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固定資産税の家屋調査とは?調査の流れやチェックされる場所、当日の注意点を解説

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新築や増改築を終え、これから市町村による固定資産税の家屋調査を控えている方は、何を見られるのか、税額がどう決まるのか、不安に感じているのではないでしょうか。固定資産税の評価額は一度決まると長期間影響するため、調査の仕組みを正しく理解しておくことが大切です。この記事では、固定資産税の家屋調査の目的から、当日の流れ、内外装や設備で具体的にチェックされる箇所、そして適切な対応方法までを網羅的に解説します。

目次

固定資産税の家屋調査とは?目的と評価額の決まり方

家屋調査の目的と調査主体(市町村の職員が実施)

家屋調査とは、新築や増改築された家屋の固定資産税評価額を適正に算出するために行われる現地調査です。この調査は地方税法に基づき、課税主体である市町村が実施します。具体的には、市町村の職員(固定資産評価補助員)が訪問し、家屋の構造や部材、設備などを直接確認します。算出された評価額は、固定資産税だけでなく他の税金の算定基礎にもなるため、非常に重要です。

家屋調査の概要
  • 目的: 公平な課税の実現に向けた、適正な固定資産税評価額の算出
  • 調査主体: 家屋が所在する市町村(担当は資産税課など)
  • 調査員: 市町村長から任命された固定資産評価補助員(自治体職員)
  • 評価額の影響範囲: 固定資産税、都市計画税、不動産取得税、登録免許税

固定資産税評価額が算出される基本的な仕組み

家屋の固定資産税評価額は、実際の購入価格や建築費ではなく、「再建築価格方式」という方法で算出されます。これは、評価対象の家屋と同一のものを、評価の時点においてその場所に新築した場合に必要となる建築費(再建築価格)を基準とする考え方です。この理論上の建築費に、年数の経過による価値の減少(経年減価)を反映させて、最終的な評価額を決定します。

評価額の算出方法
  • 算出の基礎: 総務大臣が定めた「固定資産評価基準」に基づく評点
  • 評価方式: 再建築価格方式
  • 計算式: 評価額 = 再建築価格 × 経年減点補正率
  • 特徴: 使用されている資材や設備のグレードが高いほど、評価額は高くなる傾向がある

調査が行われる主なタイミング:新築・増改築時

家屋調査が実施される主なタイミングは、建物を新築したときと、床面積が増加する増改築を行ったときです。一般的に、建物が完成して法務局に登記されると、その情報が市町村に通知され、建物の完成からおよそ1〜3か月後に市町村から調査の案内が届きます。未登記の家屋であっても、建築確認申請の情報や航空写真などから市町村が建物を把握し、調査の連絡が入ることがあります。この調査は原則として一度きりで、その後増改築などがない限り、再度内部調査が行われることはありません。

一度決まった評価額はいつ見直される?3年ごとの「評価替え」とは

一度決定された家屋の評価額は、3年ごとに見直しが行われます。この定期的な見直しを「評価替え」と呼び、見直しが行われる年度を「基準年度」といいます(直近では令和6年度が基準年度です)。評価替えでは、建築物価の変動や家屋の経年劣化を反映させて評価額を再計算します。家屋の評価額は、原則として経年減価により年々減少しますが、建築物価の著しい上昇があった場合は、再建築価格が上がり、結果として評価額が増加することもあります。 そのため、増改築などをしない限り、多くの場合は評価替えによって税額が上がることはなく、原則として年々下がっていきます。

家屋調査の一般的な流れと事前の準備

自治体からの事前連絡と調査日時の調整

家屋調査は、以下の手順で日程が調整されます。

調査日時の調整手順
  1. 市町村の資産税課などから、家屋調査の案内文書が所有者宛に郵送される。
  2. 所有者は案内文書に記載された連絡先に電話するか、返信用ハガキで希望日時を連絡する。
  3. 市町村の担当者と具体的な調査日時を調整・確定する。

