試算表から作るキャッシュフロー計算書|間接法での作成手順を解説
お手元の試算表からキャッシュフロー計算書を作成する具体的な手順がわからず、お困りではないでしょうか。損益計算書上の利益と実際の資金繰りのズレを把握できなければ、気づかぬうちに資金ショートや黒字倒産のリスクを高めてしまう可能性があります。この記事では、前期・当期の貸借対照表と当期の損益計算書を用いて、実務で広く使われる間接法によるキャッシュフロー計算書の作成手順を、ステップバイステップで具体的に解説します。
CF計算書作成の準備
前期・当期の比較貸借対照表を用意する
キャッシュフロー計算書(以下、CF計算書)を作成する最初のステップは、前期末と当期末の2期分の貸借対照表を準備することです。貸借対照表は特定時点の財政状態を示す静的な報告書であるため、単独では期間中の現金の流れを把握できません。
間接法によるCF計算書は、期首から期末にかけて各勘定科目の残高がどのように変動したかを分析し、その増減額から現金の動きを逆算するアプローチを取ります。2期分の数値を比較することで初めて、帳簿上の利益と実際の資金繰りの間に生じるズレの要因を特定できます。
たとえば、売上が伸びて損益計算書で利益が出ていても、売掛金が前期末より大幅に増加していれば、それは売上代金の回収が滞っていることを意味し、黒字倒産のリスクを高める要因となります。倒産リスクを分析する視点からは、売上債権や棚卸資産の異常な増加は、資金繰り悪化や経営上の問題の兆候として厳しくチェックされます。企業の資金繰りの実態を正確に評価するため、2つの時点の数値を並べて差額を算出するプロセスが不可欠です。
当期の損益計算書を用意する
比較貸借対照表と並行して、当期の損益計算書も用意する必要があります。損益計算書は、間接法で営業キャッシュフローを計算する際の出発点となる「税引前当期純利益」の数値を提供します。
しかし、発生主義で計算された利益には、実際の現金の動きと一致しない項目が含まれています。これらを調整し、会計上の利益を現金主義に基づくキャッシュフローに変換するために損益計算書の情報が不可欠です。具体的には、以下のような項目を調整します。
- 非資金損益項目: 減価償却費や各種引当金繰入額など、実際の現金支出を伴わない費用。
- 営業外の損益項目: 固定資産売却損益や有価証券評価損益など、投資活動や財務活動に分類されるべき損益。
これらの非資金的な費用や本業以外の損益を損益計算書から正確に把握し、税引前当期純利益に加算または減算する調整を行います。これにより、企業が本業でどれだけの現金を稼ぎ出しているかを正確に把握することが可能になります。
作成方法の選択
直接法の特徴と適用場面
直接法は、主要な取引ごとに現金の収入と支出を総額で集計して表示する作成方法です。資金の流れが非常に明瞭になるため、国際的な会計基準では採用が推奨されています。
この方法では、どの活動で現金が生まれ、どこで消費されたかが直感的に理解できます。しかし、作成には日々の全取引から現金の動きを伴うものを抽出し、再集計する必要があるため、非常に手間がかかります。そのため、経理システムが高度に整備され、取引データの自動集計が可能な大企業などで採用されるケースが中心です。
- 商品の販売による現金収入や仕入による現金支出など、具体的な項目別にキャッシュの動きを示す。
- 資金繰りの実態が詳細にわかるため、企業の支払い能力の診断に優れている。
- 作成に手間とコストがかかるため、実務上は間接法が主流となっている。
資金の流れの透明性を極めて高く保ちたい、あるいは精緻な資金管理が求められる場面で有効な選択肢となります。
間接法の特徴と中小企業での実用性
間接法は、損益計算書の税引前当期純利益を起点とし、非資金項目や営業外損益などを調整して営業キャッシュフローを算出する方法です。特に中小企業において、実務上のメリットが大きい手法です。
最大の利点は、既存の貸借対照表と損益計算書の数値を用いて作成できるため、比較的容易かつ低コストで導入できる点にあります。専任の財務担当者が少ない中小企業でも、顧問税理士が作成した決算書から作成可能です。
また、間接法は「利益は出ているのになぜ現金がないのか」という、経営者が抱きやすい疑問に明確に答えられる構造になっています。調整項目を分析することで、資金繰り悪化の原因を論理的に突き止めることができます。
- 既存の決算書(貸借対照表・損益計算書)から作成できるため、手間が少ない。
- 利益とキャッシュフローの差額(ズレ)の原因を分析しやすい。
