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クレーム対応の手順と方法|基本から特殊ケース、組織での強化策まで解説

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顧客からのクレームは、時に担当者に大きな精神的負担をかけ、対応に苦慮する場面も少なくありません。しかし、その一つ一つが企業の成長にとって貴重な機会となり得ます。感情的な対立を避け、顧客満足度を高めるためには、場当たり的な対応ではなく、組織として統一されたフレームワークを持つことが不可欠です。この記事では、クレーム対応の基本的な心構えから、具体的な5ステップの対応フロー、さらには組織的な対応力強化策までを体系的に解説します。

目次

クレーム対応の重要性と基本的な心構え

クレームが企業にとって「貴重な意見」である理由

顧客からのクレームは、単なる苦情ではなく、企業が成長するための極めて重要な情報源です。顧客の声(VoC)は、社内だけでは気づきにくい商品やサービスの欠陥、業務プロセスの問題点を可視化してくれます。顧客が時間と労力をかけて意見を寄せる背景には、企業への期待が込められている場合も少なくありません。これらの声を真摯に受け止め分析することで、企業は様々なメリットを得ることができます。

クレームがもたらす企業へのメリット
  • 品質向上の機会: 顧客視点での具体的なフィードバックは、商品やサービスの質を直接的に向上させるヒントとなる。
  • 潜在的リスクの発見: 小さな不満を早期に把握・対処することで、大規模な事故やブランドイメージの毀損といった経営リスクを未然に防ぐ。
  • 新たなニーズの発掘: 顧客の不満の裏にある本質的なニーズを読み解くことで、新商品開発やマーケティング戦略の貴重なデータとなる。
  • 顧客ロイヤルティの向上: 誠実で迅速な対応は、かえって顧客の信頼を高め、長期的なファンを獲得する絶好の機会となり得る。

このように、クレームは処理すべき問題ではなく、企業の持続的成長に不可欠な経営資産と捉え、組織全体でその価値を共有することが重要です。

顧客満足度を左右する対応の基本姿勢

クレーム対応の品質は、顧客満足度に直結し、企業の評価を大きく左右します。質の高い対応を実現するためには、担当者個人のスキルだけに頼るのではなく、組織として統一された基本姿勢を持つことが不可欠です。特に重要なのは、以下の4つの姿勢です。

クレーム対応における4つの基本姿勢
  • 顧客の心情への共感と傾聴: まずは事実関係の正否を問う前に、顧客が感じている不安や怒り、不便さといった感情に寄り添い、話を真摯に聴く姿勢を徹底する。
  • 公平・透明な対応基準: 誰が対応しても品質に差が出ないよう、組織として公平で透明性の高い対応ルールを定め、その基準に沿って誠実に対応する。
  • 迅速な初動と情報共有: 問い合わせには可能な限り早く反応し、企業が問題を重視している姿勢を示す。対応の進捗は適宜報告し、顧客の不安を和らげる。
  • 組織全体での課題解決: クレームを担当者個人の責任とせず、発生原因を組織全体の問題として捉える。構造的な問題を分析し、再発防止策に繋げることで長期的な改善を図る。

顧客に対しては一人の人間として真摯に向き合い、組織としては冷静かつ論理的に改善を図るという両輪のバランスを保つことが、信頼回復の鍵となります。

クレーム対応の基本的な流れ【5ステップ】

ステップ1:初期対応(傾聴・共感・一次謝罪)

クレーム対応の成否は、最初の接触である初期対応でおおむね8割が決まると言っても過言ではありません。この段階の目的は、顧客の興奮を鎮め、冷静な対話の土台を築くことです。重要なポイントは以下の3つです。

