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異議申立書の書き方|基本構成から項目別の例文、提出方法まで解説

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行政処分や会社の決定に対し、納得がいかないと感じることは少なくありません。そのような場合、正式な手続きである「異議申立て」によって、決定の見直しを求めることが可能です。この記事では、様々な場面で活用できる異議申立書の基本構成と項目別の書き方を、例文を交えて分かりやすく解説します。提出手続きの注意点やよくある質問も網羅しているため、すぐに実務に役立てることができます。

目次

異議申立てとは?手続きの定義と効力

異議申立ての定義と目的

「異議申立て」とは、行政庁の処分や特許の付与などに対し、不服がある場合にその見直しを求める法的な手続きです。この制度は、不服のある当事者に対し、あるいは制度によっては広く第三者に処分の妥当性を審理する機会を与え、処分の誤りを是正することを目的としています。

異議申立て制度の主な特徴
  • 制度によっては第三者による申立ても可能で、権利の早期安定化に貢献します。
  • 審理は主に書面で行われ、迅速な解決を目指します。
  • 簡易な手続きで、処分の正確性を担保する役割を担います。

異議申立てが認められた場合に生じる効力

申立てが認められ、処分の取消決定が確定した場合、その処分の効力は遡及的に(さかのぼって)失われます。例えば特許の場合、特許権が初めから存在しなかったものとみなされ、第三者の事業活動に対する法的な制約がなくなります。

異議申立てが認められた場合の法的効果
  • 全部取消の場合: 処分の効力が根本から失われます。
  • 一部取消の場合: 取り消された範囲の権利のみが失われます。
  • 共通の効果: 不適切な権利設定が是正され、公正な市場競争の環境が回復します。

異議申立書の基本構成と作成の原則

異議申立書に記載すべき必須の構成要素

異議申立書には、法律で定められた事項を漏れなく記載する必要があります。これらの記載が一つでも欠けると、補正を命じられたり、申立てが却下されたりする可能性があるため注意が必要です。

異議申立書の必須記載事項
  • 申立人の氏名または名称、および住所または居所
  • 代理人がいる場合は、その氏名および住所
  • 不服の対象となる処分の内容
  • 申立ての趣旨および理由
  • 申立ての理由を裏付ける証拠(がある場合はその表示)

内容を明確に伝えるための書き方の基本原則

申立書の説得力を高めるには、内容を明確かつ論理的に記述することが重要です。読み手である審理担当者が、主張の要点を正確に理解できるよう工夫します。

説得力を高める書き方の基本原則
  • 結論ファースト: 求める結論(趣旨)を最初に明記します。
  • 論理的な構成: 主張とそれを支える理由・証拠を明確に分けて記述します。
  • 簡潔な表現: 一文を短くし、平易な言葉で分かりやすく伝えます。
  • 具体性の担保: 抽象的な表現は避け、具体的な事実や数値に基づいて説明します。
  • 専門用語の補足: 専門用語を使用する際は、必要に応じて意味を補足します。

作成時に避けるべき感情的な表現や不正確な記載

異議申立書は客観的な事実と法的主張を述べる公的な文書です。感情的な表現や不正確な記載は、文書全体の信頼性を損なうため、厳に慎まなければなりません。

記載時に避けるべき表現
  • 相手方を非難するような感情的な言葉
  • 「納得できない」といった主観的な感情の吐露
  • 推測や憶測に基づく不正確な記述
  • 客観的な証拠に裏付けられていない事実の主張

【項目別】異議申立書の書き方と例文

表題・宛名・作成日の記載方法

書類の冒頭には、表題、宛名、作成日を所定の形式で記載します。これらは文書の公式性を示す重要な要素です。

表題・宛名・作成日の記載例
  • 表題: 「特許異議申立書」のように、内容が分かる名称を中央に記載します。
  • 宛名: 「特許庁長官 殿」のように、処分を行った機関の長などの名称を左寄せで記載します。
  • 作成日: 実際に書類を提出する日付を右寄せで記載します。

