手続

法人破産で裁判所に払う費用はいくら?予納金・手数料の内訳と払えない時の対処法

catfish_admin

会社の経営に行き詰まり、法人破産を検討せざるを得ない状況で、手続きに必要な費用を捻出できるだろうかと不安に思うのは当然のことです。特に、裁判所に納める費用は高額になる場合があり、その内訳や相場を正確に把握することが、破産手続きへ進むための第一歩となります。この記事では、法人破産で裁判所に支払う費用の種類と具体的な金額、費用を抑える方法、そして資金が不足する場合の捻出方法について詳しく解説します。

目次

法人破産にかかる費用の全体像

裁判所に納める「予納金」などの実費

法人破産の手続きを進めるには、まず裁判所に納める公的な費用を準備する必要があります。この実費は、手続きの成否を左右する重要な要素であり、主に以下の4種類で構成されます。

裁判所に納める実費の内訳
  • 予納金: 破産管財人の報酬などに充てられる費用で、最も高額になる部分です。
  • 申立手数料: 申立書に収入印紙を貼って納める手数料です。
  • 予納郵券: 裁判所が債権者へ通知を送るための郵便切手代です。
  • 官報公告費: 破産の事実を官報に掲載するための費用です。

特に予納金は、裁判所が選任する破産管財人が活動するための原資となるため、この納付がなければ破産手続は開始されません。資金が尽きる前に、これらの実費を確保しておくことが実務上の鉄則です。原則として一括納付が求められ、支払いができないと申立てが却下されるリスクがあります。

手続きを依頼する弁護士に支払う費用

法人の破産手続きは専門性が高く、円滑に進めるためには弁護士への依頼が不可欠です。弁護士費用は、裁判所に納める実費とは別に準備する必要があります。

弁護士費用の内訳
  • 着手金: 弁護士に依頼した際に支払う費用です。会社の規模や負債額、債権者数などによって変動し、中小企業では50万円~150万円程度が相場です。
  • 報酬金: 手続きが成功した際に支払う費用ですが、法人が消滅する破産手続きでは発生しない契約が一般的です。
  • 実費: 交通費や通信費など、手続きを進める上で発生する経費です。

ただし、売掛金の回収などによって配当原資を確保できた場合、その成果に応じた報酬が設定されることもあります。資金繰りが破綻する前に複数の法律事務所から見積もりを取り、総額の目安を把握しておくことが重要です。

費用の総額目安は会社の規模や負債額によって変動する

法人破産の総費用は一律ではなく、会社の規模や負債の状況によって大きく変動します。小規模な会社であれば弁護士費用と予納金を合わせて100万円程度から可能な場合もありますが、中規模以上になると200万円~300万円を超えることも珍しくありません。

特に予納金は負債額に応じて変動します。東京地方裁判所の基準では、負債総額に応じて以下のような目安が示されています。

負債総額 予納金額
5,000万円未満 70万円~
5,000万円~1億円未満 100万円~
1億円~5億円未満 200万円~
5億円~10億円未満 300万円~
負債総額に応じた予納金額の目安(通常管財)

このほか、事務所の明け渡しが未了である、有害廃棄物の処理が必要であるなど、破産管財人の業務が複雑化する事案では、予納金がさらに増額される傾向にあります。

【内訳】裁判所に納める費用の種類と金額相場

予納金:破産手続の大部分を占める費用

予納金とは、破産手続きを開始する条件として裁判所に納める費用で、その大半は破産管財人の報酬に充てられます。法人破産は、原則として破産管財人が選任される管財事件として扱われるため、この予納金の準備が最大の関門となります。

金額の相場は、通常の管財事件で最低でも70万円からとなり、負債額が大きくなれば数百万円に達することもあります。予納金が納付されない限り、手続きは開始されません。まさに、会社を法的に清算するための「入場料」のような性質を持つ費用といえます。

予納金の額を決める「管財事件」の種類とは(通常管財・少額管財)

予納金の額を大きく左右するのが、「通常管財」と「少額管財」のどちらの手続きが適用されるかという点です。両者には以下のような違いがあります。

項目 通常管財 少額管財
概要 標準的な破産手続き。 弁護士代理を前提とした簡易・迅速な手続き。
予納金の目安 70万円~(負債額に応じて増加) 20万円程度(東京地裁の場合)
主な適用要件 複雑な事案や本人申立ての場合。 弁護士が代理人となり、事前の調査・整理が十分な場合。
注意点 費用が高額になり、手続きも長期化しやすい。 全ての裁判所で運用されているわけではない。
通常管財と少額管財の比較

多くの中小企業は、予納金を大幅に抑えられる少額管財の利用を目指します。しかし、この制度は各裁判所の運用によるもので、利用するには弁護士への依頼が必須です。管轄の裁判所の運用を事前に確認することが不可欠です。

申立手数料:収入印紙で納付する費用

申立手数料は、破産を申し立てる際の事務手数料です。法人の自己破産の場合、1,000円分の収入印紙を申立書に貼付して納付します。これは破産費用の中では少額ですが、納付がなければ手続きが進まないため、確実に準備する必要があります。なお、債権者が破産を申し立てる場合は2万円となります。

