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紹介予定派遣の契約解除・不採用|企業の法的リスクと適切な対応手順

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紹介予定派遣で受け入れたスタッフについて、派遣期間中の解雇や期間満了後の直接雇用の見送りを検討する際、法的なリスクが気になる経営者や担当者の方も多いのではないでしょうか。安易な判断は派遣元との信頼関係を損なうだけでなく、解雇無効などの深刻なトラブルに発展する可能性もあります。この記事では、紹介予定派遣における契約解除と不採用の法的な違い、それぞれの判断基準、そして企業が取るべき具体的な手続きと注意点を解説します。

紹介予定派遣の契約終了 2つの類型

紹介予定派遣における契約終了は、発生するタイミングによって大きく2つの類型に分けられます。それぞれ法的な性質や求められる対応が異なるため、正確に理解しておくことが重要です。

類型1:派遣期間中の契約解除

派遣期間中に派遣先の都合で契約を解除することは、原則として認められません。これは、派遣スタッフの雇用を不安定にする事態を避けるためです。紹介予定派遣は、最長6ヶ月の派遣期間を経て直接雇用を判断する制度であり、期間途中での契約終了は本来想定されていません。

やむを得ず派遣先が契約を中途解除する場合には、以下の措置を講じる法的な義務があります。

派遣先が中途解除する場合の義務
  • 相当の猶予期間をもって派遣元に解除を申し入れる
  • 派遣元の協力のもと、派遣スタッフの新たな就業機会を確保する(関連会社での就業あっせん等)
  • 新たな就業機会を確保できない場合、派遣元が派遣スタッフの雇用継続のために講ずる措置(少なくとも30日前の予告、または30日分以上の賃金に相当する額の休業手当等の支払い)に必要な費用を負担する

類型2:期間満了後の直接雇用拒否

派遣期間の満了後、派遣先が派遣スタッフの直接雇用を拒否することは法的に認められています。紹介予定派遣の派遣期間は、いわば試用期間としての性質を持ち、企業が自社の採用基準に照らして人材を見極めるための期間です。

派遣先は、最長6ヶ月の派遣期間中に派遣スタッフの能力、勤務態度、自社の社風との適合性などを評価します。その結果、自社が求める要件に合致しないと判断した場合は、派遣元に対して直接雇用しない旨を通知し、契約を終了させることができます。これはあくまで派遣労働契約の期間満了に伴う終了であり、解雇にはあたりません

派遣期間中の契約解除と法的論点

「やむを得ない事由」の必要性

派遣元が、有期労働契約を結んでいる派遣スタッフを派遣期間の途中で解雇するには、「やむを得ない事由」がなければならず、その判断は極めて厳格に行われます。派遣先の都合で労働者派遣契約が中途解除されたという事実だけでは、通常この「やむを得ない事由」には該当しません。

過去の裁判例でも、派遣先の業務縮小を理由とした派遣契約の中途解除に伴い、派遣元がスタッフを解雇した事案で、その解雇は無効と判断されています。

「やむを得ない事由」と認められる例外的ケース
  • 天災事変などにより事業の継続が不可能になった場合
  • 派遣スタッフ本人に横領などの極めて重大な規律違反があった場合

単なる能力不足や派遣先の経営不振といった理由では不十分であり、派遣元は休業手当を支払って雇用を維持するか、新たな派遣先を確保する義務を負います。

労働契約法第17条1項との関係

派遣期間中の派遣スタッフの雇用は、労働契約法第17条1項によって強く保護されています。この条文は、有期労働契約について「やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない」と定めています。

紹介予定派遣のスタッフは、通常、派遣元と6ヶ月以内の有期労働契約を締結しています。そのため、派遣先が受け入れを拒否したとしても、派遣元はこの条文に拘束され、契約期間が満了するまではスタッフを安易に解雇できません。これは、民法上の契約解除の規定よりも労働者保護を重視したものであり、使用者には契約期間中の雇用を維持する重い責任が課されています。

解雇予告または予告手当の要否

仮に「やむを得ない事由」が認められ、派遣期間中にスタッフを解雇する場合であっても、原則として解雇予告または解雇予告手当の支払いが必要です。これは労働基準法で定められた使用者の義務です。

具体的には、以下のいずれかの対応が求められます。

解雇時の予告義務
  • 少なくとも30日前に解雇を予告する
  • 30日前に予告しない場合は、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払う
  • 予告期間が30日に満たない場合は、不足する日数分の手当を支払う

ただし、労働者の重大な責めに帰すべき事由による解雇や、天災事変で事業継続が不可能な場合に、労働基準監督署長の認定(解雇予告除外認定)を受ければ、この義務は免除されます。しかし、この認定の基準は非常に厳格です。