調査は所有者または代理人の立ち会いが必要です。原則として平日の日中に行われますが、自治体によっては土日祝日の対応が可能な場合もありますので、案内に従ってご自身の都合の良い日時を調整してください。

調査当日に用意しておくべき書類(建築確認済証・図面など)

調査を円滑に進めるため、事前に以下の書類を準備しておくとスムーズです。書類はコピーの提出を求められることもあるため、あらかじめコピーを用意しておくとよいでしょう。

準備する主な書類
  • 建築確認済証および確認申請書副本: 建物の公式な情報を確認するために必要です。
  • 工事請負契約書・仕様書: 使用された部材や設備のグレードを確認するために使われます。
  • 設計図書一式(平面図、立面図、断面図、矩計図など): 間取りや寸法、構造を確認する上で最も重要です。
  • 長期優良住宅などの認定通知書: 税の軽減措置の適用を確認するために必要です。

調査当日の所要時間と大まかな進行

調査当日は、通常2名の調査員が訪問します。所要時間は、一般的な戸建て住宅で30分から1時間程度が目安です。調査はおおむね以下の流れで進められます。

調査当日の流れ
  1. 調査員が身分証明書を提示し、調査の概要を説明する。
  2. まず建物の外周を回り、屋根、外壁、基礎などを確認する。
  3. 所有者の立ち会いのもと屋内に入り、各部屋の内装(床・壁・天井)や設備(キッチン、浴室など)を確認する。
  4. 図面と現況を照合し、必要に応じてメジャーで寸法などを計測する。
  5. 調査終了後、固定資産税の概要や軽減措置について説明が行われる。

【外部】家屋調査でチェックされる主な箇所

屋根の材質と形状(瓦、スレート、ガルバリウム鋼板など)

屋根は評価額に影響する重要な部分です。日本瓦などの粘土瓦は耐久性が高いため評価が高く、スレートやガルバリウム鋼板は標準的な評価となります。また、屋根と一体化した建材一体型の太陽光パネルは屋根材として評価されますが、架台で設置する屋根置き型は家屋の評価には含まれません。屋根の形状が複雑な場合も、施工に手間がかかるため評価が高くなる傾向があります。

外壁の仕上げ材(サイディング、タイル、塗装など)

外壁は面積が大きいため、仕上げ材によって評価額に差が出やすい箇所です。一般的なサイディングは標準的な評価ですが、タイル張りや漆喰・珪藻土などの塗り壁は、施工に手間とコストがかかるため評価が高くなります。逆に、モルタル吹き付けなどの簡易な仕上げは評価が低めになります。調査員は図面と現物を見比べ、素材や施工範囲を確認します。

基礎の高さと構造

建物を支える基礎も評価対象です。布基礎かベタ基礎かといった構造に加え、基礎の高さがチェックされます。建築基準法で定められた最低限の高さよりも高く施工されている場合、コンクリートの使用量が増えるため評価が加算されることがあります。特に傾斜地に建っている場合や、半地下(深基礎)になっている場合は評価に影響します。

給湯器や太陽光パネルなどの屋外設備

屋外設備では、給湯器が評価の対象となります。一般的なガス給湯器と比べ、エコキュートやエネファームといった高効率給湯器は機能性が高く高価なため、評価額も高くなります。太陽光パネルは、屋根置き型の場合は家屋の評価対象外ですが、事業用として設置した場合は別途「償却資産」として申告が必要になることがあります。門や塀などの外構は家屋の評価には含まれません。

【内部】家屋調査で確認される主な箇所と設備

内装材(床・壁・天井の材質)

各部屋の床・壁・天井の仕上げ材を詳細に確認します。床材では無垢フローリングやタイル張り、壁材では珪藻土や漆喰などの塗り壁、エコカラットのような機能性タイルは、一般的な複合フローリングやビニールクロスに比べて評価が高くなります。また、折り上げ天井や勾配天井など、施工に手間のかかるデザインも加点要素です。和室がある場合は、床の間の有無や長押なども評価されます。

キッチン設備の仕様(システムキッチン、材質など)

