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同時廃止で免責不許可になるとどうなる?5つの影響と回避策を解説

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自己破産の手続きを進める中で、万が一「免責不許可」という最悪の事態になったらどうなるのか、強い不安を感じている方も多いのではないでしょうか。免責が許可されなければ、借金の返済義務は残り続け、生活再建の計画は根本から覆されてしまいます。この記事では、同時廃止手続きにおいて免責が許可されない具体的なケースと、もし免責不許可が決定した場合に生じる法的なデメリット、そしてそれを回避するための注意点について詳しく解説します。

目次

自己破産における免責不許可事由とは

浪費やギャンブルによる著しい財産減少・過大な債務負担

自己破産の手続きで最も問題となりやすいのが、浪費やギャンブルが原因で財産を著しく減らしたり、返済能力を超えるほどの多額の借金を負ったりするケースです。これは破産法第252条第1項第4号に定められています。

浪費とは、収入や資産に見合わない過剰な支出を指します。また、ギャンブルなどの射幸行為も同様に評価されます。ただし、これらの行為があったという事実だけで、直ちに免責が不許可になるわけではありません。あくまで社会通念を大きく逸脱し、「著しく財産を減少」させたり、「過大な債務を負担」したりしたと裁判所が判断した場合に、免責不許可事由に該当します。

浪費やギャンブルに該当しうる行為の例
  • ホストクラブやキャバクラなどでの高額な飲食
  • ブランド品や高級車など、収入不相応な買い物を繰り返すこと
  • 競馬、パチンコ、オンラインカジノなどへの過度な出費
  • FX(外国為替証拠金取引)や仮想通貨など、投機性の高い取引による多額の損失

財産状況に関する虚偽の申告や財産の隠匿

破産手続きにおいて、財産を意図的に隠したり、財産状況について嘘の申告をしたりする行為は、債権者の利益を害する不誠実な行為として厳しく禁じられています(破産法第252条第1項第1号・第7号)。

裁判所や破産管財人は、預金通帳の入出金履歴や課税証明書などを調査する権限を持っており、不自然な資産の動きは高い確率で発覚します。財産隠しが判明した場合、免責を得ることは極めて困難になります。

財産隠匿や虚偽申告とみなされる行為の例
  • 不動産、自動車、解約返戻金のある生命保険などの存在を申告しない
  • 破産申立ての直前に、財産を親族や知人へ無償または不当に安い価格で譲渡・名義変更する
  • 友人や会社からの借金を隠すため、債権者一覧表に意図的に記載しない
  • 裁判所や破産管財人からの財産に関する質問に対し、虚偽の説明をする

特定の債権者のみを優遇する行為(偏頗弁済)

破産手続きの基本原則である「債権者平等の原則」に反し、特定の債権者にだけ優先的に返済する行為は「偏頗弁済(へんぱべんさい)」と呼ばれ、免責不許可事由に該当します(破産法第252条第1項第3号)。

すべての債権者は、それぞれの債権額に応じて平等に配当を受ける権利があります。そのため、一部の債権者だけを優遇することは、他の債権者の利益を不当に侵害する行為とみなされます。良かれと思って行った返済が、結果的に免責を妨げる原因となるため注意が必要です。

偏頗弁済に該当する行為の例
  • お世話になった親族や友人からの借金だけを優先して返済する
  • 自動車が引き揚げられるのを防ぐため、自動車ローンだけを完済する
  • 保証人に迷惑をかけたくないという理由で、その保証人が関わる借金だけを返済する

過去7年以内に免責許可決定を受けている場合

以前に自己破産で免責許可決定を受けており、その決定の確定日から7年以内に再度免責を申し立てた場合は、原則として免責不許可となります(破産法第252条第1項第10号イ)。この規定は、自己破産制度の安易な濫用を防ぐために設けられています。

この7年間の制限は、自己破産による免責だけでなく、個人再生手続における給与所得者等再生の再生計画認可決定も対象に含みます。

7年間の再申立て制限の対象となる手続き
  • 自己破産による免責許可決定
  • 個人再生手続における給与所得者等再生の再生計画認可決定

ただし、前回の破産とは異なるやむを得ない事情(例:本人の重病や会社の倒産など)がある場合は、裁判所の裁量によって免責が認められる可能性も残されています。

裁判所への説明義務や調査協力義務への違反

破産者は、手続きの過程で裁判所や破産管財人からの調査に誠実に協力する義務を負っています(破産法第252条第1項第8号・第11号)。この義務に違反する行為は、手続きの公正な進行を妨げるものとして、免責不許可事由とされています。

