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総合電商の集団訴訟|現状の進捗と参加方法、被害回復の見通しを解説

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総合電商の「設備の大家さん」投資スキームによって被害に遭われ、集団訴訟の動向や今後の見通しについて情報を探されている方も多いのではないでしょうか。あるいは、企業の法務・財務担当者として、類似の投資詐欺のリスクを学び、対策を講じるために本件を調査されているかもしれません。この記事では、総合電商事件の概要から、集団訴訟の現在の進捗状況、具体的な参加手続き、そして被害回復の可能性について、実務的な観点から詳しく解説します。

総合電商事件の概要とリースバック商法の手口

「リースバック商法」を悪用した投資スキームの仕組み

総合電商株式会社が「設備の大家さん」と称して展開していたのは、高圧受電設備「キュービクル」を利用したリースバック商法です。このスキームは、一見するとリスクが低く高収益な金融商品のように見えましたが、その実態は極めて悪質なものでした。

この商法の仕組みは、投資家が総合電商からキュービクルを購入すると同時に、その設備を同社に賃貸するという契約を結ぶものでした。投資家は購入代金を支払う代わりに、総合電商からリース料として年間12%という非常に高い利回りを受け取れるとされていました。契約期間は5年で、満了後には総合電商が購入時と同額で設備を買い戻すという元本保証を謳った約束も含まれていました。

総合電商の投資スキーム概要
  • 投資家が総合電商からキュービクルを購入する。
  • 購入したキュービクルを、即座に総合電商へ賃貸(リースバック)する。
  • 投資家は、リース料として年間12%の高利回りを受け取る。
  • 契約期間(5年)満了後、総合電商が購入時と同額で買い戻す。

しかし、破産管財人の調査により、このスキームは実態の伴わない自転車操業であったことが明らかになっています。実際に存在するキュービクル466台のうち、320台で多重譲渡(一つの設備を複数の投資家に販売すること)が行われていました。これは、新規の投資家から集めた資金を、既存の投資家へのリース料支払いに充てるという、典型的なポンジスキーム(投資詐欺)の構造であった可能性を強く示唆しています。1口50万円からという少額での投資を可能にし、多くの個人投資家から資金を集めていたことも特徴です。

高利回りを謳うも経営破綻に至った背景と経緯

総合電商は2006年に創業し、キュービクルの販売やメンテナンス事業を主力として成長を続け、2021年5月期には売上高59億円を計上するなど、表面上は順調な業績を示していました。しかし、その裏側では2018年10月頃から開始したリースバック商法による高額なリース料の支払いが、経営を深刻に圧迫していました。

経営破綻の直接的な引き金となったのは、2021年秋頃からの信用不安の拡大と、同年12月の創業者死去です。創業者の死去とほぼ同時に事業は停止し、東京地方裁判所により破産手続開始決定がなされました。当初約15億円とされた負債総額は、実際にはリース料債権だけで60億円に達するなど、最終的には巨額に膨れ上がりました。

破産管財人の報告によれば、会社の資産は約6億円程度しかなく、一般の投資家への配当は極めて困難な状況であるとされています。破産手続費用や財団債権の弁済が優先されるため、一般の破産債権者への配当は事実上不可能となる可能性が高いと見られています。事業譲渡による再建も模索されましたが、多重譲渡による権利関係の複雑さや資金不足から断念されており、無理な資金繰りと杜撰な資産管理が破綻を招いたと言えます。

信用調査の評点だけでは見抜けない投資詐欺のリスクと教訓

本件の悪質な点として、総合電商が投資勧誘の際に、帝国データバンクといった大手信用調査会社の高い評点を積極的に利用していたことが挙げられます。多くの投資家は、この客観的とされる評点を信用の根拠とし、投資を判断してしまいました。しかし、結果的にこの信用情報は、会社の実態を全く反映していませんでした。