初期対応の3つのポイント
  • 傾聴: 顧客の主張や感情を、途中で遮ることなく最後まで丁寧に聴き切る。反論や言い訳はせず、まずは相手にすべてを話してもらうことに集中する。
  • 共感: 顧客が「不快な思いをした」という事実そのものに寄り添い、「お困りですね」「ご不便をおかけしました」といった言葉で共感の意を示す。これは相手の主張に全面的に同意することとは異なる。
  • 一次謝罪: 事実関係や責任の所在が確定する前に、まずは顧客に手間をかけさせ、不快な思いをさせたことに対して限定的な謝罪を行う。「ご迷惑をおかけし、申し訳ございません」のように、心情面への配慮を示す。

この初期対応で顧客との信頼関係の基礎を築くことが、以降のステップを円滑に進めるための絶対条件です。

ステップ2:事実確認と原因の究明

顧客の感情が落ち着いたら、問題解決に向けて客観的な事実確認に進みます。感情論ではなく、冷静かつ正確に情報を収集することが重要です。このステップでは、以下の点に注意して進めます。

事実確認と原因の究明のポイント
  • 客観的な情報収集: 「いつ、どこで、何を、どのように」といった5W1Hの視点で具体的な状況をヒアリングし、顧客の主観と客観的な事実を切り分けて整理する。
  • 原因の特定: 収集した情報や社内調査に基づき、問題の原因が商品、サービス、あるいは顧客の誤解など、どこにあるのかを特定する。憶測で判断せず、証拠に基づいて究明する。
  • 顧客の要望の把握: 顧客がこのクレームを通じて最終的に何を望んでいるのか(謝罪、商品の交換、返金、業務改善など)を正確に把握する。

事実関係と顧客の真の要望を正確に把握することで、的外れな対応を防ぎ、双方が納得できる解決策を導き出すための土台ができます。

ステップ3:解決策の検討と提示

事実確認と原因究明の結果を踏まえ、具体的かつ現実的な解決策を検討し、顧客に提示します。この際、企業としての一貫した姿勢と、顧客の心情への配慮が求められます。

解決策の検討と提示における要点
  • 妥当な解決策の策定: 自社の規定や関連法規、社会通念に照らし合わせ、公平かつ実現可能な解決策を複数検討する。
  • 根拠の明確な説明: なぜその解決策を提示するのか、その根拠を論理的かつ丁寧に説明し、顧客の理解と納得を得られるよう努める。
  • 代替案と選択肢の提示: 顧客の要望に完全に応えられない場合でもゼロ回答は避け、代替案を提示する。複数の選択肢を示し顧客自身に選んでもらうことで、納得感を高める。
  • 実行プロセスの明示: 解決策を実行するために必要な手順や所要時間を具体的に伝え、今後の見通しを示すことで顧客の不安を解消する。

提示した解決策に顧客が難色を示した場合は、その理由を再度ヒアリングし、粘り強く対話を続けて合意点を探ります。

ステップ4:合意形成と最終的なお詫び

提示した解決策について顧客の同意が得られたら、合意内容を相互に確認し、正式なクロージングに移ります。後日のトラブルを避けるため、合意内容は口頭だけでなく、必要に応じて書面やメールで記録に残すことが重要です。特に金銭の授受が伴う場合は、合意事項を明確に文書化しておくべきです。

合意が形成された後、改めて最終的なお詫びを伝えます。これは、問題発生そのものに対する謝罪に加え、解決までに顧客にかけた時間や精神的負担に対するものです。事実関係と責任の所在が明らかになった上での正式な謝罪であり、初期対応の一次謝罪とは意味合いが異なります。企業側に非があった場合は、その責任を認め、再発防止を約束する言葉を添えて真摯にお詫びします。

たとえ企業側に非がなかった場合でも、結果として顧客に不快な思いをさせたことへの配慮と、貴重な意見をいただいたことへの感謝を伝えることで、今後の良好な関係に繋げることができます。

ステップ5:感謝の伝達と再発防止策の共有

すべての対応が完了した後、改めて顧客に感謝の意を伝えることが重要です。「この度は貴重なご指摘をいただき、ありがとうございました」という言葉は、企業が顧客の声を真摯に受け止め、成長の糧とする姿勢を示すものです。これにより、顧客は自身の行動が有益であったと感じ、企業への信頼を回復するきっかけとなります。