破産手続きは、債務者の誠実な協力を前提とした救済制度です。非協力的な態度は、更生の意思がないと判断され、免責が認められない大きな要因となります。

調査協力義務違反とみなされる行為の例
  • 正当な理由なく、裁判所や破産管財人からの呼び出し(審尋や面談)に応じない
  • 財産や借金の経緯について、虚偽の説明をする
  • 家計簿や給与明細、領収書といった必要書類の提出を拒否または遅延する
  • 破産管財人の職務を意図的に妨害する

免責不許可事由があっても免責される「裁量免責」

たとえ免責不許可事由に該当する行為があったとしても、必ずしも免責が受けられないわけではありません。破産法第252条第2項には「裁量免責」という制度が定められています。

これは、裁判所が破産に至った経緯や本人の反省の度合い、手続きへの協力姿勢など、一切の事情を考慮して、免責を許可することが相当であると判断した場合に、免責を認める制度です。実務上、免責不許可事由があるケースでも、その多くがこの裁量免責によって救済されています。

裁量免責の判断で考慮される主な要素
  • 免責不許可事由に該当する行為の内容や程度
  • 破産に至った経緯に、やむを得ない事情があったか
  • 破産者本人が深く反省し、更生の意欲を示しているか
  • 破産管財人の調査に誠実に協力しているか

免責不許可が決定した場合に生じる5つの具体的な影響

影響1:債務の支払い義務が免除されない

免責不許可が確定すると、自己破産の最大の目的である債務の支払い義務の免除という効果が得られません。手続きの対象となったすべての借金がそのまま残り、金融機関や個人からの借金を返済し続けなければならなくなります。

破産手続き中に一部の財産が換価・配当されても、残った債務については返済義務が存続します。さらに、返済を停止していた期間の遅延損害金も加算されるため、負債総額が手続き前より増えてしまう可能性もあります。

影響2:破産者としての資格制限が解除されない

破産手続が開始されると、法律上、特定の職業に就けなくなる資格制限を受けます。通常、この制限は免責許可決定が確定すると「復権」によって解除されます。しかし、免責が不許可になると復権が得られず、資格制限が継続します。

この制限は、債務を完済するか、破産手続開始決定から10年が経過するまで続きます。その間、該当する職業で働くことができず、キャリアに深刻な影響を及ぼします。

資格制限を受ける職業・役職の例
  • 弁護士、司法書士、税理士などの士業
  • 警備員、生命保険募集人、宅地建物取引士
  • 株式会社や合同会社の取締役、監査役などの役員(退任事由に該当)

影響3:7年間は再度の自己破産申立てができない

一度、免責不許可の決定が確定すると、その後に再度自己破産を申し立てても、7年間は免責を得ることが極めて困難になります。

法律上は「前回の免責許可から7年以内」が不許可事由とされていますが、一度不許可という判断を下された経緯がある場合、裁判所の審査は格段に厳しくなります。特に、財産隠しなどの不誠実な行為が原因であった場合、短期間での救済はまず認められないと考えるべきです。

影響4:債権者からの取り立てが再開される

弁護士の受任通知や破産手続開始決定により一時的に停止していた債権者からの取り立て行為が、免責不許可の確定と同時に再開されます。債権者は、電話や書面による督促だけでなく、裁判所に訴訟を提起して給与や預金口座の差し押さえといった強制執行に踏み切る可能性が高まります。

給与が差し押さえられると、勤務先に借金の事実が知られてしまい、社会的な信用を失うことにも繋がりかねません。

影響5:同時廃止から管財事件へ移行する可能性

免責不許可事由に該当する疑いがある場合、本来は財産が少なく手続きが簡素な「同時廃止」で処理される見込みの事案でも、裁判所の判断で「管財事件」に移行することがあります。