キッチンは住宅設備の中でも評価額への影響が大きい箇所です。システムキッチンの間口(横幅)が広いほど評価は高くなります。また、天板の材質が人工大理石や天然石の場合、ステンレスに比べて評価が高くなります。ビルトイン食器洗い乾燥機やオーブンなどの付加設備も、それぞれ加点評価の対象となります。

浴室・洗面化粧台の仕様とサイズ

浴室は、ユニットバスのサイズ(1坪タイプより1.25坪タイプなど)が大きいほど評価が高くなります。また、浴室換気乾燥暖房機の有無や、ジェットバス機能なども評価に影響します。洗面化粧台も同様に、間口が広いものや2ボウルタイプは評価が高くなります。天板や扉の材質のグレードも確認されます。

トイレの設備(タンクレストイレ、手洗い器の有無など)

トイレでは、便器の種類が評価に影響します。一般的なタンク付きトイレよりも、タンクレストイレの方が高機能なため評価が高くなります。また、トイレ室内に独立した手洗いカウンターを設置している場合は、給排水工事を伴うため明確な加点対象となります。2か所以上にトイレを設置している場合は、それぞれが評価対象として数えられます。

その他の建築設備(床暖房、ビルトインエアコンなど)

その他の設備として、床暖房は施工面積に応じて評価が加算されます。エアコンについては、後から設置できる壁掛けタイプは家屋の評価に含まれませんが、天井に埋め込まれたビルトインエアコンや全館空調システムは、建物と一体の設備とみなされ評価対象となります。同様に、ホームエレベーターなども設置されていれば評価額に大きく影響します。

調査当日の対応方法と評価を適正にするための注意点

調査員への対応:質問には正直かつ簡潔に答える

調査員からの質問には、正直かつ簡潔に答えることが重要です。評価は全国一律の基準に基づいて行われるため、見栄を張って仕様を過大に伝えたり、逆に隠したりする必要はありません。聞かれたことに対して事実のみを淡々と伝える姿勢が、適正な評価につながります。特に「ここは高級な材料を使った」などと自らアピールすると、その通りに評価され税額が上がる可能性があるので注意しましょう。

建築確認申請と異なる部分がある場合は正直に申告する

建築の途中で、コスト調整などの理由で申請時の図面から仕様を変更することは珍しくありません。もし図面よりもグレードの低い内装材や設備に変更した場合は、その旨を正直に申告しましょう。申告しないと、図面通りの高いグレードで評価されてしまう可能性があります。逆にグレードを上げた場合も、調査員は現物を見れば判断できるため、正直に伝えることが信頼関係につながり、スムーズな調査に役立ちます。

無理に片付ける必要はないが、各部屋への動線は確保しておく

家屋調査は、建物の構造や仕上げ材、設備を確認するものであり、生活用品や整理整頓の状況を評価するものではありません。そのため、モデルルームのように完璧に片付けておく必要はありません。ただし、調査員がすべての部屋にスムーズに入れるよう、廊下や出入口の動線を確保しておきましょう。クローゼットや納戸の内部も仕上げ材を確認するため、扉が開けられ、中に入れる程度のスペースは確保しておくことが望ましいです。

提示された評価額に納得できない場合の不服申立制度(審査の申出)

調査後、最初に届く納税通知書に記載された評価額に納得できない場合は、不服を申し立てる制度があります。

不服申立(審査の申出)の手順
  1. まずは市町村の資産税課に連絡し、評価額の算定根拠について説明を求める。
  2. 説明を受けてもなお評価額に不服がある場合、納税通知書を受け取った日の翌日から3か月以内に「審査の申出」を行う。
  3. 申出先は、各市町村に設置されている第三者機関「固定資産評価審査委員会」となる。

