法人向け不動産売却の進め方|手続きの流れから費用・税金まで解説
法人として所有する不動産の売却を検討する際、その複雑な手続きや専門的な知識に戸惑うことも少なくありません。売却を成功させるためには、個人の場合とは異なる法務・税務上の注意点を踏まえ、全体像を正確に把握することが不可欠です。この記事では、法人による不動産売却の基本的な流れから、費用や税金の詳細、信頼できるパートナー選びのポイントまで、意思決定に役立つ実務知識を体系的に解説します。
法人向け不動産売却の基本的な流れ【7つのステップ】
ステップ1:売却方針の決定と専門家への相談
法人による不動産売却では、まず社内で売却目的を明確にし、正式な意思決定プロセスを経ることが不可欠です。例えば、余剰資産の整理か、新規事業の投資資金確保かによって、目標とすべき売却価格や時期は大きく異なります。経営陣で合意形成を図り、取締役会などで正式な方針として確定させる必要があります。
この初期段階で、外部の専門家に相談することは、法務・税務上のリスクを回避し、最適な売却計画を立てるうえで極めて有効です。特に権利関係が複雑な物件や、境界に問題がある土地などは、早期の専門家による助言が円滑な取引の鍵となります。
- 弁護士: 契約内容の精査や法的な権利関係の整理を依頼できます。
- 税理士: 税務上の最適なスキームの検討や、正確な納税額の算出に不可欠です。
- 不動産鑑定士: 客観的な資産価値を評価し、適正価格の判断材料を提供します。
- 不動産会社: 市場動向を踏まえた売却戦略や価格査定を相談できます。
ステップ2:不動産の価格査定を依頼する
売却方針が固まったら、対象不動産の市場価値を把握するために不動産会社へ価格査定を依頼します。査定方法には、簡易的な「机上査定」と詳細な「訪問査定」の2種類があり、目的に応じて使い分けます。
| 査定方法 | 特徴 | 期間の目安 | 適した場面 |
|---|---|---|---|
| 机上査定 | 周辺の成約事例や公的データに基づく簡易的な査定 | 即日~数日 | 社内での初期検討段階 |
| 訪問査定 | 現地調査を行い、建物の状態などを詳細に評価する精密な査定 | 1週間~2週間 | 具体的な売却活動の開始前 |
訪問査定はより精度が高く、具体的な売出価格を検討する際に不可欠です。ただし、査定価格はあくまで「成約が見込める価格」の目安であり、売却を保証するものではありません。必ず複数の会社に査定を依頼し、提示された価格の根拠を比較検討することで、自社不動産の価値を多角的に分析することが重要です。
ステップ3:不動産会社と媒介契約を締結する
査定内容や担当者の対応を比較し、依頼する不動産会社が決まったら、売却活動を正式に委託するための媒介契約を締結します。媒介契約には3つの種類があり、それぞれ不動産会社の義務や売主側の制約が異なります。
| 契約形態 | 依頼できる会社数 | 自己発見取引 | レインズへの登録義務 | 業務報告義務 |
|---|---|---|---|---|
| 一般媒介契約 | 複数可 | 可能 | 任意 | なし(法令上) |
| 専任媒介契約 | 1社のみ | 可能 | 7日以内 | 2週間に1回以上 |
| 専属専任媒介契約 | 1社のみ | 不可 | 5日以内 | 1週間に1回以上 |
一般媒介契約は広く買主を募れますが、不動産会社の販売活動が手薄になる可能性があります。一方、専任系契約は1社に任せることで、手厚いサポートと積極的な広告活動が期待できます。契約期間は原則3ヶ月で自動更新はできないため、期間満了時に活動状況を見直し、再契約するかを判断します。法人の売却戦略に合わせて、最適な契約形態を選択することが肝要です。
ステップ4:売却活動の開始と内覧対応
媒介契約を締結後、不動産会社は指定流通機構(レインズ)への物件登録や、不動産ポータルサイトへの広告掲載などを通じて本格的な売却活動を開始します。購入希望者が現れると内覧が行われますが、これは物件の魅力を直接伝える重要な機会です。
法人の所有物件であっても、内覧対応は成約率を大きく左右します。以下のポイントを押さえて、良い印象を与えられるよう準備しましょう。