直接雇用拒否(不採用)の法的論点

企業側に認められる「採用の自由」

派遣期間満了後に派遣先が直接雇用を見送ることは、企業に保障された「採用の自由」に基づく正当な権利です。企業には、どのような人物を、どのような条件で雇用するかを原則として自由に決定する権利があり、これは判例(三菱樹脂事件など)でも確立されています。

紹介予定派遣は直接雇用を前提としていますが、これを法的に強制するものではありません。派遣先は、派遣期間中の評価に基づき、自社の基準に満たないと判断すれば採用を拒否できます。ただし、性別や国籍などを理由とする差別的な不採用は法令で禁止されており、あくまで業務遂行能力や適性に基づいた客観的な判断が求められます。

「試用期間」中の解雇との違い

紹介予定派遣における直接雇用の拒否は、正社員の試用期間満了時の解雇(本採用拒否)とは法的な性質が根本的に異なります。両者の違いを理解しておくことが重要です。

項目 紹介予定派遣の直接雇用拒否 正社員の試用期間中の解雇
法的性質 新たな雇用契約の不締結(不採用) 成立済みの雇用契約の解約(解雇)
当事者間の関係 派遣先とスタッフに雇用関係はない 会社と社員に雇用関係がある
適用法理 採用の自由が広く認められる 解雇権濫用法理が適用される
企業の裁量 比較的広い 比較的狭い(客観的合理性と社会的相当性が必要)
直接雇用拒否と試用期間中の解雇の違い

このように、直接雇用の拒否は「不採用」であり、解雇権濫用法理は適用されません。そのため、試用期間中の解雇に比べて、企業の裁量が広く認められています。

不採用理由の明示義務

紹介予定派遣で直接雇用を拒否した場合、派遣先は派遣元から求められれば、不採用の理由を明示する義務があります。これは労働者派遣法で定められており、派遣スタッフの今後の求職活動を支援するための措置です。

派遣先は、派遣元から理由の開示を求められた場合、書面や電子メールなどの方法で遅滞なく通知しなければなりません。その際、単に「社風に合わない」といった抽象的な理由ではなく、能力不足や勤務態度の問題など、評価に基づいた具体的な内容を伝えることが望ましいです。誠実な対応は、派遣元との信頼関係を維持するためにも不可欠です。

直接雇用拒否の正当性が認められる事由

能力・スキルが著しく不足している

業務遂行に必要な能力やスキルが、求められる水準に著しく達していない場合は、直接雇用を拒否する正当な理由となります。

能力不足と判断される具体例
  • 求人時に明示した専門知識やPCスキルが備わっていない
  • 適切な指導や教育を行ったにもかかわらず、業務手順を覚えられない
  • 同じミスを繰り返し、業務の進行に重大な支障をきたしている

ただし、未経験者として受け入れたにもかかわらず、十分な教育機会を与えずに能力不足と判断することは不適切です。あくまで、採用要件と指導の経緯を踏まえた客観的な評価が必要です。

勤務態度や協調性に問題がある

社会人としての基本的な勤務態度や、組織の一員としての協調性に著しく問題がある場合も、直接雇用を拒否する正当な理由となり得ます。

勤務態度・協調性の問題と判断される具体例
  • 正当な理由のない遅刻、早退、無断欠勤を繰り返す
  • 上司の業務命令に対し、反抗的な態度をとる
  • 同僚への高圧的な言動で、職場の雰囲気を悪化させる
  • 業務上の報告・連絡・相談を怠り、チームの業務を阻害する

これらの問題行動については、注意・指導を行ったにもかかわらず改善が見られないという事実が重要です。指導の記録を残しておくことで、判断の客観性を担保できます。

企業の経営状況が悪化している

派遣スタッフの受け入れを開始した時点では予測できなかった、急激な経営状況の悪化により、新規採用の余力がなくなった場合も、直接雇用を拒否する正当な事由と認められます。

例えば、主要取引先の倒産や、急激な市場環境の変化によって大幅な赤字に陥り、採用計画そのものを見直さざるを得なくなったケースがこれに該当します。この場合、派遣スタッフ本人の能力や勤務態度に問題がなくても、やむを得ず不採用とすることがあります。ただし、経営悪化を理由とする場合は、客観的な財務データなどによる裏付けが必要です。

採用・不採用を判断するための客観的な評価項目の設定

直接雇用の可否をめぐるトラブルを防ぐためには、あらかじめ客観的な評価項目を設定し、それに基づいて判断することが極めて重要です。評価基準が曖昧だと、恣意的な判断とみなされるリスクがあります。

評価シートなどを作成し、派遣期間中に定期的に記録を残すことで、判断の透明性と客観性が高まります。

客観的な評価項目の例
  • 業務遂行能力: 業務の処理速度、正確性、専門知識のレベル
  • 勤務態度: 勤怠状況、規律遵守、責任感
  • 協調性: コミュニケーション能力、報告・連絡・相談の実行
  • 積極性: 業務改善への意欲、主体的な行動

