手続

企業破産時の救済措置|事業再生・経営者保証・従業員保護の公的制度を解説

catfish_admin

企業の経営状況が悪化し、破産という厳しい選択肢を検討せざるを得ない局面では、事業の将来、ご自身の再起、そして従業員の生活など、様々な課題に直面します。しかし、このような困難な状況においても、事業の再生や関係者の負担を軽減するための公的・法的な救済措置が数多く存在します。この記事では、企業が破産する際に活用できる支援制度や法的手続きを、「事業」「経営者個人」「従業員」の3つの視点から網羅的に解説します。

目次

事業の再生・再建を目指すための公的支援と法的整理

中小企業活性化協議会による再生支援の概要と相談の流れ

中小企業活性化協議会は、全都道府県に設置された公的支援機関です。商工会議所などが運営主体となり、金融機関や専門家と連携しながら、収益力改善や事業再生、再チャレンジを目指す中小企業を支援します。かつての中小企業再生支援協議会と経営改善支援センターが統合された組織であり、企業の状況に応じて三つのフェーズで支援を提供します。

支援の3フェーズ
  • 収益力改善フェーズ: 経営改善の取り組みを支援します。
  • 再生フェーズ: 過大な債務を抱えた企業の事業再生計画策定を支援します。
  • 再チャレンジフェーズ: 廃業からの再挑戦や事業承継を支援します。

相談から支援開始までの基本的な流れは以下の通りです。

相談から再生計画成立までの流れ
  1. 第一次対応(窓口相談): 常駐する弁護士や公認会計士などの専門家が無料で相談に応じ、決算書や資金繰り表を基に経営課題の抽出や助言を行います。
  2. 第二次対応への移行判断: 窓口相談の結果、協議会による本格的な支援が適切と判断された場合、第二次対応へと進みます。
  3. 個別支援チームの編成: 第二次対応では、外部専門家から成る個別支援チームが組織され、財務や事業の詳細な調査(デューデリジェンス)が実施されます。
  4. 再生計画案の策定: 調査結果に基づき、債務者企業が自助努力を盛り込んだ再生計画案を作成します。
  5. バンクミーティングの開催: 協議会が全ての取引金融機関を招集し、再生計画案について協議を行います。
  6. 再生計画の成立: 全ての金融機関から同意が得られれば、リスケジュールや債権放棄などの金融支援を盛り込んだ再生計画が成立します。

計画成立後も、協議会によるモニタリングが約3年間継続されます。第二次対応では外部専門家の費用の一部を企業が負担しますが、国の補助により軽減されます。相談内容は秘密厳守で進められるため、取引先に知られることなく手続きを進めることが可能です。

日本政策金融公庫の再チャレンジ支援融資(企業再生貸付)の利用条件

日本政策金融公庫の「再挑戦支援資金(企業再生貸付)」は、過去に事業の廃業や破産を経験した方が、再び事業を始める際に利用できる公的融資制度です。利用するには、新たに事業を開始する方または事業開始後おおむね7年以内の方で、以下の要件を満たす必要があります。

主な利用要件
  • 廃業歴のある個人、または廃業歴のある経営者が運営する法人であること。
  • 廃業時の負債が、新たな事業に影響を与えない程度に整理される見込みがあること(自己破産での免責許可確定など)。
  • 廃業の理由が、経済環境の変化や自然災害など、やむを得ない事情と認められること。

融資の条件は以下の通りです。

項目 内容
資金使途 事業再開に必要な設備資金、および長期運転資金
融資限度額 国民生活事業:7,200万円 / 中小企業事業:7億2,000万円
返済期間 設備資金:20年以内 / 運転資金:15年以内(いずれも据置期間5年以内)
利率 原則として基準利率が適用(一定の要件を満たすと特別利率の適用あり)
担保・保証人 個別の相談により決定(経営責任者の個人保証が求められる場合あり)
再挑戦支援資金の融資条件概要

審査では、経営者の資質や新たな事業計画の妥当性、将来性などが総合的に評価されるため、専門家と相談しながら綿密な準備を行うことが重要です。

民事再生手続きの概要と事業継続の可能性

民事再生は、経営危機に陥った債務者が、裁判所の監督下で事業を継続しながら再建を目指す再建型の法的倒産手続きです。この手続きの最大の特徴は、原則として現経営陣が退任することなく経営権を維持したまま、再生手続きを進められる点にあります(DIP型:Debtor in Possession)。

