財務

株式の評価損はいつ必要か 会計処理と税務判断

経営リスクナビ編集部

株式の評価損(有価証券評価損・子会社株式評価損)の検討は、保有株式の時価が下落した局面で「会計上いつ計上するか」と「税務上損金算入できるか」が同時に問われ、決算対応が難しくなりがちです。判断を先送りすると、表示・開示や内部統制の整合が崩れたり、税務調査で「損金経理」や回復可能性の説明を求められたりして、後工程の手戻りが増えるおそれがあります。期末価額が帳簿価額のおおむね50%相当額を下回る場合(法基通9-1-7)など、どの事実をそろえればどの処理を選べるのかを、実務として固めておくことが重要です。以下では、会計処理と税務判断のすり合わせに必要な論点を示します。

株式の評価損の基本

評価損と減損処理の違い

評価損(有価証券評価損)は、保有する株式等の価値低下を会計上の損失として認識する概念です。一方、減損処理は、時価(または実質価額)が著しく下落し、回復可能性が認められない場合に帳簿価額を切り下げるという、より厳格な手続きとして位置づけられます。特に売買目的有価証券以外の有価証券については、時価が著しく下落したときに、時価の下落程度や下落期間等を考慮して減損処理の要否を検討することが求められます(金融商品会計基準19、20、22の考え方)。

また、実務上は「どこまでを評価損(単なる期末の評価替え)とし、どこからを減損(回復不能に近い価値毀損としての切下げ)とするか」が問題になりますが、会社が決める合理的な基準には一定の幅があるため、減損を回避する目的で評価方法や基準をみだりに変更していないかという観点が、監査・内部統制・税務調査のいずれでも重要になります。

実務で混同しやすいポイント
  • 売買目的有価証券は期末に時価評価(洗替え)が前提で、評価差額は損益(営業外損益)で処理します。
  • 売買目的以外の「時価のある有価証券」は、時価が著しく下落した場合に回復可能性がないとき、減損として帳簿価額を切り下げます(金融商品会計基準20、22の趣旨)。
  • 減損で切り下げた価額は、以後の会計上の基礎(翌期以降の取得原価に準ずる扱い)となり、元に戻す前提では整理しません。

有価証券評価損と特別損失の関係

有価証券の評価損は、損益計算書上の表示区分(営業外費用・特別損失など)に直結しますが、表示・開示を誤るリスクがある点が実務上の重要論点です。営業外損益・特別損益については、適切な科目名で表示するだけでなく、取引内容や減損損失の注記等、関係する表示・開示が求められることがあります。

とりわけ、

表示・開示で問題になりやすい領域(例示)
  • 営業外損益に係る関係会社との取引に関する注記(財務諸表等規則91、94)
  • 減損損失に関する注記(財務諸表等規則95の3の2)

のように、科目区分だけでなく注記まで含めて整合するかが論点になります。さらに、本来は特別損益に該当しない項目を特別損益として表示してしまうなど、表示の妥当性そのものが問われるケースもあります。

このリスクに対しては、担当部署内での表示・開示事項の確認・承認、IR部門での内容確認、経理部上長による承認といった、複線的な内部統制を構築しておくことが有用です。

有価証券の区分と会計処理

売買目的有価証券の時価評価

売買目的有価証券は、時価の変動によって利益を得ることを目的として保有する有価証券であり、期末に時価評価を行い、その価額を貸借対照表に表示し、評価差額を当期の損益(営業外損益)として処理します。

売買目的有価証券に該当するかは、会計上の保有目的の説明だけで曖昧にせず、税務上の区分とも整合させて運用するのが実務的です。区分が不明確になりやすい場合には、法人税法施行令119条の12の考え方に従って、次のような要件で整理する運用が便宜とされています。

売買目的有価証券に該当し得る類型(法人税法施行令119条の12の整理)
  • 短期的な価格変動を利用して利益を得る目的の取引に専ら従事する者が短期売買目的で取得したもの(専担者売買有価証券)
  • 取得日に短期売買目的であることを帳簿書類に記載したもの(専担者売買有価証券を除く)
  • 金銭の信託で、信託財産として短期売買目的の有価証券を取得する旨を他の信託財産と区分して帳簿書類に記載したもの

なお、売買目的有価証券は「いつでも売却し得る金融資産」としての性格が強いため、期末の時価情報が財務情報として重視され、評価差額を当期損益に反映させる運用になります。

