不良在庫評価損の計上基準は?会計・税務の判断と実務
不良在庫評価損(棚卸資産評価損)の計上は、滞留・陳腐化した在庫が増えた局面ほど「会計上の簿価切下げ」と「税務上の損金算入」を分けて整理しないと、過大・過小計上のリスクが残ります。とくに税務では、法基通9-1-5/9-1-6の線引き次第で、評価損として認められるのか、別表調整(加算)を要するのかが変わり得ます。根拠資料や期末時点の事実が弱いまま処理すると、税務調査で計上の妥当性や期ずれを説明しづらくなり、在庫管理の改善にもつながりにくくなります。以下では、不良在庫評価損の判断材料として会計・税務の基準と実務の残し方を示します。
不良在庫評価損の基本
棚卸資産評価損との違い
不良在庫評価損は実務上の通称で、会計・税務で扱う正式な枠組みとしては棚卸資産評価損(棚卸資産の簿価切下げを含む)として整理するのが適切です。税務上、棚卸資産に破損、型崩れ、棚ざらし、品質低下、災害等による著しい損傷や著しい陳腐化が生じた場合などには、評価損の計上が認められます(法人税基本通達9-1-5(法基通9-1-5)、法人税法施行令681条1号に言及される類型(法令681一))。一方で、不良在庫は現場用語として、需要予測の誤りや過剰発注などにより長期滞留し、販売見込みが乏しい在庫を指すことが多いです。
実務では「不良在庫だから評価損にする」ではなく、棚卸資産評価損の枠組みで、
- 価値が回復しない程度に収益性が低下しているか
- その原因が「単なる価格下落」ではなく、通達が想定する特別の事情(著しい陳腐化・著しい損傷等)か
を切り分けて判断します。
評価損・棚卸減耗損・廃棄損はどの事実で分けるか
科目の使い分けは「名称」ではなく、決算日時点で確認できる客観的な事実で区分します。税務調査でも、評価損は内部的に計上できる反面、計上の妥当性が検討されやすく、廃棄損は廃棄の事実の有無と計上時期が重点的に確認されます。
| 区分 | 決算で捉える中心事実 | 典型例 | 調査で見られやすい点 |
|---|---|---|---|
| 評価損(棚卸資産評価損) | 現物は存在するが著しい損傷や著しい陳腐化等で回収価値が低下 | 破損、型崩れ、棚ざらし、品質低下、災害による損傷(法基通9-1-5) | 内部計上できるため根拠資料(時価・回収見込額、陳腐化の事情)の妥当性 |
| 棚卸減耗損 | 実地棚卸で帳簿数量と実在数量が一致しない | 紛失、盗難、計量誤差 | 棚卸手続と在庫差異の原因分析、入出庫記録との整合 |
| 廃棄損 | 販売・使用不能の在庫を廃棄した事実がある | 期限切れ等で廃棄、処分業者引渡し | 廃棄の事実(証明書・マニフェスト等)と期末までに廃棄済みか |
在庫評価損が認められる要件
著しい陳腐化の判定基準
税務上の「著しい陳腐化」は、単なる売れ行き不振や値下がりでは足りず、既往の実績や市場環境の変化により、今後通常の価額・通常の方法で販売できないことが客観的に明らかな状態をいいます(法基通9-1-4)。特に、流行遅れやモデルチェンジ「だけ」を理由に機械的に評価損を立てると否認リスクが高く、通達が例示するような「販売不能の事実」に踏み込みます。
- 季節商品で売れ残り、既往の実績等から今後通常の価額では販売できないことが明らかな場合(法基通9-1-4(1))。
- 用途は同様でも、型式・性能・品質等が著しく異なる新製品の発売により、今後通常の方法で販売できなくなった等の事実がある場合(法基通9-1-4(2))。
なお、「著しく低下」の判断枠組みとして、参照実務では帳簿価額のおおむね50%相当額を下回り、かつ近い将来の回復が見込まれないという考え方が示される場面があります(例:時価のある有価証券の評価損に関する法基通9-1-7)。棚卸資産でも、数値基準だけで結論を出すのではなく、上記のとおり販売不能の事実(通常価額・通常方法で不可)が揃っているかを中心に、時価・回収見込額の根拠を整備します。
特別の事実と時価下落の線引き