- 売掛金の回収遅延や過剰在庫といった経営課題を可視化できる。
- 粉飾決算や資金繰り悪化の兆候を早期に発見する手がかりになる。
作成の手間を抑えつつ、企業の資金繰りの実態を的確に把握できるため、中小企業にとって最も現実的で有効な作成方法と言えます。
【間接法】CF計算書の作成手順
ステップ1:比較貸借対照表で増減額を把握する
間接法による作成の第一歩は、前期末と当期末の比較貸借対照表を使い、すべての資産・負債・純資産項目の増減額を算出することです。この増減額が、現金の増減要因を分析するための基礎データとなります。
複式簿記の原則(資産 = 負債 + 純資産)に基づき、現金の増減は、現金以外のすべての項目の増減によって説明できます。実務では、Excelなどで各勘定科目の前期末残高と当期末残高を並べて差額を計算します。その際、各項目の増減がキャッシュのプラス要因かマイナス要因かを理解しておくことが重要です。
| 項目 | 増減 | キャッシュフローへの影響 | 理由 |
|---|---|---|---|
| 現金以外の資産(売掛金など) | 増加 | マイナス(-) | 資金を投下(未回収)したため |
| 現金以外の資産(売掛金など) | 減少 | プラス(+) | 資金を回収したため |
| 負債(買掛金・借入金など) | 増加 | プラス(+) | 資金を調達(支払猶予)したため |
| 負債(買掛金・借入金など) | 減少 | マイナス(-) | 資金を返済(支払い)したため |
例えば、売掛金の増加は未回収の売上が増えたことを意味するためキャッシュのマイナス調整、買掛金の増加は支払いを先延ばしできたことを意味するためプラス調整となります。全勘定科目の変動を漏れなく把握し、資金の増減要因として整理することが、正確なCF計算書作成の土台となります。
ステップ2:営業CFを計算する
ステップ2では、企業の本業における現金の獲得能力を示す営業キャッシュフローを計算します。この数値が安定してプラスであれば、本業が順調に資金を生み出している健全な状態を示します。
計算は、損益計算書の税引前当期純利益から始まり、発生主義と現金主義のズレを解消するための一連の調整を行います。具体的な手順は以下の通りです。
- 税引前当期純利益を計上する。
- 減価償却費など、現金支出を伴わない非資金損益項目を加算する。
- 受取利息や固定資産売却損益など、営業外の損益項目を逆の符号で加減算する。
- 売上債権や棚卸資産、仕入債務など、営業活動に係る資産・負債の増減額を加減算する。
- 上記の調整後、「小計」を算出する。
- 実際に現金収支があった利息及び配当金の受取額、利息の支払額を加減算する。
- 法人税等の支払額を減算し、最終的な営業キャッシュフローを確定させる。
小計より上の部分は間接的な調整計算、下の部分は実際の現金収支を直接示すという二段構えの構造になっています。倒産実務では、営業キャッシュフローが恒常的にマイナスである企業は、事業構造に致命的な問題を抱えていると判断されます。
└ 非資金損益項目(減価償却費など)の調整
営業キャッシュフローの計算において、減価償却費などの非資金損益項目を調整する作業は、会計上の利益を実際のキャッシュの動きに合わせるための核心部分です。
減価償却費は、過去に取得した固定資産の費用を会計ルールに従って期間配分したものであり、当期に費用として計上されても新たな現金支出は発生していません。税引前当期純利益は、この現金支出を伴わない費用が差し引かれた後の金額であるため、その影響を無効化するために利益に足し戻す(加算する)必要があります。
同様に、貸倒引当金繰入額や退職給付引当金繰入額なども、将来の損失や支出に備えた会計上の費用であり、当期の現金流出は伴いません。そのため、これらの項目も減価償却費と同様に利益に加算します。
逆に、固定資産売却益などの営業外で発生した収益は、本業の稼ぐ力とは無関係なため、利益から差し引く(減算する)調整を行います。この調整により、発生主義による歪みが取り除かれ、事業活動から純粋に生み出されたキャッシュの規模が明らかになります。
└ 営業活動に係る資産・負債の増減額を調整
次に、売上債権、棚卸資産、仕入債務といった運転資本の増減額を調整します。これは、掛取引によって生じる売上・費用の計上タイミングと、実際の現金の入出金タイミングのズレを補正するための重要なプロセスです。
