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事業譲渡スキームの設計方法|比較・税金・手続の判断基準

経営リスクナビ編集部

事業譲渡スキームを検討しているものの、会社分割・株式譲渡との違いを踏まえた設計や、実行までの手続負担・税務論点が見えにくく、社内の意思決定が止まりやすい局面があります。特に「重要な一部」に当たるかの判断や、帳簿価額が総資産の5分の1を超えるかといった基準整理、取引先同意・従業員同意の見通しが甘いと、クロージング遅延や想定外のコスト増につながります。放置すると、譲渡益課税や残存法人の資金繰り、商号続用時の債務リスクなどが後から顕在化し、取引条件の見直しや追加交渉が必要になることがあります。実務で最初に押さえるべきは「契約型であるがゆえの個別承継の論点」です。法的枠組みから見ていきます。

目次

事業譲渡スキームの基本

事業譲渡の法的位置づけ

事業譲渡は、会社が営む事業(全部または一部)を、他の会社等に契約(売買等)で移すスキームです。組織再編(合併・会社分割等)ではなく、あくまで契約により、譲渡対象に含める資産・負債・契約関係を特定して移転させます。

参照される判例では、「事業」は一定の営業目的のため組織化され、有機的一体として機能する財産と説明されています。実務的には、設備や在庫、従業員、取引先関係、ノウハウ等を組み合わせて利益を生み出す「仕組み」そのものが移転対象になり得る、という整理です。

また、会社法は事業譲渡に一定の場合の株主関与を要求します。売り手側は、事業の全部または重要な一部の譲渡に該当するとき、株主総会の特別決議が必要です(会社法第467条)。事業譲渡は柔軟に対象を選べる一方で、対象ごとに対抗要件具備や同意取得が問題になるため、契約設計と移転実務が成否を分けます。

事業譲渡が「契約型」であることによる実務上の特徴
  • 譲渡対象は個別に特定し、資産・負債・契約の「入れる/除く」を合意で設計できます。
  • 債務の移転は原則として債権者の承諾が必要になり、包括承継より手間が増えます。
  • 重要契約・許認可・従業員の承継は、前提条件として契約書で要求されるのが一般的です。

全部譲渡・一部譲渡の違い

事業譲渡には、会社の事業をすべて移す全部譲渡と、特定部門や特定事業のみを移す一部譲渡があります。違いは「譲渡範囲」だけでなく、株主総会決議の要否や、譲渡後の会社運営(残存会社の存続・清算を含む)にも直結します。

全部譲渡は、会社が手がける事業を全部譲渡する類型であり、株主総会の特別決議が必要です(会社法第467条)。実務上は、全部譲渡後に会社を清算する設計が選択肢になりますが、清算の有無は負債処理・税務・雇用等の全体設計と一体で検討します。

一部譲渡では、複数事業のうち「重要な事業」を譲渡する場合に特別決議が必要です(会社法第467条)。「重要な一部」の判断が難しいため、譲渡対象資産の帳簿価額が譲渡会社の総資産額の5分の1を超えない場合は簡易事業譲渡として特別決議が不要になり得る、という整理が実務判断の起点になります。

加えて、会社法上は、事業全部の賃貸や経営委任に関する契約の締結・変更・解約も、事業譲渡と同様に株主総会特別決議が必要となり得る点に注意が必要です(会社法第467条)。

他のM&Aスキームとの比較

株式譲渡との違いを比べる

株式譲渡は「株主が株式を売る」ことで支配権(経営権)が移転するのに対し、事業譲渡は「会社が事業を売る」ため、事業譲渡後も会社の経営権・支配権自体は変わりません。この当事者構造の違いが、手続・リスク配分・PMI(統合)に影響します。

観点 事業譲渡 株式譲渡
取引主体 会社が事業(資産・負債・契約等)を譲渡します。 株主が株式を譲渡し支配権が移転します。
承継の方式 個別承継(対象を特定し、同意・対抗要件具備が必要になりやすいです)。 会社は同一法人のまま(契約・許認可・雇用関係が原則継続します)。
簿外債務・不要負債 譲受側は対象外を除外しやすく、不要資産・不測の負債を避ける設計が可能です。 会社に残る債務リスクを株式取得側が負いやすく、DDと補償が中心になります。
競業禁止の考え方 会社法に競業避止の規律があり得ます(会社法第21条)。 法律上の当然規定はなく、契約条項で設計するのが前提です。
事業譲渡と株式譲渡の違い(実務観点)