- 事前に清掃や整理整頓を徹底し、特にエントランスや水回りを清潔に保つ。
- すべての照明を点灯し、室内をできるだけ明るく見せる。
- 空調を管理し、見学者が快適に過ごせる環境を整える。
- 周辺環境の利便性など、物件の長所をアピールできるよう準備しておく。
- 質問には誠実に回答するが、過剰な説明は控える。
ステップ5:購入希望者との交渉と売買契約の締結
内覧後、購入を希望する者から購入希望価格や引き渡し時期などを記載した「買付証明書」が提出され、具体的な条件交渉が始まります。法人の場合、売却後の税金や資金使途を考慮し、あらかじめ交渉の落としどころとなる最低売却価格を社内で決めておくことが重要です。
双方の条件が合意に至った後の流れは以下の通りです。
- 条件が合意に至れば、宅地建物取引士による重要事項説明を受ける。
- 物件の権利関係や法令上の制限について最終確認を行う。
- 売買契約書の内容を双方で精査し、署名・捺印する。
- 買主から手付金(売買代金の5%~10%が目安)を受領し、契約が正式に成立する。
契約時には、物件の状況を告知する「物件状況等報告書」などを添付します。後のトラブルを避けるため、把握している不具合はすべて正直に開示することが求められます。
ステップ6:残代金の決済と物件の引き渡し
売買契約から数週間~1ヶ月後、残代金の決済と物件の引き渡しが行われます。当日は金融機関などに関係者が集まり、一連の手続きを同時に進めるのが一般的です。
- 司法書士が所有権移転登記に必要な書類を確認する。
- 書類に不備がなければ、買主から売主へ残代金が支払われる。
- (抵当権がある場合)着金確認後、ローンを完済し、抵当権抹消手続きを行う。
- 売主から買主へ物件の鍵や関係書類(管理規約、保証書など)一式を引き渡す。
- 固定資産税などの公租公課を引き渡し日基準で日割り精算する。
すべての支払いの完了と鍵の授受をもって、不動産取引は完了となります。
ステップ7:売却後の確定申告手続き
不動産を売却して利益(譲渡益)が出た場合、法人は事業年度の決算時に法人税等の確定申告が必要です。個人の譲渡所得が分離課税であるのに対し、法人の場合は他の事業利益と合算して課税される「総合課税」が適用されます。
譲渡益は「売却収入 – (取得費 + 譲渡費用)」で計算されます。もし売却によって損失(譲渡損失)が生じた場合は、他の事業利益と相殺(損益通算)することで、その年度の法人税負担を軽減できます。さらに、青色申告法人であれば、相殺しきれない損失を最長10年間繰り越すことも可能です。
申告には売買契約書や各種費用の領収書などが必須となるため、取引後も関連書類は厳重に保管してください。税務処理は複雑なため、必ず顧問税理士などの専門家と連携して進めましょう。
法人不動産売却にかかる費用と税金の詳細
売却時に発生する諸費用(仲介手数料・印紙税など)
法人不動産の売却では、売買代金以外にも様々な諸費用が発生します。事前にこれらの費用を見積もり、資金計画に織り込んでおくことが重要です。
- 仲介手数料: 不動産会社に支払う成功報酬。法律で上限が定められています。
- 印紙税: 売買契約書に貼付する収入印紙代で、契約金額に応じて変動します。
- 登録免許税: ローン完済に伴う抵当権抹消登記などに必要な税金です。
- 司法書士への報酬: 登記手続きを代行依頼した場合に支払う費用です。
- 測量費用: 土地の境界が未確定の場合、境界を確定させるために必要です。
- 残置物処分費用: 建物内に残った不要な什器や備品を処分する費用です。
- 解体費用: 更地として売却する場合に発生します。
法人不動産売却で課される税金の種類と概要
法人による不動産売却では、譲渡益に対して複数の税金が課されます。個人とは税制が異なるため、注意が必要です。
- 法人税・法人住民税・法人事業税: 譲渡益は他の事業利益と合算され、法人の所得として課税対象となります。個人のように所有期間による税率の変動はありません。
- 消費税: 土地の売却は非課税ですが、建物部分の売却代金や仲介手数料には消費税が課されます。売主である法人は、買主から消費税を預かり、申告・納付する義務を負います。
- 登録免許税: 抵当権抹消登記などの際に必要となります。
