手続

債務整理中の借り入れは可能か?4つのリスクと借りずに資金を調達する方法

catfish_admin

債務整理中に予期せぬ出費が重なり、生活が苦しくなることは少なくありません。正規の金融機関からは借りられず、「審査が甘い」といった業者に頼りたくなる状況も理解できます。しかし、安易な借り入れは深刻なリスクを伴うため、絶対にしてはいけません。この記事では、債務整理中に新たな借り入れが原則できない理由と、借り入れ以外の安全な資金調達方法について解説します。

目次

債務整理中に新たな借り入れが原則できない理由

信用情報機関への事故情報登録(ブラックリスト状態)のため

債務整理の手続きを開始すると、その事実は信用情報機関に「事故情報」として登録されます。これは一般的に「ブラックリストに載る」と呼ばれる状態です。弁護士や司法書士が債権者に受任通知(代理人になったことを知らせる通知)を送付した時点で登録されるのが一般的です。

日本の主な信用情報機関
  • 株式会社シー・アイ・シー(CIC):主にクレジットカード会社や信販会社が加盟
  • 株式会社日本信用情報機構(JICC):主に消費者金融会社が加盟
  • 全国銀行個人信用情報センター(KSC):主に銀行や信用金庫などが加盟

金融機関は融資の申し込みを受けると、必ずこれらの信用情報機関に照会して返済能力を審査します。事故情報が登録されていると、返済能力に問題があると判断され、新たな借り入れやクレジットカードの発行、各種ローンの審査に通ることは極めて困難になります。

これらの信用情報機関は相互に情報を共有しているため、いずれか一つの機関に登録されれば、銀行、消費者金融、クレジットカード会社など、ほぼ全ての正規金融機関がその事実を把握できます。この状態は債務整理手続きが完了してからおおむね5年~7年程度継続するため、その期間は現金やデビットカードなどを中心とした生活を送る必要があります。

手続きの種類別|任意整理・個人再生・自己破産が借り入れに与える影響

債務整理には主に3つの手続きがあり、それぞれ信用情報に登録される期間や影響が異なります。いずれの手続きにおいても、期間中に新たな借り入れを行うことは、生活再建を著しく妨げる行為と見なされます。

手続きの種類 事故情報の登録期間(目安) 特徴
任意整理 完済からおおむね5年 裁判所を介さず、将来利息のカットなどを目指す。返済期間を含めると影響は長期化しやすい。
個人再生 おおむね7年程度(最長) 裁判所を通じて借金を大幅に減額する手続き。官報に掲載される。
自己破産 おおむね7年程度 裁判所を通じて借金の支払義務を免除される手続き。官報に掲載され、影響は最も大きい。
債務整理の種類と信用情報への影響

手続き中に隠れて借り入れを行った場合、さらに深刻な事態を招きます。任意整理では債権者との信頼関係が崩れ交渉が決裂し、個人再生や自己破産では裁判所から再生計画が不認可となったり、免責が許可されなかったりする可能性があり、借金問題が解決できなくなる恐れがあります。

債務整理中の安易な借り入れが招く4つの重大なリスク

リスク1:債権者との交渉が決裂し債務整理が失敗する可能性

任意整理は、債権者との信頼関係を基盤とした交渉によって成立します。弁護士や司法書士は、依頼者の家計状況に基づき、返済可能な計画を立てて交渉を進めます。しかし、手続き中に新たな借り入れをすると、この返済計画の前提が崩壊します。

債権者から見れば、借金を整理中にさらに借金を重ねる行為は、返済意思を疑わせる重大な背信行為です。その結果、利息カットや分割払いといった和解案に応じてもらえず、交渉は決裂する可能性が非常に高くなります。任意整理が失敗すれば、再び一括返済を求められたり、給与の差し押さえといった強制執行に移行されたりするリスクが生じます。

リスク2:弁護士・司法書士から信頼関係を損ない辞任される

債務整理を依頼する際の委任契約には、通常、手続き中に新たな借り入れをしないという条項が含まれています。依頼者がこれに違反して借り入れを行うと、代理人である弁護士や司法書士との信頼関係が破壊され、契約を解除、つまり辞任される可能性があります。

専門家が辞任すると、債権者への取り立て停止の効果がなくなり、再び厳しい督促に悩まされることになります。一度辞任された経緯があると、他の専門家も依頼を敬遠する傾向があり、孤立無援の状態に陥りかねません。また、それまでに支払った着手金などの費用も返還されないのが一般的で、金銭的にも大きな損失を被ります。

リスク3:違法な高金利業者(闇金)に手を出してしまう危険性

債務整理中は正規の金融機関から借り入れができないため、焦りから違法な高金利業者、いわゆる闇金に手を出してしまう危険性が高まります。「審査なし」「誰でもOK」といった甘い言葉で誘い、一度利用すると法外な金利を請求されます。

