金融庁の経営者保証ガイドラインとは?3つの要件や改革プログラムをわかりやすく解説
中小企業の資金調達において、経営者保証は長年の課題であり、ご自身の個人保証について悩まれている経営者の方も多いのではないでしょうか。政府はこうした状況を改善すべく、経営者保証に依存しない融資への転換を強力に推進しています。この記事では、その中核となる金融庁の「経営者保証に関するガイドライン」の目的や具体的な要件、最新の「経営者保証改革プログラム」まで、公式情報に基づいて網羅的に解説します。
経営者保証に関する国の基本方針とガイドラインの概要
金融庁・中小企業庁が推進する「経営者保証に依存しない融資」の方針
かつて中小企業が融資を受ける際、経営者の個人保証は当然の前提とされてきました。しかし、この慣行は経営者の大胆な事業展開を躊躇させたり、後継者不足による廃業を招いたりするなど、日本経済の活力を削ぐ要因となっていました。この状況を改善するため、金融庁や中小企業庁は、担保や保証に過度に依存せず、企業の事業性や成長可能性を適切に評価する融資への転換を強力に推進しています。
この方針を具体化するため、政府は2022年末に「経営者保証改革プログラム」を策定しました。これは、経営者保証に依存しない新しい融資慣行の確立を目指すものです。
- スタートアップの創業支援
- 民間金融機関による融資慣行の見直し
- 信用保証付融資における保証の選択制導入
- 中小企業のガバナンス体制の整備支援
特に創業期においては、経営者保証を不要とする新しい信用保証制度が創設されるなど、起業家がリスクを恐れずに挑戦できる環境整備が進められています。目指すゴールは、単に保証を外すことではなく、企業が収益力を高め、透明性の高い経営を行うことで、経営者保証がなくとも融資を受けられる健全な経営体を育てていくことにあります。
「経営者保証に関するガイドライン」とは?その目的と対象
「経営者保証に関するガイドライン」とは、全国銀行協会と日本商工会議所が中心となり策定した、金融機関共通の自主的なルールです。2014年2月から運用が開始され、法的な拘束力はありませんが、金融庁の監督指針で金融機関に遵守が求められており、実務上極めて重要な役割を果たしています。
このガイドラインの目的は、経営者保証の弊害を解消し、経営者による思い切った事業展開や早期の事業再生を後押しすることにあります。ガイドラインは、新規の融資契約だけでなく、既存契約の見直しや事業承継、保証債務の整理といった幅広い場面で適用されます。
ガイドラインの対象となるのは、主たる債務者が中小企業であり、その経営者等が個人として保証契約を結んでいるケースです。
- 主たる債務者である中小企業
- 保証人である経営者本人
- 事業に従事する経営者の配偶者
- 実質的な経営権を有する者
万が一事業が行き詰まった場合でも、本ガイドラインは、経営者が一定の資産を手元に残しながら、破産手続きによらずに債務を整理する道筋を示しています。これにより、経営者の生活基盤を守り、再チャレンジを促す社会的な基盤を構築することを目指しています。
ガイドラインの対象となる金融機関の範囲
本ガイドラインが適用される対象金融機関の範囲は非常に広く、官民を問わず、中小企業に融資を行うほぼ全ての金融機関が含まれます。
- 銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫
- 農業協同組合、漁業協同組合などの協同組織金融機関
- 日本政策金融公庫、商工組合中央金庫などの政府系金融機関
- 債権譲渡を受けた債権回収会社(サービサー)
- 信用保証協会(代位弁済の前後を問わない)
このように網羅的であるため、債権が他の機関に譲渡された後でも、ガイドラインに則った解決を求めることが可能です。
ただし、商取引の売掛金などを持つ一般の事業会社やリース会社は、原則としてこのガイドラインの直接の対象とはなりません。しかし、廃業時の債務整理など、実務上の必要性から、これらの債権者にもガイドラインの枠組みへの参加を求めることができる場合があります。
経営者保証が不要となるための具体的な3要件
要件①:法人と経営者個人の資産・経理の明確な分離
経営者保証を不要とするための最も基本的かつ重要な要件は、法人と経営者個人の資産・経理が明確に区分されていることです。金融機関が保証を求める大きな理由は、法人の資金が経営者の私的な用途に流用されるリスクを防ぐためです。したがって、会社と個人の資産やお金の流れを完全に分けることが求められます。
具体的には、以下の点が厳格に守られている必要があります。
- 会社のお金で経営者の私物を購入したり、私的な飲食代を経費として処理したりしないこと。
- 事業上の必要性が認められない役員貸付金を解消すること。
- 経営者個人が所有する事業用資産(土地・建物等)は、法人所有に切り替えるか、適正な賃料での賃貸借契約を締結すること。