- 印紙税: 売買契約書に貼付する形で納付します。
譲渡所得に対する法人税等の計算方法と注意点
法人の不動産譲渡所得(譲渡益)は、以下の計算式で算出されます。
譲渡所得 = 売却収入 – ( 取得費 + 譲渡費用 )
- 取得費: 物件の購入代金や手数料から、所有期間中の減価償却費相当額を差し引いた金額(帳簿価額)です。減価償却の計算を誤ると、予期せぬ多額の譲渡益が発生する可能性があるため注意が必要です。
- 譲渡費用: 売却のために直接かかった費用で、仲介手数料や印紙税、測量費などが該当します。
また、買主から受け取る固定資産税の精算金も、会計上は売却収入の一部として扱われるのが一般的です。法人の場合、この譲渡益が本業の利益と合算されるため、役員退職金の支給など、他の損金とタイミングを合わせることで全体の納税額を調整する税務戦略も検討されます。
売却損(譲渡損失)が発生した場合の税務上の取り扱い
不動産の売却価格が帳簿価額と譲渡費用を下回り、損失(譲渡損失)が発生した場合、法人の税務上は大きなメリットがあります。
個人の場合と異なり、法人は不動産の譲渡損失を他の事業から生じた利益と自由に損益通算できます。これにより、法人全体の課税所得を圧縮し、法人税等の負担を軽減することが可能です。
さらに、損益通算してもなお損失が残る場合、青色申告法人であればその損失を「繰越欠損金」として翌事業年度以降、最長10年間にわたって繰り越すことができます。将来の利益と相殺できるため、計画的な不動産売却は有効な節税策となり得ます。
不動産売却の方法:「仲介」と「買取」の違い
「仲介」のメリット・デメリットと向いているケース
「仲介」は、不動産会社が売主と買主の間に入り、市場から広く購入希望者を探す最も一般的な売却方法です。
- 市場価格に近い、あるいはそれ以上の高値で売却できる可能性がある。
- 複数の購入希望者から最も良い条件の相手を選ぶことができる。
- 買主が見つかるまでに3ヶ月~半年以上かかる場合があり、売却時期が不確定。
- 成約時に仲介手数料が発生する。
- 広告活動を行うため、売却の事実が外部に知られやすい。
仲介は、売却時間に余裕があり、少しでも高く売却して利益を最大化したい法人に向いています。
「買取」のメリット・デメリットと向いているケース
「買取」は、不動産会社が直接の買主となり、法人が所有する物件を買い取る方法です。
- 最短数日~1ヶ月程度で現金化が可能で、売却スピードが圧倒的に速い。
- 仲介手数料が不要。
- 広告活動を行わないため、秘密裏に売却を進められる。
- 契約不適合責任(後述)が免除されるケースが多く、売却後のリスクが少ない。
- 売却価格が市場相場の6割~8割程度になることが一般的。
買取は、資金調達の期限が迫っている場合や、周囲に知られず早急に不要な資産を処分したい法人に最適な方法です。
自社の状況に合わせた売却方法の選び方
「仲介」と「買取」のどちらを選択すべきかは、法人が何を最優先するかによって決まります。自社の状況を整理し、最適な方法を選択しましょう。
| 項目 | 仲介が適しているケース | 買取が適しているケース |
|---|---|---|
| 優先事項 | 売却価格の最大化 | 現金化のスピード、確実性、秘密保持 |
| 時間的余裕 | 半年以上の余裕がある | 資金調達の期限が迫っている |
| 物件の状態 | 市場での需要が見込める物件 | 築古、不具合があるなど市場で売りにくい物件 |
| 売却後の責任 | 契約不適合責任を負うリスクがある | 契約不適合責任を免除したい |
また、一定期間「仲介」で売却活動を行い、成約しなかった場合に不動産会社が事前に決めた価格で買い取る「買取保証」というサービスもあります。価格と時間の両面でリスクを抑えたい場合に有効な選択肢です。
信頼できる不動産会社の選び方と媒介契約
媒介契約3種類(一般・専任・専属専任)の特徴と選択基準
不動産会社との関係性を定める媒介契約は、売却戦略の根幹をなす重要な選択です。それぞれの特徴を理解し、物件や方針に合わせて選びましょう。
| 契約形態 | 特徴 | こんな法人におすすめ |
|---|---|---|