そして、クレーム対応は顧客とのやり取りだけで終わりません。得られた教訓を組織の資産として活用するための仕組みが不可欠です。

対応完了後の重要なアクション
  • 感謝の伝達: 指摘への感謝を伝え、顧客の行動が有益であったと感じてもらうことで、良好な関係を再構築する。
  • 再発防止策の策定: クレームの根本原因を分析し、業務フローの見直しやマニュアル改訂、商品改善といった具体的な対策を講じる。
  • 社内での情報共有: 得られた教訓や対策を関連部署だけでなく組織全体で共有し、同様の問題の発生を防ぐ(水平展開)。
  • 改善サイクルの実行: 策定した対策が有効に機能しているかを定期的に検証し、継続的な品質向上に繋げる(PDCAサイクル)。

一つのクレームから学び、組織全体で改善に取り組む体制を構築することが、企業の競争力を高める最終的なゴールです。

【チャネル別】クレーム対応の具体的なポイント

電話での対応:声のトーンとスピードが鍵

電話は表情が見えないため、声のトーンや話し方といった聴覚情報(パラ言語)が相手に与える印象を大きく左右します。特にクレーム対応では、以下の点に注意が必要です。

電話対応のポイント
  • 声のトーンとスピード: 通常よりもやや低めの落ち着いたトーンで、ゆっくりと話すことを心がける。早口や高い声は、焦りや軽薄な印象を与えかねない。
  • 傾聴の姿勢: 相手の話を遮らず、適切なタイミングで「はい」「さようでございますか」といった相槌を打ち、真剣に聴いていることを示す。
  • 保留時間の管理: 確認のために保留にする際は、必ず理由と目安の時間を伝える。長時間待たせる場合は、途中で一度進捗を報告する配慮が重要。
  • 丁寧な終話: 話が終わった後も、相手が受話器を置いたことを確認してから、静かに電話を切る。最後までの気配りが全体の印象を決定づける。

メールでの対応:丁寧かつ誤解のない文章表現

メールは文章が記録として残るため、正確性と論理性が求められます。感情的な表現は避けつつも、冷たい印象を与えないよう、言葉選びに細心の注意を払う必要があります。

メール対応のポイント
  • 明確で論理的な文章: 誰が読んでも誤解が生じないよう、客観的な事実に基づいて簡潔かつ具体的に記述する。
  • 丁寧な表現: 「恐れ入りますが」「〜していただけますでしょうか」といったクッション言葉や敬語を適切に使い、文面から誠意と配慮を伝える。
  • 読みやすい構成: 件名は「【株式会社〇〇】〇〇のお問い合わせについて」のように一目で用件がわかるものにし、本文は適度な改行や箇条書きを用いて視認性を高める。
  • 迅速なレスポンス: 受信後、たとえすぐには回答できなくても、24時間以内を目安に「メールを拝受し、現在確認中です」という一次返信を行い、顧客を安心させる。

送信前には、誤字脱字がないか、専門用語を使いすぎていないかを必ず確認しましょう。

対面での対応:表情や態度など非言語コミュニケーション

対面では、言葉の内容以上に、表情や姿勢、視線といった非言語的な情報が相手に強い影響を与えます。誠意を全身で表現することが、信頼回復の鍵となります。

対面対応のポイント
  • 身だしなみと表情: 清潔感のある服装を心がけ、深刻な話の際は神妙な表情、解決策を話す際は穏やかな表情など、状況に応じた表情を意識する。
  • 姿勢と動作: 相手に体を向け、やや前傾姿勢で話を聴く。腕組みや足組みといった威圧的・拒絶的に見える態度は厳禁。
  • 場所の選定: 他の顧客の目がある場所は避け、可能な限り応接室や会議室など、静かで落ち着いて話ができる空間へ案内する。
  • 視線の配慮: 基本的には相手の目を見て話すが、凝視しすぎると威圧感を与えるため、適度に視線を外し、柔らかな印象を心がける。

