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住宅金融支援機構のローン滞納、どうなる?競売までの流れと対処法

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住宅金融支援機構の住宅ローンを滞納してしまい、今後の見通しが立たず不安に感じている方もいるでしょう。督促を放置してしまうと、最終的には自宅を失う競売という深刻な事態に至る可能性があります。しかし、早い段階で正しい知識を身につけ、適切な行動を起こすことで、最悪の事態を回避できる道も残されています。この記事では、住宅金融支援機構のローンを滞納した場合に起こる事象の全体像と、取るべき具体的な対応策について解説します。

住宅ローン滞納後の流れ

滞納1~2ヶ月:督促状と遅延損害金

住宅ローンの返済を1〜2ヶ月滞納すると、金融機関から督促状が届き、遅延損害金が発生します。これは債権回収の初期対応です。

最初の1ヶ月は、支払請求書や電話での連絡が中心です。この段階で速やかに入金すれば、信用情報に傷がつくなどの大きな問題には発展しません。

しかし、滞納が2ヶ月目に入ると状況は深刻化します。より強い文面の督促状や催告書が送付され、滞納元金、利息、遅延損害金を含む総額の支払いを求められます。遅延損害金は返済期日の翌日から日割りで加算され、年率14%程度と高利率なため、滞納が長引くほど総支払額が雪だるま式に増えていきます。

この段階での迅速な対応が、事態の悪化を防ぐために極めて重要です。支払いが困難な場合でも放置せず、金融機関に連絡し、誠実に状況を説明することが求められます。

滞納3~6ヶ月:「期限の利益」喪失

滞納が3ヶ月から6ヶ月に達すると、債務者は「期限の利益」を喪失し、ローンの残額全てを一括で返済するよう請求されます。これは、契約上の重大な違反と見なされるためです。

「期限の利益」とは、ローンを分割で返済できる権利のことです。これを失うと、数千万円にのぼる残債と遅延損害金を、直ちに一括で支払わなければなりません。

通常、金融機関は「期限の利益喪失予告書」を内容証明郵便で送付し、最終的な支払期日を伝えます。この期日を過ぎると、正式に期限の利益は失われます。ほとんどの場合、一括での返済は不可能なため、自宅を失う法的手続きへと移行せざるを得なくなります。

また、この時期には信用情報機関に事故情報が登録されます。いわゆる「ブラックリスト入り」の状態となり、その後の生活に大きな支障をきたします。

信用情報への事故情報登録による影響の例
  • 新規クレジットカードの発行や更新の停止
  • 自動車ローンや教育ローンなど、新たな借り入れの不可
  • 携帯電話端末の分割購入審査の否決
  • 賃貸住宅の保証会社の審査否決

この記録は、滞納を解消した後も約5年間は残り続けます。

滞納6ヶ月以降:競売手続きの開始

滞納から6ヶ月以上が経過し、一括返済にも応じられない場合、金融機関は裁判所に競売(きょうばい)を申し立て、自宅は法的手続きによって強制的に売却されます。

競売は、債権者が貸した資金を回収するための最終手段です。競売が始まると、所有者であっても不動産を自由に売却することはできなくなります。

競売手続きの主な流れ
  1. 競売開始決定通知: 裁判所から通知が届き、不動産に「差押」の登記がされます。
  2. 現況調査: 裁判所の執行官と不動産鑑定士が自宅を訪問し、強制的に内部の調査や写真撮影を行います。
  3. 物件情報の公開: 物件の詳細情報がインターネットなどで一般に公開され、プライバシーが侵害されるリスクが高まります。
  4. 期間入札と開札: 購入希望者が入札を行い、最も高値を付けた人が落札します。
  5. 所有権の移転: 落札者が代金を裁判所に納付した時点で、所有権は強制的に落札者へ移ります。
  6. 強制退去: 所有権移転後も立ち退かない場合、最終的には強制執行により家財ごと運び出されます。

競売での売却価格は市場価格の5〜7割程度と著しく低くなるのが一般的です。そのため、売却代金を返済に充てても多額の債務が残ることが大半であり、家を失った後も借金の返済義務だけが残るという最も過酷な結末を迎えます。

