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民事再生とは?手続きの流れや費用、破産との違いをわかりやすく解説

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企業の経営が悪化し、事業の存続について重大な決断を迫られている経営者や担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。そのような状況で、事業を継続しながら再建を目指すための有力な選択肢となるのが、法的手続きである民事再生です。この記事では、民事再生の基本的な仕組みから、破産や会社更生といった他の手続きとの違い、具体的なメリット・デメリット、申立てから終結までの詳細な流れまでを網羅的に解説します。

目次

民事再生とは?事業再建を目指すための法的整理

民事再生の目的と特徴(再建型手続き)

民事再生とは、経済的に困難な状況にある債務者が、事業や経済生活を立て直すために行う法的手続きです。裁判所の監督のもと、債権者の多数の同意を得て策定した再生計画に基づき、事業の再建を目指します。破産のように会社を消滅させる「清算型」とは異なり、事業の存続を前提とする「再建型」の倒産手続きです。

民事再生の主な特徴
  • 事業の継続: 会社を存続させながら、経営の立て直しを図ります。
  • DIP型(Debtor in Possession): 原則として既存の経営陣が退任せず、引き続き経営を担いながら再建を進めます。
  • 債務の圧縮: 再生計画に基づき債務の一部が免除され、弁済期間も原則として3年(最大で5年、例外的に10年まで)延長できるため、資金繰りが大幅に改善します。
  • 幅広い対象: 株式会社だけでなく、合同会社などの法人や個人事業主、個人も利用できます。
  • 利用のしやすさ: 会社更生法に比べて手続きが簡易・迅速で、裁判所に納める予納金も比較的低廉なため、中小企業にも利用しやすい制度です。

民事再生手続が利用される状況と対象法人

民事再生手続は、法人・個人を問わず、経済的に窮境にあるすべての債務者が利用できます。株式会社、合同会社、個人事業主などが対象です。個人が利用する場合、負債総額が5000万円以下などの条件を満たせば、より簡略化された個人再生という手続きが主に用いられます。

民事再生は、事業の再建が見込める場合に選択される手続きです。申立てが可能なのは、以下のような状況です。

申立てが可能な状況
  • 支払不能に陥るおそれがあるとき、または債務超過の状態にあるとき
  • 事業継続への支障: 弁済期にある債務を支払うために事業に不可欠な資産を売却せざるを得ず、事業継続に著しい支障が生じる場合。

申立てに必要となる主な要件

民事再生の申立てが認められるには、法的に定められた要件を満たす必要があります。主な要件は以下の通りです。

主な申立て要件
  • 支払不能に陥るおそれがあること、または債務超過の状態にあること。
  • 事業の継続に著しい支障をきたすことなく、弁済期にある債務を弁済することができないこと。

ただし、上記のいずれかを満たしていても、再生計画の実現見込みがなければ手続きは開始されません。以下のケースでは、申立てが棄却される可能性があります。

申立てが棄却される主なケース
  • 手続き費用の予納がない場合。
  • 再生計画案の作成や可決、認可の見込みがないことが明らかな場合。
  • 申立てが不当な目的で行われた、または誠実になされたものではない場合。

他の倒産手続との比較(破産・会社更生・私的整理)

破産手続との違い(清算型か再建型か)

民事再生と破産の最も大きな違いは、手続きの目的にあります。民事再生が事業の再建を目指すのに対し、破産は事業を停止し会社を消滅させる清算を目的とします。経営の主体や申立て時期にも違いがあります。

項目 民事再生(再建型) 破産(清算型)
目的 事業を継続し、会社の再建を目指す 全財産を換価・配当し、会社を消滅させる
経営の主体 原則として既存の経営陣(DIP型) 裁判所が選任する破産管財人
申立て時期 支払不能・債務超過の「おそれ」がある段階から可能 支払不能・債務超過に陥った後
債務の扱い 再生計画に基づき、圧縮された債務を弁済する 免責(法人の場合消滅)により、債務はなくなる
民事再生と破産手続の比較

会社更生手続との違い(対象企業と経営陣の扱い)

民事再生と会社更生は、どちらも再建型の手続きですが、対象企業や経営陣の扱い、担保権の効力などに大きな違いがあります。会社更生は、主に大規模な株式会社の再建を想定した、より強力で厳格な手続きです。