税務上、棚卸資産の評価損が認められる方向に働くのは、棚卸資産側に破損、型崩れ、棚ざらし、品質低下、災害等による著しい損傷や著しい陳腐化といった「特別の事情」がある場合です(法基通9-1-5、法令681一)。これに対して、時価が下がっていても原因が「市況」だけであれば、評価損は原則として認められません。
- 認められ得る方向:破損、型崩れ、棚ざらし、品質低下、災害等による著しい損傷、著しい陳腐化(法基通9-1-5)。
- 認められない方向:物価変動、過剰生産、建値の変更等の事情による単なる時価下落(法基通9-1-6)。
実務上は「過剰在庫で売れない」「競合の値下げで市場価格が下がった」といった理由は(それ自体では)法基通9-1-6側に寄るため、損金算入を狙う場合は、棚ざらしや品質低下等の在庫固有の事情があるか、著しい陳腐化(法基通9-1-4)の要件を満たすかを、証憑で切り分ける必要があります。
季節商品・型落ち品・補修用部品で判断基準が分かれる場面
在庫の性質により、「通常価額で販売できない」や「通常方法で販売できない」の立証の仕方が変わります。特に型落ちは誤解が多く、「モデルチェンジしたから即評価損」ではなく、法基通9-1-4(2)がいうように、型式・性能・品質等が著しく異なる新製品の発売により、旧製品が通常の方法では販売できないなどの事実が必要になります。
- 季節商品:既往の実績等から通常の価額では販売できないことが明らかか(法基通9-1-4(1))。
- 型落ち品:新製品が「用途は同様」でも型式・性能・品質が著しく異なり、旧品が通常の方法で販売できない等の事実があるか(法基通9-1-4(2))。
- 補修用部品:保有目的(補修対応)と処分制約の有無を整理し、単なる値下がり(法基通9-1-6)に見えない根拠をどう残すかが焦点です。
棚卸資産の評価方法と計算方法
原価法と低価法の考え方
会計上は「棚卸資産の評価に関する会計基準(企業会計基準第9号)」により、収益性の低下が認められる棚卸資産については、原則として正味売却価額まで簿価を切り下げる必要があります。ここで重要なのは、期末評価に収益性低下が反映されないと、棚卸資産が過大計上となり得る点で、実務では前期比較や上長レビューなどの内部統制が有用とされています。
税務では、会計上の切下げがあっても直ちに損金算入できるとは限らず、法基通9-1-5・9-1-6・9-1-4に沿って、特別の事情か単なる時価下落かの整理が必要です。
個別法など評価単位の決め方
評価単位・評価方法は、恣意性(利益調整)を生みにくい設計が重要です。税務上、個別法は個々の取得価額をひも付けて評価する方法ですが、代替性のある規格商品に個別法を適用すると、都合のよい価額で棚卸資産や売上原価を操作できる余地があるため、適用できないとされています(法人税法施行令282条(法令282))。
したがって、評価方法の選択では、
- 在庫が規格品で代替性が高いか(法令282の射程)
- 取得単価のばらつきと管理コストのバランス
- 評価単位(品目・グループ)の合理性と継続適用
をセットで検討します。
正味売却価額による計算例
正味売却価額は「見積販売価額 −(完成までの追加製造原価+販売に直接要する費用)」で見積もり、会計上は収益性低下がある場合に簿価切下げの基礎になります(企業会計基準第9号)。
ここでは参照実務で示される棚卸商品目録のイメージに沿って、回収見込額(回収可能な金額)まで切り下げる考え方を具体化します。
| No. | 品名 | 個数 | 所在場所 | 簿価等(円) | 回収見込額(円) | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 洗濯バサミ | 400箱 | 倉庫 | 120,000 | 30,000 | 1箱1ダースバック100個入り |
| 2 | 石鹸セット | 330箱 | 倉庫 | 160,000 | 0 | 使用可能期限切れ |