信用調査会社の評点は、主に企業から提出された財務諸表に基づいて算出されるため、粉飾決算や意図的な情報隠蔽が行われている場合、その不正を見抜くことは困難です。特に、今回のリースバック商法のように売上だけが急増して見える会計処理では、表面的な数字は健全な成長企業そのものです。資金繰りが回っている間は支払遅延なども発生しないため、問題が表面化しにくいという特徴もあります。

本事件から得られる教訓
  • 高利回りへの警戒: 年利12%など、市場金利を著しく上回るリターンには、相応の高いリスクが伴うことを認識する。
  • 第三者評価の過信禁物: 信用調査の評点や有名企業の関与といった外形的な情報に依存せず、事業モデル自体の合理性を疑う視点を持つ。
  • 実態の確認: 「元本保証」などの甘い言葉を鵜呑みにせず、投資対象の実在性や権利関係の保全状況を自ら確認する姿勢が不可欠である。

集団訴訟の進捗状況と被害回復の見通し

現在の訴訟手続きの進捗状況

総合電商事件に関する法的手続きは、東京地方裁判所における破産手続を中心に進められています。破産管財人による財産の調査や換価が進められていますが、キュービクルの大規模な多重譲渡により権利関係が極めて複雑化しており、手続きは難航しています。

被害者側は、被害対策弁護団を結成し、集団での対応を進めています。また、多くの被害者が警察への被害届提出や刑事告訴を行っており、破産管財人も、刑事手続きの進展に協力する姿勢を示しています。多重譲渡などの行為は、刑法上の詐欺罪業務上横領罪に該当する可能性が指摘されており、刑事事件として立件されれば、事態が大きく動く可能性があります。

一部の投資家は、破産した総合電商だけでなく、同社の役員や関連会社に対しても、任務懈怠責任などを追及する損害賠償請求訴訟を検討しています。破産管財人も、不当な財産流出がなかったか資金の流れを調査しており、財産を取り戻すための訴訟(否認権行使等の手続き)を起こす可能性もあります。しかし、いずれの手続きにおいても、相手方の資力が乏しい場合は実質的な被害回復につながらないリスクがあります。

今後の裁判スケジュールと手続きの大まかな流れ

今後の手続きは、破産手続、民事訴訟、刑事手続が並行して進む可能性があります。被害者は、それぞれの進捗を注視し、適切な対応を取る必要があります。

今後の手続きの主な流れ
  1. 破産手続の進行: 定期的に債権者集会や財産状況報告集会が開催され、破産管財人から資産の回収状況や配当の見通しについて報告が行われます。
  2. 民事訴訟の提起と審理: 集団訴訟などが提起された場合、提訴から判決までには通常1年から2年程度の期間を要します。本件のように争点が複雑な場合は、審理がさらに長期化することも予想されます。
  3. 刑事事件の捜査と裁判: 警察や検察による捜査が進展すれば、関係者が逮捕・起訴される可能性があります。刑事裁判で詐欺の事実が認定されれば、民事訴訟での責任追及が容易になる場合があります。

被害者は、まず破産手続における配当を待つことになりますが、それと並行して、役員などに対する損害賠償請求訴訟を提起するという二段構えの対応が必要となるでしょう。

被害金の回収可能性に関する専門家の見解

多くの専門家は、本件における被害金の回収可能性は極めて低いとの見解を示しています。破産管財人の報告でも、一般の破産債権者への配当率はゼロ、もしくは限りなくゼロに近い数パーセントにとどまる可能性が高いとされています。

被害金回収が極めて困難とされる理由
  • 資産を大幅に上回る負債: 会社の資産総額(約6億円)に対し、負債総額が著しく大きく、配当の原資がほとんどないため。
  • 財団債権の優先弁済: 破産手続費用や財団債権が優先的に弁済されるため、一般の破産債権者への配当原資は残りません。
  • 資金の費消・隠匿: 投資家から集められた資金の多くは既に費消されているか、あるいは隠匿されている可能性が高く、強制執行による回収も困難を極めるため。