不採用決定後の実務フローと注意点

派遣元会社との連携と報告義務

直接雇用を見送る決定を下した後は、速やかに派遣元会社へ報告し、連携して手続きを進める必要があります。これは、派遣元がスタッフの次のキャリアを支援するために不可欠なプロセスです。

不採用の決定が社内で確定したら、すぐに派遣元の担当者へ連絡します。その際、結果だけでなく、設定した評価項目に基づき、どの点が基準に達しなかったのかを具体的に伝えることが重要です。前述の通り、派遣元から求められた場合、派遣先には理由を明示する法的義務があります。

派遣スタッフ本人への伝え方

不採用の通知は、雇用主である派遣元を通じて派遣スタッフ本人に伝えてもらうのが原則です。派遣先の担当者が直接伝えると、越権行為とみなされたり、感情的なトラブルに発展したりするリスクがあります。

まずは派遣元に不採用の旨と理由を正確に伝え、本人への伝達を依頼しましょう。もし派遣先の担当者が伝えざるを得ない状況になった場合は、これまでの貢献への感謝を述べたうえで、客観的な事実のみを冷静に伝えるように心がけ、人格を否定するような言動は厳に慎むべきです。

トラブル防止のための記録管理

不採用の判断に至るまでの経緯は、後日のトラブルを防ぐための証拠として、客観的な記録として管理することが不可欠です。記録がなければ、不当な扱いを受けたと主張された場合に、企業の正当性を証明することが難しくなります。

具体的には、以下のような記録を整理・保管しておくことが有効です。

管理すべき記録の例
  • 業務日報や成果物に対する評価の記録
  • 遅刻や欠勤などの勤怠データ
  • 問題行動に対する注意指導の日時、内容、本人の反応を記した面談記録
  • 派遣元へ不採用理由を通知した書面やメールの控え

不採用判断の前に実施すべき改善指導と面談記録

能力不足や勤務態度を理由に不採用とする場合、その判断を下す前に、必ず改善のための指導を行い、そのプロセスを面談記録として残しておくべきです。何ら指導の機会を与えずに一方的に不採用を決定すると、スタッフの不満を招き、トラブルの原因となります。

問題点を指摘し、具体的な改善目標と期限を設定して面談を実施します。その後の進捗も定期的に確認し、指導のプロセス全体を文書化しておくことで、不採用という判断が客観的かつ合理的なものであることを裏付けることができます。

よくある質問

派遣スタッフから辞退された場合の対応は?

派遣スタッフ本人から直接雇用の辞退を申し出られた場合は、まずその意思を尊重し、速やかに派遣元へ事実を報告してください。労働者には職業選択の自由があり、直接雇用を強制することはできません。可能であれば辞退の理由をヒアリングし、派遣元と連携して期間満了までの業務引継ぎなどを円滑に進めましょう。

不採用の通知はいつ、誰にすべきですか?

不採用の通知は、派遣期間が満了する1ヶ月前など、事前に派遣元と取り決めた期限までに行うのが一般的です。通知の相手は、派遣スタッフ本人ではなく、派遣元の担当者です。これにより、派遣スタッフは次の仕事を探す時間を確保でき、派遣元も円滑に次の手続きに進むことができます。

派遣期間を延長して見極めることは可能?

当初の派遣契約期間が労働者派遣法で定められた上限である6ヶ月に満たない場合に限り、派遣スタッフ本人の同意を得て、最長6ヶ月まで期間を延長することが可能です。例えば、3ヶ月契約で受け入れた後、さらに3ヶ月延長して評価を続けることはできます。ただし、合計で6ヶ月を超える延長は違法となるため注意が必要です。

「社風に合わない」は正当な理由になりますか?

「社風に合わない」という抽象的な理由だけでは、不採用の正当な事由として不十分です。これは評価者の主観的な判断とみなされやすく、トラブルの原因となります。この理由を用いる場合は、「チームでの情報共有を拒む」「指示された手順を守らず独自のやり方に固執する」など、業務に支障をきたした具体的な行動事実にまで落とし込んで説明する必要があります。

まとめ:紹介予定派遣の契約終了は法的リスクを理解して慎重に

本記事では、紹介予定派遣における契約終了の2つの類型と、それぞれの法的論点を解説しました。派遣期間中の契約解除は「解雇」にあたり極めて厳格な要件が課される一方、期間満了後の直接雇用拒否は「不採用」として企業の採用の自由が広く認められます。両者の法的な性質の違いを正確に理解することが、トラブルを避ける第一歩です。不採用を判断する際は、能力や勤務態度に関する客観的な評価基準と、それに基づく指導の記録が不可欠となります。最終的な決定を下す前に、派遣元と十分に連携し、具体的な理由を誠実に伝える姿勢が求められます。個別の事案で対応に迷う場合は、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

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