例えば、売上が計上されても、その代金が売掛金として未回収であれば現金は増えていません。逆に、仕入費用が発生しても、買掛金として支払いが済んでいなければ現金は減っていません。これらの資金の滞留状況をCF計算書に反映させる必要があります。
具体的な調整方法は以下の通りです。
| 勘定科目 | 増減 | キャッシュフローへの調整 | 理由 |
|---|---|---|---|
| 売上債権(売掛金など) | 増加 | マイナス(-) | 利益になったが、現金は未回収のため。 |
| 売上債権(売掛金など) | 減少 | プラス(+) | 過去の売上が現金で回収されたため。 |
| 棚卸資産(在庫) | 増加 | マイナス(-) | 在庫購入により現金が流出したため。 |
| 棚卸資産(在庫) | 減少 | プラス(+) | 在庫が売れて現金化したため。 |
| 仕入債務(買掛金など) | 増加 | プラス(+) | 費用になったが、支払いが猶予されたため。 |
| 仕入債務(買掛金など) | 減少 | マイナス(-) | 過去の仕入代金を現金で支払ったため。 |
倒産実務では、売上債権や棚卸資産の急増によるマイナス調整額が大きい場合、不良債権や過剰在庫による深刻な資金繰り悪化の兆候とみなされます。
ステップ3:投資CFを計算する
ステップ3では、企業の将来成長に向けた活動を示す投資キャッシュフローを計算します。この区分は、固定資産や有価証券の取得・売却など、中長期的な事業基盤に関わる資金の動きを表します。
投資キャッシュフローは、営業キャッシュフローとは異なり、個々の取引の現金収支をそのまま記載する直接法で作成されます。主な項目は以下の通りです。
- 有形固定資産の取得による支出(-): 設備投資などで現金が流出する。
- 有形固定資産の売却による収入(+): 不要資産の売却で現金が流入する。
- 投資有価証券の取得による支出(-): 他社株式の購入などで現金が流出する。
- 投資有価証券の売却による収入(+): 保有株式の売却で現金が流入する。
- 貸付による支出(-)と貸付金の回収による収入(+)
作成時には、固定資産台帳や総勘定元帳を確認し、実際の支払額と収入額を総額で表示します。固定資産を未払金で購入した場合など、現金が動いていない取引は含めません。リスク分析の視点では、営業キャッシュフローがマイナスにもかかわらず、投資キャッシュフローがプラスの場合、本業の赤字を資産の切り売りで補っている危険な状態と判断されます。
ステップ4:財務CFを計算する
ステップ4では、資金の調達と返済活動を示す財務キャッシュフローを計算します。営業活動や投資活動で不足した資金をどう補い、余剰資金をどう返済や配当に充てているかを示します。
この区分も投資キャッシュフローと同様に、直接法で作成されます。企業の財務基盤の安全性や資金調達能力を評価する上で重要な指標です。
- 短期・長期借入れによる収入(+): 金融機関からの融資で現金が流入する。
- 短期・長期借入金の返済による支出(-): 借入金の元本返済で現金が流出する。
- 株式の発行による収入(+): 増資により株主から資金を調達する。
- 配当金の支払額(-): 株主への利益還元で現金が流出する。
- 自己株式の取得による支出(-): 自社株買いで現金が流出する。
作成の際は、貸借対照表上の借入金の純増減額ではなく、期中の借入総額と返済総額をそれぞれ別に記載します。財務キャッシュフローが恒常的に大きなプラスの場合、本業の赤字を新たな借入で賄う「自転車操業」に陥っている可能性があり、将来の債務不履行リスクが高いと判断されます。
ステップ5:現金及び現金同等物の増減額と照合
最終ステップとして、算出した3つのキャッシュフローの合計額が、貸借対照表上の現金及び現金同等物の実際の増減額と一致するかを照合します。この検証により、計算書全体の正確性と信頼性が担保されます。
この照合プロセスは、計算過程でのミスや漏れがないことを証明する上で不可欠です。
- 営業CF、投資CF、財務CFの3つを合計し、現金全体の増減額を算出する。
- 外貨預金などがあれば、「現金及び現金同等物に係る換算差額」を加減算する。
- 上記で算出した金額を「現金及び現金同等物の増減額」として記載する。
- 前期末の貸借対照表から「現金及び現金同等物の期首残高」を転記する。
- 「期首残高」に「増減額」を加算し、「現金及び現金同等物の期末残高」を算出する。
- 算出した「期末残高」が、当期末の貸借対照表の現金及び現金同等物の残高と完全に一致することを確認する。
この数値が1円単位で一致すれば、CF計算書は完成です。一致しない場合は、ステップ1からの計算過程に何らかの誤りがあるため、原因を特定し修正する必要があります。