わずかでも回収額を増やすためには、破産管財人による否認権行使(不当に流出した財産を取り戻す手続き)の成果や、関連会社・金融機関など第三者への責任追及が成功するかにかかっています。また、犯罪利用口座の資金を分配する「被害回復給付金支給制度」の活用も考えられますが、十分な救済が得られるとは限りません。全額回収は絶望的であり、長期的な視点で粘り強く対応していく必要があります。

集団訴訟に参加するための具体的な手続き

訴訟への参加資格と対象となる被害者の条件

集団訴訟に参加するためには、自身が総合電商の投資スキームによる被害者であることを証明する必要があります。具体的な参加条件は以下の通りです。

集団訴訟への参加条件
  • 総合電商とキュービクルの売買契約および賃貸借契約を締結していること。
  • 契約に基づき、実際に金銭を支払っていること。
  • 約束されていたリース料の支払いが滞ったり、元本の返還を受けていなかったりする被害者であること。

日本の法制度では、被害者が自ら声を上げて手続きに参加する「オプトイン方式」が採用されています。黙っていても自動的に救済されることはないため、被害回復を望む場合は、被害対策弁護団などに連絡を取り、定められた期限内に参加の意思を表明することが不可欠です。多重譲渡などの複雑な権利関係については、弁護士に相談し、自身の状況が参加要件に合致するか確認することが重要です。

参加申込みから提訴までの手順と必要書類

集団訴訟への参加は、被害対策弁護団などの法律事務所に連絡することから始まります。具体的な手順と、その際に必要となる書類は以下の通りです。

訴訟参加から提訴までの手順
  1. 弁護団への連絡・相談: まずは、集団訴訟を主導する被害対策弁護団や法律事務所に問い合わせます。
  2. 委任契約の締結: 弁護士費用や実費の負担について説明を受け、内容に納得した上で委任契約書を提出します。
  3. 必要書類の準備・提出: 被害の事実を証明するため、契約書や入出金記録などの証拠資料を弁護士に提出します。
  4. 破産債権の届出: (破産手続の場合)裁判所から送付される債権届出書に必要事項を記入し、証拠を添えて期限内に提出します。
  5. 訴訟準備への協力: 弁護士が行う事実関係の聴取や、ご自身の被害状況をまとめた陳述書の作成などに協力します。
  6. 訴訟提起: 準備が整い次第、弁護士が裁判所に訴状を提出し、正式に裁判が開始されます。

訴訟参加にあたり保全すべき証拠資料とその重要性

訴訟で被害の事実を証明し、損害賠償請求を認めてもらうためには、客観的な証拠が何よりも重要です。証拠がなければ、たとえ被害が事実であっても裁判で勝つことは困難です。以下の資料は特に重要ですので、紛失しないよう厳重に保管してください。

保全すべき主要な証拠資料
  • 契約関係書類: 売買契約書、賃貸借契約書の原本
  • 支払いを証明する書類: 銀行の振込明細書、預金通帳の該当ページのコピー
  • 勧誘時の資料: 投資を勧誘された際のパンフレット、ウェブサイトのスクリーンショット、説明資料
  • 業者との通信記録: 担当者とやり取りしたメール、LINEなどのメッセージ履歴、会話の録音データ
  • その他: 勧誘時の状況などを記録したご自身のメモや日記

これらの証拠は、総合電商の違法な勧誘行為や詐欺の意図を立証する上で不可欠です。証拠が手元にない場合や、業者が破棄する恐れがある場合には、裁判所を通じて証拠を確保する「証拠保全」という手続きも検討できますので、速やかに弁護士に相談してください。

訴訟を主導する法律事務所の役割と連絡先情報

総合電商のような大規模な投資詐欺事件では、被害対策弁護団を結成した法律事務所が中心となって集団訴訟を進めるのが一般的です。弁護団は、個々の被害者に代わって、複雑な法的手続きや相手方との交渉など、訴訟に関する専門的な業務全般を担います。

本件では、破産管財人として「服部総合法律事務所」の服部秀一弁護士が選任されています。破産手続に関する公式な情報や債権届出については、破産管財人の事務所が窓口となりますので、ウェブサイトなどで公表される情報を確認してください。