官報公告費:破産の事実を公に知らせるための費用

官報公告費は、国の機関紙である「官報」に破産手続の開始決定などを掲載するための費用です。破産手続きはすべての債権者に公平でなければならないため、この公告によって広く事実を知らせることが法律で義務付けられています。費用は裁判所によって多少異なりますが、おおむね1万5,000円前後であり、予納金の一部として納付するのが一般的です。

予納郵券:裁判所からの書類送付に使われる郵便切手代

予納郵券とは、裁判所が債権者などの関係者に通知書を送るために使う郵便切手代のことです。申立ての際に、あらかじめ裁判所が指定する組み合わせ・金額の切手を納付します。債権者の数によって変動しますが、数千円から1万5,000円程度が目安です。切手が不足すると債権者への通知が遅れ、手続き全体が停滞する可能性があるため、正確な債権者数に基づいて準備する必要があります。

予納金額に影響を与える「負債額以外」の要因

予納金は主に負債総額で決まりますが、それ以外にも管財人の業務負担が大きくなると見込まれる場合には増額されることがあります。

予納金が増額される要因の例
  • 在庫や設備が特殊で、現金化に手間がかかる場合
  • 会社が当事者となっている複雑な訴訟が係属している場合
  • 賃借物件に大量の残置物があり、原状回復に費用がかかる場合
  • 海外に資産があり、調査や換価が困難な場合
  • 役員による資産隠しが疑われ、詳細な調査が必要な場合

法人破産の費用が支払えない場合の資金捻出方法

会社資産の売却や換価で費用を準備する(売掛金・在庫など)

法人破産の費用を捻出する最も正当な方法は、会社に残っている資産を現金化することです。弁護士の管理のもと、計画的に進める必要があります。

資産の換価による費用捻出の例
  • 売掛金の回収: 弁護士が代理人として請求することで、回収可能性が高まります。
  • 在庫商品や車両・備品の売却: 必ず適正な市場価格で売却し、記録を残します。
  • 保険契約の解約: 解約返戻金を受け取り、費用に充当します。

注意点として、特定の関係者に不当に安く売却する行為は、財産隠し(詐害行為)とみなされ、破産手続きで重大な問題となるため絶対に避けてください。

弁護士への依頼による債権者への支払停止で資金を確保する

弁護士に破産手続きを依頼すると、直ちに全債権者へ受任通知が送付されます。この通知により、債権者からの直接の取立てが止まり、同時に会社はすべての債務(借入金の返済や買掛金の支払いなど)の弁済を停止します。

これにより、それまで支払いに充てていた資金が手元に残るようになります。この浮いた資金を数ヶ月かけて積み立てることで、弁護士費用や予納金を捻出することが可能になります。一部の債権者にだけ支払う「偏頗弁済」は禁止されているため、すべての支払いを一斉に停止することが重要です。

弁護士費用や予納金の分割・後払いを相談する

一括で費用を用意できない場合でも、分割払いに対応してくれる法律事務所は少なくありません。受任通知発送後に会社の支払いが停止してから、毎月数万円ずつ積み立てていくプランを提案してくれることがあります。

一方、裁判所への予納金は原則一括納付ですが、東京地方裁判所など一部の裁判所では、少額管財事件に限り4回程度の分割納付を認める運用を行っています。ただし、この運用は全ての裁判所で採用されているわけではないため、初回相談時に弁護士に確認することが不可欠です。

資産売却で費用を捻出する際の注意点と記録の残し方

破産費用を捻出するために資産を売却する際は、後のトラブルを防ぐため、その行為が適正であったことを客観的に証明できるようにしておく必要があります。

資産売却時に残すべき記録
  • 売買契約書や領収書
  • 複数の買取業者から取得した相見積書
  • 売却代金の入金が確認できる銀行通帳の記録
  • なぜその価格で売却したかを説明できる資料(市場価格の調査結果など)

これらの記録が不十分だと、破産管財人から不当な財産処分を疑われ、手続きが複雑化する恐れがあります。

法人破産の費用を安く抑えるための具体的な方法

予納金を低額にする「少額管財」の利用を弁護士に相談する

法人破産の費用を最も効果的に抑える方法は、予納金が20万円程度まで減額される少額管財制度を活用することです。この制度を利用するには、弁護士が申立代理人となることが絶対条件です。弁護士が事前に資産や負債を詳細に調査し、裁判所に提出する資料を正確に作成することで、破産管財人の負担を軽減できるため、予納金が低額に抑えられます。弁護士費用を支払ってでも少額管財を目指す方が、最終的な総費用を安くできるケースがほとんどです。

資産の散逸を防ぐため、できるだけ早い段階で弁護士に相談する

相談のタイミングが早いほど、費用を抑えるための選択肢が広がります。経営が完全に行き詰まる前に相談することが極めて重要です。

早期相談のメリット
  • 弁護士の指示で返済を止め、手元に現金を確保して破産費用に充てられる。
  • 価値のある資産を散逸させる前に、計画的に換価できる。
  • 未払賃料などが膨らむ前に事業を停止し、追加の負債発生を防げる。
  • 管財人の業務が簡素化され、予納金の増額リスクを避けられる。