管財事件になると、裁判所が破産管財人を選任し、財産や免責に関する詳細な調査を行います。この場合、債務者は破産管財人の報酬などに充てるための予納金(通常20万円以上)を別途納付する必要があり、経済的負担が大幅に増加します。また、郵便物が管財人に転送されるなど、プライバシー面での制約も受けます。

「免責不許可」と「非免責債権」の根本的な違い

免責不許可:すべての債務の支払い義務が残る状態

「免責不許可」とは、裁判所が破産者に対して一切の借金の免除を認めないという決定です。浪費や財産隠しといった不誠実な行為があり、裁量免責も認められない場合に下されます。この決定が確定すると、自己破産を申し立てたにもかかわらず、銀行ローン、消費者金融、個人からの借金など、すべての債務の支払い義務がそのまま残ります。破産者という法的な不利益だけを負い、経済的再生という目的は達成できない、最も厳しい結果です。

非免責債権:免責許可後も支払い義務が残る特定の債務

一方、「非免責債権」とは、裁判所から無事に免責許可決定を得た後でも、例外的に支払い義務が免除されない特定の債務を指します(破産法第253条第1項)。これらは、政策的・社会的な観点から、破産制度によっても支払いを免れさせることが不適切とされる債権です。したがって、免責が許可されても、これらの債権については引き続き全額を支払う必要があります。

主な非免責債権の例
  • 所得税、住民税、固定資産税などの各種税金
  • 国民健康保険料や国民年金保険料
  • 子どもの養育費や夫婦間の婚姻費用
  • 悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
  • 故意または重過失により人の生命・身体を害した場合の損害賠償請求権

免責不許可を回避するために手続き中に注意すべき点

財産や債務状況は正直かつ正確に申告する

自己破産手続きを成功させるための大前提は、自身の財産や債務の状況を正直かつ正確に申告することです。預貯金、不動産、自動車、生命保険はもちろん、少額の資産や個人的な借金も含め、すべてを包み隠さず明らかにしなければなりません。

裁判所は提出された資料と、預金履歴などの客観的データを照合して矛盾点を調査します。もし申告漏れに後から気づいた場合は、直ちに弁護士を通じて訂正を申し出てください。意図的ではないミスであることを示し、誠実な姿勢を保つことが重要です。

裁判所や破産管財人には誠実に対応する

破産管財人が選任された場合、その調査に協力することは破産者の法的な義務です。管財人からの面談の要請には必ず応じ、質問には真実を述べてください。家計簿や関連資料の提出を求められた際も、迅速かつ誠実に対応することが求められます。

管財人は、債務者が経済的に更生する意思があるかを厳しく見ています。手続き中に新たな借金をしたり、浪費をしたりする行為は絶対に避けるべきです。管財人との信頼関係を築くことが、裁量免責を得るための鍵となります。

免責不許可事由に心当たりがあれば弁護士に必ず伝える

過去の浪費やギャンブル、特定の債権者への優先的な返済など、免責不許可事由に該当する可能性のある事実は、手続きを依頼する最初の段階で弁護士にすべて打ち明ける必要があります。

不利な情報を隠したまま手続きを進め、後から裁判所や管財人に指摘されると、不誠実な態度とみなされ、心証が著しく悪化します。事前に弁護士が事実を把握していれば、裁量免責を得るための適切な方針を立て、裁判所に対して説得力のある主張を展開することが可能になります。

免責審尋における反省の態度と再建計画の具体性

免責審尋は、裁判官と直接面談し、免責を許可すべきかを最終的に判断される重要な機会です。この場では、過去の過ちに対する深い反省の意を示すとともに、二度と同じ過ちを繰り返さないための具体的な再建計画を説明することが不可欠です。

例えば、浪費が原因であれば家計簿による収支管理の徹底、ギャンブルが原因であれば専門機関でのカウンセリング受診など、行動に基づいた具体的な改善策を提示します。抽象的な決意表明ではなく、事実に基づいた計画を示すことで、裁判官に更生の真剣さを伝えることができます。

万が一、免責不許可が確定した場合の対処法

決定への不服申立て(即時抗告)を検討する

地方裁判所の免責不許可決定に納得できない場合、高等裁判所に対して「即時抗告」という不服申立てを行うことができます。ただし、この申立ては決定の通知を受けてから1週間以内という非常に短い期間内に行わなければなりません。