支払不能や債務超過に陥るおそれがある場合に、裁判所へ申し立てることで手続きが開始されます。開始後は、裁判所が選任する監督委員の監督下に入り、重要な財産の処分などには同意が必要となります。事業を継続し、再生を成功させるためには、以下の点が重要です。

事業継続のための重要ポイント
  • 当面の運転資金の確保: 手続き開始後は旧債務の支払いが一時停止されるため資金繰りは安定しますが、人件費や仕入代金などの新規取引費用は随時支払う必要があります。
  • 実効性のある再生計画案の策定: 債務の減額や猶予を盛り込みつつ、債権者の多数の同意を得られる計画を作成します。この際、破産した場合の配当額を上回る弁済を保証する「清算価値保障原則」を満たす必要があります。

再生手法には、自社の収益で返済する「自力再建型」と、スポンサーからの資金援助を受ける「スポンサー型」があります。スポンサー型では事業譲渡の対価を弁済に充てることで、事業自体を存続させることが可能です。最終的に、債権者集会で出席した議決権者の過半数、かつ議決権総額の2分の1を超える賛成を得て再生計画が認可されると、計画に沿った弁済が始まります。

会社更生手続きの概要と大規模企業における適用

会社更生は、民事再生と同じく事業再建を目指す手続きですが、より強力かつ厳格な法的倒産手続きで、適用対象が株式会社に限定されています。主に社会的影響の大きい大規模企業の再生に利用されます。

民事再生との主な違いは以下の通りです。

項目 会社更生 民事再生
経営権 更生管財人が掌握し、現経営陣は原則退任 原則として現経営陣が継続
担保権の扱い 担保権も手続き内に取り込まれ、実行が禁止される(更生担保権 担保権者は手続き外で権利行使が可能(別除権
株主の権利 変更可能(100%減資など) 変更不可
会社更生と民事再生の主な違い

会社更生では、裁判所が選任した更生管財人が経営権を掌握し、抜本的な改革を進めます。担保権の実行も禁止されるため、事業に必要な資産を確実に保全できます。また、株主の権利も変更できるため、資本構成の抜本的な見直しが可能です。一方で、手続きが非常に複雑で、予納金や弁護士費用も数千万円から数億円規模と高額になるため、中小企業の利用は現実的ではありません。過去には日本航空などの大規模な経営破綻で適用された実績があります。

法的整理と私的整理の使い分けは?事業規模や債権者数に応じた選択基準

事業再生の手法は、裁判所が関与する「法的整理」と、当事者間の話し合いで進める「私的整理」に大別されます。どちらを選択するかは、事業規模や債権者の数、状況によって判断されます。

項目 法的整理(民事再生・会社更生など) 私的整理(事業再生ADR・中小企業活性化協議会など)
強制力 あり(法律に基づく多数決で再建計画を可決できる) なし(原則として対象債権者全員の同意が必要)
柔軟性 低い(法律で手続きが厳格に定められている) 高い(当事者間の合意に基づき柔軟に進められる)
公開性 原則公開(官報公告などで公になる) 原則非公開(風評被害を避けやすい)
適したケース 債権者数が多く利害対立が激しい場合、抜本的な整理が必要な場合 債権者数が少なく、金融機関が中心の場合
法的整理と私的整理の比較

私的整理は、迅速かつ柔軟で、倒産のイメージを避けられるメリットがありますが、債権者全員の同意が必要です。そのため、債権者が少なく、主に金融機関との調整で済む場合に適しています。一方、法的整理は、一部の債権者が反対しても多数決で強制的に手続きを進められるため、債権者が多数にのぼる場合や、利害関係が複雑な大規模事案で選択されます。

経営者個人の連帯保証債務から保護する救済措置

「経営者保証ガイドライン」の概要と活用のための3要件

「経営者保証に関するガイドライン」は、中小企業の経営者が法人の債務を連帯保証している場合に、その保証債務の整理を円滑に進めるための金融界の自主的なルールです。経営者保証が早期の事業再生や円滑な事業承継の阻害要因となることを防ぐ目的で策定されました。