| 3 | 玄関マット | 240枚 | 倉庫 | 240,000 | 50,000 | |
| 合計 | 520,000 | 80,000 |
上表のように、簿価等520,000円に対して回収見込額80,000円であれば、会計上は差額を収益性低下として検討対象にし、税務上は「期限切れ(回収見込額0)」等が廃棄の事実に至っているのか、または品質低下・棚ざらし等(法基通9-1-5)の事情として評価損が妥当かを、証憑に基づいて区分します。
不良在庫評価損の会計処理
仕訳と勘定科目の使い分け
会計処理は、損失の性質(期末評価としての簿価切下げか、廃棄という処分損か)を事実で切り分けて、勘定科目と表示区分を整えます。特に税務調査では、評価損は内部的に計上可能であるため計上の妥当性が検討されやすく、廃棄損は廃棄の事実の有無と計上時期が論点になります。
- 評価損:現物が残り、破損・型崩れ・棚ざらし・品質低下・災害等による著しい損傷や著しい陳腐化がある場合(法基通9-1-5、法基通9-1-4)。
- 廃棄損:市場価値がない等により廃棄し、廃棄の事実(引渡し・処分記録)がある場合(調査では事実と時期が検討対象)。
売上原価と法人税への影響
期末棚卸高は売上原価計算(期首棚卸高+仕入高−期末棚卸高)に直結するため、会計上の簿価切下げは売上原価等を通じて利益に影響します。ただし税務上は、会計上切り下げた金額がそのまま損金算入できるとは限らず、少なくとも次の区分が重要です。
- 損金算入が検討し得る:破損、型崩れ、棚ざらし、品質低下、災害等による著しい損傷、著しい陳腐化(法基通9-1-5、法基通9-1-4)。
- 損金算入が難しい:物価変動、過剰生産、建値の変更等による単なる時価下落(法基通9-1-6)。
そのため、会計上は収益性低下(企業会計基準第9号)で切り下げる場面でも、税務上は否認(別表加算)となり得ます。経理としては、評価損の算定根拠を整備したうえで、法基通9-1-5/9-1-6のどちらに該当するかを理由付けし、税務申告では調整要否を判断します。
決算日直前の値引き販売・廃棄決定はどの期の損失にするか
決算日前後の取引は期ずれが疑われやすく、実務では「意思決定」ではなく事実の成立で期帰属を決めます。監査・調査の観点でも、期末日および基準日前後の入出庫記録を閲覧し、入出庫伝票等の証憑と会計記録を突合して、検収・出荷等の事実に基づき適切な会計期間に処理されているかが確認されます。
- 値引き販売:決算日までに出荷・引渡し等により売上が実現しているかを、出荷記録・請求・検収等で確認します。
- 在庫の廃棄:決算日までに現物を倉庫から排出し、処分業者への引渡し等で廃棄の事実が成立しているかを確認します(調査では事実と時期が検討対象)。
- 証憑の突合:期末日前後の入出庫記録から抽出した移動について、入出庫伝票等と会計記録を突合し、期間帰属の誤りがないかを点検します。
在庫評価損の税務リスク管理
損金算入できる場合できない場合
税務上の最大の分岐は、「棚卸資産固有の事情による価値低下」か、「市況要因による時価下落」かです。通達上、前者は評価損が認められ得る一方、後者は原則として否認されます。
| 区分 | 損金算入の方向性 | 具体例(参照実務の表現) | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 特別の事情がある | 認められ得る | 破損、型崩れ、棚ざらし、品質低下、災害等による著しい損傷、著しい陳腐化 | 法基通9-1-5、法令681一 |
| 単なる時価下落 | 認められない | 物価変動、過剰生産、建値の変更等による価格低下 | 法基通9-1-6 |
また、著しい陳腐化は法基通9-1-4の類型(季節商品で通常価額販売不可、新製品発売で通常方法販売不可等)に寄せて、販売実績・市場環境・社内の販売方針の変更履歴などで「販売不能の事実」を固めるのが実務的です。
税務調査で見られる証憑と規程