| 一般媒介契約 | 複数社に依頼可能で競争を促せるが、各社の積極性が低くなる可能性もある。 | 人気エリアの物件で、広く買主を探したい。各社の提案を比較したい。 |
| 専任媒介契約 | 窓口が一本化され、2週間に1回以上の報告義務がある。自己発見取引も可能。 | 信頼できる1社に任せつつ、自社でも買主を探す可能性がある。 |
| 専属専任媒介契約 | 最も拘束力が強く、1週間に1回以上の手厚い報告がある。自己発見取引は不可。 | 売却が難しい専門性の高い物件で、1社に集中的に活動してほしい。 |
法人案件に強い不動産会社を見極めるためのポイント
法人不動産の売却は、個人の取引とは異なる専門知識が求められます。信頼できるパートナーを見極めるには、以下の点を確認しましょう。
- オフィスビル、工場、一棟マンションなど事業用不動産の取引実績が豊富か。
- 地域での営業年数が長く、地元の法人顧客とのネットワークを持っているか。
- 査定価格の根拠をデータに基づいて論理的に説明できるか。
- 法人特有の税務や法務に関する知識を有し、適切なアドバイスができるか。
- 売却におけるデメリットやリスクについても誠実に説明するか。
不動産査定の仕組みと提示された査定額の考え方
不動産査定とは、立地や建物の状態、周辺の取引事例などを基に、「3ヶ月程度で売却できると見込まれる価格」を算出する作業です。主に以下の手法が用いられます。
- 取引事例比較法: 近隣の類似物件の成約事例と比較して価格を算出します。
- 原価法: 同じ建物を再度建築した場合の価格から、経年劣化分を差し引きます。
- 収益還元法: その不動産が将来生み出すと予測される収益を基に価値を算出します。
提示された査定額は、あくまで不動産会社の助言価格です。最も高い査定額を提示した会社が最良とは限りません。なぜその価格になるのか、算出根拠を丁寧に説明できるかどうかが、会社の信頼性を判断する重要な基準となります。
法人契約で特に注意すべき「契約不適合責任」の範囲
契約不適合責任とは、引き渡した不動産に契約内容と異なる不具合(雨漏り、設備の故障など)が見つかった場合に、売主が買主に対して負う責任のことです。法人が売主となる場合、この責任の範囲を契約で明確に定めておくことが、将来のリスク管理上非常に重要です。
具体的には、責任を負う期間を「引き渡しから3ヶ月」のように限定したり、事前に告知した特定の不具合については責任を負わない旨の特約を設けたりするのが一般的です。特に不動産会社による「買取」の場合は、この契約不適合責任を全面的に免除する特約を結べるケースが多く、売却後の法的トラブルを完全に回避したい法人にとっては大きなメリットとなります。契約時には、必ず法務担当者や弁護士と共に特約の文言を精査してください。
法人不動産売却の各段階で必要となる書類
査定から媒介契約までに準備する書類
売却活動の初期段階では、物件の正確な情報を不動産会社に提供するための書類が必要です。事前に準備しておくことで、査定や契約がスムーズに進みます。
- 登記事項証明書(法人): 法人の存在を証明します。
- 印鑑証明書(法人): 契約に使用する印鑑の正当性を証明します。
- 登記済権利証または登記識別情報通知: 物件の所有者であることを証明します。
- 公図、地積測量図、建物図面: 土地の形状や面積、建物の位置を示します。
- 建物の確認済証、検査済証、設計図書: 建物の法的な適合性や構造を証明します。
- (マンションの場合)管理規約、長期修繕計画書: 維持管理状況を示します。
売買契約から決済・引き渡しまでに必要な書類
売買契約から最終的な決済・引き渡しにかけては、所有権を確実に移転するための公的な書類が中心となります。
- 法人の実印
- 印鑑証明書(発行後3ヶ月以内)
- 収入印紙(売買契約書貼付用)
- 登記済権利証または登記識別情報通知
- 固定資産税・都市計画税納税通知書: 税金の精算に使用します。
- 抵当権抹消に必要な書類一式: 金融機関から受領します(ローンがある場合)。
- 物件の鍵、各種保証書、取扱説明書など: 買主へ引き渡すものです。
法人不動産売却に関するよくある質問
不動産の売却が完了するまで、平均でどのくらいの期間がかかりますか?