その他有価証券の評価基準

その他有価証券は、形式的には特定の区分(例:売買目的等)に属さない有価証券で、保有額が大きい会社も多く、決算での評価が重要になります。会計上は原則として時価評価を行い、評価差額は洗替方式で処理します。

方式 評価益の扱い 評価損の扱い
全部純資産直入法 純資産の部に計上 純資産の部に計上
部分純資産直入法 純資産の部に計上 当期の損失として計上
その他有価証券の評価差額の処理方法(金融商品会計基準18の整理)

実務上は、全部純資産直入法を前提に運用しているケースが多く、評価差額は純資産(その他有価証券評価差額金)に反映させ、売却時に初めて損益に振り替える設計になります。

子会社株式と関連会社株式の処理

子会社株式・関連会社株式は、支配や重要な影響力の行使を目的とする長期保有の性格が強く、個別財務諸表では原則として取得原価で計上し、期末の時価評価は行いません。ただし、売買目的有価証券以外の有価証券のうち、時価のある有価証券について時価が著しく下落した場合には、回復が見込まれると認められる場合を除き、減損処理を検討します(金融商品会計基準19、20、22の枠組み)。

連結では、投資(親会社の子会社株式)と子会社の資本を相殺消去する資本連結を行うため、個別の子会社株式の帳簿価額そのものが連結B/Sに残る構造ではありません。そのため、個別での評価損計上と、連結での表示・損益への出方が一致しない場合があり、経営・財務側は「個別の損失認識」と「連結での実態表示」を切り分けて理解する必要があります。

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時価と実質価額の判定

時価のある株式の下落率判断

時価のある株式(上場株式等)について、売買目的有価証券以外で減損の要否を検討する場面では、時価の下落程度に加えて、下落期間も考慮して、回復可能性の有無を含めて判断します。ここで重要なのは、会社が決定する合理的な基準には幅がある一方で、減損を回避する意図で評価方法や基準を安易に変える運用は問題になり得る点です。

税務判断では、上場有価証券等(取引所売買有価証券、店頭売買有価証券、取扱有価証券その他価格公表有価証券)について、期末時価が帳簿価額のおおむね50%相当額を下回り、かつ近い将来その価額の回復が見込まれない場合に「価額が著しく低下」したものとして評価損の損金算入が問題となります(法基通9-1-7)。したがって、会計の減損検討でも、実務上はこの「50%+回復見込みなし」という考え方が、社内基準や監査対応の説明で参照されることが多いです。

回復可能性の検討で押さえる観点(時価のある株式)
  • 回復見込みの判断は、過去の市場状況の推移や市場環境、発行会社の業況等も踏まえて事業年度終了時点で行います(法基通9-1-7の整理)。
  • 「単に取得価額の2分の1に下落しただけ」では足りず、回復可能性の検討が必要です(法基通9-1-7)。

時価のない株式の実質価額

時価のない株式(非上場株式等)は客観的な市場価格がないため、発行会社の財政状態を反映した実質価額を算定し、帳簿価額(取得原価)と比較して減損の要否を検討します。実質価額は、直近の財務諸表に基づく一株当たり純資産額を基礎にしつつ、重要資産の時価評価等による修正を加えて算定する運用が中心です。

税務上、非上場有価証券等で評価損の損金算入が問題となる典型は、発行会社の法的整理(破産・民事再生・会社更生等)の開始など、価値毀損が客観化する局面です。評価損が認められるためには、減額を損金経理で行い、かつ評価の基礎(実質価額等)の妥当性が説明できることが前提になります(評価損計上の要件の整理、法令681二の趣旨)。

30%以上50%未満で評価損を見送るか計上するかの社内判定基準

時価の下落が一定水準に達しても、直ちに減損処理(評価損計上)をするかどうかは、回復可能性を含めた社内基準の設計と運用に依存します。特に、会社が決定する合理的な基準には幅があるため、恣意性の排除継続適用が実務上の焦点になります。

社内判定基準を運用する際の注意点
  • 減損を逃れようとして評価方法をみだりに変更していないかに十分留意します。
  • 回復可能性の判断が難しい場合、証券アナリスト等の専門性を有する第三者の見解を合理的判断の根拠の一つにすることが考えられます。
  • 公開会社等では、策定した判断基準について独立の監査法人のチェックを受け、その基準に基づいて判断することも合理的とされています(国税庁「上場有価証券の評価損に関するQ&A」H21.4の趣旨)。