作成後の数値が合わない場合の主な原因と特定方法
作成したCF計算書の最終残高が貸借対照表の現金残高と一致しない場合、計算過程に何らかの誤りが存在します。主な原因としては、勘定科目の分類ミスや非資金取引の調整漏れなどが考えられます。
- 減価償却費などの非資金項目の調整で、プラスとマイナスの符号を間違えている。
- 資産・負債の増減額のプラス・マイナス調整を逆に処理している。
- 固定資産の取得に伴う未払金など、現金支出を伴わない取引を誤って含めている。
- 定期預金(預入期間3ヶ月超)などを現金同等物に含めてしまっている。
原因を特定するには、以下の手順で体系的に確認作業を進めることが有効です。
- 前提となる決算数値の整合性を確認する(例:純資産の増減額と当期純利益の関係)。
- 営業CFの調整項目(非資金損益項目、運転資本の増減)の符号が正しいかを再点検する。
- 総勘定元帳に遡り、固定資産の未払金や仮払金の内訳など、例外的な取引内容を一つひとつ検証する。
- 各CF区分への勘定科目の振り分けが適切かを再度確認する。
一つひとつの調整項目を丁寧に検証し直すことで、不一致の原因を特定し、正確なCF計算書を完成させることができます。
作成を効率化する方法
Excelを使った精算表(ワークシート)の活用法
CF計算書の作成を効率化するには、Excelで専用の精算表(ワークシート)を作成し、計算プロセスを自動化・システム化することが非常に有効です。これにより、手作業による計算ミスや転記漏れを防ぎ、作業時間を大幅に短縮できます。
一度フォーマットを構築すれば、翌年度以降は最新の決算数値を入力するだけで再利用でき、業務の標準化にも繋がります。具体的な作成手順は以下の通りです。
- シートの左側に、比較貸借対照表と損益計算書の勘定科目と数値を入力する欄を設ける。
- 隣の列に、貸借対照表項目の前期末と当期末の差額を自動計算する数式を入力する。
- さらに右側に、営業・投資・財務の各CF区分の調整列を設け、各勘定科目の差額が該当する区分に振り分けられるように設計する。
- IF関数などを活用し、資産・負債の増減に応じたプラス・マイナスの符号調整を自動化する。
- 最終的な現金残高が貸借対照表の数値と一致するかを自動でチェックする検証セルを設ける。
Excel精算表は、複雑な調整手順を可視化し、計算の正確性を担保しながら、担当者の負担を大幅に軽減する強力なツールです。
会計ソフトのキャッシュフロー計算書作成機能
現在利用している会計ソフトに搭載されているCF計算書作成機能を活用すれば、作成業務を飛躍的に効率化できます。多くのクラウド会計ソフトなどでは、日々の仕訳データからCF計算書を自動で生成する機能が標準装備されています。
仕訳入力時に取引内容がCF区分と内部的に紐づけられるため、決算時に手作業でデータを集計し直す必要がありません。これにより、決算業務の負荷が軽減されるだけでなく、月次単位でのリアルタイムな資金繰り状況の把握も可能になります。
会計ソフトを有効活用するためのポイントは、導入時の初期設定です。各勘定科目をどのCF区分に対応させるかを正確に設定することが重要です。例えば、「未払金」のように複数の活動区分にまたがる可能性がある勘定科目は、補助科目を設定して「設備未払金(投資活動)」「経費未払金(営業活動)」のように取引内容を明確に区別することで、自動集計の精度が高まります。
会計ソフトの機能を最大限に活用することは、決算業務の早期化と、迅速な経営判断に不可欠な財務基盤の構築に繋がります。
キャッシュフロー計算書作成のよくある質問
営業CFで減価償却費を足し戻すのはなぜ?
営業キャッシュフローの計算で減価償却費を足し戻すのは、減価償却費が会計上の費用ではあるものの、当期の現金流出を伴わないためです。この会計上の利益と実際の現金の動きのズレを調整する必要があります。
間接法では税引前当期純利益から計算を開始しますが、この利益は減価償却費が差し引かれた後の数値です。しかし、減価償却の対象となる固定資産の購入代金は、過去の取得時点ですでに支払いが完了しています。当期においては、帳簿上で費用配分しているだけで、実際には現金が出て行っていません。
そのため、利益計算で差し引かれた減価償却費の分だけ、実際の手元資金は利益額よりも多く残っていることになります。このズレを解消するために、利益に減価償却費を加算(足し戻し)するのです。
試算表とCF計算書の項目の対応関係は?