一般的に、準備から決済完了まで平均で3ヶ月から6ヶ月程度の期間がかかります。内訳は、査定や準備に約2週間、売却活動に1ヶ月~3ヶ月、契約から決済までに約1ヶ月が目安です。ただし、物件の特性や市場の状況によっては1年以上を要するケースもあります。現金化の時期に期限がある場合は、早期に活動を開始するか、買取を検討する必要があります。
ローンが残っている不動産でも売却することは可能ですか?
はい、可能です。ただし、買主への引き渡し時までに抵当権を抹消することが絶対条件です。実務上は、決済時に買主から受領する売却代金でローン残債を一括返済し、同日中に司法書士が抵当権抹消登記を申請する「同時決済」という手続きを取ります。万が一、売却価格がローン残高を下回る場合は、差額を自己資金で補填する必要があります。
売却価格は最終的にどのようにして決まるのでしょうか?
最終的な売却価格は、不動産会社の査定価格を参考に売主が「売り出し価格」を設定し、それに対して購入希望者と交渉を重ねることで決定されます。購入希望者からの価格提示を受け、双方が合意した金額が「成約価格」となります。価格は市場の需要と供給のバランスに大きく左右されるため、交渉のプロセスが非常に重要です。
売却活動を近隣に知られずに行うことはできますか?
はい、可能です。インターネット広告などを行わず、不動産会社が抱える既存の顧客リストへ限定的に紹介してもらう方法があります。また、最も確実なのは不動産会社による「買取」を利用することです。この場合、広告活動が一切発生しないため、情報を完全に非公開のまま売却手続きを進めることができます。
内覧希望者を迎えるにあたり、準備しておくべきことは何ですか?
内覧は物件の第一印象を決める重要な機会です。以下の準備をしておくことで、成約の可能性を高めることができます。
- 不要な什器や私物を撤去し、専門業者によるハウスクリーニングを実施する。
- 建物の修繕履歴や設備の状況などをまとめた資料を準備しておく。
- すべての照明を点灯させ、換気を行い、明るく快適な空間を演出する。
- 想定される質問への回答を不動産会社の担当者と事前に打ち合わせておく。
建物の状態が古い場合でも、そのまま売却できますか?
はい、そのまま売却できます。方法としては、主に2つあります。一つは、不動産会社による「買取」です。この場合、買主がリフォームや解体を前提とするため、現状のまま引き渡せます。もう一つは、仲介で「古家付き土地」として売り出す方法です。この場合、建物の価値は評価せず、主に土地の価格で取引されます。事前に建物状況調査(インスペクション)を実施しておくと、買主の安心につながり、取引がスムーズに進むことがあります。
社宅や寮など、利用者がいる物件を売却する際の留意点とは?
利用者がいる物件を売却する場合、居住者の権利保護が最優先となります。売却方法は大きく2つに分かれます。
- オーナーチェンジ物件として売却: 入居者がいる状態で、物件の所有権のみを新しいオーナー(買主)へ移転します。この場合、賃貸借契約や敷金の承継について、契約書で明確に定める必要があります。
- 居住者に退去してもらってから売却: 居住者に対して、法的な手続きに則って立ち退き交渉を行います。十分な通知期間の確保や、立ち退き料の支払いが必要になる場合があります。内覧の際は居住者のプライバシーに最大限配慮し、丁寧な調整が求められます。
まとめ:計画的な準備と専門家との連携が成功の鍵
本記事では、法人による不動産売却の全体像を、基本的な流れから費用・税務、不動産会社の選び方まで幅広く解説しました。売却を成功させるためには、まず社内で売却目的を明確にし、それに合わせて「仲介」か「買取」かといった最適な売却戦略を立てることが不可欠です。個人の売却とは異なり、譲渡益は法人税の対象となり、譲渡損失は損益通算できるなど、税務上の取り扱いも重要な判断材料となります。信頼できる不動産会社や税理士といった専門家と早期に連携し、法務・税務リスクを管理しながら、計画的に手続きを進めていきましょう。