これらの状況は、税理士や公認会計士といった外部の専門家によるチェックを受けた月次決算資料などを金融機関に提出することで、客観的に証明できます。このような規律ある経営体制が将来にわたって継続されると判断されれば、金融機関は保証の必要性が低いと判断しやすくなります。
要件②:法人のみの資産・収益力で返済可能と判断される財務基盤
第二の要件は、経営者の個人資産に頼らなくても、法人の資産や収益力のみで借入金を返済できると判断される、健全な財務基盤を有していることです。金融機関は、企業の継続的な利益創出力と自己資本の厚みを重視します。
| 評価項目 | 具体的な指標 | 目安 |
|---|---|---|
| 収益性 | 営業利益や経常利益が安定して黒字であること | 継続的な黒字体質 |
| キャッシュフロー | 減価償却費などを加味した実質的なキャッシュフローが、年間の元利金返済額を十分に上回っていること | 返済額以上のキャッシュ創出力 |
| 安全性 | 自己資本比率が高く、内部留保が潤沢であること | 業種によるが、高いほど良い |
| 債務償還年数 | (有利子負債 − 現預金) ÷ キャッシュフロー | おおむね10年以内が望ましい |
特定の年度の数値だけでなく、事業計画に基づき、将来にわたって返済能力が維持される見通しを示すことも重要です。また、回収困難な売掛金や価値の低い在庫などの不良資産を整理し、実態に即した健全な貸借対照表(バランスシート)を維持することも求められます。
要件③:財務情報の適時適切な開示による経営の透明性確保
第三の要件は、財務情報を適時かつ適切に開示し、経営の透明性を確保することです。金融機関にとって、保証を外すことは企業の内部情報が見えにくくなる「情報の非対称性」のリスクを負うことを意味します。そのため、経営者は自社の状況を隠さず、正確に金融機関へ伝える姿勢が不可欠です。
具体的には、年に一度の決算報告だけでなく、月次の試算表や資金繰り表を定期的に提出することが求められます。その際、単に数字を渡すだけでなく、予算と実績が乖離した原因や今後の対策について、経営者自らが丁寧に説明することが信頼関係の構築につながります。
経営の透明性を高める有効な手段として、「中小企業の会計に関する基本要領」に準拠した決算書の作成や、税理士が計算書類の正確性を保証する「書面添付制度」の活用が推奨されています。都合の悪い情報も含めて誠実に開示する姿勢は、個人保証という物理的な担保を超える強力な信頼となり、無保証での融資を可能にします。
保証契約時と保証債務履行時の金融機関との対話ルール
保証契約を締結する際の金融機関による説明義務
金融機関が経営者と保証契約を結ぶ際には、丁寧かつ具体的な説明を行うことが義務付けられています。特に2023年4月の監督指針改正により、その内容はさらに厳格化されました。
金融機関は、保証契約が必要となる理由や、将来的に保証を解除するための改善点について、具体的に説明しなければなりません。
- どの要件が不十分であるために保証契約が必要なのかという個別具体的な理由(例:法人と個人の分離が不十分、財務基盤が脆弱など)。
- どのような改善を図れば、将来的に保証契約の変更や解除の可能性があるかという具体的な改善目標。
経営者はこの説明を通じて自社の課題を明確に認識し、改善に取り組むことができます。金融機関は、経営者が説明内容を理解したことを確認した上で、その記録を保存することが義務付けられています。もし十分な説明がないまま保証を求められた場合は、金融庁の「経営者保証ホットライン」などの窓口に相談することも可能です。
保証債務を履行・整理する際の基本的な流れとルール
会社の経営が行き詰まり、保証債務を履行せざるを得なくなった場合、本ガイドラインは法的な破産手続きではなく、私的整理の枠組みで解決を図ることを推奨しています。
以下が、ガイドラインに沿った保証債務整理の基本的な流れです。
- 会社の法的整理手続きなどと同時に、経営者自身が金融機関に保証債務の整理を申し出ます。
- 申し出を受けた金融機関は、債権の回収を一時的に停止し、協議を開始します。
- 弁護士などの専門家が関与し、経営者の資産状況を調査した上で、その内容の正確性について意見を表明します。
- 経営者の生活基盤を維持するために一定の資産を残すことを前提とした弁済計画案を作成します。
- 対象となる全ての金融機関から同意が得られると、弁済計画が成立します。
この手続きの大きな利点は、計画履行後に残った債務は原則として免除されること、そして信用情報機関に破産手続きのような事故情報が登録されることは、原則としてありません。これにより、経営者は再起に向けた一歩を速やかに踏み出すことが可能になります。
保証履行後も経営者の手元に残せる資産(残存資産)の基準
保証債務を整理する際、経営者がその後の生活や再起のために手元に残せる資産(以下、「残存資産」といいます。)は、法的な破産手続きで認められる範囲よりも広く設定されています。