ただし、「税金が高い」といった抽象的な理由では申出は認められません。評価額の算定に明らかな誤りがあるなど、具体的な根拠を示す必要があります。

家屋調査を拒否した場合のリスクとデメリット

立ち会いなしで「外観調査」や「図面調査」が行われる

家屋調査は任意協力が基本であり、強制的に家の中に入ることはありません。しかし、調査を拒否しても固定資産税が課されなくなるわけではありません。所有者が立ち会いを拒否した場合、自治体は建築確認申請の図面や、外から見える範囲での確認(外観調査)に基づき、近隣の類似した家屋を参考にして評価額を推計(比準評価)します。これにより、所有者の知らないところで評価額が決定してしまいます。

推計課税により実際の仕様より高く評価される可能性

調査を拒否した場合の最大のリスクは、実際の仕様よりも高く評価されてしまう可能性があることです。内部を確認できないため、調査員は図面などから判断できる標準的な、あるいは少し高めのグレードで資材や設備を評価せざるを得ません。例えば、コストダウンのために標準以下の設備を入れていたとしても、それが考慮されず、結果的に本来よりも高い税金を払うことになる恐れがあります。

新築住宅の税額軽減措置などが適用されないリスク

新築住宅は、床面積などの要件を満たすことで一定期間、固定資産税が減額される特例があります。家屋調査は、この軽減措置の適用要件を満たしているかを確認する目的も兼ねています。調査を拒否すると、この要件確認ができないため、本来受けられるはずの税金の軽減措置が適用されない、または適用が遅れるといった不利益を被る可能性があります。適正な評価と適切な減税を受けるためにも、調査に協力することが重要です。

固定資産税の家屋調査に関するよくある質問

Q. 家屋調査が来ない、または書類だけで終わることはありますか?

はい、あります。特に、大手ハウスメーカーの規格化された住宅やマンションなど、図面から評価額を正確に算出できると自治体が判断した場合は、現地調査が省略され、書類審査のみで評価が完了することがあります。また、自治体の方針や人員の都合で調査方法が簡略化されるケースもあります。連絡が来ない場合でも課税は行われるため、心配な場合は市町村の資産税課に問い合わせてみましょう。

Q. クローゼットや収納の中まで見られますか?

はい、見られます。ただし、収納されている私物を確認するわけではありません。クローゼットや納戸も延床面積に含まれる建物の内装部分であるため、内部の床・壁・天井の仕上げ材を確認する必要があります。あくまで建材の確認が目的ですので、調査員が中を確認できるよう、扉が開けられる状態にしておけば問題ありません。

Q. 調査後にリフォームや物置の設置をした場合、税金は変わりますか?

壁紙の張り替えやキッチン設備の交換といった内装リフォームでは、原則として評価額は変わらず、税額もそのままです。しかし、床面積が増える増築を行った場合は、その部分について新たに評価が行われ、税額が上がります。物置については、コンクリートブロックの上に置くだけの簡易なものは課税対象外ですが、基礎工事を伴い土地に固定されているものは「家屋」とみなされ、課税対象となる場合があります。

Q. 中古物件を購入した場合も家屋調査はありますか?

いいえ、原則として中古物件を購入した際に改めて家屋調査が行われることはありません。固定資産税の評価額は、新築時の調査結果を基に、3年ごとの評価替えで経年劣化分が調整されて引き継がれていきます。所有者が変わっても家屋そのものが変わるわけではないため、評価額はそのまま継承され、納税義務者のみが新しい所有者に変更されます。

まとめ:家屋調査のポイントを理解し、適正な評価を受けましょう

本記事では、固定資産税の家屋調査について、その目的から具体的なチェック項目、当日の対応までを解説しました。この調査は、実際の建築費ではなく全国統一の「固定資産評価基準」に基づき、建物の内外装や設備の仕様を確認して評価額を算出する重要な手続きです。調査当日は、建築確認済証や図面を準備し、調査員の質問には正直かつ簡潔に答えることが、適正な評価につながります。調査を拒否すると、推計によって不利な評価を受けたり、税の軽減措置が適用されなかったりするリスクがあるため、協力することが賢明です。調査の全体像を正しく理解し、万全の準備で臨むことで、不安を解消し、納得のいく評価を受けましょう。

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