試算表の各勘定科目は、その経済的な性質に応じて、CF計算書の営業・投資・財務のいずれかの活動区分に分類されます。試算表はCF計算書を作成するための基礎データとなります。
| 試算表の主要勘定科目 | 対応するCF計算書の区分 |
|---|---|
| 売上、売掛金、仕入、買掛金、販売費及び一般管理費 | 営業活動によるキャッシュフロー |
| 減価償却費、貸倒引当金繰入額 | 営業活動によるキャッシュフロー(非資金損益項目の調整) |
| 有形固定資産、無形固定資産、投資有価証券 | 投資活動によるキャッシュフロー |
| 短期・長期借入金、社債、資本金、配当金 | 財務活動によるキャッシュフロー |
| 現金及び預金 | 計算結果の検証対象(期首・期末残高) |
このように、試算表のすべての項目は、現金との関連性に基づいてCF計算書のいずれかの項目に整理・集計されます。
未払法人税など税金の扱いはどうなりますか?
法人税、住民税及び事業税などの税金は、営業活動によるキャッシュフローの中で処理されます。具体的には、営業キャッシュフローの「小計」を計算した後の独立した項目として、「法人税等の支払額」をマイナス計上します。
税金は企業活動全体の結果に対して課されますが、実務上の便宜から営業活動に含めるのが一般的です。実際に現金で支払った額を計上する必要があるため、以下の計算式で算出します。
`法人税等の支払額 = 損益計算書の「法人税、住民税及び事業税」 + 前期末の「未払法人税等」 – 当期末の「未払法人税等」`
この計算により、当期に費用計上された税額ではなく、実際に現金で納付した金額が正確に反映されます。
月次でCF計算書を作成する際の注意点は?
月次でCF計算書を作成する場合、年次決算とは異なる特有の変動要因や会計処理の簡便性に注意が必要です。
- 会計処理の精度: 月次決算では減価償却費や引当金などが概算計上されることがあり、年次決算ほどの正確性がない場合がある。
- 季節的変動: 賞与の支払月や税金の納付月など、特定の月に多額の現金流出が集中し、キャッシュフローが一時的に大きく悪化することがある。
- 未精算項目の影響: 仮払金や仮受金などの未精算残高が多いと、実態から乖離した数値になる可能性がある。
これらの月次特有の変動要因を考慮せずに数値を鵜呑みにすると、経営判断を誤るリスクがあります。背景を理解した上で数値を分析し、必要に応じて減価償却費を月割り計上するなど、精度の高い月次資金管理を心掛けることが重要です。
勘定科目の内訳確認の重要性|未払金・仮払金の例
CF計算書を正確に作成するためには、「未払金」や「仮払金」といった複数の取引内容が混在しがちな勘定科目の内訳を詳細に確認することが不可欠です。内訳を確認せずに残高の総額だけで処理すると、キャッシュフローを正しい活動区分に分類できず、経営実態を誤って表示する原因となります。
例えば、「未払金」には以下のような異なる性質の取引が含まれる可能性があります。
- 事務用品の購入代金: 営業活動に関連する負債
- 機械設備の購入代金: 投資活動に関連する負債
もし、設備購入代金の未払いを営業活動の「仕入債務の増減」に含めてしまうと、本業の資金創出能力を不当に高く(または低く)見せてしまいます。これを防ぐためには、日々の経理処理において補助科目を活用して取引内容を明確に区別し、取引の実態に応じて正確に分類することが求められます。
まとめ:試算表からキャッシュフロー計算書を作成し資金繰りを可視化
この記事では、試算表から作成される貸借対照表と損益計算書を基に、キャッシュフロー計算書を作成する具体的な手順を解説しました。特に中小企業では、会計上の利益と実際の現金のズレを分析しやすい間接法が実用的です。営業・投資・財務の3つの区分で資金の流れを把握することで、「利益は出ているのに現金がない」という状況の原因を特定し、資金繰り悪化の兆候を早期に発見できます。まずは前期・当期の比較貸借対照表と当期の損益計算書を用意し、各勘定科目の増減額を洗い出すことから始めてみましょう。作成過程で不明点が生じた場合や、自社の財務状況をより深く分析したい場合は、顧問税理士などの専門家に相談することをお勧めします。本記事で解説した内容は一般的な作成手順であり、個別の会計処理については専門家の助言を求めることが重要です。