住宅金融支援機構のローン特徴

保証会社による代位弁済がない

住宅金融支援機構の「フラット35」などのローンは、民間の住宅ローンと異なり、保証会社による代位弁済というプロセスがありません。これは、利用者が保証料を支払う必要がない商品設計のためです。

民間のローンでは、滞納により期限の利益を喪失すると、保証会社が債務者に代わって金融機関に残債を一括返済します。これを「代位弁済」といい、その後は保証会社が新たな債権者として厳しい取り立てを行います。

一方、住宅金融支援機構のローンでは保証会社が介在しないため、代位弁済は発生しません。債権は当初から機構が持ち続けるか、委託先の債権回収会社へ引き継がれます。

ただし、代位弁済がないからといって追及が緩やかになるわけではありません。むしろ、機構が直接、あるいは専門の業者を通じて法的手続きを粛々と進めるため、事態はより深刻な段階に入ったと認識すべきです。

債権回収は機構またはサービサー

住宅金融支援機構のローンを滞納した場合の債権回収は、機構自身、または機構が委託した債権回収会社(サービサー)が行います。

サービサーとは、法務大臣の許可を得て債権の管理回収を専門に行う株式会社です。債権回収のプロフェッショナルであり、法律に則って事務的かつ迅速に手続きを進めます。

住宅金融支援機構が委託する主なサービサー
  • 住宅債権管理回収機構株式会社
  • エム・ユー・フロンティア債権回収株式会社
  • 三菱HCキャピタル債権回収株式会社

担当が金融機関からサービサーへ移ると、銀行の担当者に期待するような温情的な対応は望めません。サービサーからの通知には、任意売却の提案など具体的な解決策が記載されていることもありますが、これを無視すれば、淡々と競売の申し立て準備が進められます。

民間との違い:任意売却後の残債務の扱い

住宅金融支援機構のローンで任意売却を行った場合、売却後に残った債務の免除や大幅な減額は原則として認められません

機構は公的資金を原資としているため、民間金融機関のように柔軟な債権放棄ができないからです。民間の場合、残債務がサービサーに安価で譲渡され、交渉次第で減額や一括和解が可能なケースもあります。

しかし機構の場合は、残債務は全額がそのまま残り、自己破産などで免責を得ない限り、生涯にわたって返済義務が続きます。通常は、家計状況に応じて月々5,000円〜3万円程度の分割返済を長期にわたり継続することになります。

滞納時に取るべき具体的対応

まずは機構の相談窓口へ連絡する

住宅ローンの返済が困難になった場合、最初にすべきことは、住宅金融支援機構や取扱金融機関の窓口に自ら連絡することです。

金融機関が最も懸念するのは、債務者と連絡が取れなくなることです。支払いが遅れると分かった時点で正直に状況を伝えれば、信頼関係を維持し、返済計画の見直しなど解決策を協議できる可能性があります。

督促の電話や郵便物を無視することは、交渉の機会を自ら放棄し、事態を悪化させるだけの最悪の選択です。返済の意思を明確に示し、誠実に対話することが、自宅を守るための第一歩となります。

返済条件の変更(リスケ)を検討する

期限の利益を失う前であれば、返済条件の変更(リスケジュール、通称リスケ)を金融機関に相談することを検討します。これにより、当面の返済負担を軽減し、生活を立て直す時間を確保できる可能性があります。

主なリスケジュールの方法
  • 返済期間の延長: ローン期間を最長15年延長し、月々の返済額を減らす。
  • 元金据置: 一定期間、元金の返済を止め、利息のみを支払う。
  • ボーナス払いの見直し: ボーナス払いを減額、または中止する。

リスケの承認を得るには、収入減少の理由や家計の収支状況を客観的な資料で示し、将来的に返済が可能になる見通しを説明する必要があります。

ただし、リスケをすると最終的な利息総額は増えるというデメリットもあります。あくまで一時的な措置と理解し、猶予期間内に家計を再建する強い意志が求められます。

任意売却という選択肢を理解する

リスケジュールでも返済の継続が困難な場合、またはすでに一括請求を受けている場合は、競売を避けるための任意売却(にんいばいきゃく)という選択肢を検討します。

任意売却とは、債権者である金融機関の合意を得て、ローンが残ったままの不動産を一般の市場で売却する手続きです。競売に比べて、債務者にとって多くのメリットがあります。