申立人の情報(氏名・住所・連絡先)の書き方

申立人の情報は、本人を特定し、円滑に連絡を取るために不可欠です。住民票や登記事項証明書などに基づき、正確に記載してください。

申立人情報の記載項目
  • 氏名・名称: 個人の場合は氏名、法人の場合は正式名称と代表者の役職・氏名を記載します。
  • 住所・所在地: 省略せずに正式な住所を記載します。
  • 連絡先: 日中に連絡が取れる電話番号やメールアドレスを明記します。
  • 押印: 申立人または代表者の印鑑を押印することが求められる場合があります。
  • 代理人: 代理人を立てる場合は、その氏名、連絡先、代理権を証明する委任状も必要です。

不服の対象となる処分の内容と通知を受けた日の特定方法

不服の対象となる処分を特定するため、「特許番号」や「処分の整理番号」などを正確に記載します。また、「処分があったことを知った日」または「通知を受けた日」の記載は、申立期間内であることを証明するために極めて重要です。特許公報の発行日や、決定通知書が届いた日などを、配達記録などで確認し、その日付を明記してください。

申立ての趣旨(求める結論)の書き方と例文

「申立ての趣旨」には、この申立てによって最終的に求める結論を、法的効果が明確に分かるように簡潔に記載します。審理の範囲はこの趣旨に基づいて定まるため、過不足なく記述することが重要です。 (例文) `特許第〇〇〇〇〇〇〇号の請求項1に係る特許を取り消すとの決定を求める。`

申立ての理由(事実関係と法的根拠)の具体的な書き方

「申立ての理由」は、趣旨を裏付ける事実と法的根拠を具体的に説明する、申立書の中核部分です。なぜその処分が違法または不当であるのかを、証拠に基づいて論理的に記述します。

申立て理由の基本的な構成
  1. 処分の根拠となる法律のどの条文に違反するのかを明確に指摘します。
  2. 主張を裏付ける具体的な事実関係を、時系列などに沿って整理します。
  3. 各事実がどの証拠によって証明されるのかを明示します。
  4. 事実と法的根拠を結びつけ、なぜ申立ての趣旨に記載した結論が導かれるのかを説明します。

複数の理由がある場合は、項目を分けて記述すると、論点が整理され分かりやすくなります。例えば、特許の新規性違反を主張する場合は、本件発明と引用文献の発明を対比し、一致点と相違点を具体的に指摘した上で、なぜその相違点が容易に乗り越えられるのかを論じます。

申立て理由の説得力を高めるための論理構成のポイント

主張の説得力を高めるためには、論理に飛躍がなく、一貫した構成であることが求められます。

論理構成のポイント
  • 逆ピラミッド型構成: 最も重要な主張を最初に述べ、それを補強する理由や証拠を続けます。
  • 文章の明確化: 主語と述語の関係を明確にし、誰が読んでも同じ意味に解釈できるように記述します。
  • 想定問答の組込み: 相手方からの反論を予測し、それに対する再反論をあらかじめ記述に含めます。
  • 客観的な視点: 技術的な主張では、その分野の専門家(当業者)の視点から見て合理的であることを意識します。

異議申立書の提出手続きと注意点

提出先に応じた注意点(行政庁・会社など)

異議申立書の提出先は、対象となる処分の種類によって異なります。提出先を間違えると受理されず、申立期間を過ぎてしまうリスクがあるため、事前の確認が不可欠です。

対象 主な提出先 注意点
特許 特許庁長官 オンラインまたは郵送で提出します。
行政処分 処分を行った行政庁(処分庁)またはその上級行政庁 処分の通知書などで正しい提出先を確認します。
社内処分 就業規則で定められた部署(人事部など) 社内規定を確認し、指定された窓口に提出します。
提出先の例と注意点

提出方法(郵送・持参)とそれぞれの留意事項

提出方法は主に郵送と持参があります。いずれの方法でも、提出した事実を証明できるよう、必ず控えを保管しておくことが重要です。

提出方法 メリット 留意事項
郵送 遠方からでも提出できる。 簡易書留特定記録郵便など、配達記録が残る方法で送付します。信書のため宅配便は利用できません。
持参 その場で形式的な不備を確認してもらえる場合がある。受付印を押印してもらった控えを即時に入手できる。 受付時間や窓口の場所を事前に確認する必要があります。
提出方法別の留意事項

