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会社破産(法人破産)の手続き|申立ての流れ・費用・必要書類を解説

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会社の経営状況が悪化し、破産という厳しい決断を考え始めると、今後の手続きがどう進むのか、何をすべきか、大きな不安を感じることでしょう。会社の破産は、法律に則った厳格な手順を踏む必要があり、その全体像を正確に把握することが、関係者への影響を最小限に抑えるための第一歩となります。この記事では、会社破産(法人破産)を決断してから手続きが完了するまでの具体的な流れ、必要な書類、費用、そして関係者への影響までを網羅的に解説します。

目次

会社破産(法人破産)の申立て準備:弁護士への相談

弁護士に相談すべきタイミングと準備しておくべき情報

会社破産を検討すべき最適なタイミングは、支払不能債務超過の兆候が見え始めた初期段階です。具体的には、金融機関への返済猶予(リスケジュール)を行っても資金繰りが好転しない、あるいは従業員の給与や税金の支払いが遅れ始めたときが相談の目安となります。手元の現金が尽きてからでは、裁判所に納める予納金や弁護士費用を捻出できず、破産手続き自体を進められなくなる危険性があります。少しでも資金的な余力があるうちに専門家へ相談することが、関係者への影響を最小限に抑えるための重要な判断です。

弁護士へ相談する際は、会社の財務状況を正確に伝えるための資料を事前に準備しておくと、その後の手続きがスムーズに進みます。

弁護士相談時に準備すべき主な情報・資料
  • 直近2〜3期分の決算報告書、確定申告書の控え
  • 最新の試算表や資金繰り表
  • 金融機関、仕入先、従業員など全債権者の名称・所在地・債務額をまとめた債権者リスト
  • 不動産、車両、売掛金、在庫、保険解約返戻金など資産状況がわかる資料

会社破産に精通した弁護士の選び方と依頼のポイント

会社破産は専門性が高く、弁護士の実務経験が手続きの質と速度に大きく影響します。適切な弁護士を選ぶためには、いくつかのポイントがあります。

会社破産に精通した弁護士の選び方
  • 法人破産案件の取り扱い実績が豊富であること
  • 裁判所から選任される破産管財人の経験があること
  • 地域の裁判所の運用ルールや実務に精通していること

信頼できる弁護士を見つけた上で、実際に依頼する際には以下の点を確認することが重要です。

弁護士へ依頼する際の確認ポイント
  • 弁護士費用と予納金を合わせた総額や支払い方法について明確な説明があるか
  • 従業員の解雇や取引先対応、経営者個人の連帯保証問題まで一貫してサポートしてくれるか
  • 経営者の不安に寄り添いつつ、法的なリスクを客観的に判断し、分かりやすく説明してくれるか

弁護士への依頼から受任通知の発送までの初期対応

弁護士と委任契約を締結した後、最初に行う重要な手続きが、全債権者への受任通知の発送です。受任通知とは、弁護士が代理人に就任し、破産準備に入ったことを知らせる書面です。この通知が債権者に届くと、貸金業法などの規定により、会社への直接の取り立てや督促が法的に停止されます。これにより、経営者は日々のプレッシャーから解放され、破産申立ての準備に専念できるようになります。

ただし、受任通知を発送するタイミングは慎重に決定する必要があります。通知が銀行に届くと、会社の預金口座は直ちに凍結され、借入金と相殺されるのが一般的です。そのため、従業員への最終給与の支払いや予納金の確保といった準備が整う直前のタイミングで発送します。実務上は、受任通知の発送と同時に事業を完全に停止し、債権者間の不公平が生じないようにすることが、後の手続きを円滑に進めるための鍵となります。

取締役会での承認や株主への説明といった社内手続き

会社破産を申し立てるには、法人の正式な意思決定として、社内手続きを経る必要があります。取締役会を設置している会社では、取締役会を開き、破産申立て議案について過半数の承認を得なければなりません。その決議内容を記録した取締役会議事録は、裁判所への提出が必須です。取締役会がない会社の場合は、取締役の過半数の一致をもって決定し、その同意書を作成します。