項目 民事再生 会社更生
対象法人 法人・個人を問わない(主に中小企業が利用) 株式会社のみ(主に大企業が利用)
経営の主体 原則として既存の経営陣が継続(DIP型 原則として経営陣は退陣し、更生管財人が主導
担保権の扱い 担保権は手続き外で実行可能(別除権 担保権も手続きの対象となり、実行が制限される
株主の権利 原則として維持される 権利が変更または失われることが多い(100%減資など)
民事再生と会社更生手続の比較

私的整理との違い(法的拘束力と対象債権者)

私的整理は、裁判所を介さず、債務者と債権者の任意の話し合いによって債務整理を進める手続きです。民事再生のような法的整理とは、法的拘束力や対象となる債権者の範囲が異なります。

項目 民事再生(法的整理) 私的整理(任意整理)
法的拘束力 多数決で可決されれば、反対債権者も拘束する 法的拘束力はなく、債権者全員の同意が必要
対象債権者 原則として全ての債権者 主に金融機関など、交渉の対象とする債権者のみ
公開性 官報に公告され、手続きは公開される 手続きは非公開で進められる
メリット 強制力があり、公平性・透明性が高い 事業価値の毀損が少なく、柔軟な手続きが可能
デメリット 信用力が低下し、事業価値が毀損しやすい 反対する債権者がいると成立しない
民事再生と私的整理の比較

民事再生を選択するメリット

事業を継続しながら再建を図れる

民事再生の最大のメリットは、会社を消滅させることなく、事業を継続しながら再建を目指せる点です。事業活動を止めずに済むため、以下のような重要な経営資源を守ることができます。

事業継続によって守られるもの
  • 培ってきた技術、ノウハウ、ブランド価値
  • 顧客や取引先との関係
  • 従業員の雇用

再生計画の認可によって債務が大幅に圧縮され、資金繰りの負担が軽減されるため、事業価値を維持・向上させながら経営の立て直しを図ることが可能になります。

経営陣が原則として留任できる(DIP型)

民事再生は、原則として現経営陣が退任せずに経営を続ける「DIP型(Debtor in Possession)」の手続きであることが大きな利点です。会社更生のように経営陣が総退陣する必要がないため、事業を最もよく知る経営者が再建の主導権を握ることができます。

経営陣留任のメリット
  • これまでの経験や人脈を再建に活かせる
  • 迅速な意思決定が可能になる
  • 経営体制の混乱を最小限に抑え、従業員や取引先の動揺を防げる

ただし、経営は裁判所が選任する監督委員の監督下に置かれ、重要な財産処分などには監督委員の同意が必要となります。

債権者による個別の強制執行を停止できる

民事再生手続の申立てと同時に「保全処分」を申し立て、これが認められると、すべての債権者は再生債務者の財産に対して差押えなどの強制執行ができなくなります。また、債務者も一部の債権者への弁済を禁じられます。これにより、債権者からの個別の取り立てに追われることなく、事業に必要な資産を保全し、公平な債務整理と事業再建に集中できる環境が確保されます。この法的強制力は、私的整理にはない大きなメリットです。

債務の大幅な圧縮が可能になる

再生計画が認可されると、債務の元本を含めて大幅な減額が期待できます。圧縮後の債務は、原則として3年(最大で5年、例外的に10年まで)かけて分割で返済していくため、月々の返済負担が大きく軽減され、資金繰りが安定します。この債務圧縮は、債権者集会での多数決(議決権者の過半数かつ議決権総額の2分の1以上の同意)で可決されれば、反対した債権者にも効力が及びます。この強制力により、着実な再建計画の遂行が可能となります。

民事再生のデメリットと注意すべきリスク

企業の信用力が大幅に低下する

民事再生は再建を目指す手続きですが、「倒産」の一種であるため、企業の社会的信用が大幅に低下することは避けられません。手続きの事実は官報に公告されるため公になり、信用不安が広がることで以下のようなリスクが生じます。

信用力低下に伴うリスク
  • 取引先から現金払いを求められるなど、取引条件が悪化する
  • 新規の取引が困難になる、あるいは既存の取引が停止される
  • 金融機関からの新たな融資が極めて困難になる

この事業価値の毀損は、私的整理に比べて大きなデメリットといえます。

再生計画案の可決には債権者の同意が必要

再生計画を成立させるには、債権者集会での決議で、以下の両方の要件を満たす必要があります。

再生計画案の可決要件
  • 議決権を行使する債権者の過半数の同意
  • 議決権総額の2分の1以上の同意

この要件を満たせない場合、再生計画案は否決され、手続きは廃止となり、後述する破産手続へ移行する可能性が非常に高くなります。特に、債権総額の半分以上を占める大口債権者が1社でも反対すれば計画は成立しません。そのため、債権者への丁寧な説明と理解を求める努力が不可欠です。