主張を裏付ける証拠書類の準備と添付方法

申立ての理由を客観的に裏付けるためには、証拠書類の提出が欠かせません。主張との関連性が明確になるよう整理して提出します。

証拠書類の準備と提出のポイント
  • 証拠説明書: 各証拠が何を証明するためのものかを説明する書面を添付します。
  • 証拠の特定: 証拠書類には番号を付け、本文中で引用する際はその番号で指定します。
  • 該当箇所の明示: 文献などの証拠では、主張に関連する箇所をマーカーや囲みで示します。
  • 翻訳文の添付: 外国語で書かれた書類には、日本語の翻訳文を必ず添付します。
  • 証拠の厳選: 主張に直接関係のない証拠を多数提出すると、かえって争点が不明確になるため、重要なものに絞ります。

異議申立書を提出した後の一般的な手続きの流れ

異議申立書を提出した後は、所定の法手続きに沿って審理が進められます。以下は、特許異議申立てを例とした一般的な流れです。

提出後の手続きの流れ(特許異議申立ての例)
  1. 方式審査: 提出された書類に形式的な不備がないか審査されます。
  2. 受理・審理: 不備がなければ受理され、審判官による本案審理が開始されます。
  3. 取消理由通知: 審理の結果、特許を取り消すべき理由が見つかった場合、特許権者にその旨が通知されます。
  4. 意見書・訂正請求: 特許権者は、通知に対して意見書を提出して反論したり、明細書等の訂正を請求したりする機会が与えられます。
  5. 決定: 最終的に、特許を維持するか取り消すかの決定が下され、その謄本が当事者双方に送達されます。
  6. 不服申立て: 維持決定に対して申立人は不服を申し立てられませんが、取消決定に不服がある特許権者は、知的財産高等裁判所に訴訟を提起できます。

異議申立てに関するよくある質問

異議申立てに提出期限はありますか?

はい、異議申立てには厳格な提出期限が定められています。期限を1日でも過ぎると、原則として申立ては受理されません。

提出期限の例
  • 特許異議申立て: 特許掲載公報の発行日から6か月以内です。
  • 行政処分への不服申立て: 処分があったことを知った日の翌日から起算して原則3か月以内です。

異議申立書は手書きで作成しても問題ありませんか?

法律上、手書きでの作成も認められていますが、パソコンでの作成を強く推奨します。手書きの場合は、誰にでも正確に読めるよう、楷書で丁寧に、消えないボールペンなどを用いて記載してください。パソコンで作成することで、読みやすさが向上し、修正も容易になります。

異議申立てが認められなかった場合、次の手段はありますか?

異議申立てが認められなかった場合でも、別の手続きで争う道が残されていることがあります。

維持決定後の主な対抗手段
  • 特許の場合: 申立人は、維持決定に対して直接不服を申し立てることはできません。しかし、同じ理由であっても特許無効審判を別途請求することは可能です。
  • 行政処分の場合: 申立てを棄却または却下する決定に不服がある場合、処分の取消訴訟を裁判所に提起することを検討します。

異議申立書の提出に手数料などの費用はかかりますか?

手数料の有無は、申立ての種類によって異なります。

申立ての種類 手数料 その他の費用
特許異議申立て 必要(請求項の数などに応じて変動) 証拠収集費用、弁理士への依頼費用など
行政不服審査 原則不要 証拠収集費用、弁護士への依頼費用など
申立ての種類と費用の目安

弁護士など代理人による提出は可能ですか?

はい、可能です。弁護士や弁理士といった専門家を代理人として選任し、手続きの全てまたは一部を任せることができます。代理人を選任した場合は、その権限を証明するための委任状を申立書に添付する必要があります。専門家の知見を活用することで、より説得力のある主張の構築や、手続き上のミスを防ぐ効果が期待できます。

まとめ:異議申立書を正確に作成し、迅速に手続きを進めよう

異議申立ては、行政処分や会社の決定などに対し、その見直しを求めるための正当な権利です。申立書を作成する際は、本記事で解説した必須項目を漏れなく記載し、客観的な事実と証拠に基づき、論理的に主張を組み立てることが重要です。特に、求める結論を簡潔に示す「申立ての趣旨」と、その根拠を具体的に述べる「申立ての理由」が、手続きの成否を分ける中核となります。異議申立てには厳格な提出期限が定められているため、手続きは迅速に進めなければなりません。まずはテンプレートを参考に自身の主張を整理し、もし手続きに不安があれば、弁護士などの専門家へ相談することも検討しましょう。

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