子会社株式の減損対応

回復可能性の見方と証拠化

子会社株式の減損で最も争点になりやすいのは、回復可能性があるとして減損を見送る合理性です。時価が著しく下落した場合には、回復可能性が認められる場合を除き減損処理を行う枠組みである以上、見送り判断は「楽観」ではなく、検証可能な証拠により裏付ける必要があります。

また、回復可能性の判断が法人側だけで困難な場合があることを前提に、証券アナリストなど専門性を有する客観的な第三者の見解を合理的判断の根拠の一つとして位置付けることも整理されています。

回復可能性を裏付けるための証拠化ステップ(実務)
  1. 期末時点での時価下落の程度と下落期間を整理し、減損検討に入る理由を文書化します(時価の下落程度・下落期間を考慮)。
  2. 投資先の業況・市場環境・過去の市場価格推移を踏まえ、事業年度終了時点で回復可能性を判断した根拠を残します(法基通9-1-7の考え方と整合)。
  3. 必要に応じて証券アナリスト等の第三者見解を入手し、社内基準・見積りの合理性を補強します。
  4. 策定した基準や見積りの前提について、担当部署内の確認・上長承認等の内部統制に落とし込みます(表示・開示の統制とも連動)。

個別と連結の減損処理の違い

個別決算では、親会社が保有する子会社株式自体を金融資産として捉え、帳簿価額と実質価額等を比較して評価損(子会社株式評価損)を計上します。税務上、上場有価証券等に係る評価損の損金算入は、法人が評価替えをして損金経理により帳簿価額を減額した場合に、帳簿価額と時価の差額を限度として検討されます(法基通9-1-7の枠組み)。

連結決算では、子会社の資産負債が取り込まれ、親会社の投資勘定は資本連結で相殺消去されるため、個別での子会社株式評価損がそのまま連結損益に残る構造ではありません。この差異があるため、個別で評価損を計上する場合でも、連結上は別の論点(のれん、資産の評価、非支配株主持分への影響等)として整理が必要になります。

事業計画で回復可能性を主張できる会社と否認されやすい会社の違い

回復可能性の主張が通るかどうかは、将来計画の「見栄え」ではなく、事業年度終了時点での合理的判断として説明できるかに集約されます。税務の場面でも、評価損の可否は「単に2分の1に下落しただけ」では足りず、回復可能性の検討が不可欠とされており(法基通9-1-7)、計画の信頼性や外部根拠が弱いと否認リスクが高まります。

観点 認められやすい対応 否認されやすい対応
判断時点 事業年度終了時点で市場環境・業況を踏まえ判断した記録がある 期末後に都合よく作った説明になっている
根拠資料 過去の市場価格推移や市場環境等の整理に加え第三者見解も活用 社内の希望的観測のみで第三者根拠がない
基準運用 合理的基準を継続適用し、変更理由も説明できる 減損回避のために基準・評価方法をみだりに変更する
回復可能性が認められやすい整理と否認されやすい整理
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株式評価損の税務判断

法人税法の有価証券区分

税務上、有価証券は保有目的により、売買目的有価証券、満期保有目的等有価証券、その他有価証券の3区分で整理されます。そして期末評価は、売買目的有価証券は時価法、それ以外(満期保有目的等有価証券・その他有価証券)は原価法で行う建付けです(法人税法第61条の31)。

調査実務では、法人がこの区分を正しく行い、区分に応じた評価(時価法/原価法)を適用しているかが確認されます。会計区分(売買目的・その他・関係会社等)との「言葉の近さ」で整理するとズレが起きることがあるため、帳簿書類での区分管理(取得日記載等)まで含めた実装が重要です。

損金算入できる場合できない場合

税務上、評価損は「一定の事実がなければ認められない」整理であり(法令681二の趣旨)、さらに上場有価証券等については、評価損の損金算入が認められるために、次の要件を満たす必要があります。

上場有価証券等の評価損が損金算入され得る要件(法基通9-1-7)
  • 事業年度末の価額がその時の帳簿価額のおおむね50%相当額を下回ることになったこと
  • 近い将来その価額の回復が見込まれないこと

ここで重要なのは、「単に取得価額の2分の1に下落した」だけでは足りない点です。回復の見込みがないかどうかは、過去の市場状況の推移、市場環境、発行会社の業況等も踏まえ、事業年度終了時に判断するものとされています。