任意売却の主なメリット
  • 市場価格に近い価格で売却でき、売却後の残債務を大幅に圧縮できる。
  • 売却活動が一般の不動産取引と同様に行われるため、近所に事情を知られにくい。
  • 交渉次第で、売却代金から引越し費用などを捻出してもらえる場合がある。
  • 引き渡し時期について、買主と柔軟に協議できる。

ただし、任意売却は競売の入札が開始されるまでの限られた期間しか行えません。また、債権者との交渉など専門的な知識が不可欠なため、任意売却を専門とする不動産会社や弁護士への相談が必須です。

返済相談で伝えるべきこと・準備する書類

金融機関や専門家に相談する際は、客観的な事実と数字に基づいて現状を正確に伝える必要があります。感情的な訴えだけでは具体的な解決策には至りません。

事前に以下の書類を準備することで、相談がスムーズに進みます。

相談時に準備すべき主な書類
  • 住宅ローンの残高証明書、金銭消費貸借契約書
  • 金融機関から届いた督促状や催告書など通知一式
  • 直近の給与明細、源泉徴収票など収入を証明する書類
  • 預貯金通帳のコピーなど資産状況がわかる書類
  • 固定資産税の納税通知書
  • 全ての支出をまとめた家計収支表

不利な情報も含め、正確な情報を包み隠さず提供することが、最適な解決策を見出すための大前提となります。

よくある質問

口座残高不足で引き落とせなかったら?

約定日に引き落としができなかった場合は、気づいた時点ですぐに金融機関へ連絡し、指示に従って入金してください。数日の遅れであれば、遅延損害金を加算して支払うことで解決し、信用情報機関に事故情報として登録される可能性は低いでしょう。しかし、連絡せずに放置すると連続滞納と見なされ、事態が悪化する可能性があります。

滞納すると信用情報に影響はありますか?

はい、重大な影響があります。滞納が2〜3ヶ月続くと、信用情報機関に事故情報(延滞情報)が登録されます。いわゆるブラックリスト入りの状態で、クレジットカードの作成・更新や新たなローン契約が極めて困難になります。この記録は滞納を解消しても約5年間は消えません。

返済が苦しい時の相談先はどこですか?

状況の深刻度に応じて相談先が異なります。

状況別の主な相談先
  • 滞納前〜滞納初期: 借入先の金融機関(返済条件変更の相談)
  • 滞納が長期化し競売の危機がある: 任意売却を専門とする不動産会社や支援団体
  • 住宅ローン以外にも多額の借金がある: 弁護士や司法書士(債務整理全般の相談)

一人で抱え込まず、できるだけ早い段階で適切な専門家に助けを求めることが重要です。

任意売却と競売の主な違いは何ですか?

任意売却は所有者の意思が反映される「通常の不動産取引」に近い形ですが、競売は意思に関係なく進む「強制的な処分」です。両者には、債務者にとって大きな違いがあります。

項目 任意売却 競売
売却価格 市場価格に近い価格で売却可能 市場価格の5〜7割程度と著しく安価
所有者の意思 売却活動や条件交渉に意思を反映できる 全て裁判所の主導で強制的に進む
プライバシー 通常の売却活動のため、近所に知られにくい 物件情報がインターネットで公開される
残債務の額 競売より残債が少なくなる可能性が高い 売却価格が低いため、多額の残債が残ることが多い
引越し費用 交渉次第で売却代金から捻出できる場合がある 原則として自己負担
解決後の生活 精神的・経済的ダメージが比較的小さい 多額の残債を抱え、再建が困難になることが多い
任意売却と競売の比較

まとめ:住宅ローン滞納は早期相談で競売を回避

住宅金融支援機構のローンを滞納すると、督促、期限の利益喪失を経て、最終的には自宅が競売にかけられる可能性があります。機構のローンは保証会社を介さないため手続きが直接的であり、任意売却後も残債務の免除は原則として認められないという特徴があります。最も重要なのは、督促を無視せず、できるだけ早い段階で行動することです。まずは機構の相談窓口へ連絡し、誠実に状況を説明することが解決への第一歩となります。返済条件の変更や任意売却といった選択肢も、早期であれば検討の余地があります。この記事で解説した内容は一般的な流れであり、個別の状況に応じた最適な解決策については、弁護士などの専門家へ相談することをおすすめします。

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