担保権の実行を阻止できない(別除権)

民事再生手続では、不動産などに抵当権を設定している担保権者には「別除権」が認められています。別除権とは、民事再生手続とは関係なく、担保となっている財産を競売にかけるなどして優先的に債権を回収できる権利です。そのため、事業に必要な工場や機械などの資産に担保が設定されている場合、担保権者に差し押さえられて事業継続が困難になるリスクがあります。これを防ぐには、担保権者と個別に交渉し、弁済に関する合意を取り付ける必要があります。

手続きが複雑で時間と費用を要する

民事再生は裁判所が関与する法的手続きであるため、手続きが複雑で、相応の時間と費用がかかります。申立てから再生計画の認可までには、通常半年から1年程度の期間を要します。また、弁護士への依頼が不可欠であり、その費用は負債総額や事案の難易度に応じて高額になります。さらに、裁判所へ納める予納金も必要で、負債総額に応じて最低でも200万円程度から、数千万円に及ぶこともあります。これらの費用を事前に準備できなければ、手続きを利用すること自体が困難になります。

再生計画が不認可となった場合のリスクと破産手続への移行

再生計画案が債権者集会で否決されたり、可決されても裁判所が遂行の見込みなしと判断したりした場合、再生計画は不認可となり、再生手続は廃止(打ち切り)されます。手続きが廃止された時点で会社に支払不能などの破産原因があると認められる場合、裁判所は職権で破産手続開始決定をすることがあります。これを「牽連破産」と呼びます。多くの裁判所では、再生手続が廃止された法人は、原則として職権で破産手続に移行する運用がなされています。

民事再生手続の具体的な流れ(申立てから終結まで)

弁護士への相談と申立て準備

民事再生は専門性が非常に高い手続きのため、まずは事業再生に精通した弁護士に相談することが第一歩です。弁護士は財務状況などを分析し、民事再生が最適な手段かを判断します。方針が決まれば、申立代理人として裁判所に提出する膨大な書類(債権者一覧表、財産目録、資金繰り表など)の作成準備を進めます。この段階で、裁判所への予納金や弁護士費用、当面の運転資金を確保できる見通しを立てることが重要です。

スポンサーの選定とプレパッケージ型の活用

自社の収益だけで再建を目指す「自力再建型」だけでなく、外部の支援者(スポンサー)から資金援助を受けて再建を図る「スポンサー型」の民事再生も多く活用されます。申立て前にスポンサーを内定させ、申立てと同時に公表する手法を「プレパッケージ型」と呼びます。この手法は、スポンサーの存在によって対外的な信用を補完し、申立てによる事業価値の低下を最小限に抑える効果が期待でき、早期の再建につながります。

裁判所への申立てと保全処分

準備が整ったら、本店所在地を管轄する地方裁判所に民事再生手続開始の申立てを行います。申立て後、開始決定が下されるまでの間に債権者が資産を差し押さえるのを防ぐため、申立てと同時に、弁済や強制執行を禁止する「保全処分」を申し立てるのが一般的です。裁判所が保全処分を決定すると、債務者は一時的に支払いを停止でき、資産を保全しながら手続きを進めることができます。

監督委員の選任と債権者説明会の開催

申立てが受理されると、裁判所は手続きを監督する「監督委員」を選任します。監督委員には、倒産実務に詳しい弁護士が選任されるのが通例です。監督委員は、経営を続ける再生債務者の業務や財産管理を監督し、裁判所に意見を述べる重要な役割を担います。その後、再生債務者は「債権者説明会」を開催し、申立てに至った経緯や今後の再建方針などを説明し、債権者の理解と協力を求めます。この説明会には監督委員も同席します。

民事再生手続の開始決定

裁判所は、申立書類や監督委員の意見書を審査し、要件を満たしていると判断すれば「民事再生手続開始決定」を出します。申立てから決定までは、通常1〜2週間程度です。開始決定が出るとその事実は官報に公告され、同時に、債権者が債権を届け出る期間や、その債権を調査する期間などが定められます。この決定により、個別の債権回収は停止され、すべての債務は再生手続の枠内で扱われることになります。