M&A案件を社内で評価・説明する観点では、定量・定性の両面から透明性ある検討プロセスが有用です。で挙がる例として、企業価値/EBITDA倍率、投資収益性、買収後の財務影響といった定量基準に加え、事業戦略との合致、企業文化の親和性(PMIのしやすさ)、法的リスクの緩和策、PMI課題への準備度といった定性基準を並行して整理します。

会社分割との違いを比べる

事業譲渡と会社分割は「特定事業の切り出し」に使われますが、法的性質が異なります。事業譲渡は契約による個別移転であるのに対し、会社分割は会社法上の組織再編で、資産・負債・契約・労働関係を包括的に承継させる枠組みです。

実務上の分岐点は、取引先同意・許認可・雇用承継の確実性です。事業譲渡契約の前提条件として、許認可の承継、対抗要件の具備、仕入先・得意先との契約関係の承継(取引先の同意)、従業員の雇用契約承継または転籍(従業員の同意)を求めるのが一般的であり、条件未充足なら実行されない設計になりやすい点が指摘されています。

また対価面では、上、会社分割の対価は原則として株式になる、という整理が示されています。事業譲渡は現金対価が多い一方、会社分割は対価設計・資本政策に直結しやすい点が意思決定上の差分になります。

手法選択の判断軸を整理する

手法選択は「何を確実にしたいか」で決まります。事業譲渡は対象を選別できる反面、個別手続と関係者調整がボトルネックになりやすく、会社分割・株式譲渡は包括性がある反面、引き受けるリスクの範囲が広がり得ます。

スキーム選択で比較すべき軸
  • 対象の絞り込み(不要資産・不測の負債を除外できる設計が必要か)。
  • 手続確実性(取引先同意・許認可・雇用承継の実現可能性)。
  • リスク緩和策(表明保証・補償・前提条件・PMI課題への準備度)。
  • 投資合理性の説明可能性(企業価値/EBITDA倍率、投資収益性、買収後の財務影響などの整理)。
  • 投資回収の時間軸。
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事業譲渡のメリットと売却設計

売り手・買い手の利点と弱点

事業譲渡は、売り手にとっては「選択と集中」や清算を含む再編に使える一方、買い手にとっては「必要な事業だけを取得する」設計が可能です。事業譲渡は①事業を再編する場合、②会社を清算する場合に使われる、と整理されています。

立場 利点 弱点
売り手 不採算事業やシナジーが見込みにくい事業を譲渡し、選択と集中で将来の収益力を高めやすいです。 譲渡益課税と納税資金の確保、残存法人の固定費・債務の負担が問題化し得ます。
買い手 譲渡対象の資産・負債を個別に選択でき、不要資産や不測の負債の承継を避ける設計が可能です。 個別承継ゆえに、債権者承諾・取引先同意・許認可・雇用同意などの前提条件の充足が重くなります。
売り手・買い手の主な利点と弱点(実務上の論点)

なお、競業関係の規律はスキームにより発想が異なります。事業譲渡では競業避止が問題になり得るのに対し、株式譲渡では法律上の当然規定がないため、買い手が旧株主の競業を懸念するなら契約条項で手当てする必要があります。

譲渡価額の算定と価格調整

事業譲渡の譲渡価額は、譲渡対象資産・負債の評価に加え、顧客基盤・ノウハウ等を含む収益力(のれん)をどう見積もるかで実務上のブレが生じます。のれんは得意先やノウハウ等の無形要素を含む概念であり、会計上は「時価評価純資産」と「買収価額」の差額として説明されています。

契約書上は、譲渡日・譲渡対象・代金決定の枠組みを明確化し、後工程の交渉余地を管理します。の契約例では、譲渡日を定め(必要があれば協議で変更可能)、譲渡対象を「譲渡日における本事業に関する一切の資産」とした上で、承継負債の詳細は協議で定め、代金は譲渡日における時価を基準として一定レンジ内で協議決定する建付けが示されています。