具体的に手元に残せる可能性がある残存資産は以下の通りです。
- 破産手続きにおける自由財産に相当する現金99万円など。
- 年齢等に応じて100万円から360万円程度の生計費。
- 華美でなく、債権者の同意が得られる場合には、住み慣れた自宅。
これらの残存資産を残せる上限は、経営がさらに悪化する前に早期に事業再生や廃業を決断したことで、法人から回収できる金額が増加した場合に、その増加額の範囲内で、上記の自由財産相当額や生計費に加えて、自宅などを残せる可能性があるとされています。つまり、適切なタイミングで決断することが、自身の生活基盤を守ることにもつながる仕組みになっています。
ガイドライン適用に向けた金融機関との交渉準備と説明のポイント
金融機関との保証解除交渉を成功させるには、客観的な資料に基づく準備と、誠実な対話が不可欠です。まずは、ガイドラインが示す3要件をどの程度満たしているかを客観的に示す資料を揃えることから始めます。
- 役員貸付金の解消状況や、法人と経営者間の不動産賃貸借契約書など、資産分離を証明する書類。
- 月次試算表や資金繰り表など、迅速で透明性の高い経理体制を示す資料。
- 将来の収益改善策を盛り込み、法人のみの収益で返済可能であることを示す事業計画書。
説明の際には、単なる希望的観測ではなく、数字に基づいた事実を強調することが重要です。もし要件を完全に満たしていなくても、「いつまでに、どのように改善するか」という期限付きの改善計画を示すことで、金融機関も前向きに検討しやすくなります。必要に応じて、税理士などの専門家による意見書を添付することも、説明の信頼性を高める上で非常に有効です。
近年の動向「経営者保証改革プログラム」の概要
「経営者保証改革プログラム」策定の背景と目的
「経営者保証改革プログラム」は、日本の経済に新陳代謝を促す目的で、2022年末に政府によって策定・公表されました。その背景には、失敗時のリスクである経営者保証が、起業や事業承継の大きな障壁となっていることへの強い危機感があります。
- 欧米諸国と比較して低い水準にとどまる開業率。
- 後継者が個人保証を嫌い、事業の引き継ぎを断念することによる黒字廃業の増加。
これらの課題を解決するため、本プログラムは経営者保証を当然とする従来の融資慣行を転換し、保証に依存しない新たな融資慣行を確立することを目指しています。これは、経営者がリスクを適切に管理しながら事業に専念できる環境を整え、日本経済全体の活力を向上させるための重要な成長戦略の一環と位置づけられています。
プログラムによる融資慣行の見直しのポイント
本プログラムでは、経営者保証に依存しない融資を普及させるため、実効性の高い具体的な措置が盛り込まれています。
- スタートアップ創出促進保証制度の創設(創業5年以内の法人に対し、最大3,500万円まで経営者保証なしでの融資を促進)。
- 金融機関に対し、保証を求める際には、将来的に保証を解除するための具体的な要件を経営者に明示することを義務化。
- 信用保証付融資において、事業者が保証料を上乗せして支払うことで、経営者保証を提供しない選択肢を設ける。
これらの施策は、単なる努力目標ではなく、金融機関の手続きを具体的に変更させ、事業者の選択肢を広げることで、長年の慣行に変化を促すことを狙いとしています。これにより、無保証融資が特別なものではなく、標準的な選択肢となる環境が整備されつつあります。
金融機関に求められる監督・モニタリング体制の強化
経営者保証改革プログラムの実効性を確保するため、金融庁による金融機関への監督・モニタリング体制も大幅に強化されています。金融庁は、各金融機関の取り組み状況を厳格にチェックし、改革の推進を後押ししています。
- 各金融機関に対し、保証を徴求した際の説明内容や実績件数の定期的な報告を義務付け。
- 報告内容を分析し、改善が見られない金融機関には個別のヒアリングや立ち入り調査を実施。
- 金融機関の経営トップに対し、保証に依存しない融資方針の策定と公表を要請。
- 無保証融資の実績などを客観的な指標(KPI)として一覧化し公表することで、金融機関間の健全な競争を促進。
監督当局によるこの強力な後押しが、担保や保証に頼る旧来の融資姿勢から、企業の事業性を正しく評価する未来志向の融資姿勢への転換を加速させています。
保証解除が困難な場合の代替策(停止条件付保証契約など)とは
財務基盤がまだ脆弱であるなどの理由で、直ちに経営者保証を完全に解除することが難しい場合でも、代替的な手法が用意されています。
その代表例が「停止条件付保証契約」です。これは、通常時は保証契約の効力が停止しており、経営に重大な規律違反があった場合にのみ保証の効力が生じる契約です。例えば、財務報告の遅延や法人資産の私的流用といった、あらかじめ定められた条件に抵触した場合に保証債務が発生します。これは、経営者の規律を保ちつつ、実質的な保証の負担を軽減する折衷案として活用されます。