お辞儀の角度やメモの取り方一つにも、相手への敬意と真摯な姿勢は表れます。

判断に迷う特殊なクレームへの対処法

理不尽な要求・過剰な要求をされた場合の対応

土下座の強要、法外な金銭要求、長時間の拘束など、社会通念を逸脱した要求は「カスタマーハラスメント(カスハラ)」にあたります。このような場合は、顧客満足度よりも従業員の安全確保と企業の尊厳を守ることを最優先し、毅然とした対応が必要です。

理不尽・過剰な要求への対処方針
  • 毅然とした態度: 企業の規定や法に照らして応じられない要求には、曖昧な態度はとらず「できかねます」と明確に断る。
  • 組織的な対応: 担当者一人で抱え込ませず、必ず上司や複数名で対応する。状況によっては法務部門や弁護士に相談する。
  • 記録の保持: 後日の証拠となるよう、会話の録音や対応経緯の正確な記録を必ず残す。
  • 関係の遮断も視野に: 警告しても悪質な行為が続く場合は、警察への通報や、今後の取引をお断りすることも含めて対応を検討する。

健全な信頼関係に基づかない要求に対してまで、へりくだる必要はありません。

自社に非がない場合の丁寧な説明と対応方法

顧客の勘違いや誤った使用方法が原因であるなど、調査の結果、自社に責任がないと判断されるケースもあります。この場合、安易な謝罪は非を認めたと誤解され、事態をこじらせる原因になりかねません。冷静かつ丁寧な対応が求められます。

自社に非がない場合の対応ステップ
  • 責任の所在の明確化: 「ご不快な思いをさせたこと」への謝罪と、製品やサービスの非を認める「責任」の謝罪を明確に区別する。
  • 客観的・論理的な説明: 感情的にならず、調査結果などの客観的な事実や証拠に基づいて、なぜ自社に非がないと言えるのかを丁寧に説明する。
  • 相手を責めない表現: 「お客様の使い方が誤っています」ではなく、「説明書が分かりにくかったかもしれません」のように、相手のプライドを傷つけない表現を選ぶ。
  • 一貫した対応: 相手が納得しない場合でも、企業の最終的な見解として同じ説明を繰り返す。新たな妥協案を安易に出さないことが重要。

誠意ある説明を尽くしてもなお不当な要求が続く場合は、対応を打ち切り、必要であれば専門部署や弁護士に引き継ぐ判断も必要です。

組織で取り組むクレーム対応力の強化策

対応品質を標準化するマニュアルの作成とナレッジ共有

クレーム対応の品質が担当者個人のスキルや経験に依存する状態は、組織にとって大きなリスクです。誰が対応しても一定水準以上の品質を保つためには、仕組みによる標準化が不可欠です。

対応品質を標準化するための施策
  • 実践的なマニュアル作成: 基本的な対応フロー、望ましい言葉遣いやNGワード、エスカレーション基準などを明記し、常に最新の事例を反映させて更新する。
  • FAQの整備: よくある質問と模範的な回答をまとめたFAQを作成し、経験の浅い担当者でも迅速かつ的確な初期対応ができるようにする。
  • ナレッジ共有システムの構築: 過去の対応事例をデータベース化し、全社で検索・閲覧できる環境を整え、組織としての集合知を形成する。
  • ケーススタディ研修の実施: 実際の事例を基にしたロールプレイングなどの研修を定期的に行い、組織全体の対応スキルを底上げする。

マニュアルは単なる手順書ではなく、会社の顧客に対する姿勢を示す「最高の教科書」と位置づけ、その浸透を図ることが重要です。

担当者の精神的負担を軽減するサポート体制の構築

クレーム対応は担当者に大きな精神的ストレスを与えます。従業員が安心して業務に取り組めるよう、企業は担当者を守り、支えるためのサポート体制を構築する責任があります。