価格・条件のずれを抑えるために契約で決めておく事項
  • 譲渡日(効力発生日)と、手続上必要がある場合の変更ルール。
  • 譲渡財産の範囲と、承継する負債の確定方法。
  • 代金の基準(譲渡日における時価)と、最終金額の決め方。
  • 対抗要件具備・同意取得・許認可などを「前提条件」として未充足時は実行しない設計。

簿外債務は切り離せても運転資金は残る――売り手が譲渡後の資金繰りでつまずく典型例

事業譲渡は、譲受側にとって不要な負債や不測の負債の承継を避けやすい反面、売り手側では譲渡後の資金繰りが設計不足だと行き詰まります。特に、譲渡後に売上・粗利の流入が止まる一方で、残存法人に固定費や返済が残る構造は頻発します。

加えて税務面では、譲渡人(売り手)は原則として、事業譲渡代金から譲渡財産の帳簿価格を差し引いた金額がプラスなら譲渡益として課税対象となり、他の益金・損金と合算して法人税課税の対象になります。現金を確保したつもりでも、納税と残債務対応の資金を同じ財布で賄う設計だと、手元流動性が急速に毀損します。

そのため、譲渡対価の受領をゴールにせず、残存法人の運転資金・固定費・納税を織り込んだ資金繰り計画を事前に作ることが重要です。

事業譲渡の移転と法務リスク

資産・負債・契約の移転実務

事業譲渡は包括承継ではないため、権利移転手続は「資産・負債・契約」ごとに分解して実行します。合併と異なり移転は個々に行われ、特に債務を移転させるには債権者の承諾が必要になる点が明確に述べられています。

個別承継で必ず論点になる手続(代表例)
  • 債務の移転は債権者の承諾を得る設計が必要です。
  • 取引先契約の承継は相手方同意が必要になり、同意が取れない契約は承継できない可能性があります。
  • 不動産の譲受けがある場合は不動産登記申請が必要になり得ます。
  • 商号や役員の変更がある場合は商業登記申請が必要になり得ます。

また、事業譲渡契約では、許認可の承継、対抗要件の具備、契約関係の承継(取引先同意)、従業員の承継(従業員同意)等を前提条件として列挙することが一般的です。前提条件が満たされない限り実行しない建付けであれば、売り手側も買い手側も、同意取得や説明会等を「クロージング条件充足」のタスクとして工程管理する必要があります。

競業避止義務と反対株主保護

競業避止について、事業譲渡では会社法上の規律があり、当事者間の別段の定めがない限り、一定の範囲で競業が制限されます(会社法第21条)。契約で範囲・期間・地域を調整する余地はありますが、何を禁止し何を許すかが曖昧だと、譲渡後の事業展開や役員・従業員の独立に影響します。

反対株主保護については、事業譲渡に反対する株主には株式買取請求権が認められます(会社法第469条)。この権利行使のために、①株主総会に先立ち決議に反対する旨を書面で会社に通知し、②株主総会で実際に反対する、という実務上の手順が示されています。会社側は、請求があれば公正な価格で買い取る必要があり、決議手続・通知・価格協議の運用を事前に準備しておくことが紛争予防になります。

商号を続用するか切り替えるか――買い手が免責登記の要否を判断する基準

買い手が譲渡会社の商号を続用する場合、会社法上、譲渡会社の事業によって生じた債務について責任を負うリスクが問題になります(会社法第22条)。これは、債権者の誤認を防ぐ趣旨の規律です。

実務では、商号続用の有無はブランディングだけでなく、債務リスクと表裏一体です。商号を続用するなら、免責の登記や債権者への通知といった措置を、クロージング後の必須タスクとして織り込む必要があります。

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事業譲渡の労務と税務

従業員承継の手続と労務リスク

事業譲渡では、会社分割のような包括承継の仕組みが前提にならないため、従業員の移籍は個別同意をベースに設計します。事業譲渡契約の前提条件として、従業員との雇用契約の承継または転籍の手続(従業員の同意)を求めるのが一般的とされています。

従業員承継を実務で進める基本手順(典型)
  1. 対象事業の従業員範囲(専従・兼務)を確定し、移籍対象者リストを作成します。
  2. 労働条件(賃金・職務・勤務地・退職金・勤続通算等)の基本方針を売り手・買い手で合意します。
  3. 説明会・個別面談を行い、従業員同意の取得(雇用契約の再締結または転籍)を進めます。
  4. 同意未取得者が出る前提で、代替要員・業務引継ぎ・運用暫定措置を含む事業継続計画を用意します。