一方で、破産手続とは別に、役員などへの損害賠償請求を行う集団訴訟については、別途、被害対策弁護団が組織されています。インターネットで「総合電商 被害対策弁護団」などと検索し、活動状況を確認の上、相談を検討してください。その際は、被害者に便乗した二次被害(詐欺)を避けるため、連絡先が実在する弁護士や法律事務所であることを弁護士会の名簿などで確認し、慎重に行動することが重要です。

総合電商の集団訴訟に関するよくある質問

集団訴訟に参加するための費用はどのくらいかかりますか?

集団訴訟に参加するための弁護士費用は、主に「着手金」「報酬金」「実費」で構成されます。集団訴訟の場合、多数の被害者で費用を分担するため、一人あたりの負担額は個人で依頼するよりも低く抑えられることが一般的です。

費用の種類 説明
着手金 弁護士に事件を依頼する際に支払う費用。被害額に応じて数万円程度に設定されることが多いです。
報酬金 勝訴や和解により金銭を回収できた場合に、その回収額の10%~20%程度を支払う成功報酬です。
実費 裁判所に納める印紙代や郵便切手代、交通費など。これも参加者全員で分担します。
弁護士費用の内訳(一般的な例)

具体的な金額は弁護団の方針によって異なりますので、必ず委任契約を結ぶ前に詳細な説明を受け、見積もりを確認してください。

訴訟に参加しなかった場合、被害回復の機会は失われますか?

はい、原則として失われます。日本の司法制度は、自ら権利を主張し、手続きに参加した人だけが救済の対象となる「オプトイン方式」を採用しています。そのため、破産手続において期限内に債権届出をしなかったり、集団訴訟の原告団に参加しなかったりした場合、たとえ他の参加者が勝訴しても、その効力は及ばず、配当金や賠償金を受け取ることはできません。被害の回復を望むのであれば、必ず所定の手続きに参加する必要があります。

判決が出るまでに、おおよそどのくらいの期間がかかる見込みですか?

一般的な民事訴訟では、提訴から第一審の判決までにおおよそ1年から2年の期間がかかると言われています。しかし、総合電商事件のように被害者の数が多く、事実関係や法的な争点が複雑な大規模事件では、審理が長期化し、3年以上かかる可能性も十分に考えられます。ただし、裁判の途中で被告側との和解が成立した場合は、判決を待たずに早期に解決することもあります。いずれにせよ、長期戦を覚悟して臨む必要があります。

遠方に住んでいますが、訴訟への参加は可能ですか?

はい、参加は可能です。近年は、電話やオンライン会議で対応する法律事務所も増えており、多くの法律事務所で遠方からの相談も可能です。また、裁判手続き自体もウェブ会議システムを利用して行われる期日が増えています。そのため、法律事務所や裁判所から遠い地域にお住まいの方でも、郵送やオンラインでのやり取りを中心に手続きを進めることができます。尋問などで本人が裁判所に出廷する必要が生じる場合もありますが、その際は弁護士が調整しますので、まずは諦めずに相談してみてください。

まとめ:総合電商事件の被害回復に向けた冷静な判断と行動を

本記事では、総合電商のリースバック商法を悪用した投資詐欺事件の全容と、集団訴訟の現状について解説しました。破産管財人の調査により、実態の伴わない多重譲渡が横行していたことが明らかになっており、破産会社からの配当による被害回復は極めて困難な状況です。そのため、被害回復の可能性は、役員などに対する損害賠償請求訴訟や刑事手続きの進展にかかっています。日本の司法制度は、自ら声を上げた被害者のみが救済対象となる「オプトイン方式」であるため、訴訟への参加が不可欠です。契約書や送金記録といった証拠を確実に保全した上で、まずは被害対策弁護団に連絡し、今後の対応について相談することが重要です。訴訟は長期化する可能性が高いですが、正確な情報に基づき、専門家と連携しながら冷静かつ粘り強く行動することが求められます。

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