相談が遅れるほど事態は複雑化し、結果的に時間も費用も余計にかかってしまいます。

代表者個人の自己破産も同時に申し立てる

中小企業では、代表者が会社の債務を連帯保証しているケースがほとんどです。そのため、法人の破産と代表者個人の自己破産を同時に申し立てるのが一般的です。これには費用面で大きなメリットがあります。

法人と代表者の同時申立によるメリット
  • 予納金の総額が軽減される: 1人の管財人が両方を担当し、個人の予納金は少額の加算で済むことが多いです。
  • 弁護士費用が割安になる: 別々に依頼するよりも、セット料金で安くなるのが一般的です。
  • 手続きが効率化される: 書類作成の手間が一部共通するため、迅速な解決が期待できます。

法人の破産後に個人の破産を行うと、費用も手間も二重にかかるため、同時に進めるのが実務上の定石です。

法人破産の費用に関するよくある質問

費用が払えないまま法人破産の手続きを放置するとどうなりますか?

破産費用が払えないからといって会社を放置しても、問題は解決せず、むしろ状況は悪化します。

会社を放置した場合のリスク
  • 遅延損害金により、負債は日々増え続けます。
  • 債権者から訴訟を起こされ、会社の資産が差し押さえられます。
  • 連帯保証人である代表者個人の預金や給与、自宅なども差押えの対象になります。
  • 後の破産手続きで、代表者の責任が厳しく追及される可能性があります。
  • 債権者から破産を申し立てられ、より高額な予納金を請求される恐れがあります。

法人の破産手続きで法テラスは利用できますか?

いいえ、利用できません。法テラス(日本司法支援センター)の民事法律扶助制度は、経済的に困窮している個人を対象とした制度であるため、株式会社などの法人は利用対象外です。したがって、法人の破産申立費用を法テラスに立て替えてもらうことはできません。

ただし、代表者個人が自己破産をする場合は、個人の資力要件などを満たせば法テラスを利用できる可能性があります。

代表者個人の自己破産も同時に行う場合、費用は別途必要ですか?

原則として、法人と個人は別人格であるため、それぞれに費用が発生します。しかし、実務上は同時に申し立てることで、費用負担が大幅に軽減される運用がなされています。例えば、法人の予納金に数万円を加算するだけで個人の手続きも進められるなど、別々に申し立てるよりも総額ははるかに安く済みます。弁護士費用も、セットで依頼することで割安な料金設定になっている事務所がほとんどです。

予納金の分割払いは裁判所に認めてもらえますか?

予納金は原則として一括納付ですが、一部の裁判所では、弁護士が代理人となる少額管財事件に限り、分割払いを認める運用をしています。例えば、東京地方裁判所では4回程度の分割納付が認められています。しかし、このような運用がない裁判所も多いため、必ず事前に弁護士を通じて管轄裁判所の運用を確認する必要があります。なお、分割払いが認められた場合でも、全額が納付されるまでは破産手続は開始されません。

弁護士に依頼せず、会社自身で破産手続きを進めることは可能ですか?

法律上は可能ですが、現実的には極めて困難です。法人破産は手続きが非常に複雑で、専門知識なしで完遂することはほぼ不可能です。

本人申立てのデメリット
  • 予納金が安い「少額管財」が利用できず、最低でも70万円以上の高額な予納金が必要になる。
  • 提出書類が膨大かつ専門的で、不備があれば手続きが全く進まない。
  • 裁判所や管財人とのやり取りがうまくいかず、あらぬ疑いをかけられるリスクがある。

結果的に、弁護士費用を節約しようとすることで、予納金が高騰し、トータルの費用が大幅に増えてしまうため、弁護士への依頼が必須といえます。

まとめ:法人破産の費用は捻出可能。鍵は「少額管財」と早期の弁護士相談

本記事では、法人破産における裁判所への費用を中心に解説しました。費用は大きく分けて、裁判所に納める予納金・手数料などと、手続きを依頼する弁護士費用で構成されます。最も大きな負担となる予納金は、負債額によっては数百万円に及ぶこともありますが、弁護士に依頼し「少額管財」制度を利用できれば20万円程度に抑えることが可能です。現時点で手元に資金がなくても、弁護士に依頼して債務の支払いを止め、浮いた資金を積み立てる、会社資産を適正に換価するなど、費用を捻出する方法は存在します。費用への不安から手続きを躊躇し、会社を放置すれば、事態はさらに悪化します。まずは無料相談などを活用し、自社の状況で費用がいくらになるか、どうすれば確保できるのかを弁護士に相談することが、再出発への確実な一歩となるでしょう。

Baseconnect株式会社
サイト運営会社

本メディアは、「企業が経営リスクを正しく知り、素早く動けるように」という想いから、Baseconnect株式会社が運営しています。当社は、企業取引や与信管理における“潜在的な経営リスクの兆候”を早期に察知・通知するサービス「Riskdog」も展開し、経営判断を支える情報インフラの提供を目指しています。

記事URLをコピーしました