労務DDでは、未払い残業代や紛争の有無だけでなく、キーパーソンの離職リスク、評価制度・就業規則の差による反発等を含めて把握し、同意取得の確度を上げる設計が重要です。

事業譲渡にかかる主な税金

事業譲渡の税務は、譲渡資産の時価・帳簿価額・対価配分に強く依存します。譲渡人(売り手)について、原則として事業譲渡代金から譲渡財産の帳簿価格を差し引いた金額がプラスであれば、その部分が譲渡益として課税対象となり、他の益金・損金と合算した申告所得に法人税が課される旨が示されています。

また、買い手側(譲受人)には、スキームや当事者関係によって追加的な徴収リスクがあり得ます。同族会社等からの事業譲受け(税徴38条)や、無償または著しく低額での事業譲受け(税徴39条)の場合、譲渡人の滞納国税について第二次納税義務を負う可能性がある点が明記されています。価格の妥当性や当事者関係(グループ内取引等)を含め、税務リスクを事前に検証する必要があります。

税務で事前に確認しておくべき論点
  • 売り手の譲渡益は「譲渡代金-譲渡財産の帳簿価格」を起点に算定し、他の損益と合算して法人税課税の対象になります。
  • 買い手は、同族会社等からの譲受け(税徴38条)や低額譲受け(税徴39条)で第二次納税義務の論点が生じ得ます。

課税資産と非課税資産が混在するときの消費税見積り――土地・営業権・在庫で線引きする

消費税の見積りは、譲渡対象資産を課税・非課税に切り分けたうえで、対価配分(資産別評価額)をどう置くかが実務の中心です。のれん(営業権)は、得意先やノウハウ等の無形要素を含む概念であり、資産区分・対価配分の置き方によって税務・会計・資金繰りへの影響が大きくなります。

そのため、総額だけで合意するのではなく、土地・建物・在庫・無形資産(のれん等)といった資産別の評価額を整理し、課税対象を見誤らないことが重要です。

事業譲渡の手続と進め方

基本プロセスとスケジュール感

事業譲渡は、交渉・DD・同意取得・許認可・雇用移籍などの「個別手続」が積み上がるため、工程管理が遅延リスクを左右します。事業譲渡契約の前提条件として、許認可の承継、対抗要件の具備、取引先同意、従業員同意等を求めるのが一般的であり、前提条件が満たされない限り実行されない建付けになりやすい点が示されています。

事業譲渡の典型フロー(前提条件充足を中心に整理)
  1. 初期検討として、譲渡する「事業」(利益を生み出す仕組み)の範囲と、譲渡対象資産・負債の一次リストを作成します。
  2. 基本合意後、DDで重要契約・許認可・雇用の論点を抽出し、同意取得の難易度を見積もります。
  3. 最終契約で、許認可承継、対抗要件、取引先同意、従業員同意等を前提条件として明確化します。
  4. クロージングまでに、債権者承諾・取引先同意・従業員同意・登記等の条件充足を完了させ、譲渡日で引渡・決済します。

株主総会・通知・買取請求の要件

事業譲渡が「事業の全部」または「事業の重要な一部」に該当する場合、株主総会の特別決議が必要です(会社法第467条)。「重要な一部」は抽象概念であるため、で示されているとおり、譲渡資産の帳簿価額が総資産の5分の1を超えない場合は簡易事業譲渡として特別決議不要になり得る、という基準から検討するのが実務的です。

反対株主保護として、株式買取請求権が問題になります(会社法第469条)。買取請求権行使のために、株主は事前に書面で反対通知をしたうえで総会でも反対する必要がある旨が示されています。会社側は、請求があれば公正な価格で買い取る必要があるため、総会運営・株主対応・価格協議の段取りを取引スケジュールに組み込みます。

加えて、買い手側にも株主総会決議が必要になる場面があります。他社から事業を譲り受ける場合は、事業を全部譲り受ける場合に株主総会の特別決議が必要になり得る一方、事業の一部の譲受けでは株主総会決議自体が不要とされる点に注意が必要です。