担当者の精神的負担を軽減するサポート体制
  • 相談・交代しやすい環境: 対応に困った際に、ためらわずに上司や同僚に相談したり、対応を代わってもらったりできる「心理的安全性」の高い職場環境を作る。
  • 対応後の心理的ケア: 困難なクレーム対応の後には、上司が「よく頑張ったね」と労い、話を聞く時間(デブリーフィング)を設け、担当者の精神的負担を和らげる。
  • 専門家との連携: 必要に応じて、産業医や社外のカウンセラーによる専門的なメンタルヘルスケアを受けられる仕組みを整える。
  • 会社が守る姿勢の明示: 特に悪質なクレーマーに対しては、会社が前面に立って対応する姿勢を明確にし、従業員に「一人ではない」という安心感を与える。

担当者を孤立させない組織的なサポートが、離職を防ぎ、従業員のエンゲージメントを高めます。

担当者で抱え込まないためのエスカレーションルールと判断基準

担当者が一人で対応を抱え込んでしまうと、判断を誤り、問題をかえって大きくしてしまうリスクがあります。これを防ぐには、対応を上司や専門部署に引き継ぐ「エスカレーション」のルールを明確に定めておくことが不可欠です。

効果的なエスカレーションルールの目的
  • 判断の迅速化: 「対応時間が30分を超えた場合」「金銭的な要求が出た場合」「暴言があった場合」など、担当者が迷わず報告・相談できる具体的な基準を設ける。
  • 担当者の心理的負担軽減: ルールに則って上司に引き継ぐことで、担当者は「自分の力不足だ」と悩むことなく、精神的な負担から解放される。
  • 組織的対応の円滑化: 情報が速やかに上層部や関連部署に伝わり、組織としての最適な意思決定を迅速に行うことができる。
  • リスク管理の強化: 重大な問題に発展する可能性のある案件を早期に発見し、経営レベルでの適切な対応を可能にする。

エスカレーションは、担当者を助けるだけでなく、組織全体のリスク管理能力を高めるための重要な仕組みです。

クレーム情報を分析し商品・サービス改善に繋げる仕組み作り

寄せられたクレームは、適切に分析・活用すれば、事業を成長させるための「宝の山」となります。クレーム対応を事後処理で終わらせず、経営改善に繋げるためには、組織的な仕組みが必要です。

以下の手順で、クレーム情報を戦略的に活用します。

クレーム情報を改善に繋げる仕組み
  1. 情報の一元管理: 電話、メール、SNSなど様々なチャネルから寄せられるクレーム情報を、一つのデータベースに集約・蓄積する。
  2. 傾向分析: 蓄積したデータを分析し、特定の商品や部署に集中しているクレームの傾向や、頻出するキーワードなどを定量的に把握する。
  3. 関連部署へのフィードバック: 分析結果を商品開発、品質管理、営業といった関連部署に定期的に共有し、具体的な改善策を議論する。
  4. 改善策の実行と効果検証: 策定した改善策(商品の仕様変更、マニュアル改訂など)を実行し、その効果を検証して次の改善に繋げる(PDCAサイクル)。

「お客様の声で改善しました」といった取り組みを社内外に発信することは、企業の誠実な姿勢を示し、ブランドイメージの向上にも繋がります。

クレーム対応に関するよくある質問

Q. クレーム対応で言ってはいけないNGワードはありますか?

はい、あります。言葉一つで相手の感情を逆撫でし、事態を悪化させてしまう可能性があるため、慎重な言葉選びが求められます。特に避けるべき代表的なNGワードは以下の通りです。

主なNGワードの例
  • 「ですが」「だって」「でも」: 相手の意見を真っ向から否定し、言い訳をしていると受け取られる逆接の言葉。
  • 「普通は〜」「通常は〜」: 相手を一般論で片付け、個別事情を考慮しない冷たい印象を与える言葉。
  • 「担当ではないので分かりません」: 責任逃れと見なされ、企業の信頼を著しく損なう無責任な発言。
  • 専門用語・社内用語: 相手に内容が伝わらず、疎外感や不信感を与える可能性がある言葉。