債権の届出・調査・確定

開始決定後、債権者は定められた期間内に、自らの債権額やその内容を裁判所に届け出る必要があります。届出がないと、再生計画案の決議に参加できず、弁済も受けられなくなる可能性があります。再生債務者は、届け出られたすべての債権について、その内容を調査して認めるか否かを判断(認否)し、その結果を一覧表(認否書)にして裁判所に提出します。この手続きを経て、再生計画の基礎となる債権の総額が確定します。

財産状況の評定と報告

再生債務者は、開始決定時点ですべての財産を評価(財産評定)し、財産目録と貸借対照表を作成して裁判所に提出する義務があります。この評価は、仮に会社が破産した場合にどれだけの価値があるか(清算価値)を基準に行われます。これは、再生計画による弁済額が破産した場合の配当額を上回らなければならないという「清算価値保障原則」を満たしているかを確認するための重要な資料となります。併せて、手続開始に至った事情などをまとめた報告書も提出します。

再生計画案の作成と提出

債権額が確定し、財産の評定が終わると、再生債務者は裁判所が定めた期限までに「再生計画案」を作成・提出します。再生計画案には、今後の事業計画と、債権者にどの程度の債務を免除してもらい、残りをどのように弁済していくかという弁済計画を具体的に盛り込みます。計画案は、実現可能性が高く、かつ清算価値保障原則を満たしていることが不可欠です。客観的で説得力のある計画を作成することが、債権者の同意を得るための鍵となります。

再生計画案の決議と認可

提出された再生計画案は、債権者集会での決議、または書面投票に付されます。決議で可決されるには、前述の通り、議決権者の頭数の過半数と、議決権総額の2分の1以上の両方の同意が必要です。可決後、裁判所は計画が法律の規定に違反していないか、遂行の見込みがあるかなどを審査し、問題がなければ「再生計画認可決定」を出します。認可決定が確定すると、計画は反対した債権者も含め、すべての関係者を法的に拘束します。

再生計画の遂行と手続終結

再生計画の認可決定が確定すると、会社はその計画に従って、圧縮された債務の弁済を開始します。弁済期間は原則として3年(最大で5年、例外的に10年まで)で、計画通りに弁済が進んでいるか、監督委員(または裁判所)による監督が続きます。計画通りの弁済をすべて完了した場合、または再生計画認可決定の確定から一定期間(原則として3年)が経過し、計画の遂行に支障がないと判断された場合など、法で定められた要件を満たすと、裁判所は「民事再生手続の終結決定」を出します。これにより裁判所の管理下から離れますが、計画の弁済が残っている場合は、引き続きその義務を果たさなければなりません。

民事再生手続にかかる費用の内訳と目安

弁護士費用(着手金・報酬金)

民事再生手続を弁護士に依頼する際には、主に「着手金」と「報酬金」が発生します。着手金は手続きの開始時に支払う費用で、負債総額や事案の規模によって変動しますが、中小企業の場合でも数百万円以上かかることが一般的です。報酬金は、再生計画が認可された場合などに支払う成功報酬で、これも減額できた債務額などに応じて決定されます。専門性が高く多大な労力を要するため、弁護士費用は高額になる傾向があります。

裁判所への予納金(負債総額に応じて変動)

民事再生を申し立てる際、弁護士費用とは別に、裁判所に「予納金」を納める必要があります。これは、監督委員の報酬など、手続きを進めるための実費に充てられるものです。予納金の額は負債総額に応じて定められており、一括での納付が原則です。

負債総額 予納金額
5,000万円未満 200万円
5,000万円以上 1億円未満 300万円
1億円以上 5億円未満 400万円
5億円以上 10億円未満 500万円
10億円以上 50億円未満 600万円
予納金の目安(東京地方裁判所の場合)

※上記はあくまで目安であり、事案によって変動します。

民事再生が各関係者に与える影響

経営者への影響(経営責任と個人保証)

民事再生では経営陣が原則として留任できますが、経営責任が問われる立場であることに変わりはありません。特に注意すべきは「個人保証」の問題です。経営者が会社の債務を連帯保証している場合、民事再生で会社の債務が減額されても、経営者個人の保証債務は減額されません。債権者は経営者個人に残額の返済を請求できるため、会社の再生と並行して、経営者自身も自己破産や個人再生などの債務整理を検討せざるを得ないケースが多くあります。

従業員への影響(雇用と給与の支払い)