新たに保証なしの融資を受けたり、既存の保証を解除したりするには、以下の3要件を満たす経営体制が求められます。

経営者保証を不要とするための3要件
  • 法人と経営者の関係の明確な区分・分離: 法人の資産・経理と個人のものが明確に分離されていること。
  • 財務基盤の強化: 法人の資産や収益力のみで借入返済が可能と判断される財務状況であること。
  • 財務状況の正確な把握と情報開示: 金融機関の要請に応じ、正確な財務情報を適時適切に開示し、経営の透明性を確保していること。

また、保証債務の履行を迫られた場面でこのガイドラインに基づき整理を進めると、以下のようなメリットがあります。

保証債務整理におけるガイドライン活用のメリット
  • インセンティブ資産の確保: 破産手続きでは処分される資産の一部を、経営者の再起のために手元に残せる可能性がある。
  • 信用情報への不登録: 保証債務を整理した事実が信用情報機関に登録されないため、その後の経済活動への影響を抑えられる。

経営者個人の自己破産手続きと免責の仕組み

会社の連帯保証人である経営者が保証債務を返済できなくなった場合、会社と共に個人も自己破産を申し立てることが一般的です。自己破産は、裁判所に申し立て、保有する一定以上の財産を債権者に配当する代わりに、残りの債務の支払義務を免除(免責)してもらう手続きです。

ただし、特定の行為があると免責が許可されない「免責不許可事由」が法律で定められています。

主な免責不許可事由
  • 財産を不当に隠したり、価値を減少させたりする行為
  • 特定の債権者にだけ返済する行為(偏頗弁済)
  • 浪費やギャンブルが原因で著しく財産を減少させた場合
  • 裁判所や破産管財人に対して虚偽の説明をする行為

もっとも、免責不許可事由があっても、裁判所が諸事情を考慮して免責を許可する「裁量免責」の制度があり、実際には多くの場合で免責が認められています。自己破産をしても、99万円以下の現金や生活必需品などの「自由財産」は手元に残すことができ、生活の全てを失うわけではありません。一方で、税金や悪意による損害賠償金など、免責されても支払義務が残る「非免責債権」も存在するため注意が必要です。

経営者個人の個人再生手続きと住宅資金特別条項

経営者が自宅を失うことなく多額の保証債務を整理したい場合、個人再生が有効な選択肢となります。個人再生は、裁判所の認可を得て債務を大幅に圧縮し、原則3年(最長5年)で分割返済していく手続きです。

最大の特長は「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」を利用できる点です。これにより、住宅ローンは従来通り返済を続けることで、マイホームに設定された抵当権の実行を防ぎ、自宅を手元に残したまま他の債務を整理できます。

住宅ローン特則を利用するための主な要件
  • 債務者本人が所有し、居住している住宅であること。
  • 店舗兼住宅の場合、床面積の2分の1以上が居住用であること。
  • 住宅ローン以外の抵当権が設定されていないこと
  • 税金の滞納による差押えが登記されていないこと。
  • 保証会社による代位弁済から6ヶ月が経過していないこと。

事業資金の融資を受ける際に自宅を共同担保に入れて後順位の抵当権を設定している場合、この特則は利用できないため注意が必要です。また、個人再生を利用するには、住宅ローンを除く債務総額が5,000万円以下でなければなりません。

経営者保証ガイドラインに基づく金融機関との交渉に向けた事前準備と注意点

経営者保証ガイドラインを活用して金融機関と交渉する場合、事前の準備が成功の鍵を握ります。特に、ガイドラインの要件である「法人と個人の一体性の解消」を客観的な資料で示すことが不可欠です。

交渉に向けた主な準備事項
  • 役員貸付金や仮払金を解消し、その事実が反映された財務諸表を準備する。
  • 個人的な支出を会社の経費で処理する公私混同を是正する。
  • 専門家の支援を受けて、客観的で合理的な事業再生計画書や資金繰り表を作成する。

交渉の際は、早い段階でガイドラインの適用を希望する旨を明確に伝え、準備した資料を提示して情報の信頼性を高めることが重要です。また、単に返済の猶予を求めるのではなく、早期に債務整理に着手することが、結果的に金融機関の回収額を最大化するという経済的合理性を論理的に説明することが求められます。

従業員の生活を守るための公的制度と法的手続き

未払賃金立替払制度の対象と手続きの流れ

未払賃金立替払制度は、会社の倒産によって賃金が支払われないまま退職した労働者に対し、国(労働者健康安全機構)が会社に代わって未払賃金の一部を立て替えて支払う制度です。