闇金の取り立ては極めて悪質で、本人だけでなく家族や職場にも及ぶことがあります。これにより、平穏な生活は破壊され、社会的信用も失いかねません。最近では「ソフト闇金」やSNS上の「個人間融資」を名乗る業者もいますが、その実態は同じ違法業者です。どんなに困窮しても、闇金だけは絶対に利用してはいけません。

リスク4:「返済の意思なし」と見なされ詐欺罪に問われる恐れ

返済能力がないことを自覚しながら、その事実を隠して新たにお金を借りる行為は、刑法上の詐欺罪に該当する可能性があります。貸す側は、相手が債務整理中と知っていれば融資はしないため、それを隠す行為は相手を騙す「欺罔行為(ぎもうこうい)」と見なされるのです。

また、自己破産の手続きにおいて、詐術を用いて借り入れを行うことは免責不許可事由に該当する可能性があります。つまり、たとえ破産手続きを進めても、その不正な借り入れだけは支払い義務が免除されず、結果的に手続き自体が失敗に終わるリスクがあります。裁判所は通帳の履歴などを厳しく調査するため、隠し通すことは極めて困難です。

「審査が甘い」「誰でも借りれる」と謳う業者の実態

いわゆる「神金融」「極甘審査」は闇金の隠れ蓑である可能性が高い

インターネット上で見かける「神金融」や「極甘審査」といった言葉は、審査に通らない人でも借りられるという印象を与えますが、そのほとんどは違法な闇金業者である可能性が高いです。正規の貸金業者は貸金業法に基づき返済能力の調査が義務付けられており、無審査で貸し付けることは原則としてありません。

そもそも、貸金業法では「借入れが容易であることを過度に強調」する広告は禁止されています。こうした表現を使っている時点で、法律を守る意識のない危険な業者であると判断できます。安易な言葉に誘われて連絡を取ることは、深刻なトラブルへの入り口となります。

SNSや個人間融資掲示板に潜む危険な勧誘

近年、X(旧Twitter)などのSNSやネット掲示板で「個人間融資」を謳う投稿が増えていますが、その多くは闇金業者が個人を装っているか、または悪質な詐欺である可能性が高いです。安易に連絡すると、様々な犯罪被害に巻き込まれる危険があります。

SNS上の個人間融資に潜む主な手口と危険性
  • 保証金詐欺:融資をちらつかせ、手数料名目で先にお金を振り込ませる。
  • ひととき融資:裸の写真や動画を担保に要求し、性的な脅迫を行う。
  • 個人情報の悪用:身分証や連絡先を収集し、他の犯罪に利用したり脅迫の材料にする。
  • 犯罪への加担:銀行口座の売買や、特殊詐詐の「受け子」といった闇バイトに勧誘される。

クレジットカードのショッピング枠現金化が規約違反になる理由

クレジットカードのショッピング枠を使い、換金性の高い商品を購入して売却することで現金を得る「ショッピング枠の現金化」は、全てのカード会社の規約で禁止されている違反行為です。

この行為が発覚した場合、カードは強制的に解約され、利用残高の一括返済を求められます。また、実質的な手数料は年利に換算すると非常に高金利であり、家計をさらに圧迫します。さらに、自己破産の手続きでは、この現金化行為が不誠実と見なされ、借金の免除が認められない免責不許可事由に該当する可能性が極めて高くなります。

万が一、違法業者から借りてしまった場合の相談先と対処法

もし違法業者から借り入れてしまい、悪質な取り立てに悩んでいる場合は、一人で抱え込まず、すぐに以下の専門機関に相談してください。

違法業者から借りてしまった場合の対処ステップ
  1. 専門家への相談:闇金問題に強い弁護士や司法書士に直ちに相談し、代理人として対応を依頼する。
  2. 警察への通報:脅迫や暴力的な取り立てがあれば、証拠を持って警察の生活安全課に被害を届け出る。
  3. 公的機関の利用:最寄りの国民生活センターや消費生活センターで対処法のアドバイスを受ける。
  4. 直接交渉の回避:業者と直接交渉しようとせず、全ての対応を専門家に一任する。

借り入れ以外の方法で緊急の資金を調達する選択肢

国や自治体が提供する公的支援制度(生活福祉資金貸付制度など)

債務整理中に生活資金が不足した場合、まずは闇金などではなく、国や自治体の公的な支援制度の利用を検討してください。代表的な制度が、市区町村の社会福祉協議会が窓口となる「生活福祉資金貸付制度」です。信用情報に関わらず、生活の困窮度に応じて審査が行われます。

主な公的支援制度の例
  • 緊急小口資金:緊急かつ一時的に生計の維持が困難になった場合に、最大10万円まで無利子で借りられる制度。
  • 総合支援資金:失業などにより生活再建が必要な場合に、生活費などを原則3ヶ月(最大12ヶ月)借りられる制度。
  • 住居確保給付金:住居を失う恐れがある場合に、自治体が家賃相当額を支給してくれる制度(返済不要)。

これらの制度は、単なる資金提供だけでなく、相談員による家計改善や就労支援も受けられるため、生活再建に大きく役立ちます。

解約返戻金のある生命保険を活用した「契約者貸付制度」

積立型の生命保険に加入している場合、その時点での解約返戻金を担保に、保険会社からお金を借りられる「契約者貸付制度」を利用できることがあります。この制度は信用情報の審査がないため、債務整理中でも利用可能です。