税務調査では、評価損・廃棄損ともに「社内ルールの一貫性」と「事実を裏付ける証憑」が見られます。特に評価損は内部的に計上できるため、計上根拠・計上額の妥当性が検討されやすいとされています。
- 評価損の根拠:破損・型崩れ・棚ざらし・品質低下・災害等、または著しい陳腐化(法基通9-1-5、法基通9-1-4)を示す記録と写真。
- 時価・回収見込額:販売価格表、見積書、市場価格の記録等、回収見込額の算定根拠。
- 廃棄の事実:処分業者の証明、マニフェスト等、期末までに廃棄したことが分かる証憑(調査で事実と時期が検討対象)。
- 規程・統制:棚卸資産の評価に関する会計基準(企業会計基準第9号)に沿った社内評価手続、前期比較、上長による計算過程・仕訳伝票のチェック。
税務否認を避けるために誰がいつ何を残すか
否認リスクを下げるには、期末に「後追いで作れる説明」ではなく、期末時点の事実と算定プロセスを、担当者と時点を特定できる形で残します。
- 現場(倉庫・製造・営業):破損・型崩れ・棚ざらし・品質低下等の状態が分かる写真と、所在場所・数量を特定できる棚卸記録を期末時点で作成します(法基通9-1-5の立証)。
- 経理:回収見込額(正味売却価額に相当)の算定根拠を、販売価格表・見積書等に基づき整理し、計算過程を残します(企業会計基準第9号の期末評価に対応)。
- 管理部門(内部統制):評価損計上額の前期比較、資料作成者の上長による計算処理過程および仕訳伝票のチェックを行い、レビュー記録を保存します(期末評価誤りリスクへの対応)。
- 廃棄がある場合:廃棄の決裁書に加え、期末までに廃棄したことが分かる引渡し記録・処分証明を保存します(調査で廃棄の事実と時期が検討対象)。
在庫管理で評価損を抑える
在庫管理と処分判断の見直し
在庫を「B/S上の資産」として抱える発想が強いほど、不良在庫が積み上がり、期末に評価損・廃棄損の論点が増えます。参照実務でも、倉庫で滞留した在庫は資金を生まない「死産」になり得る点が強調されており、1年以上動かない場合は値下げで売るか処分という判断基準が示されています。
- 仕入れは「売れているものを仕入れ、売れないものは仕入れない」というモノサシを持ち、在庫金額を増やさない管理指標を設定します。
- 1年以上売れない在庫は、値下げ販売または処分を原則とし、意思決定を先延ばしにしない運用にします。
- 置き場所不足の解決を「倉庫を借りる」に寄せず、滞留在庫の処分を先に検討して固定費増を回避します。
評価方法の届出と継続適用
税務上の評価方法は、恣意的な変更が疑われやすい領域です。参照実務でも、合理的な基準には幅がある一方、評価方法をみだりに変更して評価損等を逃れようとしていないかに留意する旨が示されています。したがって、評価方法は選択したら継続適用を前提に、変更が必要な場合でも手続と理由を整えます。
また、規格商品(代替性のある棚卸資産)に個別法を適用することはできないとされているため(法令282)、品目特性に応じた評価方法の設計が、税務リスクの低減にも直結します。
月次で拾うべき滞留在庫のしきい値と役員報告の設計
期末にまとめて問題化させないためには、月次で滞留を検知し、評価・処分の判断を前倒しします。参照実務では「1年以上動かない」在庫に対する強い警鐘があり、月次管理でもこの考え方をしきい値設計に落とし込むことができます。
- 滞留の定義:まず「1年以上出庫がない」など、社内で説明可能な滞留定義を置き、対象リストを自動抽出します。
- 回収見込額の更新:対象在庫は回収見込額(販売見積・処分見積)を月次で更新し、期末の評価判断に耐える根拠を蓄積します。
- 役員報告:滞留残高、回収見込額、処分方針(返品・転売・バーゲン等)を指標化し、前期比較で増減理由まで報告します。
- 内部統制:評価損計上額の前期比較や上長レビューを月次にも組み込み、期末評価誤りリスクを低減します(企業会計基準第9号に基づく期末評価の統制)。
よくある質問
不良在庫評価損はいつ計上しますか?