労災保険の適用事業所で1年以上事業活動を行っていた企業が倒産した場合に利用できます。対象となる賃金は、退職日の6ヶ月前から立替払請求日の前日までに支払期日が到来した定期賃金と退職手当です。ボーナスや解雇予告手当は対象外です。立替払額は未払賃金総額の80%で、退職時の年齢に応じて上限額が定められています。

退職時の年齢 未払賃金総額の限度額 立替払の上限額(80%)
45歳以上 370万円 296万円
30歳以上45歳未満 220万円 176万円
30歳未満 110万円 88万円
立替払額の上限

手続きは、会社の倒産形態によって異なります。

手続きの基本的な流れ
  1. 証明書等の取得: 法律上の倒産(破産など)の場合は破産管財人等から「証明書」を、事実上の倒産の場合は労働基準監督署長から「認定」と「確認通知書」を取得します。
  2. 立替払の請求: 証明書等を受け取った後、労働者健康安全機構に「立替払請求書」を提出します。

請求は、破産手続開始決定日等の翌日から2年以内に行う必要があります。

解雇予告手当の支払い義務と財団債権としての優先的地位

会社が従業員を即日解雇する場合、労働基準法に基づき、30日分以上の平均賃金を解雇予告手当として支払う義務があります。破産手続きにおいて、この解雇予告手当は他の一般債権より優先される「優先的破産債権」として扱われます。

さらに、労働者の生活保護の観点から、より優先順位の高い「財団債権」に準じて扱われるのが実務上の運用です。財団債権は、破産手続きによらず破産財団から随時弁済を受けられるため、従業員は会社の残余財産から他の債権者に先駆けて支払いを受けられる可能性が高まります。ただし、会社に支払い原資となる資産が全く残っていない場合は、現実的に支払われません。

解雇予告手当に関する注意点
  • 会社に資産がなければ、優先的地位があっても支払いは困難となる。
  • 解雇予告手当は、未払賃金立替払制度の対象外である。

経営者としては、事業停止に従業員の生活を守るため、解雇予告手当の支払原資を可能な限り確保しておくことが最後の責務と言えます。

雇用保険(失業等給付)の受給手続きと会社側の対応

会社の倒産によって従業員が離職した場合、雇用保険の基本手当(失業保険)を速やかに受給できるよう、会社側は適切な手続きを行う義務があります。倒産による解雇は「会社都合退職」として扱われるため、従業員には以下のメリットがあります。

会社都合退職のメリット
  • 自己都合退職の場合にある2〜3ヶ月の給付制限期間がなく、7日間の待期期間後すぐに給付が開始される。
  • 給付を受けられる日数が、自己都合退職の場合よりも長くなる傾向がある。

会社側は、従業員がスムーズに手続きできるよう、以下の対応を速やかに行う必要があります。

会社側が行うべき手続き
  1. 解雇日の翌日から10日以内に、管轄のハローワークへ「雇用保険被保険者資格喪失届」と「離職証明書」を提出する。
  2. ハローワークから交付された「離職票」を、遅滞なく従業員本人に交付する。

経営者は、説明会などを通じてこれらの手続きの流れを丁寧に案内し、従業員の不安を少しでも和らげることが望まれます。

健康保険・厚生年金保険の資格喪失手続きと任意継続の案内

会社が破産して事業を廃止すると、従業員は社会保険の被保険者資格を失います。会社は、従業員から健康保険被保険者証(扶養家族分も含む)を回収し、事実発生から5日以内に「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届」を年金事務所等に提出しなければなりません。

資格を喪失した従業員には、退職後の医療保険について以下の選択肢があることを案内する必要があります。

退職後の健康保険の選択肢
  • 国民健康保険への加入: 市区町村の窓口で手続きを行います。会社都合退職の場合、保険料の軽減措置を受けられる場合があります。
  • 健康保険の任意継続: 退職前の健康保険に最大2年間加入できる制度です。退職日の翌日から20日以内に申請が必要で、保険料は全額自己負担となります。
  • 家族の健康保険の被扶養者になる: 年収などの条件を満たせば、家族が加入する健康保険の被扶養者になれます。