金利は年2~6%程度と比較的低く設定されていますが、注意点もあります。返済しないままでいると、貸付額と利息が解約返戻金を上回り、保険契約そのものが失効してしまうリスクがあります。また、保険金を受け取る際に貸付残高が差し引かれるため、保障額が減ってしまいます。あくまで緊急避難的な手段と捉え、計画的に利用することが重要です。

家族や親族から援助を受ける際の注意点と誠実な伝え方

どうしても資金が足りない場合、家族や親族に援助を頼むことも選択肢の一つです。その際は、これまでの経緯や現在の債務整理の状況を包み隠さず正直に話すことが大前提です。

ただお金を貸してほしいと頼むのではなく、具体的な家計の見直し計画や今後の返済計画を明確に示し、生活を立て直す強い意志を伝えることが信頼を得るために不可欠です。曖昧な関係は後のトラブルの元になるため、たとえ身内であっても、返済期間や金額を明記した借用書を作成することをお勧めします。

親族からの資金援助で注意すべき贈与税と借用書の重要性

親などから年間110万円を超える金銭的援助を受けた場合、税務署から「贈与」と見なされ、高額な贈与税が課される可能性があります。これを避けるためにも、借用書を作成し、貸し借りであることを明確にする必要があります。

さらに、返済は現金手渡しではなく銀行振込で行い、通帳に記録を残すことが重要です。これにより、客観的な返済の事実が証明され、単なる贈与ではないことを主張できます。

新たな借り入れを検討する前に必ずすべきこと

まずは依頼中の弁護士・司法書士に正直に状況を相談する

債務整理中に資金繰りが苦しくなり、借り入れを考えてしまった場合、何よりも先に、依頼している弁護士や司法書士に相談してください。専門家に隠れて行動することは、事態を悪化させる最悪の選択です。

専門家は、あなたの状況を法的な観点から分析し、最適な解決策を提示してくれます。例えば、任意整理の返済が困難であれば、より負担の少ない個人再生や自己破産への手続き変更を検討したり、利用可能な公的支援制度を紹介したりすることが可能です。専門家はあなたの生活再建の味方です。隠し事をせず、正直に現状を打ち明けることが、解決への最も確実な一歩となります。

債務整理中の借り入れに関するよくある質問

債務整理中に借り入れをしてもバレないケースはありますか?

いいえ、ほぼ確実に発覚します。債権者は定期的に信用情報を確認することがあり、新たな借り入れの履歴はすぐに把握されます。また、自己破産や個人再生では、裁判所に通帳のコピーを提出するため、不審な入金は追及される可能性が高いです。隠し通せると安易に考えるべきではありません。

中小消費者金融なら、債務整理中でも審査に通る可能性はありますか?

正規の貸金業者であれば、中小企業であっても信用情報を必ず確認するため、手続き中の借り入れは原則として不可能です。「債務整理中でもOK」と宣伝している業者がいれば、それは闇金である可能性が極めて高く、決して関わってはいけません。

債務整理が終われば、すぐにクレジットカードやローンは利用できますか?

いいえ、すぐには利用できません。事故情報は手続き完了後もおおむね5年~7年間は信用情報機関に残ります。この期間は新たな審査に通ることは困難です。情報が削除された後も、良好な支払い実績(クレジットヒストリー)を少しずつ積み重ねていく必要があります。

債務整理の事実が家族や職場に知られてしまうことはありますか?

手続きの種類によります。任意整理は裁判所を介さないため、自ら話さない限り知られる可能性は低いです。一方、個人再生自己破産は、国の機関紙である「官報」に氏名と住所が掲載されます。また、手続き上、同居家族の収入証明などが必要になるため、家族の協力が不可欠です。職場については、給与の差し押さえがなければ直接知られることは稀です。

まとめ:債務整理中の借り入れは避け、まずは専門家へ相談を

債務整理中の新たな借り入れは、手続きの失敗や闇金被害など、生活再建を不可能にするほどの重大なリスクを伴います。「審査が甘い」「誰でも借りれる」といった言葉は、違法業者の罠であると認識してください。緊急で資金が必要になった場合は、安易な借り入れに頼るのではなく、まずは公的支援制度や契約者貸付といった安全な選択肢を検討することが重要です。そして何より、困窮した状況は隠さずに、依頼している弁護士や司法書士へ正直に相談してください。専門家はあなたの味方であり、状況に応じた最適な解決策を一緒に考えてくれるはずです。

Baseconnect株式会社
サイト運営会社

本メディアは、「企業が経営リスクを正しく知り、素早く動けるように」という想いから、Baseconnect株式会社が運営しています。当社は、企業取引や与信管理における“潜在的な経営リスクの兆候”を早期に察知・通知するサービス「Riskdog」も展開し、経営判断を支える情報インフラの提供を目指しています。

記事URLをコピーしました