法律上、破産申立てに株主総会の決議は要求されていません。これは、手続きの緊急性や、情報漏洩によるインサイダー取引などの混乱を防ぐためです。しかし、会社の消滅は株主の利益に重大な影響を及ぼすため、実務上は主要な株主に対し、適切な時期に事情を説明し、理解を得ておくことが望ましい対応とされています。

会社破産(法人破産)の申立て手続きの全体像と流れ

ステップ1:受任通知の発送と債権者対応の停止

会社破産手続きの事実上のスタート地点となるのが、弁護士から全債権者への受任通知の発送です。この通知は「Xデー」とも呼ばれ、これ以降、会社は一切の債務返済を停止し、債権者からの直接の督促も止まります。全ての窓口が弁護士に一本化されるため、経営者は精神的な負担から解放されます。

しかし、受任通知の発送には注意点もあります。金融機関に通知が届けば、預金口座は即座に凍結され、借入金と相殺処理が行われます。そのため、事前に予納金や従業員への最終給与などを確保しておく資金計画が不可欠です。また、通知発送後は、特定の債権者にだけ返済する偏頗弁済が厳しく禁じられ、債権者平等の原則に基づいた公平な対応が求められます。

ステップ2:資産・負債の調査と会社財産の保全

受任通知の発送と並行して、会社が保有する全資産と負債の詳細な調査が始まります。資産については、預貯金、不動産、車両、売掛金、在庫品などを全てリストアップし、その価値を評価します。負債については、債権者からの届出などに基づき、正確な債務額を確定させます。この調査結果は、裁判所に提出する資産目録債権者一覧表の基礎となります。

同時に、会社の財産が散逸しないように保全することも極めて重要です。事業停止直後には、取引先などが在庫品などを持ち去ろうとするトラブルも起こり得ますが、こうした自力救済は認められません。弁護士は事業所を施錠管理するなどして、全ての財産を法的な管理下に置きます。会社の資産を不当に安く売却したり、代表者個人に移したりする行為は厳禁です。

ステップ3:破産申立書類の作成と収集

資産と負債の調査が完了すると、裁判所に提出する申立書類の作成に取り掛かります。中心となる破産手続開始申立書には、会社の概要や破産に至った経緯を詳細に記した陳述書を添付します。裁判所はこの陳述書を基に、破産の原因に不当な点がないかなどを判断するため、弁護士と協力し、正確かつ論理的に作成する必要があります。

申立てには、多数の裏付け資料の収集も必要となります。

申立てに必要な主な添付資料の例
  • 履歴事項全部証明書(商業登記簿謄本)
  • 過去数年分の決算書、確定申告書、総勘定元帳
  • 全ての銀行口座の通帳コピー(過去2年分程度)
  • 不動産登記簿謄本、車検証、保険証券など資産の証明資料
  • 賃金台帳や従業員名簿

これらの資料収集には時間がかかるため、弁護士の指示に従い、計画的に進めることが迅速な申立てにつながります。

ステップ4:管轄裁判所への破産手続開始の申立て

全ての書類と費用が準備できたら、会社の本店所在地を管轄する地方裁判所へ破産手続開始の申立てを行います。申立て後は、裁判所による書面審査が行われます。複雑な事案では、裁判官が代表者から直接事情を聴く審尋が開かれることもありますが、多くは書面審査のみで進みます。

申立てに際しては、裁判所が定める予納金を納付する必要があります。これは、後に選任される破産管財人の報酬や手続きの実費に充てられるもので、納付できなければ申立ては棄却されます。東京地裁をはじめ、多くの地方裁判所で、弁護士が代理人となることで予納金額が低額になる少額管財制度が運用されており、多くの事案でこれが利用されます。

ステップ5:破産手続開始決定と破産管財人の選任

申立書類の審査と予納金の納付が完了すると、裁判所は破産手続開始決定を下します。この決定により、会社は法的に解散し、財産の管理・処分権は経営者から完全に離れます。そして、会社の財産を管理するために、裁判所が中立な立場の弁護士を破産管財人として選任します。