また、在庫や売掛金といった流動資産を担保として評価する「流動資産担保融資(ABL)」も有効な手段です。これにより、不動産などの固定資産がなくても借入枠を確保でき、個人保証の必要性を下げることができます。
事業承継や廃業時における経営者保証の特則
事業承継時における旧経営者・後継者の保証契約の取り扱い
中小企業の存続にとって極めて重要な事業承継において、経営者保証が最大の障壁となるケースは少なくありません。この課題に対応するため、ガイドラインには事業承継に特化したルール(特則)が定められています。
- 前経営者と後継者の双方から保証を取る「二重徴求」は、原則として禁止されています。
- 金融機関は、後継者の経営能力や承継後の事業計画を評価し、可能な限り後継者の保証なしでの承継を検討することが求められます。
- 前経営者が代表取締役を退任し、実質的な経営権を失った場合には、速やかにその保証契約を解除することが基本です。
たとえ後継者に何らかの保証が必要と判断された場合でも、保証金額に上限を設ける、あるいは停止条件付保証契約に切り替えるなどの柔軟な対応が検討されます。経営者は承継の数年前から財務改善などに取り組むことで、この特則の適用を受けやすくなります。
廃業時における保証債務の整理に関する基本的考え方
廃業は、経営者にとって経済的な再出発を図るための重要な転換点です。国は、経営者に廃業の意向がある場合、できるだけ早期に金融機関や専門家に相談することを強く推奨しています。
早期の決断が推奨される最大の理由は、会社の資産が流出・劣化する前に清算手続きに入ることで、債権者への返済額を最大化でき、その結果として経営者の手元に残せる資産(残存資産)をより多く確保できる可能性が高まるためです。経営が完全に破綻する前に決断すれば、自宅を残せるなど、柔軟な解決が図られやすくなります。
手続きを進める上で最も重要なことは、経営者が自身の資産状況について、一点の曇りもなく誠実に開示することです。財産隠しなどの不誠実な行為が発覚すれば、ガイドラインの適用は受けられません。誠実な経営者に対しては、金融機関も再起を支援する姿勢で対応することが期待されており、これが経営者の尊厳を守り、次の人生へと踏み出すための社会的なセーフティネットとして機能します。
ガイドラインの活用実績と具体的な事例
金融庁公表データに見るガイドラインの活用実績の推移
金融庁の公表データによると、「経営者保証に関するガイドライン」の活用は着実に進んでおり、経営者保証に依存しない融資はもはや特別なものではなくなっています。
- 新規融資: 2014年度当初は約1割だった無保証融資の割合が、2023年度には約6割強にまで上昇しています。
- 政府系金融機関: さらに先行しており、新規融資の約7割強が無保証で実行されています。
- 保証債務整理: ガイドラインに基づき、破産せずに債務を整理した件数も年間数百件単位で積み上がっています。
これらのデータは、経営者保証に依存しない融資が、日本の金融実務における新しいスタンダードとして定着しつつあることを示しています。特に2022年末の「経営者保証改革プログラム」策定以降、その動きはさらに加速しています。
【事例】財務改善と情報開示により保証解除に至ったケース
ある製造業の企業は、多額の役員貸付金と経理の不透明さが原因で、長年、経営者保証を外すことができませんでした。そこで経営者は、顧問税理士と連携し、以下の財務改善と情報開示に取り組みました。
- 3年計画で役員貸付金を完済し、法人と個人の資産を完全に分離しました。
- 金融機関への業績報告を年1回から月次・四半期ごとに変更し、経営の透明性を劇的に向上させました。
- 生産効率化などでキャッシュフローを改善し、法人のみの収益で借入金を返済できる能力があることを証明しました。
これらの誠実な取り組みの結果、金融機関との信頼関係が深まり、既存の借入金全額について経営者保証を解除することに成功しました。これにより、経営者は精神的な重圧から解放されただけでなく、健全な経営体制であることの証明となり、新たな無保証融資にもつながりました。
【事例】事業承継を機に後継者の保証なしで融資契約を締結したケース
ある電気工事業の企業では、創業者から実子への事業承継に際し、経営者保証の引き継ぎが大きな課題となっていました。創業者は後継者に同じ負担をさせたくないと考え、メインバンクに相談。金融機関から「事業承継特別保証制度」の活用を提案されました。
会社は、承継に向けて経営者が個人所有していた事務所を法人に売却して資産の分離を明確化するとともに、後継者が作成した中期経営計画を提出し、新体制での成長可能性をアピールしました。金融機関は、後継者の下でのガバナンス強化を評価し、この制度を利用して既存の借入金を借り換えることを承認しました。
結果として、後継者は個人保証を提供することなく経営を引き継ぐことができました。保証という制約から解放された後継者は、デジタル化の推進など、自身のビジョンに基づいた新しい経営に果敢に挑戦できるようになりました。
