リスク認識を共有する。
  • 監査プロセスを通じて、外部の知見を社内人材の育成に活用する。
  • 被監査部門に対し、外部委託の目的を事前に説明し、協力体制を構築する。

よくある質問

内部監査の外部委託(アウトソーシング)はどの範囲まで依頼できますか?

企業のニーズに応じて、部分的な委託から内部監査機能全体の委託まで、柔軟な対応が可能です。

アウトソーシングの主な形態
  • フルアウトソーシング: 内部監査機能の全体を外部に委託する。
  • コソーシング: 自社の内部監査員と外部専門家が共同で監査チームを組成する。
  • 専門分野の委託: IT監査や海外拠点監査など、高度な専門性が求められる領域に限定して委託する。

特に、社内へのナレッジ移転や人材育成を重視する場合には、コソーシングが有効な選択肢となります。

中堅・中小企業でもサービスは利用できますか?

はい、利用可能です。専任の内部監査担当者を置くことが難しい中堅・中小企業や、IPO(新規株式公開)準備企業など、企業の規模や成長ステージに応じた最適な支援プランを提供します。限られたリソースの中でリスクの高い領域に絞った効率的な監査を行うことで、コストを抑えつつ、対外的な信頼性向上に不可欠なガバナンス体制の構築を支援します。

どのような業種・業界の支援実績がありますか?

金融(銀行、証券、保険)、製造、流通、エネルギー、テクノロジーといった民間企業から、官公庁や地方自治体などのパブリックセクターまで、極めて広範な業種での支援実績を有しています。各業界固有のビジネス慣習や法規制を熟知した専門家が、画一的ではない、それぞれの事業実態に即した実効性の高いサービスを提供します。

まとめ:デロイト トーマツと共に築く、次世代の内部監査体制

本記事では、デロイト トーマツ グループが提供する内部監査サービスについて、保証を提供する「アシュアランス業務」と、改善を助言する「アドバイザリー業務」の両面から詳しく解説しました。J-SOX対応や業務監査といった伝統的な領域に加え、ESGやサイバーセキュリティなど、現代の経営課題に直結する最新テーマまで幅広く支援している点が特徴です。特に、各業界に精通した専門家、グローバルネットワーク、データ分析技術を駆使した高度な監査アプローチは、デロイト トーマツならではの強みと言えるでしょう。内部監査部門の立ち上げ、高度化、あるいはアウトソーシングを検討する際には、自社の課題やリソースに応じて最適なサービス形態を選択することが成功の鍵となります。信頼できる外部パートナーと連携することで、内部監査を単なるコストセンターから、企業価値向上に貢献する戦略的機能へと変革させることが可能です。

Baseconnect株式会社
サイト運営会社

本メディアは、「企業が経営リスクを正しく知り、素早く動けるように」という想いから、Baseconnect株式会社が運営しています。当社は、企業取引や与信管理における“潜在的な経営リスクの兆候”を早期に察知・通知するサービス「Riskdog」も展開し、経営判断を支える情報インフラの提供を目指しています。

記事URLをコピーしました