まずは「おっしゃる通りです」「さようでございますか」のように、相手の言葉を一度受け止めるクッション言葉を使うことが基本です。

Q. 対応が上手い人にはどのような特徴がありますか?

クレーム対応が上手い人は、単に話が上手いのではなく、人間性やスキルにおいて共通した特徴を持っています。これらはトレーニングによって後天的に身につけることも可能です。

対応が上手い人の特徴
  • 高い傾聴力: 相手の話を遮らず、相槌や復唱を交えながら共感的に聴くことで、相手に「理解してもらえた」という安心感を与えることができる。
  • 感情のコントロール力: 顧客の怒りを自分への個人的な攻撃と捉えず、プロとして冷静に事実と感情を切り離して対応できる。
  • 豊かな想像力: 言葉の裏にある相手の状況や真の要求を察し、その人に合わせた最適なコミュニケーションを取ることができる。
  • 豊富な知識: 自社の商品・サービスに関する正確な知識を持ち、的確な解決策や代替案を迅速に提示できる。
  • 感謝の表現力: 最後に「ご指摘ありがとうございます」と自然に感謝を伝え、相手の気持ちを和らげ、ポジティブな関係で終えることができる。

Q. 「上司を出せ」と言われた際はどう対応すればよいですか?

まず、すぐに上司に交代するのではなく、「担当の私が責任をもって承ります」と伝え、まずは自身で対応する意思を示します。その上で、「上司に正確に報告するためにも、まずはお客様から詳しいお話を伺い、事実確認をさせていただきたく存じます」とお願いし、傾聴に徹します。

多くの場合、担当者が真摯に話を聞くことで顧客の怒りが収まり、そのまま解決に至ることがあります。それでもなお強く上司への交代を要求される場合や、担当者の権限では判断できない案件の場合は、速やかに上司にエスカレーションします。その際は、これまでの経緯を正確に上司に引き継ぎ、スムーズに交代できるように準備することが重要です。上司への交代は「組織として重く受け止めている」というメッセージにもなるため、状況を見極めて柔軟に判断しましょう。

Q. お客様が全く納得してくれない場合はどうすればよいですか?

あらゆる説明を尽くし、企業として提示できる最大限の解決策を示しても顧客が納得しない場合は、交渉のフェーズを切り替える必要があります。延々と議論を繰り返すことは解決に繋がりません。

まずは、「大変申し訳ございませんが、これ以上のご対応はいたしかねます」と、企業の最終的な回答であることを毅然とした態度で明確に伝えます。これは「説得」ではなく「通告」です。それでも執拗な要求が続く場合は、悪質なクレーマーやカスタマーハラスメントと判断し、対応を打ち切ることも必要です。その後の連絡については、法務部門などの専門部署に窓口を一本化したり、弁護士や警察といった外部の専門機関への相談を検討したりするなど、組織的な対応へと移行します。従業員と企業を守るため、時には交渉を打ち切る勇気も重要です。

まとめ:クレームを企業の成長資産に変える組織的対応力

本記事では、クレーム対応を個人のスキルに依存させず、組織全体で品質を向上させるための具体的な手順と心構えを解説しました。クレームを「貴重な意見」と捉え、傾聴と共感から始まる5ステップの基本フローを徹底することが、顧客との信頼関係を再構築する第一歩となります。特に、理不尽な要求への対処や自社に非がない場合の対応など、判断が難しい場面では、担当者一人で抱え込ませず、明確なエスカレーションルールに基づき組織として対応することが不可欠です。対応マニュアルの整備やナレッジ共有、そして担当者の精神的サポート体制を構築することで、対応品質は標準化され、従業員は安心して業務に臨めます。最終的に、寄せられたクレーム情報を分析し、商品やサービスの改善に繋げる仕組みを構築することが、クレームを真の経営資産へと昇華させ、企業の持続的な成長を実現する鍵となるでしょう。

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