経営者保証に関するよくある質問
Q. 経営者保証ガイドラインを利用すれば、必ず保証を解除できますか?
いいえ、必ず保証を解除できるわけではありません。ガイドラインは、あくまで金融機関と中小企業の自主的なルールであり、法的な強制力はないためです。保証を解除するかどうかの最終的な判断は、各金融機関のリスク判断に委ねられます。
しかし、金融機関にはガイドラインを尊重し、誠実に対応する義務があります。経営者としては、ガイドラインが示す3要件(①法人と個人の分離、②健全な財務基盤、③経営の透明性)を満たしていることを客観的な資料で示し、粘り強く交渉することが重要です。要件を満たしているにもかかわらず保証継続を求められる場合、金融機関はその理由を具体的に説明する義務があります。
Q. 過去に契約した保証契約の見直しにも、ガイドラインは適用されますか?
はい、適用されます。ガイドラインは新規の契約だけでなく、すでに締結済みの既存の保証契約の見直しにも使うことができます。
経営状況が改善し、ガイドラインの要件を満たすようになった場合は、いつでも金融機関に保証契約の見直しを申し出ることが可能です。特に、融資の借換時や事業承継のタイミングは、既存の保証契約を見直す絶好の機会です。金融機関は申し出があった場合、真摯に検討する義務があります。
Q. 赤字決算が続いていますが、経営者保証を外すことは可能ですか?
一般的に赤字決算の場合、保証解除のハードルは非常に高くなります。しかし、一律に不可能というわけではありません。
- スタートアップの先行投資など、将来の成長に向けた一時的な赤字である場合。
- 会計上は赤字でも、減価償却費などを考慮した実質的なキャッシュフローがプラスである場合。
- 具体的な経営改善計画によって、早期の黒字転換が確実に見込まれる場合。
重要なのは、赤字の理由と今後の黒字化への道筋を、透明性を持って誠実に説明することです。財務状況が厳しい時こそ、積極的な情報開示が信頼獲得の鍵となります。
Q. ガイドラインの利用手続きに費用はかかりますか?
ガイドラインそのものの利用に手数料はかかりません。ただし、手続きを進める過程で、専門家への報酬などの付随的な費用が発生する場合があります。
例えば、財務状況の検証を依頼する税理士費用や、債務整理を依頼する弁護士費用などが考えられます。こうした費用については、商工会議所などが実施する専門家派遣制度や、国の補助金制度を活用することで負担を軽減できる場合があります。
まずは、地域の商工会議所や中小企業活性化協議会などの公的な相談窓口を利用し、どのような支援策が利用できるかを確認することをお勧めします。
まとめ:経営者保証ガイドラインを理解し、無保証融資への道筋を描く
本記事では、金融庁が主導する「経営者保証に関するガイドライン」について、その目的から具体的な要件、最新動向までを解説しました。経営者保証はもはや融資の当然の前提ではなく、国の方針として保証に依存しない融資への転換が進められています。保証解除の鍵となるのは、「法人と個人の資産分離」「法人のみの返済能力」「経営の透明性」という3つの要件を満たすことです。これらの要件は、新規融資だけでなく既存契約の見直しや事業承継、債務整理といった多様な場面で判断基準となります。経営者としては、まず自社の現状をこのガイドラインに照らして客観的に評価し、金融機関と対話できる準備を整えることが重要です。本ガイドラインを正しく理解し活用することは、経営リスクを軽減し、事業の持続的な成長を実現するための確かな一歩となるでしょう。