一度下された司法判断を覆すことは容易ではなく、高度な法的知識が求められます。免責不許可が決定された場合は、直ちに弁護士と協議し、即時抗告を行うべきか、そのための法的根拠が十分にあるかを検討する必要があります。

債権者との個別交渉による任意整理を目指す

自己破産による免責が認められなかった場合でも、弁護士を通じて各債権者と個別に交渉し、返済条件の変更を求める「任意整理」という方法があります。

これは、将来発生する利息のカットや、元本の長期分割返済(通常3~5年)について合意を取り付ける手続きです。債権者側も、差し押さえなどの法的措置より、分割でも確実に元本を回収できる方が良いと判断すれば、交渉に応じる可能性があります。ただし、個人での交渉は困難なため、債務整理の経験豊富な弁護士への依頼が不可欠です。

個人再生手続への移行を検討する

免責不許可となった場合の最も有効な次善策の一つが、「個人再生」への手続き移行です。個人再生は、裁判所の認可を得た再生計画に基づき、借金総額を大幅に(原則5分の1程度に)減額し、その額を原則3年間で分割返済していく手続きです。

個人再生には、自己破産のような厳格な免責不許可事由がありません。そのため、浪費やギャンブルが原因の借金であっても、安定した収入があり、再生計画通りの返済が見込める場合は利用できる可能性が高いです。生活を立て直すための非常に強力な法的手段となります。

同時廃止の免責に関するよくある質問

Q. 債権者から異議が出ると、必ず免責不許可になりますか?

いいえ、債権者から免責に関する異議が出たからといって、必ず免責不許可になるわけではありません。債権者の意見はあくまで参考であり、免責を許可するかどうかの最終的な判断は、すべての事情を考慮した上で裁判所が行います。

重要なのは、異議で指摘された内容が事実である場合でも、それを正直に認め、深く反省している態度を示すことです。そして、生活再建に向けた具体的な努力を裁判所に説明することで、裁量免責を得られる可能性は十分にあります。

Q. 免責不許可の決定に不服を申し立てることはできますか?

はい、免責不許可の決定に対しては、「即時抗告」という手続きで不服を申し立てることが認められています。この申立ては、決定の通知を受けてから1週間以内に、高等裁判所に対して行う必要があります。

この期間を過ぎると決定が確定し、争うことができなくなります。一度下された判断を覆すのは簡単ではないため、不服申立てを検討する場合は、直ちに経験豊富な弁護士に相談し、迅速に対応することが不可欠です。

Q. 免責不許可になると、家族にも影響がありますか?

免責不許可の法的な影響は、原則として破産者本人に限定されます。しかし、実生活においては家族にも大きな影響が及びます。

家族への影響の内訳
  • 直接的な法的影響: 家族が借金の連帯保証人になっていない限り、家族に支払い義務が及ぶことはありません。
  • 間接的な経済的影響: 債務の返済義務が残るため、家計全体が圧迫され、生活水準の維持が困難になります。
  • 強制執行による影響: 破産者本人の給与が差し押さえられると、家庭に入る収入が減少し、家族の生活に直接的な打撃を与えます。
  • 保証人への影響: もし家族が連帯保証人になっている場合、債権者は直ちに保証人である家族に対して一括返済を請求してくるため、家族が経済的に破綻する危険性があります。

まとめ:免責不許可のリスクを理解し、誠実な対応で再生を目指す

自己破産における免責不許可は、浪費や財産隠し、特定の債権者への偏った返済といった不誠実な行為が主な原因となります。免責が得られない場合、債務の返済義務がすべて残り、資格制限の継続や給与差し押さえなど、生活再建に極めて深刻な影響が及びます。しかし、免責不許可事由に該当する行為があったとしても、手続きに真摯に協力し、深く反省する姿勢を示すことで、裁判所の裁量による「裁量免責」が認められる可能性は十分にあります。最も重要なのは、弁護士にすべての事実を正直に話し、裁判所や破産管財人に対して誠実に対応することです。万が一、不許可となっても個人再生などの次善策も残されていますので、最後まで諦めずに専門家と相談しながら最善の道を探ることが肝要です。

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