開始決定後、経営者(代表者)は、速やかに破産管財人と面談し、会社の資産・負債の状況や経営の経緯などを詳細に説明する説明義務を負います。この場で虚偽の説明をしたり、協力を拒んだりすると、後の手続きで重大な不利益を被る可能性があります。破産管財人は、法に則って手続きを公正に進める役割を担っており、経営者は誠実に協力することが求められます。

ステップ6:破産管財人による管財業務(財産の換価・配当)

破産管財人が選任されると、具体的な清算作業である管財業務が開始されます。まず、会社の財産をすべて現金化する換価作業が行われます。不動産の売却、在庫品の処分、売掛金の回収などを適正な価格で進めます。この過程で、破産管財人は、過去に不当な財産処分がなかったかを調査し、もしあれば否認権を行使して財産を取り戻します。

換価によって得られた現金は、法律で定められた優先順位に従って債権者へ分配(配当)されます。税金や労働債権などが優先的に支払われ、その後に一般の取引先などへの配当が行われます。ただし、中小企業の破産では、資産がほとんど残っておらず、一般の債権者への配当が全く行われずに手続きが終了することも少なくありません。

ステップ7:債権者集会の開催と破産手続きの終結

管財業務が進むと、裁判所で債権者集会が開催されます。これは、破産管財人が債権者に対し、財産の換価状況や配当の見込みなどを報告する場です。会社の代表者も出席が義務付けられており、債権者からの質問に誠実に応える必要があります。

全ての財産の換価と配当が完了する、または配当する財産がないことが確定すると、裁判所は破産手続終結決定(配当がない場合は異時廃止決定)を下します。この決定が確定し、法務局で会社の登記が閉鎖されると、法人は法律上完全に消滅します。これにより、会社が負っていた全ての債務も消滅し、清算手続きが完了となります。

破産申立てに必要となる主な書類

申立書や添付書類など裁判所に提出する基本書類

破産申立ての中核となるのが破産手続開始申立書です。これには会社の基本情報に加え、支払不能や債務超過に至った経緯を具体的に記載します。この申立書と合わせて、以下の基本書類を提出します。

申立書とセットで提出する基本書類
  • 破産手続開始申立書
  • 弁護士への委任状
  • 会社の履歴事項全部証明書(発行から3ヶ月以内)
  • 破産申立てに関する取締役会議事録または取締役の同意書
  • 会社の沿革や破産に至った経緯をまとめた陳述書

会社の財産状況を示す書類(資産目録、貸借対照表など)

裁判所や破産管財人は、会社の財産状況を正確に把握する必要があります。そのため、資産に関する詳細な書類の提出が求められます。

資産状況を明らかにする主な書類
  • 資産目録:現金、預貯金、不動産、売掛金など全資産の価値を一覧にしたもの
  • 直近2〜3期分の貸借対照表および損益計算書
  • 申立時点での資産・負債をまとめた清算貸借対照表(必要な場合)
  • 各資産の裏付け資料(預金通帳のコピー、不動産登記簿謄本、車検証など)

資産を隠したり過小に申告したりする行為は、財産隠匿とみなされ、厳しいペナルティの対象となるため、正確な情報開示が不可欠です。

債権者・債務者に関する書類(債権者一覧表、賃金台帳など)

会社の負債の全体像を明らかにするため、債権者に関する書類も重要です。また、回収すべき債権(売掛金)がある場合は、その情報も提出します。

債権者・債務者に関する主な書類
  • 債権者一覧表:全債権者の名称、住所、債務額、担保の有無などを記載したリスト
  • 賃金台帳・従業員名簿:未払給与の額を確定するための資料
  • 債務者(売掛先)一覧表:破産管財人が売掛金を回収するための資料