社内で誰がいつ何を用意するか――法務・財務・人事で分ける事業譲渡の準備資料

必要資料は「譲渡対象の特定」と「前提条件充足」に直結する形で準備します。特に、で一般的とされる前提条件(許認可の承継、対抗要件の具備、取引先同意、従業員同意)を満たすため、各部門が同意取得・登記・契約差替えの根拠資料を整えることが重要です。

部門別の準備資料(前提条件・同意取得を意識した実務整理)
  • 法務は、重要契約リスト(同意要否・解除条項・チェンジオブコントロール条項の有無)と、同意書式・三者合意書式の雛形を用意します。
  • 財務は、譲渡財産の帳簿価額一覧(簡易事業譲渡の5分の1判定の基礎)と、譲渡対価配分(資産別評価)の叩き台を用意します。
  • 人事は、移籍対象者リストと、雇用承継または転籍の同意取得計画(説明会・面談・同意書回収)を作ります。

よくある質問

事業譲渡スキームでは対価を現金以外で支払えますか?

事業譲渡は契約取引であり、当事者の合意で対価の形態は設計できます。もっとも、では会社分割の対価が原則として株式になる整理が示されている一方、事業譲渡は売買として設計されるため、対価の合意形成にあたっては、譲渡日・代金の決め方・支払方法等を契約で明確にするのが基本です。

現金以外を対価とする場合でも、譲渡益課税や資金繰り(納税資金の確保)に影響するため、売り手側のキャッシュ確保とセットで検討します。

事業譲渡と会社分割では従業員の承継方法はどう違いますか?

事業譲渡では、従業員の雇用承継は従業員の同意を前提に設計され、事業譲渡契約の前提条件として「雇用契約の承継または転籍手続」を求めるのが一般的です。そのため、同意取得の進捗がクロージング可否に直結します。

一方、会社分割は組織再編として包括的に承継させる枠組みであり、従業員承継の確実性・事業継続性を重視する場合に検討対象になります。対価が原則株式と整理される点も含め、資本政策・統合方針と一体で比較します。

小規模な事業譲渡でも株主総会の特別決議は必要ですか?

譲渡が「事業の全部」または「事業の重要な一部」に当たらない場合、株主総会特別決議が不要となることがあります(会社法第467条)。「重要な一部」の判断が難しいため、譲渡資産の帳簿価額が総資産の5分の1を超えない場合は簡易事業譲渡として特別決議不要になり得る、という基準から検討します。

ただし、簡易に当たるかの判定は財務数値(帳簿価額・総資産)の算定に依存するため、事業部門の資産計上のされ方(本社資産の按分など)も含めて慎重に確認します。

事業譲渡と株式譲渡は税負担の面でどちらが有利ですか?

税負担の有利不利は、売り手側の課税主体と、買い手側に生じ得る税務リスクで変わります。事業譲渡では売り手に譲渡益課税(譲渡代金-譲渡財産の帳簿価格を起点)が生じ得る一方、買い手側は同族会社等からの譲受け(税徴38条)や低額譲受け(税徴39条)で第二次納税義務の論点が生じ得ます。

また、株式譲渡では事業の承継は同一法人のまま進むため個別承継の手続負担は軽くなり得ますが、買い手が旧株主の競業を懸念する場合は、法律の当然規定がないため契約条項で競業禁止を設計する必要があります。税務だけでなく、手続負担・リスク遮断・統合難易度をセットで比較します。

事業譲渡スキームの判断に必要な要点

事業譲渡は契約により移転対象を選別できる一方、資産・負債・契約・雇用を個別に承継するため、同意取得や対抗要件具備がスケジュールと成否を左右します。株主総会の特別決議が必要かは「全部/重要な一部」の該当性に依存し、実務では総資産に対する帳簿価額が5分の1を超えるかどうかが検討の起点になります。税務では、売り手の譲渡益(譲渡代金-譲渡財産の帳簿価格)と納税資金、買い手の第二次納税義務の可能性を同時に見て、取引価格や当事者関係も含めて整合させることが重要です。次のアクションとしては、譲渡対象の一次リストと前提条件(取引先同意・従業員同意・許認可・登記等)を部門横断で洗い出し、決議要否や資金繰りへの影響を含めた工程表に落とし込みます。個別案件では事実関係で結論が変わるため、法務・税務の専門家に相談しながら設計と実行手順を詰めるのが安全です。



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