会計上は、期末(決算日)時点で収益性の低下が認められる棚卸資産について、正味売却価額まで簿価を切り下げる考え方が基本です(企業会計基準第9号)。税務上は、評価損が損金算入できるかは、期末時点で破損・型崩れ・棚ざらし・品質低下・災害等による著しい損傷や著しい陳腐化などの事実があるか(法基通9-1-5、法基通9-1-4)で判断します。
また、期末日前後の処理は期ずれが見られやすいため、入出庫記録と証憑(出荷・検収等)を突合して、適切な会計期間に処理されていることを説明できる形にしておくことが重要です。
未使用の原材料や仕掛品も計上できますか?
原材料・仕掛品であっても、棚卸資産として、品質低下、棚ざらし、破損等により通常の方法で使用・販売できないなど、法基通9-1-5にいう事情がある場合は、会計上の収益性低下の検討対象になり得ます。税務上損金算入を目指す場合も同様に、単なる市況悪化(物価変動・過剰生産・建値変更等)による評価は法基通9-1-6により否認され得るため、在庫固有の事情を証憑で立証します。
実務上は、参照実務の注意喚起にあるとおり「本来は仕掛りである予材が入っていないか」を検証し、棚卸資産の分類誤り(原材料・仕掛品・製品の混在)が評価損の議論を不必要に複雑化させないように整理します。
税務調査で否認されやすいのはどんな場合ですか?
否認されやすいのは、法基通9-1-6が想定するような物価変動・過剰生産・建値の変更等による単なる時価下落を、特別の事情がある評価損として処理している場合です。また、評価損は内部的に計上できるため、調査では計上の妥当性(根拠・計上額)が検討されるとされています。
- 市況要因(物価変動・過剰生産・建値変更等)の下落を、破損・品質低下等の事情と区別せずに評価損としている(法基通9-1-6)。
- 著しい陳腐化について、季節商品や新製品発売の「販売不能の事実」(法基通9-1-4)を示せず、流行遅れ・モデルチェンジ「だけ」で処理している。
- 廃棄損なのに、廃棄の事実(引渡し・処分記録)がなく、計上時期も含めて説明できない(調査で事実と時期が検討対象)。
在庫評価方法の変更に届出は必要ですか?
税務上、評価方法をみだりに変更して恣意性を持ち込むことは、評価損等の局面で疑義を招きやすいとされています。参照実務でも、合理的な基準には幅がある一方で、評価方法の変更が利益調整に使われていないか十分留意する旨が示されています。
また、個別法は代替性のある規格商品に適用できないとされるため(法令282)、方法変更の検討では「手続」の前に、在庫の性質(規格品か、個別性が強いか)と、継続適用できる運用体制を先に整えることが重要です。
不良在庫評価損への対応で次にすべきこと
不良在庫評価損は、会計上の収益性低下(企業会計基準第9号)による簿価切下げと、税務上の損金算入可否(法基通9-1-5/9-1-6、著しい陳腐化は法基通9-1-4)を分けて判断することが出発点です。税務では、単なる市況下落ではなく「破損・品質低下・棚ざらし」等の特別の事情、または「通常の価額・通常の方法で販売できない」といった販売不能の事実があるかが判断軸になります。実務上は、期末時点の事実(写真・棚卸記録)と回収見込額の算定根拠を揃え、廃棄に当たるなら期末までに廃棄の事実が成立しているかまで含めて区分します。加えて、月次で「1年以上出庫がない」在庫を拾って処分・値下げの判断を前倒しし、評価損論点を期末に集中させない運用に落とすことが有効です。個別案件の判断や申告調整の要否は、社内の経理・管理部門で資料と前提をそろえたうえで、必要に応じて税理士等の専門家に相談して整理します。