事業継続を前提とするため、原則として従業員の雇用は維持されます。破産のように従業員が全員解雇される事態は避けられます。給料についても、未払い分は再生手続開始前の給料債権として、再生計画において優先的に弁済されることがあります。特に、手続開始前3ヶ月間の給料は、共益債権として他の一般債権よりも優先的に支払われるのが一般的です。手続開始後の発生分は「共益債権」として、他の一般債権よりも優先的に支払われます。ただし、再建計画の過程で、不採算部門の縮小などに伴う人員整理や労働条件の見直しが行われる可能性はあります。

取引先(債権者)への影響(債権カットと取引継続)

取引先などの一般債権者は、再生計画によって売掛金などの債権の一部がカット(減額)される影響を受けます。この債権カットは多数決で法的に強制されるため、反対しても覆すことは困難です。一方で、事業は継続されるため、民事再生手続開始後も取引関係が維持されることも多くあります。ただし、信用不安から取引条件が現金決済に変更されたり、取引が停止されたりするリスクもあり、事業再建には取引先の協力が不可欠です。

株主への影響(株式価値の変動)

民事再生を申し立てると、上場企業の場合は原則として上場廃止となり、株価は大幅に下落します。しかし、会社更生とは異なり、民事再生では株主の権利は原則として維持されます。破産のように株式が完全に無価値になるわけではなく、事業再建が成功すれば、将来的に価値が回復する可能性は残ります。ただし、再生計画の中で、債務超過を解消するために100%減資(既存株式をすべて無価値にすること)が行われる場合もあり、その際は株主も大きな損失を被ります。

民事再生に関するよくある質問

民事再生をすると従業員の雇用や給料はどうなりますか?

民事再生は事業の継続を前提としているため、原則として雇用は維持されます。破産のように全員が解雇されることはありません。給料も、未払い分は再生手続開始前の給料債権として、再生計画において優先的に弁済されることがあります。特に、手続開始前3ヶ月間の給料は、共益債権として他の一般債権よりも優先的に支払われるのが一般的です。手続開始後の発生分は「共益債権」として、他の一般債権よりも優先的に支払われます。ただし、再建計画の過程で、事業再編に伴う人員整理や労働条件の見直しが行われる可能性はあります。

経営者の連帯保証債務や個人資産はどのように扱われますか?

会社の民事再生によって会社の債務が減額されても、経営者個人の連帯保証債務は原則として免除されません。債権者は保証人である経営者に対して、減額されなかった残りの債務全額の返済を求めることができます。そのため、経営者個人も自己破産などの債務整理を併せて行うケースが少なくありません。経営者個人の資産は会社の再生手続の対象にはなりませんが、個人として債務整理を行う場合はその手続きの中で扱われます。

手続きの事実は官報に掲載されますか?

はい、掲載されます。民事再生は法的手続きであるため、手続の開始決定や再生計画の認可決定などの節目で、その事実が国の機関紙である官報に公告されます。これは、債権者などの利害関係者に手続きの進行を広く知らせるためです。ただし、一般の人が日常的に官報を見ることは稀なため、官報掲載が直接の原因で周囲に知られる可能性は低いですが、信用情報機関などには登録される可能性があります。

民事再生後に金融機関から新たな融資を受けることは可能ですか?

民事再生手続後は、企業の信用力が大きく低下しているため、金融機関から新たな融資を受けることは非常に困難になります。しかし、不可能ではありません。再生計画を着実に遂行し、収益を上げて財務状況が健全化すれば、将来的に金融機関の信頼を回復し、融資を受けられる可能性はあります。また、再生手続中に事業継続に必要な資金を調達するための「DIPファイナンス」といった特殊な融資制度もあります。

まとめ:民事再生は事業再建の有力な選択肢だが、専門家の支援が不可欠

本記事では、民事再生手続について多角的に解説しました。民事再生は、事業と雇用を守りながら、原則として現経営陣が主導して会社の再建を目指せる強力な再建型の手続きです。再生計画によって債務を大幅に圧縮できる一方、信用力の低下や、担保権(別除権)の実行を阻止できないといったリスクも伴います。破産のような清算型手続きとは異なり、会社更生よりも中小企業が利用しやすく、私的整理にはない法的拘束力を持つ点が大きな特徴です。手続きは複雑で相応の費用も要するため、成功には債権者の理解を得られる実現可能な再生計画が鍵となります。自社の状況で民事再生が最善の選択肢であるかを見極めるためにも、まずは事業再生に精通した弁護士など専門家へ早期に相談することが重要です。

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