一方で、回復見込みの判断基準として「過去2年間にわたり株価が帳簿価額の50%相当額を下回る状況が必要」といった実務上の聞き方がされることがありますが、合理的な判断基準が示されれば、必ずしも「2年間要件」が絶対条件という整理ではありません。ただし、法人が独自に合理的判断を組み立てるのが難しい場合もあるため、証券アナリスト等の第三者見解や、公開会社等であれば監査法人のチェックを受けた基準で判断することが合理的とされています(国税庁H21.4 Q&Aの趣旨)。

100%グループ内株式と外国子会社株式

100%子法人(完全支配関係にある子会社)を解散・清算する局面では、会計上の評価損・減損だけでなく、税務上の整理(株式簿価の扱い、寄附金等による簿価修正の有無を含む)が論点になります。参照事例では、完全支配関係の子法人を解散し清算手続を進め、債務弁済等の結果として残余財産がないことが確定している状況で、親会社が保有する子法人株式の(税務上の)帳簿価額が1,000万円である、という前提が置かれています。

このようなケースでは、清算結了・残余財産の有無・簿価修正(親会社から子法人への寄附金支出等)の有無といった事実関係により、損失の認識タイミングや税務上の取り扱いが変わり得るため、事実認定と証憑整備(清算に関する書類、残余財産がないことの確定資料等)が不可欠です。

株式評価損の実務影響

仕訳例と貸借対照表への反映

会計上、減損(評価損)を計上する場合、対象有価証券の帳簿価額を切り下げ、損益計算書に損失を認識します。税務上は、上場有価証券等の評価損の損金算入が問題となる場合、評価替えをして損金経理により帳簿価額を減額したときに、帳簿価額と期末価額の差額を限度として検討されます(法基通9-1-7)。そのため、会計処理の設計だけでなく、損金経理要件を満たす形で帳簿が整っているかが重要になります。

子会社株式の減損仕訳(例)
  1. 取得価額100万円の子会社株式の実質価額が45万円に下落し減損する場合、借方に子会社株式評価損55万円/貸方に子会社株式55万円として帳簿価額を減額します。
  2. 表示としては、B/Sでは投資その他の資産の「子会社株式」が45万円となり、P/Lでは評価損が損失区分(表示の妥当性を含む)で認識されます。

また、財務諸表表示・開示の観点では、営業外損益・特別損益の区分を誤るリスクがあるため、表示科目の妥当性の検討と承認プロセスを整備することが有用です(財務諸表等規則91、94、95の3の2に関連する注記領域を含む)。

回復時の戻入れと評価差額金

一度、減損として帳簿価額を切り下げた場合、その後に時価が回復しても、減損損失の戻入れ(切下げ前の帳簿価額への復元)を前提に整理しないのが基本です。会計上は、切下げ後の価額が以後の会計処理の基礎になります。

その他有価証券については、評価差額の処理として、全部純資産直入法または部分純資産直入法を選択し、洗替方式で処理する整理があり(金融商品会計基準18)、時価の回復局面では、損益計算書ではなく純資産の部(その他有価証券評価差額金)に反映される設計になり得ます。

決算前に経理・財務・法務がそろえる資料と取締役会で残す判断記録

評価損の計上または減損見送りは、見積りと判断を伴うため、将来の監査・税務調査・開示の観点から、証拠の整備と意思決定プロセスの記録が重要です。特に、評価損は「一定の事実がなければ認められない」ため(法令681二の趣旨)、計上根拠や時価評価の妥当性が調査対象となり得ます。

決算前に整備しておきたい資料(部門横断)
  • 経理:有価証券の税務区分(売買目的・満期保有目的等・その他)と期末評価方法(時価法/原価法)の整合資料(法人税法第61条の31を踏まえた整理)。
  • 財務:上場有価証券等の期末価額が帳簿価額のおおむね50%相当額を下回るか、回復見込みがないかの検討資料(法基通9-1-7の要件に沿った整理)。
  • 財務:回復可能性の判断が難しい場合の補強資料として、証券アナリスト等の第三者見解(合理的判断根拠の一部)。
  • 法務:子会社解散・清算の場合の清算関連資料(残余財産がないことの確定、手続状況)や、寄附金等により株式簿価修正がある場合の根拠資料。

加えて、表示・開示を誤るリスクへの対応として、担当部署内での確認・承認、IR部門での内容確認、経理部上長承認などの内部統制を置き、取締役会では「採用した基準」「変更の有無と理由」「回復見込みの判断根拠」「損金算入可否の見立て」まで含めて議事録に残すことが、実務上の防衛線になります。

よくある質問

株式の時価が30%下落しただけでも評価損は必要ですか?