特に債権者一覧表は、裁判所からの通知に使われるため、極めて正確な情報が求められます。

その他、会社の状況に応じて必要となる各種資料

会社の事業内容や個別の事情に応じて、上記以外の様々な資料が必要になることがあります。

会社の状況に応じて追加で必要となる資料の例
  • 事務所や店舗の賃貸借契約書
  • 設備や車両のリース契約書
  • 他社の債務を保証している場合の保証契約書
  • 進行中の訴訟に関する裁判書類
  • 事業に必要な許認可証の写し

これらの書類を弁護士と相談しながら漏れなく準備することが、手続きの円滑な進行につながります。

破産申立てにかかる費用と期間の目安

申立てから終結までにかかる期間の目安

会社破産の手続きにかかる期間は、事案の規模や複雑さによって異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。

会社破産手続きの期間目安
  • 準備期間:弁護士への相談から申立てまで、通常1ヶ月~3ヶ月程度
  • 申立てから開始決定まで:少額管財事件で数日~数週間、通常管財事件で1ヶ月程度
  • 開始決定から終結まで:単純な事案で3ヶ月~半年、不動産の売却など複雑な作業がある場合は1年以上

資産の換価に時間がかかる場合や、訴訟が絡む場合には、手続きが数年に及ぶこともあります。

裁判所に納める費用(予納金・印紙代など)の内訳

破産を申し立てる際、裁判所に実費を納める必要があります。その中心となるのが予納金です。

裁判所に納める費用の内訳
  • 予納金:破産管財人の報酬や手続き費用に充てるお金。負債総額に応じて変動する。
  • 収入印紙:申立手数料として1,000円分。
  • 郵便切手:債権者への通知などに使用するもので、数千円~数万円程度。
  • 官報公告費用:破産の事実を官報に掲載するための費用で、約1万5,000円程度。

予納金は、弁護士が代理人となる少額管財事件では最低20万円からですが、通常管財事件では負債額に応じて高額になります。

負債総額 予納金額
5,000万円未満 70万円~
5,000万円以上1億円未満 100万円~
1億円以上5億円未満 200万円~
5億円以上10億円未満 300万円~
【参考】通常管財事件における予納金の目安(東京地裁の場合)

弁護士に支払う費用の内訳と相場

弁護士に依頼する費用は、法律事務所によって異なりますが、一般的には着手金、報酬金、実費で構成されます。

弁護士費用の主な内訳
  • 着手金:手続きの開始時に支払う費用。中小企業の場合、50万円~100万円程度が相場。
  • 報酬金:手続き終了時に支払う費用。法人破産では発生しない契約体系も多い。
  • 実費:交通費や書類取得費用など、手続きで実際にかかった経費。

会社の資産を売却した代金や、債権者への支払いを停止して浮いた資金を弁護士費用に充当することが認められています。費用が捻出できなくなる前に、早期に弁護士へ相談し、資金計画を立てることが重要です。

会社破産が関係者に与える影響

従業員への影響(解雇手続きと未払賃金の扱い)

会社が破産すると法人格が消滅するため、全従業員を解雇せざるを得ません。通常、事業停止と同時に解雇手続きを行います。突然の解雇は従業員の生活に大きな影響を与えるため、誠実な対応が必要です。

未払いの給与や退職金は、破産手続きにおいて他の一般債権よりも優先的に支払われます。しかし、会社に支払い原資がない場合に備え、国が未払賃金の一部を立て替える未払賃金立替払制度があります。経営者は、従業員がこの制度を利用できるよう、必要な資料を準備し、破産管財人に協力する義務があります。

取引先・債権者への影響と対応

取引先にとって、取引先の破産は貸倒れを意味し、経営に大きな打撃を与える可能性があります。連鎖倒産を引き起こす危険性もはらんでいます。

破産手続きが始まると、債権者は個別の取り立てができなくなり、裁判所の管理下で行われる配当を待つことになります。しかし、多くの中小企業の破産では、一般の取引先への配当はごく僅かか、ゼロになるのが実情です。