いずれの選択肢も速やかな手続きが必要です。空白期間が生じると医療費が全額自己負担となるリスクがあるため、従業員への丁寧な説明が求められます。

破産手続きにおける従業員への説明責任と混乱を避けるための対応

経営者が破産を決断した場合、情報漏洩による債権者の混乱や資産の散逸を防ぐため、従業員への告知は事業を停止する当日に行うのが一般的です。

従業員説明会では、経営者から直接、誠実な姿勢で説明することが重要です。混乱を最小限に抑えるためには、以下の内容を具体的に伝える必要があります。

従業員説明会で伝えるべき内容
  • 破産に至った経緯と謝罪
  • 事業停止に伴う解雇の事実
  • 未払給与や退職金の支払いに関する見通し
  • 未払賃金立替払制度の概要と手続きの案内
  • 雇用保険(失業保険)の受給手続きに関する説明
  • 健康保険証の回収や離職票の交付など、今後の事務手続きについて

特に金銭面の不安が大きいため、法的な優先順位に基づいた支払いの方針を明確に伝え、従業員の生活再建を支援する姿勢を示すことが、最後の信頼関係を維持する上で不可欠です。

企業破産時の救済措置に関するよくある質問

中小企業活性化協議会に相談する具体的なメリットは何ですか?

協議会は公的な第三者機関であるため、金融機関との交渉において大きなメリットがあります。

協議会に相談するメリット
  • 公平・中立な立場での調整: 自社だけでは困難な金融機関との交渉を、中立な立場で主導してくれます。
  • 計画の信頼性向上: 協議会の支援を受けて作成した再生計画は、金融機関からの信頼性が高まります。
  • 専門家によるサポート: 弁護士や会計士などの専門家チームによる支援を、国の費用補助を受けながら利用できます。

経営者保証ガイドラインを利用すれば、保証債務は必ず免除されますか?

いいえ、必ず免除されるわけではありません。ガイドラインはあくまで金融機関の自主的なルールであり、最終的な判断は各金融機関が行います。

ただし、ガイドラインの要件を満たし、破産するよりも多くの回収が見込めるという経済的合理性を示し、経営者が誠実に協力すれば、金融機関は残債務の免除に誠実に対応することが期待されています。

未払賃金立替払制度で立て替えられなかった残りの2割はどうなりますか?

国が立て替えるのは未払賃金の8割までで、残りの2割の請求権は会社に対して残ります。この2割分は、破産手続きの中で優先的な債権として扱われ、会社の資産から配当を受けることになります。

しかし、多くの破産企業では配当に充てる資産が乏しく、現実的には残りの2割を全額回収できるケースは少ないのが実情です。

破産手続き中でも、事業資金の融資を受けることは可能ですか?

破産手続きが開始されると、その事実は信用情報に登録されるため、新たな融資を受けることは実務上ほぼ不可能です。ただし、事業再生を目指す場合は、破産以外の選択肢も考えられます。

破産手続きの終了後であれば、日本政策金融公庫の「再挑戦支援資金」のように、過去に破産歴があることを前提とした公的融資制度を利用できる可能性があります。また、破産に至る前に中小企業活性化協議会などに相談すれば、民事再生などの再建型手続きを選択し、事業継続に必要な運転資金(DIPファイナンス)を確保できる道も残されています。

まとめ:状況に応じた最適な救済措置の選択が再起への鍵

企業の破産に際しては、事業の再生、経営者個人の保護、従業員の生活保障という3つの側面から、多様な公的・法的な救済措置が用意されています。事業の再建を目指す場合は中小企業活性化協議会や民事再生が選択肢となり、経営者個人の連帯保証債務に対しては経営者保証ガイドラインや自己破産・個人再生が生活再建の道を開きます。また、未払賃金立替払制度や雇用保険の手続きを適切に行うことは、従業員への影響を緩和する上で経営者の最後の責務です。これらの制度はそれぞれ要件や手続きが複雑に絡み合うため、どの選択が自社の状況にとって最適かを見極めることが重要です。厳しい状況ではありますが、まずは自社の現状を客観的に把握し、早期に弁護士などの専門家へ相談することが、関係者への影響を最小限に抑え、次の一歩を踏み出すための最善の策となります。

Baseconnect株式会社
サイト運営会社

本メディアは、「企業が経営リスクを正しく知り、素早く動けるように」という想いから、Baseconnect株式会社が運営しています。当社は、企業取引や与信管理における“潜在的な経営リスクの兆候”を早期に察知・通知するサービス「Riskdog」も展開し、経営判断を支える情報インフラの提供を目指しています。

記事URLをコピーしました