会計上は、売買目的有価証券以外の有価証券について時価が著しく下落した場合に、回復可能性が認められる場合を除いて減損処理を検討する枠組みです。そのため、30%下落という数字だけで自動的に結論が出るというより、時価の下落程度に加えて下落期間も考慮し、回復可能性を含めて判断します。

税務上は、上場有価証券等の評価損について、期末価額が帳簿価額のおおむね50%相当額を下回り、かつ近い将来回復が見込まれない場合が「著しく低下」に該当するとされています(法基通9-1-7)。したがって、30%下落の局面では直ちに損金算入の評価損として整理できるとは限らず、社内基準・回復可能性・市場環境・発行会社の業況等の検討を行い、必要なら第三者見解も含めて根拠を整備するのが安全です。

子会社株式の評価損はすべて損金算入できますか?

すべて損金算入できるわけではありません。税務上は、有価証券の評価損は「一定の事実がなければ認められない」整理であり(法令681二の趣旨)、上場有価証券等であれば、期末価額が帳簿価額のおおむね50%相当額を下回り、かつ近い将来回復が見込まれないことが要件になります(法基通9-1-7)。また、単に取得価額の2分の1に下落しただけでは足りず、回復可能性の検討が必要です。

加えて、100%子法人の解散・清算といった局面では、残余財産の有無や簿価修正(寄附金支出等)の有無によって、税務上の整理が変わり得ます。参照事例のように、残余財産がないことが確定し、株式の税務上帳簿価額が1,000万円であるケースでは、清算関連資料等を前提に、どの事実をもって損失認識するかを慎重に詰める必要があります。

非上場の子会社株式は実質価額をどう算定しますか?

時価のない株式は、市場価格がないため、発行会社の財務諸表等を基礎に実質価額を算定して帳簿価額と比較します。基本は一株当たり純資産額を基礎にしますが、土地・有価証券等の重要資産の時価評価など、実態に合わせた修正が必要になります。

税務上、評価損が問題となる場合には、評価損計上の根拠や時価(実質価額)の評価の妥当性が調査対象になり得るため、算定過程(何を時価評価し、どの資料で裏付けたか)を説明できる形で残すことが重要です(評価損は一定の事実がなければ認められない、という整理を踏まえます)。

株式評価損は融資やガバナンスに影響しますか?

影響します。評価損は損益だけでなく、純資産や開示にも波及するためです。とくに表示・開示の誤りは、数値の正しさとは別に「信頼性」を損なうため、財務諸表等規則上の注記領域(例:関係会社取引の注記や減損損失の注記)を含め、内部統制を効かせて誤表示リスクを下げる必要があります(財務諸表等規則91、94、95の3の2に関連)。

また、上場有価証券等の評価損は、期末価額が帳簿価額のおおむね50%相当額を下回り、回復が見込まれないかどうかが焦点となるため(法基通9-1-7)、融資先(金融機関)や監査人との対話でも、その判断根拠の説明が求められやすくなります。

株式の評価損への対応で次にすべきこと

株式の評価損は、会計上の「評価損/減損」の整理と、税務上の損金算入可否(法基通9-1-7等)を切り分けたうえで、同じ事実関係に基づき一貫して説明できるように組み立てることが実務の要点です。とくに上場有価証券等では、期末価額が帳簿価額のおおむね50%相当額を下回るか、回復見込みがないかという判断軸に沿って、判断時点(事業年度終了時点)と根拠資料をそろえる必要があります。子会社株式・関連会社株式については、個別と連結で損失の出方が一致しないことも踏まえ、表示・開示や内部統制(確認・承認プロセス)まで含めて整合を確認します。次のアクションとしては、区分管理(法人税法第61条の31に沿う整理)、損金経理の要件充足、回復可能性の検討資料(必要に応じ第三者見解)を部門横断で準備し、取締役会等の記録に残すことが有用です。個別の損金算入可否や清算局面(例:残余財産がないことの確定、帳簿価額1,000万円等)に関わる判断は事実認定に依存するため、最終的には監査人や税務の専門家に相談して進める前提で整理します。



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