経営者としては、弁護士からの受任通知を通じて、法的手続きに入った事実を全債権者に公平に伝えることが最善の対応です。特定の取引先だけを優遇する偏頗弁済は、後に破産管財人によって取り消され、かえって相手に迷惑をかけることになるため、絶対に行ってはなりません。

経営者本人と家族への影響(連帯保証債務など)

法人の破産と個人の破産は別の手続きですが、中小企業の多くは経営者が会社の借入金を個人で連帯保証しています。そのため、会社が破産すると、残った債務の支払いを経営者個人が請求され、結果的に自己破産を選択せざるを得ないケースがほとんどです。

経営者が自己破産すると、自宅などの個人資産は原則として処分されます。ただし、生活に必要な一定の財産(99万円以下の現金など)は自由財産として手元に残せます。家族の財産が直接影響を受けることはありませんが、自宅を失うなど生活環境は大きく変わる可能性があります。また、数年間は新たな借入れなどができなくなります。

従業員への解雇通知の適切なタイミングと伝え方の注意点

従業員への解雇通知は、事業を停止する当日に行うのが最も一般的です。タイミングが早すぎると情報漏洩や混乱を招き、遅すぎると未払賃金が増え、従業員の再就職にも影響します。

通知の際は弁護士に同席してもらい、法的な手続きについて客観的に説明してもらうのが望ましいでしょう。

解雇を伝える際の注意点
  • 会社の状況を正直に説明し、誠実に謝罪する。
  • 未払賃金の支払いや失業保険の手続きなど、従業員の当面の生活に関する情報を正確に提供する。
  • 解雇通知書や離職票の発行といった事務手続きを迅速に進める姿勢を示す。
  • 感情的な反発があっても、経営者としての最後の責任として説明を尽くす。

破産手続きの検討中に避けるべき行為

特定の債権者のみに返済する行為(偏頗弁済)

破産直前に、特定の債権者にだけ借金を返済する行為は偏頗弁済(へんぱべんさい)と呼ばれ、破産法で固く禁じられています。これは、全ての債権者を平等に扱わなければならないという債権者平等の原則に反するためです。

このような返済は、後に破産管財人の否認権によって取り消され、支払いを受けた相手方はお金を返還する義務を負います。良かれと思ってした行為が、結果的に取引先などに大きな迷惑をかけることになります。弁護士に依頼した後は、全ての支払いを停止し、法的なルールに従うことが不可欠です。

会社の財産を不当に処分・隠匿する行為

会社の資産を代表者個人の口座に移したり、車両の名義を変更したり、在庫品を不当に安く知人へ売却したりする行為は、財産隠匿や不当処分にあたります。これらの行為は、破産法上の詐欺破産罪という刑事罰の対象となり得る、極めて悪質な行為です。

破産管財人は、預金通帳の履歴などを徹底的に調査するため、不自然な財産の動きは必ず発覚します。発覚すれば、隠した財産は取り戻されるだけでなく、経営者個人の自己破産における免責が認められなくなるなど、重大な結果を招きます。

裁判所や破産管財人への虚偽説明・非協力的な態度

破産手続きにおいて、経営者には破産管財人の調査に協力し、財産や経営状況について誠実に説明する説明義務が課されています。管財人からの質問に嘘をついたり、資料の提出を拒んだりする非協力的な態度は、手続きを遅らせるだけでなく、最悪の場合、破産手続き自体が打ち切られたり、刑事罰の対象になったりする可能性があります。

虚偽の説明は、経営者個人の自己破産において免責不許可事由に該当し、借金の免除が受けられなくなる直接的な原因となります。誠実な協力こそが、手続きを円滑に進め、早期の再スタートを切るための鍵です。

代表者個人への財産移転や役員退職金の支払いが問題となるケース

経営危機が迫る中で、破産直前に高額な役員退職金を支払ったり、会社の不動産を代表者個人に安く売却したりする行為は、債権者の利益を害する詐害行為とみなされます。これらの行為は破産管財人の否認権の対象となり、移転した財産は会社に戻さなければなりません。

また、個人的な支出を会社の経費で処理するなどの公私混同も、管財人の調査で厳しく追及されます。不適切な支出と判断された場合、その金額を会社に返還するよう求められることもあります。会社と個人の財産は厳格に区別し、透明な状態で手続きに臨むことが重要です。

会社破産(法人破産)に関するよくある質問

債権者から破産を申し立てられることはありますか?

はい、あります。債務者である会社自身ではなく、債権者が裁判所に破産を申し立てることを債権者破産と呼びます。会社が支払不能状態にもかかわらず放置されている場合などに、債権者が自らの権利を守るために行うことがあります。

ただし、債権者破産では、申立てを行う債権者が高額な予納金を一時的に立て替える必要があるなど、負担が大きいため、実際の件数は多くありません。会社としては、債権者から申し立てられる前に、自ら主体的に手続きを開始することが望ましいでしょう。

滞納している税金や社会保険料の支払義務はどうなりますか?

法人が破産し、手続きが終結して法人格が消滅すれば、滞納していた税金や社会保険料の支払義務も原則として消滅します。破産手続きの中で配当できる資産がなければ、それ以上の支払いは求められません。

ただし、経営者個人が会社の税金について納税保証をしていた場合や、合名会社・合資会社の無限責任社員である場合など、例外的に経営者個人が支払義務を負うケースも存在します。通常の株式会社であれば、特別な保証をしていない限り、経営者が個人の財産から支払う必要はありません。

会社の破産で経営者個人の資産も処分されますか?

原則として、法人と個人は別人格であるため、会社の破産が直ちに経営者個人の資産処分につながるわけではありません。しかし、多くの中小企業では、経営者が会社の借入について連帯保証人になっているため、法人が返済できなくなった債務を個人として負うことになります。

その結果、経営者自身も自己破産せざるを得なくなり、個人の資産(自宅、預貯金など)も原則として処分されるのが実情です。ただし、個人の破産では生活再建のため、法律で定められた一定の財産(自由財産)を手元に残すことが認められています。

破産申立ての費用が準備できない場合の対処法はありますか?

手元に現金がなくても、費用を捻出する方法はいくつかあります。弁護士と相談の上、適切な方法を選択することが重要です。

破産申立て費用の捻出方法
  • 会社所有の車両や在庫品などを適正価格で売却して現金化する。
  • 取引先から売掛金を回収し、その資金を費用に充てる。
  • 会社が契約している生命保険を解約し、解約返戻金を利用する。
  • 弁護士に依頼して債権者への返済を停止し、浮いた資金を積み立てる。
  • 親族などから援助を受ける(ただし、返済不要な援助であることが望ましい)。

破産後に再び会社を設立(起業)することはできますか?

はい、法律上、破産した後に再び起業することは全く問題ありません。現在の会社法では、破産者であるという理由だけで会社の取締役に就任できないという制限はありません。過去の経験を活かし、新たなビジネスに挑戦するセカンドチャンスは制度的に保障されています。

ただし、実務上の課題として、破産後数年間は信用情報機関に事故情報が登録されるため、金融機関からの融資やクレジットカードの作成が困難になります。そのため、当初は自己資金で事業を始める、日本政策金融公庫の再挑戦支援資金などを活用するといった工夫が必要となります。

まとめ:会社破産手続きの全体像を把握し、早期の専門家相談へ

本記事では、会社破産の申立て準備から手続きが終結するまでの具体的な流れ、必要書類、費用、注意点について網羅的に解説しました。会社破産は、弁護士への相談から始まり、受任通知の発送、裁判所への申立て、そして破産管財人による財産の換価・配当という、法律に定められた厳格なプロセスに沿って進められます。この過程では、正確な書類準備と、裁判所に納める予納金などの費用確保が不可欠です。最も重要なのは、資金が完全に枯渇し、選択肢がなくなる前に、法人破産に精通した弁護士へ相談することです。早期に専門家の助言を得ることが、関係者への影響を最小限に抑え、経営者自身の再スタートに向けた道を切り拓くための鍵となります。

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